No.215743

真恋姫無双~風の行くまま雲は流れて~第67話

第67話です。

暑い~

2011-05-08 19:48:40 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:5982   閲覧ユーザー数:5404

はじめに

 

この作品はオリジナルキャラが主役の恋姫もどきな作品です

 

原作重視、歴史改変反対な方、ご注意ください

 

 

「道を開けなさい」

 

その声が果たしてどこまで響いたものか

城門が重苦しく呻きを上げ開き、明ける視界の先

 

振り返る誰もが息を呑んだ

兵らが振り向いた先

 

朝露に潤んだ瞳は彼らがその先、朝日を背に進軍してきた「彼」へと真直ぐにに向けられていた

 

そして「彼等」の足が止まる

 

先頭を行く彼は彼女の姿にその眼を細めた

 

果たして彼女を彼女だと誰が理解出来ただろうか

 

「道を…開けなさい」

 

それは呟きに過ぎず、だがしかし

彼女の眼前に立つ誰もが一歩、また一歩と「後ずさった」

 

誰もが息を呑み、その視線を釘付けにする彼女は険しい表情を崩さずゆっくりと歩を進める

彼女のその視線もまたぶれることなくただ真直ぐに…ただ一人「彼」へと真直ぐに

 

「彼」はというとその先、一団から一人進んだその先で恭しく膝を折り頭を垂れていた

歩み続けるその間も二人の視線がかち合うことはなく

 

朝日を背にした彼の影を彼女が踏み、彼女に折り重なったところで彼女が止まった

 

「…表を上げなさい」

 

その声に返事はなくただ静かに彼が彼女を見やる

目線が合えば彼女は両手を腰にフンと鼻を鳴らす

 

「よくぞご無事で…」

 

彼がそう言い終えると同時に低く鈍い音が辺りに木霊した

 

口の端から滴る己が血も拭う事無く、相も変わらずに彼は無表情に彼女を見つめる

今しがたに拳を振るった袁家が当主、その相貌は怒りに大きく見開かれ、硬く握られた拳がブルブルと震え

 

「どこまでっ!…私に恥を掻かせるつもりですの!?」

 

怒号とも悲鳴とも聞こえる彼女の声に

 

「…申し訳ございません」

 

彼はまたその頭を垂れる

 

「私から眼を逸らすな!」

 

再びに響く鈍い音

 

彼のこめかみが青黒く染まっていく

 

「戦の最中に裏切り者に寝首を掻かれ!かつて罷免したものが迎えに上がるなどと…貴方は!…貴方達は!どこまで私を馬鹿にするのですか!?」

 

誰もが身動き一つなく、悲壮な彼女の叫びに耳を傾ける

 

「わたくしがっ!貴方の出迎えに喜んで飛び出たとでも!?貴方を前に歓喜に心湧くとでも!?」

 

その大きな瞳からこれまた大粒の雫が零れ落ちた

 

「このような辱めを受けておめおめと生き延びれるとでも!」

 

それまで無表情に彼女を見つめていた彼の眉がピクリと跳ね上がった

そのことに気づかない…視界が歪み気づけない彼女は尚も捲くし立てる

 

「見てなさい!今貴方の前で舌を噛んで死んでやっ…んん」

 

不意に伸ばされたその手が彼女を手繰り寄せ

 

「ふっ…ん」

 

口を塞がれ行き場を無くした自身の息が反射する

尚もポロポロと毀れる雫に濡れる瞳を彼の冷たく暗い瞳が覗き込むように捕らえて離さず、その瞼を閉じることすらも出来ずにさらに視界が歪んでいく

 

ドンドンと彼の胸を叩く彼女のそれは突然の口付けへの抗議のものではなく呼吸を求めてのもの

だが彼女が抵抗の意を示すほどに彼の舌が空気を求めるその口内を犯していく

 

奥に奥にへと逃げ込もうとする彼女の舌を一度捕らえたならばもはや逃がすまいと絡み

やがてに彼女の思考までもが霞掛かっていく

 

白く

 

白く

 

「っはぁ…はぁ…はぁ」

 

乱れた吐息を比呂の胸に吐き出すと同時に彼女の口から糸を引いて溢れ出た唾液が彼の胸元を濡らしていく

 

「はぁ…はぁ…何を…ふざけて…」

「舌を噛まれるのでしょう?」

「…え?」

 

見上げた先

 

冷たく底なしの闇が彼女を見つめている

 

「貴女が舌を噛まれると仰ったので我が舌も噛んで戴きますよう…そう思いまして」

 

それまでの暗く無表情だった比呂の顔が不意に柔和に綻ぶ

 

…………

 

………

 

…ボンっ

 

麗羽の顔が見る見るうちに紅潮していき…頂点まで染まった瞬間に噴火した

 

「ホント馬鹿…怒る気力も失せましたわ」

 

トンと額を押し付ける

化粧も崩れ真っ赤に腫れた顔など彼に見られたくもないと

そして彼は寄り添う彼女を愛おしそうに見つめていた

 

麗羽がプスプスと頭から耳から煙を立てる様子を後方に見ていた面々

 

「いや~はっはっは」

「流石というかなんと言うか…」

「姫のドつぼ突かせたら右に出るもの無しですね…」

 

猪々子が、斗詩が、高覧が

 

その頬が朝焼け色に染まっているのは決して朝日の光のせいだけではなかった

パチパチパチ…

 

「いやぁ感動的な光景じゃないですか♪思わずに僕の涙腺までもが緩んじゃいましたよ」

 

左右に開いた兵達のその向こう

 

感動的と称しながら歪んだ笑みを浮かべて歩み寄る少年の姿に

 

比呂は麗羽を少年の視線から庇うように抱き寄せる

 

「お初御眼に掛かります将軍…僕の名は逢紀、貴方の来訪を心より歓迎致します」

 

恭しく礼をとる少年の眼が三日月に歪む

 

「袁家が誇る英傑を是非とも我が末席にお迎えしたいところですが生憎にも『我が』主はその首に御執着の様子…如何でしょう?僕にお任せ頂ければその美と武をより相応しい形で着飾れましょう」

 

能弁に語る少年の後ろで袁家を裏切った兵達が慌しく陣を成形しその矛先を構える

 

「ご返答や如何に?」

 

腰に挿していた剣を抜きブンと振る

 

その剣や誰の物であったか

 

『袁家の宝剣』が朝露を切り裂き陽光に輝いた

 

「抵抗は無駄です…降伏なさいな」

 

くくくと喉を鳴らす少年

 

比呂の袖を握る麗羽のそれが震えた

 

心配そうに見上げる彼女と目が合い、瞼を下ろすとゆっくりと首を振り

 

再びに開いた眼が鋭く突き刺すように少年を捉えた

 

「心遣い痛み入る…だが我が誇り、我が忠心はそれを良しとせぬ」

 

ピクリと頬を引きつらせる少年に口の端を吊り上げ

 

冷淡な笑みを浮かべ

靫から矢を抜き構えるとキリキリと弓の弦が啼いた

 

 

「宣言する、降伏は無駄だ…死ぬまで抵抗しろ」

 

 

あとがき

 

ここまでお読みいただき有難う御座います。

 

ねこじゃらしです

 

さて行楽のシーズンGWは如何お過ごしでしょうか?

 

大方天気にも恵まれていたのでいい行楽日和だったのではないでしょうか?

 

2と6が普通に出勤だったため遠出は叶わなかったもののいいリフレッシュが出来ました!

お付き合いいただいたNight氏にはこの場で御礼をば…

 

まああれです特別企画のPRでもしようかなとw

 

さてさて

 

いよいよエアーさん本格出陣…これまたちゃんと書けるのかどうか

 

まあ頑張ります

 

そんでもって面白いと思ってくださればこれ幸い

 

コメント頂ければ更に倍!

 

だって…だって…

 

リレーなのになんで向こうばっか支援が行くんじゃああああああああ…

 

わかってますよう身の程は(;;)

 

 

 

それでは次回の講釈で

 

 


 
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