汜水関城壁上
霞「さすがに多いな~」
莉空「壮観だな・・・」
友哉「・・・」
霞「ざっと三十万はくだらんやろな」
汜水関の前には反董卓連合軍、約三十万が戦闘態勢を取っている。手前から劉備軍四万・孫策軍五万・公孫サン軍二万・曹操軍六万・袁術軍七万・袁紹軍八万、その他もろもろ。
--回想開始・一週間前--
友哉(クソッ!やっぱり防げなかったか・・・)
ねね「どうするつもりなのですか」
莉空「ぶっ飛ばせばよいではないか!」
詠「相手は三十万もいるのよ!?それに比べて僕たちはたったの五万。どうやったって勝てっこないわよ!」
月「・・・。この街の人たちを巻き込むわけにはいきません。私たちが、ここを去れば・・・」
友哉「だめだ!」
一同「!?」
友哉「そんなのだめです。ここで逃げたらだめです。自分が正しいことをしているなら、正しいということを周りに示さないと・・・ずっと逃げるつもりですか?ここから逃げたってまた追われるだけですよ。それに連合がいい政治をしてくれるともかぎりません」
月「・・・ごめんなさい。そうですよね。私、逃げてるだけですよね。自分のやっていることに自信がないから、責任を取るのが怖いから。私は戦います!正しいと信じて、みなさんを信じて戦います!だから、みなさん私に力を貸してください!」
・・・・・・・・・・・・
会議が終わり、玉座の間には友哉・月・詠の三人だけが残った。
友哉「すみません。言ってることがぐちゃぐちゃで」
月「いえ、ありがとうございました。あのままだと一生逃げ続けることになっていたと思います」
友哉「俺だって、街の人たちを巻き込むのは嫌です。だから、次の作戦で提案があります」
詠「提案?」
友哉「・・・・・」
--回想終了--
友哉(なんであいつらがいるんだ・・・)
友哉の視線の先には劉備軍の中の黄忠・厳顔・魏延・馬超がいた。歴史では反董卓連合の後のはずだ。友哉が事態を好転させようととった行動が完全に裏目に出ていた。
劉備軍の中から黒髪の女の子と赤髪の小さな女の子が出てきた。関羽と張飛だ。
友哉「(霞!)」
霞「(わかっとる!)」
張飛「華雄のバーカなのだ!」
関羽「こら、鈴々!そんなことでおびき出せるわけないだろう!わが名は関羽!華雄よ、お前はただこもるしか出来ぬ臆病ものになり下がってしまったのか!」
張飛「華雄は臆病ものなのだ!」
莉空「言わせておけば!」
霞「落ち着きいや。あんな見え透いた挑発にのったらあかん!」
関羽「出てこんな・・・」
張飛「どうするのだ?」
一人の桃色の髪の女性が歩いてくる。孫策だ。
孫策「あらあら、苦戦してるわね」
関羽「孫策殿!?」
孫策「そんなに身構えないでよ。ただ手伝おうと思っただけだから♪」
張飛「孫策は手伝ってくれるのだ?」
孫策「まぁ見てなさい。私は江東の虎・孫文台が娘、孫伯符だ!華雄よ、再びこの南海覇王の糧となってくれることを嬉しく思う!亡き母が拾い忘れたお前の骨を、娘の私が代わりに拾いに来てやった!しかし、こもっているような臆病者の骨など拾うまでもない!臆病者でないというならば、今すぐ証明して見せよ!」
莉空「クソッ!孫家め、忌々しい!もう我慢の限界だ!」
友哉「霞さん!今です!」
霞「よっしゃ!」
莉空「!?何だこれは」
友哉が合図するとすぐに何本もの鎖が莉空の体に巻きついていく。
莉空「離せ!あんなことを言われて我慢できるか!」
友哉「今は我慢してください。これも月さんたちを守るためです!」
霞「せや、ここで作戦台無しにしてどないするっちゅうねん!」
友哉「それじゃあ、連れて行ってください」
一般兵「了解しました」
鎖で縛られたまま、莉空は中へと連れて行かれる。
莉空「私をどうするつもりだ!や、やめろーーーーー・・・・・」
孫策「おっかしいわねー。華雄いないのかしら?」
関羽「そんなはずはありません!」
張飛「じゃあなんで出てこないのだ?」
三人「・・・」
ドスッ!
関羽「何だ!?」
孫策「矢文、のようね」
張飛「なんて書いてあるのだ?」
関羽が矢文を手に取り、読み上げる。
『関羽殿・張飛殿・孫策殿 粋な罵りをご苦労様です。しかし残念ながら、我が将華雄は現在監禁中に付き、ご対応しかねます。また出直してもらえますか?ごめんなさーい 笑』
関羽「さっきの悲鳴は華雄のものか・・・」
孫策「なんかすっごい馬鹿にされてる気がするのは私だけ?」
張飛「鈴々たちを馬鹿にするとは許せないのだ!」
孫策「それで、どうするつもりなの」
関羽「とりあえず、待ってみるしかないですね」
孫策「それじゃあ、私は先に帰るわね、今日は出てこなさそうだし」
張飛「孫策は帰るのだ?」
関羽「そうだ。孫策殿、ご協力感謝します」
孫策「結局、意味なかったけどね・・・じゃあね」
孫策は二人に背を向け自陣へと戻っていく。
関羽「よし、鈴々。私たちはもう少しねばるぞ!」
張飛「応なのだ!」
--日没--
張飛「結局、出てこなかったのだ」
関羽「しかたないさ。我々の作戦は読まれてしまっていたからな」
張飛「じゃあ、早く帰るのだ!」
関羽「そうだな」
二人も自陣へと戻っていく。かくして反董卓連合汜水関攻略戦・初日は終わりを迎える。
--劉備陣営--
関羽・張飛が戻り、天幕で軍議を行っている。
劉備「ご主人様、明日はどうするの?」
北郷「そうだな、汜水関にはあと二人いたよね?」
諸葛亮「はい。神速の張遼と天災天城です」
関羽「どちらかを罵倒するのですか?」
諸葛亮「一度破られた以上あまり期待はできませんが、今日二人が華雄を抑えていたとしたら二人同時に罵倒すれば、抑える側がいなくなるかもしれません」
北郷「でもどうやって罵るかだよな・・・」
劉備「そうだよね。華雄さんみたいな猪さんなら楽なんだけどなぁ」
馬超「張遼って奴は騎馬が得意なんだよな?じゃあそこをつけばいいんじゃないか?」
北郷「どう思う?雛里」
鳳統「張遼は馬に絶対的な自信と矜持を持ってると聞きます。おそらくそれしかないかと」
北郷「問題は天城なんだよな~」
厳顔「それは簡単ではないのか?お館様と同じと思えば・・・」
一同「(じと)」
全員が一斉に北郷をジト目で睨みつける。
北郷「何でみんなで俺を睨むのかな?」
趙雲「それは、主といったら」
一同「「「天下の女たらし」」」
北郷「そんな!?」
黄忠「それはもう・・・」
馬岱「ご主人様は、女ならゆりかごから墓場までだもんね?」
関羽「しかし、天城はどうなのでしょうか?」
劉備「前会ったときはそうでもなかったよね?」
張飛「それに、お兄ちゃんより強いのだ!」
北郷「努力します・・・OTL」
諸葛亮「それでは、とりあえず明日はこの作戦で」
一同「応っ!」
北郷(こんなので大丈夫なのかな・・・)
Tweet |
|
|
3
|
0
|
追加するフォルダを選択
第十二話
汜水関の戦い初日です。