No.211369

真・恋姫無双 ~黒天伝~ #9

cherubさん

第九話です。
前回の続きです。
書いてて自分でも何だこりゃって思っちゃうぐらいなので
ご了承ください。

2011-04-12 19:38:39 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1511   閲覧ユーザー数:1407

 

友哉が眠りについてちょうど一ヶ月がたった。

 

友哉(ねむい・・・。どこだ、ここは・・・)

 

友哉が少しだけ目を開ける。それは周りから見ていると全く分からないほどだ

 

友哉(なんでだろ?体が動かない・・・)

 

まだ体を動かせないでいた。頭もぼんやりとしている。そうしていると突然扉が開き、恋が顔を出した。

 

友哉(恋、かな?)

 

はっきりとは分からない。ただ人が入ってきて側にあった椅子に腰掛け、こっちを見つめているとしか分からない。そのまま、しばらくの時間が過ぎていく。すると突然人影が近づいてくる。しかしまだはっきりとは分からない。その人影は寝台の横に立つと、人差し指で友哉の唇に触れる。

 

恋「・・・ん、かわいてる」

 

友哉(やっぱり、恋だ)

 

友哉は徐々に覚醒してきていた。そのためその声ははっきりと聞き取れた。その声は聞き覚えのある声だった。いつも側にいてくれて、可愛い笑顔を見せてくれる。恋はそういうと水差しを持ってくる。

 

友哉(飲ませてくれるのかな?)

 

そんな期待をしながら待っていると、恋は水差しの中の水を友哉ではなく自分の口に含む。

 

友哉(??)

 

混乱した。ついつい自分に飲ませてくれると思っていたが、どうやら思い上がりだったようだ。無性に恥ずかしくなる。顔が赤くなるのを自分でも感じることができた。

 

友哉(!?)

 

いつの間にか恋の顔が目の前にあった。ゆっくりと顔を近づけてきた。本当は早かったかもしれない。しかし、今の友哉にはとてもゆっくり、まるでスローモーションのように感じた。恋は目を閉じている。

 

友哉(まさか、あれなのか!?本当にやっちゃうのか!?)

 

唇が触れ合った。すると恋の唇の間から先ほどの水が流れ込んでくる。

 

友哉(口移し!?)

 

友哉はあまりの驚きに覚醒しきっていた。ショック療法というやつかもしれない。すると、恋は目を開ける。がっちりと目が合う。恋も驚きの表情をしている。ゆっくりと顔を離していく。そしてふいに体に抱きついてくる。

 

恋「・・・友哉、起きた!」

 

普段小声でつぶやくように話す恋が、彼女にしては大きな声を出していた。

 

友哉「・・・あの、恋さん?何をなさっているのでしょうか?」

 

恋「・・・抱きついてる」

 

友哉「そうじゃなくってですね、何故口移し?」

 

恋「・・・霞がやってた。早く元気になるって」

 

友哉「霞が!?」

 

恋「・・・ん。みんなもやってた」

 

友哉「みんな!?」

 

友哉(俺のファーストキッスはこんななのか!?まてよ、みんなってことは誰が最初なんだっ!)

 

恋「・・・月と詠とねねと莉空と霞」

 

月・詠・ねね・莉空・霞「友哉(さん)(殿)!!」

 

恋がそういい終わると、部屋の入り口から名前が挙がった五人が駆け込んできた。

 

 

友哉「それで、どういうことですか?」

 

六人は友哉の前で横一列に正座していた。

 

詠が友哉が一ヶ月間眠り続けていたこと、その間みんなで世話していたことを説明した。

 

友哉「それはどうもありがとうございます」

 

詠「なら!」

 

友哉「恋、みんなは何をしていたの?」

 

恋「・・・口移し」

 

莉空「それは霞だけだろう!」

 

霞「莉空かて、あつ~い口付けしとったやんけ!それに月と詠も!」

 

月「へぅ~」

 

詠「ボクたちはほっぺにしただけよ!莉空たちと一緒にしないでよね!ねねだってやってたじゃない!」

 

ねね「ねねは添い寝しただけなのですぞ!いっしょにするななのです!」

 

友哉「そうでしたか(ニコッ)」

 

六人はどす黒い殺気に友哉のほうを向く。満面の笑みだ。殺気と笑顔のギャップがより一層恐怖心を掻き立てる。

 

友哉「あ、ちょっとすみません!」

 

友哉は殺気をもらしたまま見回りの兵士を引き留める。友哉の殺気に兵士も震え上がる。

 

兵士「は、はい!何でありましょうか!」

 

友哉「俺が戻るまで、この六人を見張っていてくださいませんか?」

 

兵士「りょ、了解しました!」

 

友哉「それじゃあみなさん、おとなしく反省してくださいね?」

 

そういって一人ずつ睨みつけて部屋を出て行った。

 

部屋には重い沈黙だけが残された。

 

 

友哉は、洛陽の街に出てきていた。友哉が眠っている間に霊帝が死亡し董卓は洛陽に呼ばれていたのだ。

 

子供「あっ!お兄ちゃん!」

 

いつしかの迷子の子供だ。

 

友哉「よう!久しぶりだな!どうして洛陽にいるんだ?」

 

子供「父ちゃんも母ちゃんも董卓さまが好きだからついてきたんだよ?」

 

友哉「そういえば詠がそんなこと言ってたな・・・」

 

月たちが天水を出るとき、董卓を慕っている者たちが一緒に付いて来ていたのだ。

 

子供「ねぇ、いっしょに遊ぼうよ!」

 

友哉「あっちで呼ばれてるぞ?」

 

友哉が指さしたほうには、子供の友達と思われる集団がいた。

 

子供「お兄ちゃんもいっしょに遊べばいいじゃん!」

 

友哉「ごめんな。人を待たせてるんだ。また今度な?」

 

子供「しょーがねーなー。じゃあ今度、絶対だよ?」

 

友哉「ああ。約束だ。」

 

そう言って指切りをすると、子供は友達のほうへと走って行った。

 

友哉「さて、いつ帰ろうかな?」

 

人など待たせていなかった。ただ、月たちを正座させている手前子供と遊ぶ気にはなれなかった。

 

友哉「しっかり反省してもらわないといけないからな。もう少しぶらつくか。」

 

再び、友哉は市の道を歩き始める。

 

おやじ「よう!天城将軍じゃねぇか!」

 

ふいに店先のおやじに呼び止められる。

 

友哉「やあ!おっちゃんもこっちに来てたんですね?」

 

おやじ「当り前だ!董卓さまあっての俺だからな!それに天城将軍だっているしな」

 

友哉「そう言ってもらえるとうれしいです」

 

おやじ「今日は何かみていかねぇのか?こっちもなかなかいいもんがあるぜ?」

 

友哉「じゃあ、ちょっと見せてもらいます」

 

おやじの店は装飾品を扱っている。いろいろと手に取ってみていく。

 

友哉「これいくら?」

 

手に持っているのは七つの勾玉のネックレス。それぞれ色が違っている。赤、水色、紫、白、緑、銀、蒼。

 

友哉(そろそろ帰るか・・・)

 

おやじ「ありがとな!」

 

友哉は七つのネックレスが入った包みを持って城へと戻っていく。

 

 

友哉の部屋の扉が開く。中にはきちんと六人正座していた。

 

友哉「反省しましたか?」

 

月「へぅ~」

 

詠「わ、悪かったと思ってるわよ」

 

莉空「すまなかった」

 

霞「うちが悪かったわ~」

 

呂布「・・・ごめんなさい」

 

ねね「わるかったのです」

 

みんな少し涙目だ。そしてなぜか見張りの兵士が一番泣きそうだ。

 

兵士「自分は失礼してよろしいでしょうか!」

 

友哉「忙しいのにすみませんでした」

 

兵士「いえ、失礼します!」

 

兵士は喜々としながら部屋を出ていく。

 

友哉「じゃあ、足を崩していいですよ」

 

全員の口から安堵のため息が出る。

 

友哉「代わりに、目をつむって歯を食いしばってください」

 

六人「―ッ!」

 

六人の背筋が伸びる。またあの笑顔だ。殺気とのギャップが半端ではない。全員がこれから起こるであろうことを予想した。しかし、友哉の殺気には勝てずしぶしぶ目を閉じる。

 

友哉「絶対に目を開けたりしたらいけませんよ?そんなことしたら・・・」

 

全員が全力で首を縦に振る。

 

友哉「それじゃあ、行きますよ?」

 

パシーーーン!!!

 

乾いた音が部屋に鳴り響く。全員がビクッと反応する。一回一回、次は自分ではと震えが大きくなっていく。

 

 

五回、乾いた音が鳴る。ついに次は自分か・・・。と心の中で覚悟する。

 

友哉「目を開けていいですよ」

 

六人「???」

 

自分だけが助かったのか?と全員が思う。そうして恐る恐る互いに顔を見合わせるが、誰の頬も赤くなっていない。訳がわからない。

 

友哉「どうしたの?」

 

詠「それはこっちのセリフよ!どういうことなの?誰を五回もひっぱたいたの?」

 

友哉「何のこと?それより自分の胸元見てみなよ」

 

全員が自分の胸元を確認する。するとそこには綺麗な勾玉のネックレスがかかっていた。恋は赤、ねねは水色、月は白、詠は緑、莉空は銀、霞は紫、そして友哉の胸元には蒼色の勾玉が輝いていた。

 

友哉「みんなの仲間の、家族の証です」

 

詠「じゃあ、あの音は何だったの?」

 

友哉「あれは五回手を叩いたんですよ。これに懲りたらもういたずらはしないで下さいよ?」

 

六人が泣きながら友哉に抱きついてくる。

 

月「へぅ~。友哉さ~ん。怖かったです~」

 

詠「バカ、バカッ!」

 

恋「・・・怖かった」

 

莉空「本当に怖かったんだぞ?」

 

霞「からかうのもいい加減にして~な」

 

ねね「怖かったのですぞ~」

 

友哉「ごめんなさい、みんな」

 

友哉は泣き続ける六人に優しく微笑むのだった。

 


 
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