青年は泣いていた。
ただ一人、自分しか知らないはずの古い祠で
雨が降り注ぎ、雷鳴のとどろく中で・・・
??「いつまで泣いておるつもりじゃ」
青年「・・・」
??「いつまでも泣き続けられては、わしの気がめいってしまうわい
まぁ、仕方ないかの。あんなことの後じゃ・・・」
驚きを隠せなかった。
自分しか知らないはずのこの祠で、白ひげを蓄えた老人にいきなり声をかけられたのだ。
青年「!?」
??「おぬしのことはずっと見ておった。もうこの祠は廃れてしまったからの。
ここに供え物を持ってきてくれるのはおぬしらだけじゃよ」
青年「まさか・・・」
??「いかにも。わしの名は湯蓋道空(ゆぶたどうくう)。一応神様をやっとる。
とはいえ、あの神社まがいの建物ができてこの祠にきてくれるのはおぬしらだけじゃがの。
あの神社まがいには、神はおらん。
おぬしはたしか・・・」
青年「ゆ、友哉です。天城友哉(てんじょうゆうや)。」
道空「そうじゃ、そうじゃ。いつも供え物をすまんの」
友哉「・・・」
道空「まぁ、疑うのもしかたなかろうて。
ところでおぬし、力が欲しいか?」
どう考えてもあやしかった。
普通なら無視してその場を去るところだろう。
しかし、友哉には神の存在を信じるに足る経験があった。
祠で遊んでいて迷子になったとき、不思議な音についていくと帰れたり、
足を滑らせて5mほど転げ落ちたときも、なぜか下に落ち葉のクッションがあって
無傷ですんだりと。
それに何より、どうしても力が欲しい理由があった。
友哉「・・・欲しい。俺は、力が欲しい・・・」
道空「そうか。なら修行をしよう」
それを聞くと、友哉は倒れこむように眠ってしまった。
あたりはもう真っ暗で、いつの間にか三日降り続いた雨はやみ、
漆黒の空には白銀の月が輝いていた。
道空「やはりこやつなのか、貂蝉」
目が覚めると、そこにはいつも昼寝をしていた祠の天井があった。
??「目が覚めたか」
友哉「・・・誰?」
??「って忘れとんのかいっ!」
友哉「・・・ツッコまれた。神様ってツッコむんだ・・」
道空「覚えとるやないかいっ!」
??「朝からうっせーな、このエセ関西人が。」
後ろを振り返ると黒い服に身を包んだ少女が立っていた。
年齢は同じぐらいだろうか。
腰まで伸ばした美しい朱髪が目に付いた。
明らかに、美少女だ。
友哉「誰?」
美少女「俺の名は、友奈(ゆうな)だ。世間ではあまんじゃくとかよばれてるけどな。
今後、お前の修行の相手はこの俺だ。」
道空「いっておくが、一応女じゃ」
友奈「当たり前だろ。このくそじじい。
そんなことよりも、さっさとやるぞ!」
友哉「や、やるって・・・」
道空「しあいに決まっておろう」
そういいながら双振りの日本刀を渡される。もちろん本物だ。
長さは大体1mほど。漆黒の鞘に納まっている。
友哉「む、無理ですよ俺には」
友奈「つべこべ言わずにさっさと構えろ!」
やむを得ず双振りの刀を抜きてきとうに構える。
次の瞬間両手に恐ろしい衝撃が走り、耐えられずに刀を弾き飛ばされてしまう。
いつの間にか目の前に友奈の顔が目の前にあり、右目の下に痛みを感じる。
そして友奈の両手には朱色の、ゲームに出てくるダガーのような双剣が握られていた。
道空「素人か、やはり」
こうして、友哉の修行が始まったのだった。
一ヶ月がたち、友哉はかろうじて友奈の動きが見えるようにはなっていた。
しかし、防ぐことしかできず、さらに友奈はまだ笑いながら楽しんでいるようだった。
友奈の戦い方は徹底したインファイトだ。
一気に間合いをつめ逆手にかまえた双剣で舞うような連続攻撃を繰り出す。
最初は一撃ごとに手に激痛が走ったが今はもう慣れていた。
日が沈み修行が終わると、道空に呼び出された。
友哉「何のようですか?」
道空「わしらは今日でお別れじゃ」
友哉「!?」
言葉が出なかった。一ヶ月たち人見知りな友哉はやっとなじんできた。
そんなときに突然の別れを宣言されたのだ。
あたりを見回したがいつの間にか友奈はいなかった。
道空「これをおぬしに託そう。
あっちの世界でもうまく生きていけよ」
道空は友哉の前にまた双振りの刀を置いた。
今度のそれは前とは違う2mほどはある巨大な刀だった。
しかし柄の部分を札でふういんしてあるようだった。
友哉「あっちの世界って何だよ!うまく生きろってどういうことだよ!」
いつも敬語を使うが珍しく怒鳴っていた。
道空「すまんの・・・。しかしどうしようもないのじゃ」
友哉「また一人にするのかよ。もうやだよ・・・こ、んな・・・」
涙を流しながらまた倒れるように眠りについてしまった。
道空「ゆるしてくれ」
見渡す限りの平原
あたりにはそそり立つ岩山がある以外
一面に土の世界が広がっていた
そしてそこには鉄のようなにおいが立ち込めていた
そんな中で一人の少女が武器を握り締め佇んでいた
赤い髪の毛に白と黒の服を着ていて、その隙間からのぞく肌は健康的な褐色だった
少女「・・・なにか、来る」
そうつぶやいたとたんそらから黒い稲妻が振ってきた。
少女はあまりのまぶしさに目を瞑ってしまった。
轟音がおさまり、目を開けてみるとそこには直径5mほどのおわん型の穴の中心に
黒い服を着た少年が倒れていた。
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恋姫無双の董卓√を作ってみました。
三国志、文学ともにあまり詳しくないので
変なところや稚拙な文章も多いと思いますが
ご了承ください。