ある日の休日である。
「ごほっ、ごほっ」
「お兄ちゃん大丈夫?」
布団で寝て咳き込んでいる智樹を気遣うカオス。
「もう、調子に乗って夜中まで起きてるからよ」
「はい……」
ニンフに咎められる智樹。
何をしていたのかというと新作のエッチなDVDを見ていたことであった。
その日はとても寒い日であったので智樹は油断してしまい、風邪をひいたのだ。
「マスター、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫だ……」
智樹は起き上がろうとするが、またすぐに倒れてしまう。
「マスター……」
イカロスが倒れる智樹を気遣う。
「すまねえ、カオス。今日はお前と一緒に行けそうにないわ……」
「だったら俺が一緒に行ってやろうか?」
そこに秋山が突然智樹の部屋にやって来た。
「秋山さん」
「まあお前がカオスをどこに連れて行こうかなんて普通は分からんが、今回は頭の中覗かせてもらったからどこに行くかは分かってるぞ」
「そうか……カオスいいか?」
「……」
カオスは少し悩む。そして答えを出した。
「本当はお兄ちゃんと行きたかったけど、いいよ。秋山お兄ちゃん、いこ」
「よし、それじゃあ行くか」
こうしてカオスは秋山に連れられてどこかへと行った。
「大丈夫かしら? 秋山で」
カオスのお守に秋山なのを不安がるニンフであった。
『カオスのとある日常(いちにち) ヒーローショー編』
秋山とカオスは都会のデパートに来ていた。
その目的は……。
「ええっと、『破面ライダーキングズ』のヒーローショーは……6階の特設会場で時間は1時からか……」
秋山は近くの時計を見る。
「今は10時半だから、まだ時間があるな……。どうする? 今のうちに場所取りでもするか?」
「うん♪」
秋山とカオスはデパートに入り、ヒーローショーが開かれる会場へと向かった。
「よし、どうやら場所取りはOKのようだが、まだ誰もいないみたいだな」
「うん」
「1時からとなると……すごく早いけど、昼飯にするか?
じゃないと昼からだと確実に人が来るし、昼飯時だから昼飯を食う人が多すぎてこっちに戻れなくなるかもしれんからな」
「でも場所が……」
「……じゃあ何か置いておくか」
そこで秋山は自分の上着を脱ぎ、一番良いポジションに置いた。
「これでよしと」
「盗られない?」
「これ盗ろうとした瞬間、酷い目に遭うぞ」
そう言って、秋山はカオスを連れて会場を後にした。
「ところで何食う?」
「何でもいいよ」
「それじゃあ、あの店にするか」
秋山は目の前にあったレストランを見て、そこで食事をすることにした。
それから数十分後、食事が出てきた。その量は大人二人分を凌ぐくらいのものであった。
「こんなに頼んで大丈夫なの?」
「大丈夫だ、問題ない」
「そういえば前にお金結構持ってるって言ってたけどなんで?」
「ああ、そういえば言ったな……」
秋山は以前、カオス達と一緒にヒーローフィギュアを買いに行ったことを思い出す。
「簡単さ」
秋山はそう言ってカオスの目の前で掌を広げてみせる。
「ほいな」
すると秋山の掌から突如1万円札が出てきた。
「すご~い」
「手品みたいだろ? だけど手品じゃないんだよな」
「? じゃあどうやったの?」
「あまり大きな声じゃ言えないけどな。俺の闇の力で変換して出したんだ」
「どういうこと?」
「俺は別の世界に着いた時、俺の存在をその世界の人間が不審がらないように俺の存在をその世界に定着させる。
このお金だってそうだ。だって突然のお金が増えたら偽造になるし、流通的におかしくなる。
だからその矛盾を解決させるためにこうやってこの世界に定着させて作ってるんだ」
「へぇ~」
「本当に分かってる? アストレアなら確実に分からないって言うだろうけど…」
秋山のその言葉でアストレアはくしゃみをしたとかしてないとか。
「ま、そんなことより食おうぜ。結構早いからこれだけ食わねえと夜までもたないからな」
「うん♪」
秋山とカオスは食事を取った。
食事を終え、二人は会場へと戻った。
「盗られてないね」
「盗られないって…だってそれ俺以外が持ったら1トンくらいの重さだもん」
「え?」
カオスが少し疑って秋山の置いてあった上着を持とうとする。
「あ、ホントだ。少し重いね」
カオスは重いと言いつつも片手で秋山の上着を持っている。
カオスは見た目は幼くてもエンジェロイド。しかも後期型のためかパワーもある。
「ま、そんなわけだ」
秋山はカオスから上着を取り、上着を着た。
「それはそうとまだ来て……いや、ようやく来始めたようだな」
秋山が後ろを向くと、そこに子供連れの大人が何人かやって来た。
「それじゃあ俺達も待つとするか」
「うん♪」
こうして秋山とカオスはヒーローショーが始まるまで場所取りした場所で待っていた。
ヒーローショーが後3分で始まろうとした時であった。
会場にアナウンス放送が入った。
「お客様にご連絡します。13時から6階KD会場にて『破面ライダーキングズ』のヒーローショーを開催します。
また7階HT会場で来週発売予定のゲーム『キャーベルVSコプコン3』の先行販売を始めます」
「何!?」
秋山は突如と立ち上がる。
「秋山お兄ちゃん、どうしたの?」
「『キャーベルVSコプコン3』……俺が欲しいゲームだ」
秋山は根っからのゲーマー。それは闇の魂が付くずっと前からのものであった。
そして先ほどアナウンスされた『キャーベルVSコプコン3』とはこの世界に存在する格闘ゲームで、秋山が好きなシリーズであった。
「まさか先行販売をするとは……カオス、悪い!」
秋山が両手を合わせてカオスに謝る。
「ちょっと俺、ゲーム買いに行ってくる。お前はここでヒーローショー見ていてくれ」
「分かった」
「可能な限り早く戻ってくるからな」
そう言って秋山はヒーローショー会場からゲーム販売会場へと移動した。
もっとも秋山はそんなことをしなくてもこう言ったゲームを買うなど、その世界においてかなり些細なことなら時止めだけでなく時戻しで会場まで行くことは可能である。
しかし秋山はそんな卑怯な事はしたくないとのことでしないのだ。
秋山が出て行ってすぐにヒーローショーが始まった。
「みんなーーーーー、こんにちはーーーーーー」
最初に出てきたのは定番の司会のお姉さんであった。
『こんにちはーーーーーーーー!!』
子供達は元気よく答える。カオスもその子供達に混じって答えた。
「元気がいいね。お姉さんも元気出てきたよー。これから破面ライダーキングズが来るんだけど、もっと元気が欲しいって言ってたんだよね~」
「ふふふふ…」
すると突如と不気味な声が聞こえてくる。
その声がやむと舞台裏から破面ライダーキングズが戦っている敵組織『デトリアス』の戦闘員8名とヒーローショー限定の怪人、鮫怪人のザンバーが出てきた。
「ふふふ、破面ライダーキングズが来るだと? だったらここを悲しみ一色に染めてやるわ」
ザンバーが子供達を脅かすように喋る。
「みんなーーーー、大変だよ! デトリアスの怪人がやってきたよ! 皆! 破面ライダーキングズを呼ぼう! せーーーーーの!」
『破面ライダーーーーーーーーー!! キングズーーーーーーー!!』
子供達の大きな声を聞きつけたかのように舞台裏から破面ライダーキングズがやって来た。
「皆、待たせたね」
破面ライダーキングズが子供達に挨拶をする。
「まさかこんなところにもデトリアスの手がのびるなんて……、俺が倒してやる!」
「そうはいくか、破面ライダーキングズ。やってしまえ!」
「キーーーーッ!!」
ザンバーの命令に従い、戦闘員達が破面ライダーキングズを襲う。
しかし破面ライダーキングズは巧みな動きで襲い掛かってくる戦闘員達を倒していく。
「どうした? こんなものか?」
「くそ……」
ザンバーと残った戦闘員は後ずさりをする。
そんな中でザンバーは会場に来ている子供達を見る。
「こうなったら……お前達、子供達を人質に取れ!」
「キーーーーーッ!!」
残った戦闘員達が会場に来ていた子供達を連れて行く。
「キーーーーッ!」
「?」
戦闘員の一人がカオスを連れてってしまう。
「くそ! 卑怯な!」
「お前を倒すためならこれくらいするぜ!」
子供達を人質に取られてしまい、手も足も出せない破面ライダーキングズ。
その破面ライダーキングズを殴り倒すザンバー。
「ああ! キングズが危ない!」
司会のお姉さんは心配する。
「大丈夫だよ」
その言葉を発したのは人質になっていたカオスであった。
「私がどうにかするね」
「へ?」
カオスは自分の腕を握っていた戦闘員を上に投げ飛ばす!
戦闘員は天井を突き破り、上の階まで飛んでってしまった。
その上の階はというと……。
「ありがとうございます!」
そんな時、秋山はゲームを買うことに成功した。
「さてと……早く戻ってやらねえと……」
秋山がそう思っていた時であった。
突如と秋山の目の前の床が突然何かが飛んで来て、穴を開けたのだ。
「な、なんだ?」
会場にいた他の客がざわめく。
「これって…」
「確か、今やってる破面ライダーの戦闘員だよな?」
現れたのは破面ライダーキングズの敵組織の戦闘員。
そう秋山のいた会場はちょうどヒーローショーをしている会場の真上であったのだ。
「でも何で……」
「……まさか!」
秋山がもしやと思い、開いた穴から下を覗き込む。
秋山が見たもの、それはカオスのとんでもないパワーに会場全体が呆然と立ち尽くした状態であった。
「って、カオス、何してんの!?」
秋山は急いで下へ行こうとすると……。
「あ、待てよ……こうするか」
カオスのパワーを見た全員がそのパワーに唖然とする。
「ねえ、怪人さん」
「は、はい!」
「私が相手になってもいいよ♪」
カオスはどこか楽しそうな顔をしてザンバーに襲い掛かろうとしていた。
そんな時であった。
「そうはいかんな」
カオスの上から突然声が聞こえてくる。
カオスが空けた穴から何かが降りてきた。
その何かとは怪人ではあるが、着ぐるみではなく本当の怪人のようなものであった。
その怪人は鬼と悪魔を複合したような禍々しい姿だった。
「何だあれ?」
「俺の名は鬼怪人、デオモン」
デオモンと名乗った怪人がザンバーの側に近づく。
「今のうちに逃げてください」
デオモンはザンバーに逃げるように勧める。
「しかし…」
「今のあの子は何するか分かりませんから、とにかく逃げて。俺があの子抑えますから…」
デオモンはザンバーを説得する。
「分かりました。こうなったら一時退却だ!」
「キーーーーッ!」
ザンバーと戦闘員達は舞台裏に帰っていった。
するとデオモンは破面ライダーキングズの方にも近づいた。
「あなたも逃げてください」
「そうさせてもらいます」
「後、俺が合図したら俺を攻撃してください。思いっきりでいいですよ。一応、破面ライダーキングズのヒーローショーですし……」
「分かりました。くっ! 俺も一時撤退しよう」
破面ライダーキングズも舞台裏へと逃げていった。
そして舞台裏ではスーツアクター達がスーツを脱いで驚いていた。
「なんだ、あの子とあの怪人は…」
「こんなの脚本にないぞ」
「でもこうなった以上あの怪人にかけてみるしか……」
ヒーローショーはいつの間にか「カオスVSデオモン」に変わっていた。
「ふ、よくも俺の仲間をやってくれたな。許しては置けんぞ!」
デオモンがカオスを指さす。
「大丈夫、こっちも許す気ないから」
「言うではないか」
デオモンは先制攻撃とばかりにダッシュでカオスに駆け寄り、左の拳を振るう!
デオモンの拳をカオスは素手で受け止める。その時に衝撃が走り、カオスのいる床に亀裂が生じる。
(あれ? このパンチ……)
カオスは受け止めたパンチに覚えがあった。
「(ひょっとして……)秋山お兄ちゃん?」
カオスが小声でデオモンに尋ねた。
「そうだよ、俺だよ」
デオモンが自分が秋山だと答えた。
「ゲームを買った直後にお前が投げ飛ばした戦闘員見て、お前を止めるためにわざわざ変身したんだぞ」
秋山のこれは変身である。しかしこれはいつものとは違う。
秋山は現在真モードという長い白髪の状態になっている。言うなれば変身であるが、秋山自身は変身ではなくパワーアップと認識している。
ちなみに真モードには自然発動と強制発動の二種類あり、一時は強制発動をしたが、すぐに解除され、自然発動となってこの世界での秋山の基本状態になっている。
それとは全く別にフォームという付属強化があるが、今行っている怪人への変身はそのフォームにも属さない。
言うなればお遊びで姿を変えているだけである。
「とにかくだ……俺もお前もこうなった以上、簡単には引き下がれん。
だから少しやりあうぞ。っても回りに完全に無関係な人が多くいるから互いに手加減してだけどな。
そしてお前のピンチにあの破面ライダーキングズが俺に勝つというシナリオだ。
いいな? それと羽は使うな。色々めんどくさいからな」
「分かった」
カオスも秋山の言う事を了承した。
そして秋山の変身しているデオモンは会話を終えた直後に空いていた右足でカオスを攻撃しようとする。
カオスはその攻撃をすさかずジャンプで避ける。
カオスは避けたと同時にまだ掴んでいたデオモンの拳を利用してデオモンを床に投げ飛ばそうとする。
しかしデオモンはまだ空いていた右腕でカオスの腕を掴む。
「うぉおおおおお!!」
デオモンはカオスを床に叩きつけるように投げた。
「どぉりゃあああ!」
デオモンはそのまま倒れているカオスの体目掛けて拳を振り下ろす!
カオスは横に転がる事でデオモンの拳から身を守った。
「うふふふふ」
「ふふふふ」
二人は笑う。
二人は少し笑いながら拳と拳をぶつけ合う。
その拳のラッシュにより空気が振動する。
もう一度言っておくが、二人はこれでも手加減している。
二人の拳が何度目かの激突をした瞬間。
「どぅりゃ!」
デオモンはお留守になっていたカオスの足を払い、カオスをこけさせた。
「きゃっ」
「ふぁ!」
デオモンはカオスに馬乗りになるような形になる。
傍から見たら(色んな意味で)かなり危ない光景であった。
「これでトドメだ…」
デオモンがそう言うと…。
「キングズキック!」
舞台裏から現れた破面ライダーキングズのキックで吹き飛ばされる。
「どわぁあああああああ!!」
何故破面ライダーキングズがこのタイミング出来たのかというと、実は秋山はカオスと拳を打ち合っている中で、いつの間にか書いてあった紙を舞台裏まで投げ飛ばしたのだ。
書かれていた内容は「俺があの子に馬乗りの状態になったらキックしてください」。
そのメモどおりに動いたのだ。
デオモンは派手に吹き飛び、転がる。
「おのれ……覚えてろ!」
デオモンはそのまま何処かへと逃げていった。
「ありがとう、破面ライダーキングズ」
カオスが助けてくれたお礼を言う。
「皆、ザンバーの方も倒したから安心してくれ」
「皆、破面ライダーキングズにお礼を言おう」
司会のお姉さんがいつもの調子で言う。
『ありがとう、破面ライダーキングズ!』
「それじゃあ!」
破面ライダーキングズは舞台裏へと去っていった。
「それじゃあね」
カオスも舞台から降りて会場を去っていった。
カオスが会場を出ると変身を解いた秋山がいた。
「よ」
「ごめんね、秋山お兄ちゃん」
「いいって事だ。手加減していたとはいえ、馬乗りされるとは思ってなかっただろ? 俺こそ、悪かったな」
「ううん」
カオスが顔を横に振った。
「っても思ったより楽しかったってのは確かだな。お前はどうだ?」
「私も♪」
「そうか…」
こうして秋山とカオスは何事もなかったかのようにデパートを後にしていった。
「そういえば…」
「うん?」
「秋山お兄ちゃんの変身、アストレアお姉様だったら…」
「確実にばれてないだろうな」
そんな話でまたアストレアがくしゃみをしたとかしてないとか……。
そして二人は智樹の家へと戻った。
「あんた達、なんでそんなに汚れてるのよ?」
カオスと秋山は暴れていたために服などが汚れている。
その事をニンフに指摘される。
「色々あったんだよ、色々とな」
秋山は不適な笑みを浮かべるのであった。
おまけ
作者「久しぶりのカオス主役のネタだ」
一刀「よく思いついたな」
作者「カオスに関するネタとしてはかなり限定されてると思ってな。ヒーローショーネタはそれで思いついた」
一刀「それで別の漫画作品ってイカのやつか?」
作者「そうだな。
しかし次書くときはカオスの大人版が出れるようにしたいな。
俺、カオスは子供版より大人版の方が好きだし…」
一刀「それは構わねえけど、どうやる気だ?」
作者「まだ思いついていない。
後な、秋山が本編で買ったゲームの元ネタは俺がどのくらいか前の作品のおまけで書いてあるからそれを参照にしてくれ。
それとデオモンというのは悪魔=デーモンと鬼=オニオンを合わせた名前だ。
ついでなことを言うと、最近というには少し前だな。
RPGツクールのゲームで、とあるゲームを個人的改造して追加キャラ作ってるんだよな」
一刀「一から作らんのか」
作者「すごく時間掛かる。それにキャラの戦闘アニメとか追加イベント作るだけでも苦労するんだぞ。それでその追加キャラとしてカオスやイカロスも出すんだよな」
一刀「へぇ~」
作者「まあイカロスとカオスはアニメ2期最終回後の設定で登場するんだけど、とある事情でカオスが第11話の時の悪の状態になるんだよな。
それをそらのおとしものとは全く無関係のキャラを交えてイベントするんだよな」
一刀「例えば?」
作者「キャラだけを言えば、ゼロ(ロックマンXシリーズ)と仮面ライダースカルと仮面ライダーディエンドだな」
一刀「多いな」
作者「まあカオスのいるステージはゼロを仲間にしないといけないようにしている。スカルはイベント終盤で色々ある。それこそ前に言ったような感じで…。ディエンドはおまけだな。
その話はまた今度でも…。
それでは!」
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この作品はアニメ「そらのおとしものf」の最終回後を二次創作で考えたものです。
そのため映画に出てくるであろう要素は一切入りません。
原作キャラクターの性格や口調が一部変わっていたりするかもしれませんが、その事はご了承下さい。
またこの小説には作者の分身とも言えるオリジナルキャラクター(秋山総司郎)も出てきます。
今回の話の一部は別の漫画作品を参考にしたものがあります。