真・恋姫†無双~黒衣の剣士~
第一幕
番外編 ~仮面の裏側~
彼(この外史の御使い)との戦いから数刻の時が過ぎ、俺はある城の一室にいた。
初めてこの地に降り立って何年たっただろう。見た目こそ年は取らないものの、もう何十年という時を外史の中ですごしていた。
思い出すは、懐かしき故郷の事。
現世では学園に通い、祖父の剣術道場に通っていた。そのこともあってか学生にしては、それなりの剣の腕をもっていた。
だが、そんな平穏な日常が何時の日か音を立てて崩れ去った。視界がまばゆい光に包まれ、次に目覚めたときにはこの三国志の時代に来ていた。
そして、彼女たちと出会い、共に幾多の戦場を掛け、いつの間にか愛し愛される関係になっていた。
戦場を駆け巡り、たくさんの人の死を見つめ、いつの間にか俺の剣は人の明日を奪うモノへと昇華していった。
大陸に平和が訪れると、俺は"監視者"に呼び出され、次なる外史へと渡らされた。そんな事が何度も続いているうちに、自分が自分じゃなくなる感覚に襲われるようになった・・・。
十もの外史を平和へと導いた時、"監視者"からこの先どうしたいかと問われた。この時、俺は驚きを隠せなかった。
今までは"監視者"のいうとおりに従い三国を統一していた。それも否応なしにだ。
まさかこの先どうしたいかと問われるとは夢にも思っていなかった。
当然、現世へ戻るという選択支もあった。だが既に何十年という時をこの世界で過ごしていた俺にはその選択支は選べなかった。
だからこそ俺は選んだ。新たなる御使いを立てることを。
そして、俺は御使いの役目を譲った。そして今俺は仮面をつけ"敵"として彼の成長を見守ることにした。
彼なら俺の様にはならず、彼女たちを幸せにしてくれるだろうと希望を託した。
全ては彼女たちの為、と思っていた。だが見ず知らずの彼を御使いとして戦わせている事への後悔の念も無いわけではない。
だからこそ、俺がその存在を俺以外のものとし、全ての思いをこの仮面と、愛刀・・・恋姫(れんき)に乗せ彼らを導く。
彼が道を違えぬよう、彼女たちが惑わぬよう、明確な"敵"としてあり続けようと決心を新たにするのだった。
――――――――――――――――――あとがき――――――――――――――――――
今回は北刀君の葛藤、そして役目のお話でした。
明日を終えたら連休なので連休の間に本編を進めたいと思います。
では、またの更新をお楽しみ~♪
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今回は番外編です。
といっても、彼の一人事みたいなものですが・・・。
正直悩みに悩んで出した答えです。
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