零「・・・・・はぁ・・・・・まったく・・・・・どうしてわたしは、何をやっても失敗するのかしら・・・・・」
わたしは、姓が司馬、名を懿、字は仲達、真名を零
名門司馬家の次女として生まれ、親からは英才教育を施され、かなり厳しく育てられた
幼い頃から、『お前は栄誉ある司馬家の人間なんだ、将来必ず大きいことをするんだ』と、このようなことを耳にたこができるくらい聞かされてきた
そのおかげもあってか、自分は八人姉妹の中でも1.2を争う知謀を身につけた
自分も司馬一族の歴史は知っていたし、一族の名誉を守ることも自分自身の優先事項の内に入っていた
しかし、いざ今まで培ってきた知識を生かそうとすると、土壇場で何か良くない事や邪魔が入り自分の希望は悉く叩き潰されてばかりだった
親や姉妹からは、『確かにお前には才能があり、知識を生かす実力もある・・・・・しかし・・・・・運が無い』やら、『零には疫病神が二桁は付いているんじゃない』やら、好き勝手な事ばかり言われる始末
周りの者達からは、『天運を掴めない天才』やら、『残念な秀才』などと呼ばれる
そんな奴らを見返してやる、きっと大きい事をして自分を馬鹿にしてきた奴らに一矢報いてやる
いつしか自分の頭の中はこんな思考が大半を占めるようになっていた
そんな時に聞いたのが曹操の噂だった
曹操は才能ある人間は重宝する人間、彼女の下でなら自分の力を発揮できるのではないか
そう意気込んで自分はすぐに曹操の陣営に足を運んだ
曹操は、すぐに自分の才能を認めてくれて軍師にまでした
しかし、流石の曹操もわたしの才能は見抜けても、運の悪さまでは見抜けなかったようだ
曹操の陣営でも『残念な軍師』やら、『天運に見放された天才』やらの烙印を押されて大した活躍はできなかった
こんな状況を何とかしたい
そのためならどんなものでも利用してきた、あの曹操でさえも利用しようとした
零「・・・・・なのに・・・・・こんなことになるなんてね・・・・・」
泰山の決戦から五日後、一刀は目を覚ました
「・・・・・・・・・・」
そこにあるのは沈黙のみ
魏、呉、蜀一同は許昌の玉座の間で一刀を見据えていた
一刀「・・・・・みんな・・・・・本当にすまなかった・・・・・」
月「もういいんですよ、一刀さん」
詠「そうよ、あんた起きてから謝ってばかりじゃない」
一刀「・・・・・今まで俺は、自分一人が賊を討っていれば・・・・・全て丸く収まる・・・・・自分一人が手を汚せばみんなが幸せになれる・・・・・そう考えていた・・・・・そんなわけないのにな・・・・・」
月「一刀さん・・・・・」
華琳「・・・・・そんなこと、あるはずないじゃない」
雪蓮「そうよ、一人よがりもはなはだしいわよ」
桃香「わたしが言えたことじゃないかもしれませんけど・・・・・一刀さんは、損な性格が過ぎると思います」
一刀「結局俺は、自分自身を見失ってしまった・・・・・賊を斬るあまり、自分の心の闇を抑え切れなかった・・・・・」
恋「・・・・・かずと・・・・・かずとの剣・・・・・返す」
一刀「いや!今は拙いだろ!どうやら俺は恋の方天画戟を斬っちまったみたいだし!」
音々音「それなら心配ないのです、今後の事を考えて恋殿の武器はいくつか作ってあるのです」
恋「これ持っていると、かずとが近くに居る様な気がしていた・・・・・お礼を言うのは・・・・・恋の方・・・・・」
一刀「・・・・・そうか・・・・・恋・・・・・これまで金剛刀を預かってくれてありがとうな」
恋「(フルフルフル)」
恋は、一刀に龍滅金剛刀を返した
こうして三年の月日を経て金剛刀は一刀の背中に戻った
雫「やっぱり、金剛刀は一刀様の背中にあるほうがしっくりきますね」
菖蒲「ようやく、元の持ち主のところに帰りましたね」
雫「しかし一刀様!これからは武器を取ることは控えてください!」
菖蒲「そうです!これからそういったことはわたし達に任せてください!」
一刀「・・・・・なんだか気が引けるな」
霞「何ゆうてんのや!」
嵐「そうだぞ!あんなことはもう二度と御免被りだからな!」
恋「かずと・・・・・もう無茶なことしないで・・・・・」
音々音「あれだけ約束を破っておいて、これからも賊を討つなんて言わせませんぞ!」
一刀「・・・・・そうだな・・・・・これからは忠久と金剛刀には封をして、簡単には抜けないようにする」
詠「かえって危なくない?」
一刀「俺は素手でも自分の身くらいは十分に守れるさ・・・・・さっきの話に戻るけど、俺はみんなに多大な迷惑をかけてしまった・・・・・だから、俺にできることならなんでもする」
華琳「なら一刀、わたし達は呉と蜀と和睦しようとしているんだけどその仲介役をしてもらえないかしら?」
雪蓮「あら?曹操もなんだ」
華琳「?・・・・・というと?」
桃香「わたし達も曹操さんと和睦しようとしていたんですよ♪」
一刀「なんだ、だったら俺なんて必要ないじゃないか」
冥琳「そうもいかないぞ」
桂花「そうよ・・・・・恥ずかしい話だけど、わたし達はこの二年間絶えず戦を続けてきてしまっているわ」
朱里「そうですね・・・・・わたし達はいいでしょうが、他の兵士さんや将達はいきなり同盟を結んだと言われても理解できないでしょう」
詠「三国間の関係修繕を円滑にするためには、三国全てに顔が利く一刀の協力がどうしても必要なのよ」
雫「一刀様には、これからは天の御遣いとして三国を導いていっていただきます」
一刀「・・・・・分かった・・・・・天の御遣いとかは大袈裟だけど、そこまで言うなら俺も協力する・・・・・で、具体的な道筋は決まっているのか?」
桃香「そんなの簡単だよ♪このまま三国が同盟を結んで仲良くやっていけば戦争なんて起こらないよ♪」
桃香の頭の中では三国が不可侵条約を結んで平和な世界を維持し続ける光景が薔薇色の如く広がっていた
しかし
一刀「・・・・・・・・・・」
一刀は難しい顔をする
桃香「?・・・・・どうしたの?一刀さん」
一刀「・・・・・桃香、俺は確かに殺し合いや憎しみ合いは嫌いだけど、この三国を統一して一つの国に纏めようという華琳の考えには大賛成なんだ」
桃香「え!!??」
華琳「!!??」
思いもよらない一刀の返答に桃香と華琳は驚く
愛紗「どうしてなんですか!?一刀様!?桃香様の理想は間違っていると仰るんですか!?」
焔耶「そうだぞ!!桃香様の理想を馬鹿にするなど許さないぞ!!」
星「・・・・・・・・・・」
一刀「・・・・・きっと、桃香に三国間の兵力を均等にして平和を維持し続ける案を出したのは、朱里と雛里だな」
朱里「はわわ!?そ、その通りでしゅ!!」
雛里「あわわ、流石天の御遣い様でしゅ」
一刀「そして、三国間での平和維持を天下三分の計と言うんだろ」
朱里「そこまでばれているなんて・・・・・」
雛里「もう驚きもしません・・・・・」
一刀「この天下三分の計は、表面上は三国が互いを監視し合い互いの兵力を見張るいい循環のように見えるけど、そんなものはすぐに崩壊する」
桃香「どうしてそんな事が言えるんですか!!?」
華琳「(なによ、分かってるじゃない)」
一刀「まず第一に、お互いの兵力を監視するなんて事は、事実上不可能なんだ」
鈴々「にゃっ!?なんでなのだ?」
一刀「これは、三国がお互いの兵力の正確な情報を共有しないとできないんだ」
桃香「だったらそうすればいいでしょ!」
一刀「その情報が嘘だったらどうするんだ?」
桃香「え?」
一刀「兵力を隠すことなんてことは工夫次第でいくらでもできる・・・・・実際桃香達も袁紹に攻められた時、袁紹の兵力が自分達を上回っているなんて思わなかっただろ?」
桃香「・・・・・・・・・・」
反董卓連合で一万近くまで兵力を削られたはずの袁紹が二十万の大群で攻めてきたことは、桃香の記憶にも新しい
さらに言えば、逆パターンもあり得る
他国の兵力が同盟の基準数を大幅に超えたという情報が流れ、それが偽情報だった場合、それを討伐してしまえばそれだけでこの手の同盟は崩壊してしまうのだ
一刀「そして第二に、例えそれが成功したとしても、それは桃香、雪蓮、華琳の代で終わってしまうんだ」
桃香「そんなことないよ!わたし達がちゃんと教育すればそれでいいはずだよ!」
一刀「・・・・・次の代が桃香の指針を守らなかったらどうする?」
桃香「え?」
一刀「人間というのは欲深な生き物だ・・・・・俺の知っている歴史でも先代の忠告を顧みず他国に戦争を仕掛けた国の主なんて山ほどいるんだ」
桃香「・・・・・・・・・・」
一刀「だから、桃香の意見は却下せざるおえない」
鈴々「・・・・・・・・・・」
愛紗「・・・・・・・・・・」
焔耶「・・・・・・・・・・」
一刀「だからこの国は「ちょっと待った!!」・・・・・馬超?」
話を遮ったのは翠だった
翠「勝手に話を進めないでくれ!ここに漢王朝の帝がいるってのに、それを差し置いて「よいのじゃ!翠!」・・・・・聖様?」
聖「何も言わなくてよい、民達は希望を魏、呉、蜀に見出している・・・・・もはや漢王朝は限界じゃ」
翠「そんなことありません!母さんもなんとか言ってくれ、このままじゃ本当に王室が滅んじゃうぞ!」
葵「・・・・・翠・・・・・俺も聖様と同じ意見だ」
翠「そ、そんな・・・・・」
葵「漢王朝はもう駄目だろう・・・・・ここ数年が余りに悪過ぎた・・・・・十常侍の横暴を許してしまった時点で既に終わっていたと見るべきだ」
翠「そんなこと・・・・・」
葵「翠!・・・・・現実を受け止めろ、民達はもはや漢王朝なんて眼中に無いんだ」
翠「・・・・・・・・・・」
葵「納得がいかないって顔してるな・・・・・それはそうだろうなぁ、お前を漢王朝の忠臣として育てたのは他でも無いこの俺だ」
翠「・・・・・・・・・・」
蒲公英「お姉様・・・・・もう止めようよ・・・・・お姉様が意地を張っても、聖様の立場を悪くするだけだよ」
翠「・・・・・・・・・・」
聖「頼む翠、お主もこれからは漢王朝の臣としてではなく、これから創る新しい王朝のために尽力してくれぬか?」
翠「・・・・・分かり・・・・・ました・・・・・聖様がそこまで仰るならば、この馬孟起、精一杯やらさせていただきます」
聖「うむ♪」
一刀「ありがとうな、馬超」
翠「翠だ」
一刀「ん?」
翠「あたしの真名は翠だ」
一刀「良かったのか?」
翠「遅過ぎるくらいだ・・・・・本当だったら、あの夜に預けるべきだった」
葵「そうだな・・・・・俺の真名は葵だ、お前のことは知っている、これからは一刀と呼ばせて貰うぞ」
一刀「ええ、よろしく、翠、葵さん」
翠「ああ♪」
葵「おう♪」
蒲公英「蒲公英はもう真名を預けてあるけど、改めて蒲公英だよ~♪よろしく、お兄様♪」
一刀「ああ、よろしくな、蒲公英」
蒲公英「へへ~~~♪」
雪蓮「・・・・・ところで、一つにするのはいいけど、一体どの国が三国を統一するべきかしら?」
蓮華「そんなもの!!呉に決まっています!!」
桂花「何勝手なこと言ってるのよ!!この大陸を治めるのは華琳様以外ありえないんだから!!」
愛紗「そちらこそ勝手なことを!!桃香様こそがこの大陸を治めるのにふさわしいお方だ!!」
ぎゃーぎゃー!!!!!わーわー!!!!!ぎゃーぎゃー!!!!!わーわー!!!!!
そして、幾人か各国の将が加わり、この大陸を治めるべき人間についての決着の付くはずが無い大激論が展開されようとしていた
一刀「はぁ~・・・・・だからこそ戦争していたんだろうなぁ・・・・・」
華琳「悲しい話だけどそういうことよ・・・・・」
雪蓮「ま、これも人の歴史ということね・・・・・」
桃香「愛紗ちゃん!焔耶ちゃん!もう止めて!!」
愛紗「桃香様ぁ」
焔耶「桃香様!」
華琳「桂花!春蘭!お止めなさい!!」
桂花「しかし華琳様ぁ」
春蘭「華琳様ぁ」
雪蓮「蓮華!思春!止めなさい!!」
蓮華「お姉様!」
思春「雪蓮様!」
雪蓮「そんな議論をして決着が付くと思っているの?」
蓮華「・・・・・・・・・・」
思春「・・・・・・・・・・」
華琳「孫策のいう通りよ・・・・・それにまだ一刀の意見を聞いていないわ」
桂花「・・・・・・・・・・」
春蘭「・・・・・・・・・・」
桃香「そうだよ!せっかく一刀さんに仲介役になってもらったのに、無視するなんてあんまりだよ!」
愛紗「・・・・・・・・・・」
焔耶「・・・・・・・・・・」
一刀「まぁまぁ桃香・・・・・そうだなぁ、実質上、魏・呉・蜀のどれかが大陸を治めるのは不可能だろうなぁ・・・・・それを快く思わない人間がこ・こ・に・・・・・そして、ここじゃない別の所にもわんさかいるわけだし」
「・・・・・・・・・・」
一刀の正論に一同は黙り込む
一刀「だから・・・・・これから創る王朝は魏でも呉でも蜀でもない第四の国で纏めるべきだ」
零「(ちょっとちょっと!勝手なことぬかさないでよ!)」
雪蓮「それで一刀、その新しい王朝の頂点には誰が君臨するのかしら?」
焔耶「もちろん桃香様に決まっている!!」
思春「何を言う!!蓮華様だ!!」
春蘭「華琳様に決まっておろう!!」
桃香「焔耶ちゃん!!」
雪蓮「思春!!」
華琳「いい加減にしなさい!!春蘭!!」
焔耶「・・・・・・・・・・」
思春「・・・・・・・・・・」
春蘭「・・・・・・・・・・」
雪蓮「で、誰なの?・・・・・あそうだ!一刀ならいいかも!」
亜莎「確かに!天の御遣いの一刀様なら上手く新しい王朝を導けるかもしれません!」
愛紗「一刀様なら!わたくしも文句はありません!」
桃香「そうだよ!一番の適任がいたよ!」
凪「一刀様!どうか我らを導いてください!」
聖「朕も一刀にならこの国を安心して任せられるのじゃ!」
一刀「絶対そう来ると思っていたよ・・・・・だが断る!!」
愛紗「なぜですか!?一刀様!?」
一刀「そもそも俺にそんな気は無い・・・・・それに、俺はもともとこの国の人間じゃない、例え天の御遣いという虚名を使ったところでそんなものは長くはもたない」
「・・・・・・・・・・」
一刀「だからこの際はっきり言う・・・・・俺がこの大陸を治めるのに推薦する人間は・・・・・華琳だ!」
華琳「え!!??」
蓮華「ちょっ!一刀!!?」
思春「北郷!!?」
愛紗「一刀様!!?」
鈴々「どうしてお姉ちゃんじゃないのだ!!?」
春蘭「分かってるじゃないか北郷♪♪♪♪」
桂花「あんたを少しは見直したわ♪♪♪」
雪蓮「曹操を推薦するのはいいけど・・・・・わけを聞きたいわね」
桃香「そうです!理由を聞かせて下さい!」
零「(誰だってかまわないわ、この大陸を取るのはわたしなんだから)」
一刀「答えは簡単だ・・・・・この中で華琳が一番、客観的かつ、多角的かつ、理論的な思考を持っているんだ」
華琳「・・・・・・・・・・」
一刀「それに、華琳は人の話を聞かない人間じゃない、話せばちゃんと聞いてくれる」
詠「でも、それでここにいる全員が納得するはずが無いわ」
思春「そうだぞ!!だいたい曹操が治めるということは、魏が大陸を支配することと変わらないぞ!!」
一刀「もちろん、いきなり全ての権限を華琳に委託するわけじゃない、少しずつ、少しずつでいいんだ・・・・・そんなことあるはずが無いだろうけど、もし華琳が独裁的な政をしたら、その時は同盟でも何でもして討てばいいんだ」
思春「・・・・・・・・・・」
月「それでは、こことは違う別の人達はどうするんですか?」
一刀「それも、少しずつ国境をなくしていき、三国の民達および商人達を自由に行き来させ頭の中から魏と呉と蜀という国の意識をなくしていくんだ・・・・・そして、これを実行するために通行税は完全廃止するんだ」
亜莎「えっ!!?気でも触れたんですか!!?一刀様!!?」
穏「通行税は各国の重要な資金源ですよ~!!それを廃止にしたらあっという間に国庫が空になってしまいますよ~~!!」
一刀「・・・・・まぁ、この時代の人達はそう言うんだろうなぁ・・・・・」
朱里「この時代、と仰いますと・・・・・一刀さんの生きていた時代ではそうではないというのですか!!?」
雛里「・・・・・・・・・・」(わくわくわくわく)
冥琳「・・・・・・・・・・」(うずうずうずうず)
また新しい政策を聞けると思い朱里、雛里、冥琳は知的好奇心を全開にする
一刀「俺の国でも昔は通行税が敷かれていたんだけど、それはかえって税収を下げてしまうんだ」
穏「いきなりそんなこと言われても信じられませんよ~~~「いいえそんなことはないわよ」・・・・・?」
詠「申し遅れたわね・・・・・ボクの名前は賈詡、字は文和よ」
穏「もしかして、董卓軍筆頭軍師のですか!?」
亜莎「このお方が・・・・・」
詠「今はそんなことどうでもいいわ・・・・・一刀の言ったことは本当よ、かつて天水や洛陽でも一刀の言った通りにしたら税収が下がるどころか右肩上りだったのよ」
穏「本当ですか~!!?」
雫「本当です、一刀様は嘘は仰いません」
穏「・・・・・・・・・・」
亜莎「・・・・・・・・・・」
一刀「そして、この通行税を無くし、更には関所を無くした体制を俺の国では楽市楽座制というんだ」
桂花「楽市楽座・・・・・」
風「これまた聞いたことの無い制度ですね~~」
稟「流石天の世界といったところですかね」
春蘭「???」
秋蘭「姉者、後で教えてやる」
春蘭「お、おう・・・・・」
零「(民達から三国の意識が無くなったら、わたしがその国をのっとってやるわ)」
一刀「もちろん、関所も完全に無くす訳じゃない、関所は各地域の治安を維持するためには絶対必須だからな」
真桜「それは分かるで」
沙和「関所が無かったら各隊と連携が取れないの~~」
凪「はい、困ります」
徐栄、張済と共に北郷隊という治安維持部隊を引っ張ってきた三羽鳥は関所という中間施設の重要さを分かっていた
一刀「あらかじめ言っておくけど、俺達が新しい王朝の完成を見ることは、まず無いと思ってくれ」
桃香「ええ!!?どういうことなの!?一刀さん!?」
華琳「それはそうでしょう、この計画はわたし達の代だけではとても成しえる事はできないわ、どんなに早くてもせいぜい孫の世代に完成するわね」
一刀「流石曹孟徳、やっぱり客観的だな」
華琳「当たり前じゃない、これくらい分からないようでは一国の主なんて務まらないわ」
一刀「・・・・・やっぱり言い換えよう・・・・・流石華琳だ」
華琳「・・・・・//////////」
一刀「???」
桃香「・・・・・・・・・・」
桃香は、なんだかいい雰囲気になりつつある一刀と華琳を見て、膨れっ面になる
雪蓮「それで、新しい国の名前は何にするの?」
桃香「そうだ!一刀さんが決めてください!」
一刀「え?俺がか!?」
華琳「その権利はあなたにあるわ・・・・・それに言いだしっぺなんだから責任取りなさい」
一刀「・・・・・分かった・・・・・・・・・・新しい国の名前は・・・・・・・・・・・・・」
零「(ふんっ!お前達の創る国なんて、わたしの・・・・・)」
一刀「晋だ!」
零「!!!!!???」
雪蓮「晋・・・・・か・・・・・うん♪いいんじゃないかしら♪」
華琳「なかなかいい命名じゃない」
桃香「この際、名前なんてなんでもいいですけどね♪」
零「・・・・・・・・・・」
紫苑「ところで、一刀さんはこれからどうされるんですか?」
桔梗「さよう、天の御遣い殿を遊ばせておくのはもったいなかろう」
一刀「・・・・・俺か・・・・・」
徐栄「隊長、これからもわたし達北郷隊を支えてくださいませんか?」
張済「はい、自分は一生兄上に付いていきます」
凪「今の北郷隊は、徐栄さんとわたしが一刀様の代わりに隊長を勤めています」
沙和「でも、一つの隊に隊長が二人いるのってなんだか変なの~」
真桜「せやな、最初はそのことでかなりもめたしな」
一刀「そうだな・・・・・俺もそろそろ本格的に腰を落ち着けるか」
月「それでは、一刀さんには再度北郷隊の長をしていただくことにいたしましょう」
一刀「ああ」
冥琳「しかし、それだと北郷は魏の国内でしか活動しないことになるぞ」
朱里「いくらなんでもそれは不公平です!」
亜莎「一刀様の知識は、三国で共有しなければ、こちらも納得がいきません」
一刀「だろうな・・・・・だから俺は、三国の中心に北郷隊の本部を置きたいと思う」
風「三国の中心となると、荊州ですね~」
一刀「ああ、そこに俺がお世話になった村があるんだけど、そこを拠点とするんだ、そして三国全てに支部を置き国全体を治安維持できるようにするんだ」
愛紗「あの北荊州の村ですか」
白蓮「確かにあそこなら、他と比べるとかなり発展しているし、ちょうど国のど真ん中だから活動しやすいな」
一刀「華琳、雪蓮、桃香、勝手に話を進めて悪いけど、それでいいか?」
華琳「ええ、あなたを独占できないのは残念だけど、この際仕方ないわ」
雪蓮「独占しようと思ってたんだ」
華琳「それはそうよ、これほど有意義で魅力的な将を独占したくないと思う方がどうかしてるわ」
雪蓮「それは否定しないわ♪」
桃香「でもでも♪一刀さんはわたし達の一刀さんです♪」
月「しかし、一刀さんは、最初はわたくしの将だったんです!優先権はわたくし達にありますから、そのつもりでいてくださいね!」
桃香「・・・・・ねぇ曹操さん、ずっと気になってたんだけど・・・・・この子・・・・・誰?」
愛紗「それもそうだ、さっきからいちいち口を挟んでくるが、誰なのだ?」
雪蓮「私は、なんとなく分かるけどね」
冥琳「そうだな・・・・・穏、亜莎よ、分かるか?」
穏「ん~~~~~~・・・・・ちょっと分からないですね~~」
亜莎「・・・・・はい」
冥琳「・・・・・貴様らもまだまだ修行が足りないな」
雪蓮「そうね・・・・・あなた・・・・・董卓でしょ」
桃香&愛紗&穏&亜莎「「「「・・・・・え?」」」」
月「はい、わたくしは董卓、字を仲穎と申します」
ええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!??????
玉座の間に一同の大音量の声が響き渡る
美羽「な!?なんじゃと!!?」
七乃「$@(%&$’#!!!???」
彩「なんと・・・・・」
桃香「え!?嘘!!?この子があの董卓さん!!?」
蓮華「この子が、あの暴君董卓!?」
愛紗「このようなことが・・・・・」
穏「あちゃ~~~~~・・・・・」
鈴々「鈴々達、こんな弱そうな子をあの時よってたかって攻めてたのか~~~?」
思春「うむむむむむ~~~~~~・・・・・」
明命「はうあ!!?この子がですか!!?」
白蓮「信じられないぞ・・・・・」
純夏「いくらなんでもこれは無いでしょ・・・・・・・」
星「そうか・・・・・なぜ一刀殿があの時我らの前に立ち塞がったのか、全て理解しましたぞ」
朱里「はわわ・・・・・」
雛里「あわわ・・・・・」
月を知らない者達の目からは鱗が飛び散っている
華琳「無理も無いわね・・・・・わたしも最初に紹介を受けた時、自分の目と耳を疑ったもの」
「・・・・・・・・・・」
玉座の間には、まだ信じられない者と一刀の行動理由に納得する者とが分かれていた
そして
桃香「・・・・・董卓さん・・・・・すみませんでした!!」
愛紗「桃香様・・・・・」
月「・・・・・・・・・・・」
桃香「今更謝っても、なにもかもが手遅れだって分かっています・・・・・それでも「いいんです」・・・・・董卓さん・・・・・」
月「もういいんです・・・・・あれはもう過ぎ去ったことです・・・・・それに、劉備さんだって洛陽にいる民達を救いたいという気持ちで連合に参加したんでしょう?」
桃香「それは・・・・・そうですけど・・・・・」
月「ならいいんです・・・・・劉備さんが浅ましい気持ちや妬ましい気持ちでわたし達を攻めたんじゃないということが分かっただけでも満足です」
桃香「董卓さん・・・・・」
月「劉備さん・・・・・これからは、わたくし達と一緒に新しい王朝を創るために協力して行きましょうね♪」
桃香「・・・・・はい!!これから宜しくお願いします!!董卓さん!!」
星「これはこれは・・・・・董卓殿もなかなか・・・・・」
雪蓮「・・・・・なんだか、桃香とは違った種類の徳を感じるわね」
華琳「そうね・・・・・一言で言ってしまえば、現実を見ている劉備ね」
美羽「董卓!」
月「はい?」
美羽「わらわは袁術じゃ・・・・・わらわも謝らせてほしいのじゃ」
月「・・・・・・・・・・」
美羽「わらわは麗羽に誘われて参加したのじゃが、そんなものは言い訳にもなぬ・・・・・本当にすまなかったのじゃ!!」
七乃「美羽様・・・・・」
彩「・・・・・・・・・・」
月「袁術さんもいいんですよ・・・・・わたしくはあなた方を恨んでなんていません・・・・・これからは一緒に頑張って行きましょうね」
美羽「・・・・・うむ♪」
桃香「董卓さん!わたしの真名は「待ってください!」・・・・・え?」
月「真名を預け合うのは後ほどにいたしましょう、今は一刀さんの話を聞く時です」
桃香「・・・・・はい!」
美羽「わかったのじゃ♪」
そして、月と桃香と美羽は一刀に向き合った
一刀「それじゃあどこまで話したっけ?・・・・・そうそう、北郷隊の本部を北荊州の村に創って、魏呉蜀に支部を作るところまで話したよな」
月「それでは、わたくし達董卓陣営は、一刀さんと共に北荊州に移って一刀さんのお手伝いをしようと思います」
一刀「え!?俺の手伝いって!?月は俺の事実上の主だぞ!」
月「一刀さん・・・・・わたくしは、一刀さんの方が一国の主として一段も二段も上と感じています・・・・・それにわたくしは、華琳さんに全ての地位と領土の統治権を返上しました、ですから今のわたくしには何の権限も無いんです」
一刀「・・・・・なんてもったいないことを」
詠「ボクも反対したんだけどね・・・・・だけど一刀も知っているでしょ?月の頑固さは」
華琳「わたしも月があれほど押しの強い子だとは思わなかったわ・・・・・流石天水や洛陽を治めていただけあるわね」
一刀「・・・・・・・・・・」
月「わたくしは、一刀さんが帰ってきた時から決めていました、一刀さんを主とすると、ですから・・・・・これからよろしくお願いします♪ご主人様♪」
一刀「ご!?ご主人様!!??」
「!!!!??」
月の思わぬ爆弾発言に一同は目を丸くする
対する月は
月「へぅ~~~~~~/////////////////」
と、両手を顔に当て赤くなる
詠「ちょっと月!?いくらなんでもそれは言い過ぎだって!!」
雫「いいじゃないですか♪これからはわたしもそう呼ばせていただきますね♪ご主人様♪」
詠「雫まで!?」
菖蒲「ご主人様・・・・・/////////」
恋「?・・・・・ご主人様?」
音々音「恋殿!?」
霞「ええな♪ウチも一刀のことご主人様って呼んでええか?♪」
嵐「ごごごごごご・・・・ごしゅじ・・・じじじじじじじ////////////」
麗羽「北郷さん!わたくしも月様と御一緒にあなたに尽くしますわ!わたくしの名は麗羽です!よろしくお願いしますわ!」
斗詩「北郷様!いいえ、ご主人様!わたしの名は斗詩です!これからそう呼んでください!」
猪々子「あたいは猪々子だ!あたいも兄貴に真名を預けるぜ!」
桃香「そんなのずるいです!!一刀さん♪わたしも一刀さんの事、ご主人様って呼ぶね♪」
一刀「はぁっ!!?」
焔耶「桃香様!なんてことを!?」
愛紗「わ、わたくしだって!ご主人様!!///////」
鈴々「わあっ!!?愛紗が壊れたのだ!!?」
星「鈴々よ、別に壊れたわけではないと思うぞ」
朱里「ご主人様////////」
雛里「はうううう、ご主人様ぁ////////」
紫苑「それではわたくしも・・・・・ご主人様♪」
桔梗「はっはっはっはっは♪ではワシはお館様とでも呼ぼうか♪」
蒲公英「なんだかいいかも♪・・・・・蒲公英もご主人様って呼んでいい?♪ご主人様♪」
翠「蒲公英!?お前何考えてんだよ!!?」
蒲公英「いいじゃん♪それになんだかそう呼ぶといい気分だよ♪お姉様♪」
翠「え?・・・・・ご、ご・・・・・ご主人様・・・・・」
葵「ほほ~~~~~~~~~~~~~♪♪♪♪」
翠「・・・・・だぁぁぁぁぁああああああああ!!!今の無し!!今の無しだあああああああ!!!////////////」
一刀「ちょっとちょっと!!何勝手に話を(ビックゥ!!)・・・・・」
真横からとんでもない殺意を感じ、ギギギギギギという音と共にゆっ・・・・・・・・・・・くりとそちらを向くと
華琳「いいご身分ねぇ、一刀ぉ♪このわたしがいくら閨に誘っても振り向きもしなかった月達をあっさり手篭めにしてぇ♪」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
桂花「近づかないで、この変態」ゴゴゴゴゴゴゴ
風「む~~~~、お兄さん~~~」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
閻魔大王も裸足で逃げ出しそうな覇気(嫉妬のオーラ)を放つ者達がいた
雪蓮「あははははは♪ほんと一刀って面白いわね♪」
冥琳「きっと、これが本当の北郷なんだろうな」
蓮華「一刀ぉ・・・・・」
思春「おのれ北郷ぉ!蓮華様のお気持ちも考えずに!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
小蓮「あははははは♪」
こちらはこちらで勝手である
星「一刀殿、わたくし趙子龍はあなたを第二の主とします」
一刀「え!?何を言ってるんだ星!星の主は桃香だろ!」
星「もちろんそうなのですが、これほどみなに慕われているあなたにも仕えてみたくなりましてな・・・・・これからよろしくお願いしますぞ、主♪」
一刀「・・・・・・・・・・」
いきなりの星の発言に一刀はついていけなかった
徐栄「隊長は、男の中の男です!!」
張済「兄上!自分も・・・・・・・・・・いいえ、なんでもないです・・・・・」
聖「・・・・・・・・・・」(じ~~~~~~~~~~~~~~~)
悠「一刀のやつ、もてもてだな~~♪」
稟「まぁ、分かっていたことですが・・・・・」
季衣「兄ちゃんって、本当に人気者なんだね~~♪」
流琉「兄様/////////」
凪「一刀様!これからは仕事場では隊長!修行の時は師匠と呼んでいいですか!?」
沙和「沙和も隊長って呼ぶの~~~♪た~~いちょ♪」
真桜「せや♪ウチも隊長って呼ばせて貰うわ♪」
明命「一刀さん!いいえ!これからは一刀様とお呼びします!」
穏「わたくしも一刀さんの楽園に加えて頂け無いでしょうか~~♪」
亜莎「あうううううううううう///////////////」
祭「はっはっはっはっはっは♪お主も英雄よな~~~♪」
純夏「あたしだって・・・・・一刀と・・・・・///////////」(ごにょごにょ)
百合「一刀君~♪わたしも一刀君の事、ご主人様って呼んでい~い♪」
一刀「あああああああああああああもう!!!話をややこしくしないでくれ~~~~~~~~~~~!!!」
覇気(嫉妬のオーラ)を放つ者達を煽る様な発言を繰り出す者達
なんとかこの無限ループから脱出したいが、なかなかいい案が思い浮かばない
しかし、そんな事態を壊したのは
恋「・・・・・・・・・・ん」
ギュウ
一刀「え?恋?」
「!!??」
チワワの様にてててててと駆け寄ってきた恋が、頭を抱える一刀の腰に上目遣いで抱きつく
そして
恋「かずと・・・・・恋のご主人様////////」
音々音「恋殿!?」
「・・・・・・・・・・」
余りの恋の可愛さに一同は凍りつく
恋「みんな・・・・・ご主人様・・・・・大好き・・・・・恋も・・・・・ご主人様・・・・・大好き/////////」
音々音「恋殿~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」
殿~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!
殿~~~~~~~~~~~~~~~~!!!
殿~~~~~~~~~~~!!
殿~~~~~~~~!
殿~~~~~
・・・・・・・・・・・・・・・・・
音々音の叫びは皆に聞こえておらず、ただ空しく響くだけだった
雪蓮「ふぅ~~~・・・・・さて一刀♪さっそく閨に行くわよ♪」
華琳「ええ!!?//////」
桃香「えええええ!!?雪蓮さん!!?/////////」
蓮華「お姉様!!??/////////」
月「へぅ~~~~~~~////////////」
詠「ちょっと!!何でそんな話をするのよ!!!?///////////」
場の空気を読まない雪蓮の発言は一同を混乱させる
雪蓮「だって一刀、さっき言ったじゃない♪何でもするって♪」
華琳「だからといってそんなこと!!本人の了解も無しにいきなりだなんて!!!/////////」
桃香「そうですよ!!何を考えてるんですか!!?雪蓮さん!!!/////////」
雪蓮「そっちこそ何言ってるのよ、一刀は天の御遣いなのよ♪つまり一刀の子は天の子ということよ♪」
「・・・・・・・・・・」
雪蓮「天の御遣いの子が国にいるということは、それだけで尊敬と畏怖を集められるということよ♪どう?魅力的でしょ♪」
華琳「それは・・・・・まぁ、そうだけど・・・・・/////////」
桃香「ご主人様の子供//////////」
愛紗「・・・・・/////////」
星「主♪わたくしはいつでもいいですぞ♪」
小蓮「一刀~~~♪シャオもいつでもいいよ~~~♪」
春蘭「????」
秋蘭「姉者、深く考えなくていいぞ」
春蘭「お、おう?・・・・・」
凪「//////////////////////」
沙和「凪ちゃんが茹蛸なの~~~♪」
真桜「見てておもろいわ~~~♪」
確かに雪蓮の言う通りである、この三国の戦いを収めた一刀の子孫がいるというのは、それだけで国の助けになるのである
雪蓮「それじゃあさっそく・・・・・・・・・・・どうしたのよ、一刀?」
一刀「・・・・・・・・・・」
さっきみたいに慌ててくれると想像していた雪蓮は肩透かしを喰らっていた
これ以上無い桃色話をしているにも拘らず、一刀は黙り込んだままなのだから
一刀「・・・・・雪蓮、俺にそんな気は無い」
雪蓮「一刀?」
一刀「俺は誰かと結婚して、子を残すことはしない」
桃香「ええ!!?」
蓮華「一刀・・・・・」
愛紗「そんな!?なぜですか!?ご主人様!?」
雫「ご主人様?」
華琳「・・・・・・・・・・」
純夏「・・・・・・・・・・」
星「・・・・・・・・・・」
一刀「雪蓮・・・・・・俺が前に言ったこと覚えているか?」
雪蓮「まだそんなこと言っているの!?」
一刀「俺は、今まであまりに多くの命を奪って来た・・・・・だから俺には「一刀!!」・・・・・華琳?」
華琳「どうせあなたは、こう考えているのでしょ?・・・・・自分は罪人、今まであまりに多くの人間を殺してしまったから自分には幸せになる資格は無いと」
一刀「・・・・・・・・・・」
華琳「一刀・・・・・あなたはあまりに大きな勘違いをしているわよ、あなたの行いは罪でもなんでもない、あなたは幸せになっていいの」
一刀「勘違いなんかじゃない!俺は「主!!」・・・・・星?」
星「曹操殿の言う通りです!主は、これまで平和のために行動してきたのでしょ!?それを咎める者などここにはいません!」
一刀「・・・・・・・・・・」
星「前に主は言っていましたな・・・・・自分のやったことは、自分のいた世界では犯罪でしかないと」
一刀「・・・・・その通りだ」
星「ならば、我らはどうなのですか!?主の行いが全て罪でしかないというのであれば、兵達を率いて戦争をしていた我々はどうなのです!?」
一刀「・・・・・・・・・・」
星「主にとって、我々はただの犯罪者なのですか!?ただの頭のいかれた大量殺人犯だと、そう仰るのですか!?」
一刀「・・・・・・・・・・」
星「主のいた世界では、主のやったことはただの罪でしかないのかもしれません!・・・・・しかし、ここでは違います!我々が生きていたのは乱世です!主のいた平和な世界と同次元に考えないでいただきたい!!」
一刀「・・・・・・・・・・」
純夏「・・・・・一刀・・・・・あたしも前に言ったわよね・・・・・手を汚しているのはあたし達も同じだって」
一刀「・・・・・純夏・・・・・」
純夏「だから・・・・・あたし達も幸せになるから一刀も幸せになって!幸せになることを放棄しないで!」
蓮華「そうよ一刀!わたしもあなたと一緒に汚れて見せるから!」
月「ご主人様!皆さんの言う通りです!ご主人様は幸せになっていいんです!」
詠「あんたに幸せになる資格が無いって言うなら、ボク達はどうなるって言うのよ!?」
雫「ご主人様がただの罪人というなら、ご主人様に戦の後始末をさせていたわたし達の罪は、もっと重いです!」
菖蒲「どうか幸せにならないなんて言わないで下さい!ご主人様!」
霞「せやで!一刀!」
嵐「お前はどうして変な所で頭が固いんだ!?」
恋「ご主人様・・・・・幸せにならないと・・・・・みんな・・・・・悲しい・・・・・」
音々音「お前が不幸なままでは、恋殿も悲しいですからな」
桃香「そうだよご主人様!」
愛紗「ご主人様!どうか今までの分を取り返してください!」
華琳「・・・・・そういうことよ、一刀」
一刀「・・・・・・・・・・みんな・・・・・俺は幸せになっていいのか?・・・・・こんな俺をみんなは受け入れてくれるのか?」
紫苑「もちろんですよ♪ご主人様♪」
桔梗「愚問ですな」
焔耶「桃香様がここまで言ってるんだぞ!グダグダ言うのは止めろ!」
冥琳「その代わり、わたし達にも幸せを分けろよ、北郷」
祭「ワシはいつでもよいぞ♪」
明命「はううううううううう/////////」
穏「まあまあまあまあ~~~~♪♪♪/////////」
一刀「・・・・・・・・・・分かった・・・・・どうなるか分からないけど、これからよろしくな」
雪蓮「ええ♪」
桃香「はい♪ご主人様♪」
華琳「せいぜい頑張りなさい♪」
月「不束者ですが、どうか末永くお願いします~~~」
一刀「・・・・・でも」
「???」
一刀「いつか・・・・・いつか償わないといけない・・・・・償いの時が来る・・・・・そんな気がするんだ・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
一刀「その時は、例えそれがどんな形であったとしても俺は受け入れる」
「・・・・・・・・・・」
風「・・・・・それでは~、そんないちいち罪の意識に苛まれている厄介なお兄さんの正室が風で、他の皆さんが側室でかまいませんね~♪」
小蓮「ちょっとそこ!!何勝手に正室の座を掠め取ってんのよ!!一刀の正室はシャオなんだから!!!」
蓮華「ちょっと!!小蓮!!?」
桃香「ええ!!?何でそうなるの!!?」
愛紗「ご主人様を独り占めするなど許さんぞ!!」
星「そうだぞ!風!・・・・・主♪私はいつでも大歓迎ですぞ♪」
一刀「ちょっとちょっと!!?いきなり正室とか側室とか何言ってるんだ!!?」
星「おや?主のいた世界では、どのような恋愛がなされていたのですかな?」
一刀「俺のいたところでは、男女一対一で関係を築くのが当たり前なんだ」
星「そうですか・・・・・しかしこちらでは、一夫多妻は当たり前ですぞ♪」
冥琳「時の権力者は、皆多くの妻を持っていたからな」
穏「そうですよ~~♪それに一刀さんならここに居る全員の愛をしっかり受け止めてくれそうです~~~♪」
鈴々「お兄ちゃんは、みんなのものなのだ~~~~♪」
一刀「・・・・・・・・・・」
一刀は目の前が霞んで来たような気がしていた
悠「あたしが一刀の初めてを貰うからな~~~~♪♪♪」
小蓮「え!?一刀って童貞だったの!?ありえな~~~い!!」
祭「ワシが手取り足取り教えてやろうか?北郷よ♪ん♪」
百合「一刀君の妻//////////」
季衣「兄ちゃんのお嫁さんか~~~♪」
流琉「兄様の・・・・・妻・・・・・・(ポ)//////////」
稟「かかかかかかか一刀殿のつつつつつ妻にぶーーーーーーーーーー!!!!」
美羽「一刀の・・・・・妻・・・・・///////////」
七乃「彩さん、わたくし達も美羽様と一緒に一刀さんの妻に立候補しちゃいませんか~♪」
彩「うむ、それはそれで一興か♪」
蒲公英「ご主人様♪蒲公英もいつでもいいよ♪」
翠「蒲公英!?何言ってんだよ!?/////////」
葵「一刀、今なら親子丼におまけが付いてくるぞ♪」
翠「母さんまで何言ってんだ!!??/////////////」
葵「それはこっちの台詞だぞ、翠、おまえだって一刀のことは好きなんだろ♪」
翠「・・・・・そりゃ・・・・・まぁ・・・・・(ごにょごにょごにょ)///////////////」
華琳「ふふふふぅ♪人気者はつらいわねぇ~~♪一刀ぉ~~~~♪」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
蓮華「一刀ぉ~~~~~」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
思春「北郷ぉ~~~~~」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
焔耶「この色欲魔が!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
桂花「・・・・・死ねば?」ゴゴゴゴゴゴゴ
雪蓮「あはははははははははははは♪♪♪」
一刀「・・・・・・・・・・」
霞を通り越して暗闇が差して来た気がする
闇一刀再誕か?
零「・・・・・・・・・・」
華佗「・・・・・・・・・・」
その後、新たな王朝は三国の同盟から始めることに決まり、その辺りは一同も納得した
問題はその調印、そして調印と共に開かれる宴会を何処でするかということである
このまま許昌で調印してしまったのでは魏に有利な条件にしたと自国の民達から誤解を受けてしまいかねない
そこで一刀の提案により、北郷隊本部を置く北荊州の村にて調印の儀と宴会を開くこととなった
ついさっき起きたばかりの一刀の体調を考えて、北荊州へは明日の朝に行く事に決まり、桃香と雪蓮達は華琳の意向により許昌にもう一泊することになった
そして一同が解散しそれぞれが自己紹介したり真名を交換したりしている中で、一刀は城の廊下を星、風、稟、華佗と一緒に歩いていた
星「主♪これからよろしくお願いしますぞ♪」
風「これからは風が一緒ですよ~♪」
稟「もうあんな無茶な事はしないで下さいね・・・・・ほら!華佗殿も言って下さい!」
華佗「ん?・・・・・あぁ・・・・・そうだな・・・・・」
星&風&稟「「「????」」」
一刀「・・・・・・・・・・」
黄巾の乱から数年、ようやく揃った5人だがあまり会話が弾まない
そんな時
零「北郷一刀!!!!」
星「っ!!?・・・・・司馬殿?」
風「零さん~?」
稟「零殿!?」
華佗「っ!!??」
一刀「・・・・・・・・・・」
五人が振り返ると、そこには凄い剣幕をした零が立っていた
零「北郷・・・・・お前に話があるわ・・・・・ついてきなさい」
一刀「・・・・・分かった、俺も仲達とは話がしたかったからな・・・・・みんな、すまないけど後でな・・・・・」
星「・・・・・ええ」
風「お兄さんと零さんのお話ですか~、かなり興味がありますね~」
稟「風!慎みなさい!」
華佗「一刀、大丈夫か?」
一刀「大丈夫・・・・・ちょっと話すだけだからさ」
そう言って一刀は零の後をついていった
零「・・・・・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
一刀「・・・・・・・・・・」
零と一刀は許昌の東屋にて、立ったままお互いを見つめていた
とはいうものの、零は一刀を必要以上に睨み付け、一刀はそれを涼しい顔で見ている
その光景を廊下の柱の影から覗いているのが
星「・・・・・この距離では会話は聞こえないな」
華佗「だが、相手はあの一刀だ、これ以上近付くと確実に気付かれるぞ」
風「大丈夫ですよ~、風は読唇術できますんで~」
稟「わたくしも多少は、風程ではありませんが」
星「それにしても、結局稟もついてきたのだな♪」
稟「わ、わたくしは!あなた方の粗末な行動が許せなくて・・・・・」
風「とか言いつつ、お兄さんと零さんのお話に興味津々な稟ちゃんでありました~♪」
稟「風!」
華琳「あら、あなた達、何をやってるの?」
そこに春蘭と秋蘭と桂花を連れた華琳が現れる
風「おおう!華琳様御入来~」
桂花「そんな所でこそこそとなにやってるのよ」
春蘭「ん?あれは北郷ではないか・・・・・お~~~い!!北gん~~~~~~~~~~!」
一刀を呼ぼうとした春蘭の口を星が塞ぐ
星「春蘭!今いいところなのだ!声を出すな!」
春蘭「・・・・・(コクコクコク)」
どうやら星と春蘭は真名を預け合ったようである
風「ただいまあそこで、お兄さんと零さんがお話中でありますので~」
秋蘭「ほう、北郷と零が」
華琳「ふ~~~ん、ちょっと興味あるわね」
桂花「あいつ!あそこで零を襲う気じゃないでしょうね!?」
春蘭「どっちかというと、北郷の方が零に襲い掛かられそうだな」
秋蘭「しっ!話し始めるぞ!」
そして一同は一刀と零の唇に集中する
零「・・・・・単刀直入に聞くわ・・・・・どうして晋なの?」
一刀「・・・・・・・・・・」
零「どうして、お前が晋という国の名を知っているの?」
一刀「・・・・・とういうことは・・・・・仲達は華琳に、魏の国に対して反乱を起こそうとしていたんだな?」
零「っ!!??・・・・・・・・・・・・・・・ええ、その通りよ」
一刀「やっぱりな・・・・・」
零「お前は一体何者?・・・・・晋というのは、わたしが考えていた国の名前・・・・・わたしがこれから創るはずだった国の名前・・・・・わたしは、国の名前は絶対にこれにしようと心に決めていた・・・・・なのに、わたししか知るはずの無い国の名前をお前は先に出した・・・・・当てずっぽや偶然とはとても思えない・・・・・どういうことなのか説明しなさい」
一刀「・・・・・仲達は、俺がこの時代から千八百年ほど先の未来からやって来たと言うと、信じるかい?」
零「!!??」
風「!!??」
華琳「!!??」
稟「???」
桂花「???」
一刀「・・・・・・・・・・」
零「・・・・・・・・・・」
暫く続く沈黙
零「・・・・・なるほど、天の御遣いというのは嘘偽りではないようね」
一刀「・・・・・俺は自分がそんなご大層な奴だとは思わないけど」
零「まったく・・・・・それほど無双とも言っていいほどの武を持ち、智の方も優れているくせに先を知っているなんて反則よ」
一刀「そうだな・・・・・この世界からすれば、俺は完全に異質な存在だな」
風「・・・・・・・・・・」
華琳「・・・・・・・・・・」
稟「????」
桂花「????」
零「そうね・・・・・それで、北郷がわたしが考えていた国の名前を知っているということは・・・・・」
一刀「ああ、俺の知っている歴史では、司馬懿仲達の反乱は成功する・・・・・そしてその後、晋という国が大陸を平定し司馬一族の時代がやってくるんだ」
風「・・・・・・・・・・」
華琳「・・・・・・・・・・」
稟「????」
桂花「????」
零「わたしの反乱は成功するという事ね・・・・・悔しいわね、自分が創ろうとしていた国を先に創られるなんて」
一刀「まだ創っていないだろ、始まりの位置に立っただけだ」
零「わたしにとっては同じことよ・・・・・はぁ~~・・・・・まったく・・・・・わたしは何処までも天運に縁が無いみたいね・・・・・まさかこんな形で邪魔が入るとは思わなかったわ」
一刀「・・・・・なぁ、仲達」
零「なによ」
一刀「俺と一緒に、もう一度夢を見てみないか?」
零「・・・・・・・・・・」
一刀「君が創った晋じゃ無いかもしれない・・・・・でも、その中で仲達ができることはきっとあるはずだ」
零「・・・・・・・・・・」
一刀「もちろん、仲達が晋の国に対して反乱を起こすなら俺がなんとしてでも止めるけどな」
零「・・・・・・・・・・」
一刀「・・・・・・・・・・」
零は再び一刀を睨む、対して一刀は零の顔を微笑みながら見返す
そして
零「・・・・・ふ・・・・・ふふふふふ」
一刀「???」
零「ふふ・・・ふふふふ・・・・ふははははははははははは♪♪♪♪あ~~~っはっはっはっはっはっはっはっは♪♪♪♪♪」
庭全体、風達の隠れている所まで零の笑い声が響く
春蘭「なんだ零のやつ、あんな高笑いをして」
桂花「いつも思っていたけど、あの笑い方は何とかならないかしら」
華琳「でも、あんなに楽しそうに笑う零は始めて見るかもね♪」
秋蘭「・・・・・ですね♪」
一刀「いきなりどうしたんだ!?」
突然笑い出す零に一刀は唖然とする
零「ふふふふふ♪・・・・・北郷!わたしの真名は零よ!」
一刀「・・・・・いきなりだな」
零「あなたの行う晋の国創り!わたしも協力するわ!」
一刀「そっか・・・・・それじゃあ君は華琳の所で「わたしはあなたの陣営に入るわ!」・・・・・はい?」
零「聞こえなかった?わたしは、華琳様の陣営を抜けて、あなたの陣営に鞍替えすると言っているのよ」
一刀「いいのか?」
零「ついさっき一緒に夢を見ようと言ったくせに、もういらなくなったの?」
一刀「いや、そういう意味じゃなくて・・・・・」
零「ならいいじゃない・・・・・それに、華琳様の陣営ではわたしは大した活躍はしていないのよ、だからすぐにでもあなたの所に移動できるわ」
一刀「???・・・・・おかしいな、俺の知っている司馬懿仲達はこの時代では1,2を争う大軍師のはずなのに」
零「ふ~~~ん、そうなんだ・・・・・何処でくい違ったかは知らないけど、わたしは物凄く運が悪くてね、残念な軍師やら才能を発揮できない天才とか言われているのよ」
一刀「ぼろくそだな・・・・・」
零「だから・・・・・わたしはあなたに騙されてあげる・・・・・この司馬懿仲達の運の悪さをあなたが飼い慣らせるか見せて貰うわよ」
一刀「・・・・・怖いな・・・・・分かったよ、これからよろしくな、零」
零「??・・・・・何よこの手は」
一刀「握手だよ、俺が前いた所では互いに手を繋いで信頼の証や互いの健闘を祈る習慣があるんだ」
零「・・・・・ふ~~~~~ん」
そして、一刀と零は手を繋ぐ
一刀「改めてよろしくな、零」
零「こちらこそ・・・・・それで、わたしもあなたのことはご主人様と呼べばいいわけ?」
一刀「・・・・・もう好きにしてくれ」
呼び方については諦めた一刀であった
零「なら、ご主人様♪わたしを拾ったからには覚悟しておいてね♪」
一刀「・・・・・なんだか、すぐにでも反乱を起こされそうだな」
零「あら?起こして欲しいのかしら♪」
一刀「・・・・・許してくれ」
華琳「・・・・・風」
風「はい~、華琳様~」
華琳「零の手続きをお願いしていいかしら?」
風「御意です~」
桂花「華琳様?」
稟「風、一刀殿達は一体何を話していたの?」
風「おやおや~?稟ちゃんは分からなかったのですか~?」
稟「・・・・・読唇術については、わたしは風に及びません」
風「んふふふふふ~♪風は一流ですからね~♪」
星「で?何を話していたのだ?」
春蘭「そうだな、気になるぞ」
華佗「人には教えられないようなことか?」
風「いえいえ~、どうせすぐ分かることですから教えて差し上げます~・・・・・零さんは、華琳様からお兄さんに鞍替えしたようです~」
桂花「な!?なんですって!?」
春蘭「どういうことだ!?」
秋蘭「・・・・・・・・・・」
星「ほぉ~~~~う♪主もなかなかやりますなぁ~~♪」
桂花「なかなかやるじゃないわよ!・・・・・あの無双変態魔人のやつどんな悪知恵を使って零を脅したのよ!華琳様から将を引き抜こうだなんて一京年早「桂花!およしなさい!」・・・・・何を、華琳様!?」
華琳「零は、一刀に脅されたわけじゃないわ、自分の意思で一刀の陣営に入ったのよ」
桂花「・・・・・そんな・・・・・」
華琳「それに・・・・・零は、わたしの所では才能を開花させることは無かった・・・・・でも、もしかしたら一刀のところでなら花開くかもしれないわ」
秋蘭「わたくしも、北郷なら零の才能を呼び覚ますことができると思っています」
華琳「あら?秋蘭も大分一刀をかっているみたいね♪」
秋蘭「あやつは、この夏侯淵が初めて真名を許した男です、きっと零を良い将に育ててくれるでしょう」
華琳「ふふふふ♪」
秋蘭「ふふふふ♪」
風「・・・・・それはそうと~、華琳様は零さんの動向には気付いていたんでしょうね~」
華琳「当たり前じゃない、零の野心の強さは出会ったその時から分かっていたわ」
風「ということは、お兄さんの知る歴史とやらは、あまりあてにはなりませんね~」
華琳「・・・・・・・・・そのようね」
そしてその後、零は一刀の陣営に移った
最初はみんな驚いていたが、一刀の説明で納得した
こうして司馬懿仲達こと零は、雫に並ぶ一刀専属の軍師となっていったのであった
そして、北荊州に行く前日の夜
一刀「・・・・・・・・・・」
一刀は、華陀のいる部屋の前に立っていた
一刀「・・・・・・・・・・」
辺りに意識を向ける一刀
辺りに人の気配が無いか確認をする
そして
コンコン
扉をノックする音が華佗の耳に入る
華佗「一刀か・・・・・入ってくれ・・・・・」
ギイ
扉を開け中に入る一刀
部屋の中では、一本の蝋燭の光に照らされ華佗が酒を用意して待っていた
華佗「座ってくれ」
一刀「ああ」
華佗の部屋に入り、一刀は椅子に腰掛ける
華佗「まずは、一献」
既に酒が入れてある杯を一刀に勧める
一刀「ありがとう・・・・・それじゃ、乾杯」
華佗「乾杯」
そうして二人は、酒を酌み交わす
しかし
一刀「ん・・・・・うぅ・・・・・」
華佗「ん?口に合わなかったか?」
一刀「いや・・・・・本来ならこの酒は美味く感じるはずなんだけどな・・・・・」
華佗「どうした?」
一刀「俺は最近、人を斬り過ぎたせいか、何を口にしても血の味しかしないんだ・・・・・」
華佗「・・・・・お前に今一番必要なのは、心の療養だな」
一刀「だろうな・・・・・」
華佗「それに一刀は、かなり長い間満足に食事を取っていなくてかなり痩せ細っている、気持ちは分かるが無理にでも食べ体重を通常に戻すんだ、そして「華佗!回りくどいことは止めにしよう!」・・・・・」
一刀「華佗が俺を呼んだのは、そんなことを言う為じゃないだろ?俺に重要なこと事を伝える為だろ?」
華佗「・・・・・・・・・・」
暫く沈黙し、ゆっくり搾り出すように華佗は言葉を紡ぎだした
華佗「・・・・・一刀・・・・・はっきり言って、お前の身体は限界に近い」
一刀「・・・・・・・・・・」
華佗「今までお前がしてきた過酷な旅も要因の一つなんだが、呂布との戦いに使っていたあの技・・・・・あれが致命的だ・・・・・」
一刀「みんなから聞いたけど、正気を失っている時の俺は、回天丹田を何回も使っていたって話だからな・・・・・」
華佗「あの氣の量と質は、生身の人間に耐えられるものじゃない・・・・・」
一刀「そうだな・・・・・回天丹田は、一日に一回程度なら何てことは無いけど、それ以上使うと身体にかかる負担は数倍に膨れ上がるからな」
華佗「お前の身体は今後二度と元には戻らないだろう・・・・・この歪みは五斗米道(ゴットヴェイドー)でも治しきれない・・・・・」
一刀「おそらく・・・・・俺はこの先、10年前後の命だろうな」
華佗「・・・・・・・・・・」
一刀「まっ、今まで俺がやってきたことは決して許されないことだ、これも自業自得ってやつだ」
華佗「・・・・・一刀・・・・・どうしてお前はそうなんだ?」
一刀「ん?・・・・・」
華佗「確かに、お前のやってきたことは罪だ・・・・・しかしだからといって、なんでお前はそんな風に平然としていられる!?少なくともお前は四十、いや!・・・・・よくても三十五歳までしか生きられないんだぞ!なのに何でそんなにへらへらしていられるんだ!?」
一刀「・・・・・これは、俺に与えられた罰だ・・・・・散々自分勝手なことをして、みんなに心配をかけたから・・・・・天罰が下ったんだ」
華佗「だからといって・・・・・罰にしては酷過ぎるぞ・・・・・」
一刀「いいんだ・・・・・華陀、このことはみんなには絶対に話さないでくれ・・・・・できれば、俺が死ぬその瞬間まで」
華佗「一刀ぉ・・・・・」
一刀「俺は、これからはみんなの為に動く・・・・・自分に出来る事は全てやるつもりだ・・・・・俺もなるべく悔いは残したくないからな」
華佗「・・・・・一刀」
意思の籠った一刀の目を見て、華佗も一つの決意をした
華佗「・・・・・分かった、もう何も言わない・・・・・お前がそこまで言うなら俺も覚悟を決めよう・・・・・お前の生き様、俺がしっかりと見届けてやる」
一刀「・・・・・ありがとう」
椅子に座ったまま、一刀は深々と頭を下げた
華佗「一刀、療養が済んでからは、氣は普通に使う程度だったら問題ない、鍛錬も普通にしてくれればいい」
一刀「ああ」
華佗「ただし、あの回天丹田という技を使うのは本当に一日に一回程度にしておけ」
一刀「できれば、今後二度と使いたくないけどな」
華佗「それに越したことは無いが・・・・・しかし・・・・・」
一刀「ああ・・・・・もしもという時、使わざるおえない時も当然あるだろうな」
華佗「それまでとっておけ、くれぐれも無茶なことはするなよ・・・・・それと、お前の右頬の傷なんだけどな、それだけがどうしても治せなかった」
そう、一刀の右頬に刻まれた十字傷は最近付いたものであるにも関わらずどんなに五斗米道の力を注いでも治らなかったのだ
一刀「そうなのか、まあ別に治らないと困るものでもないし、気にしないでくれ」
華佗「そうか・・・・・あと、俺もお前達の国創りには少なからず協力するぜ」
一刀「よかったのか?華陀は旅をしている方が性に合っているんじゃないのか?」
華佗「お前と一緒にいた方が今後多くの人々の命を救えそうな気がするからな」
一刀「・・・・・それじゃ、これからよろしくな、華陀♪」
華佗「ああ、せいぜい当てにしてくれよ、相棒♪」
そうして二人は手を取り合う
ここに史上初となる五斗米道コンビが結成された
一刀「それじゃあ、改めて」
華佗「ああ、乾杯」
二人は再び杯を傾ける
一刀「ん・・・・・はぁ~~~~~・・・・・なんだか、さっきよりも遥かに美味く感じるな♪」
華佗「やっぱり、おまえに今一番必要なのは、心の療養だな♪」
一刀「だな♪」
そして、二人は深夜まで酒を酌み交わした
これから創る国や、新たな時代の話を肴にして
どうもseigouです
ここからは、一刀達の新たな国創り偏に突入していきます
こんなにキャラがいっぱいいると、誰か忘れていないかと心配してしまいます
多分このままハーレムルート(いや、もうなっているのかな?)になっていくと思います
では・・・・・待て!!次回!!
Tweet |
|
|
102
|
15
|
追加するフォルダを選択
続きを表示