No.207399

新訳・恋姫†無双 01

neoさん

はじめまして。
neoといいます。

この作品は処女作となります。

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2011-03-21 15:17:42 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:2680   閲覧ユーザー数:2372

 

 風が頬を撫でる。

 なんて、格好をつけた表現が似合う状況ではなく。

 風が体に叩きつけられる。

 といった表現が似合う。そんな状況。

 

 なんて言っても状況を理解してもらうのは難しいだろう。

 

 俺は今、ほとんど人気の無い高級船舶から、「爆弾」を抱えて飛び降りている真っ最中だ。使われている火薬はTNT。……まぁ、いわゆる軍用爆弾で。コレが爆発したら俺は跡形も無く吹き飛ぶに違いない。

 

 ほら。海面が近付いてきた。

 

 ドッボンッ!!!

 

 そんな音を立てて、俺の体は海の中に落ちていく。

 海面に叩きつけられた痛みが体に、海の青さが視界いっぱいに広がる。

 

 そして。

 

 

 ズガン!!!!!!!!!!

 

 

 感じた痛みは一瞬で。感じた眩しさも一瞬だった。

 僕の意識は暗黒の淵へと沈む。

 もう、何も見えない。何も分からない。

 これですべてが終わる。

 心に浮かんだのは安堵だったのだろうか。

 

 最期に思い出したのは、最愛の妹の顔か、それとも爆弾をしかけた敵の顔か。それすらもわからなかった。

 

 ドタドタ

 

 そんな誰かの足音で目が覚めた。

 

 いや、夢落ちではなくてね。

 

 死んで、何故かここにいて、気が付いたらもう小学生くらいで。

 何言ってるかわからないかも知れないけど、コレが俺の認識。

 

「お生まれになりましたぞー!!!! 姫君がお生まれになりましたぞー!!!」

 

 生まれたのは女らしい。

 思わず溜息をつく。

 この世界はわけがわからない。

 

 「姉」である「孫策」。「双子の姉」である「孫権」。

 

 まぁ、とっくの昔に考える事は放棄したのだけどね。 

 

 ドタドタドタドタ

 

 足音が近づいてくる。

 率直に言おう。うるさい。俺は別に構わないけど、蓮華が起きるじゃねーか。考えろよ。ッつーか母さんは励みすぎじゃないだろうか?

 三人も子供がいるのに。

 

「蓮音! 蓮華! 起きてる!?」

 

 ガタン!

 

 と、大きな音を立てて扉は開かれ、入って来たのは、姉である孫策。真名――――名前以外につける物でとても大切な物と教えられた――――を雪蓮。

 正確な年齢はわからないけど、俺を5歳としたら10歳くらいだろうか。いや、もうちょっと上かな?

 ピンクの髪と口元のほくろ、それに年の割には成長した胸が特徴的な人だ。

 

「俺は起きてるけど……蓮華はまだ寝てるから」

 

 そう言って俺は蓮華……ピンクの髪に碧眼の少女を指差す。

 

「そう……そんなことより生まれたのよ!」

 

「うん。知ってる」

 

「反応薄くないかしら?」

 

 早くも人生に疲れてるからね。

 心の中でそう返す。

 

「赤ちゃん見ても面白くないよ」

 

「そう? そんな事ないと思うけどなぁ」

 

 人それぞれだよ。

 そう。人それぞれ。

 この世界が三国志の世界だと信じるのも信じないのも、人それぞれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 妹の名前は孫尚香で真名は小蓮だそうだ。

 

 小蓮が生まれて7年。12歳。

 この時代ならもうすぐ成人といったところ。

 と、まぁ、そんなわけで。(何がそんなわけなのか、わからないけど)

 俺の賊討伐以外の始めての従軍が昨日決定、今日出発となったそんな日の朝。

 

 ゆさゆさ

 

 と、誰かが俺をゆする。

 まぁ、見なくても分かるけど。

 

「起きてください、蓮音様」

「起きてるよ。起きてるけど、起こしにこなかったから、起き上がらなかっただけ」

「むぅ……なんでそんな意地悪な事言うんですか」

 

 ……意地悪だろうか?

 いや、そんなことはない。というか、ややこしい言い方なだけで、普通だし。

 

「起きるから……ゆするの止めて」

 

 いつまでゆすってる気だよ、まったく。

 

「あ、ああ、あああああ! ごめんなさい!」

「うるさい。わめくな」

「ごめんなさい……」

 慌てたと思ったら、シュンとなる。

 こういう、感情の起伏が激しい奴は苦手だ。前世からずっと。

 なんでかな、感情移入をしてしまいそうになるから……とかかな?

 なんて、そんなハズないけど。

 

 バッ

 

 と、起き上がり、少女の方を向く。

 肩まで伸びた金髪のセミロングをそのままに。眼はパッチリで鼻と口は小さめ、眉は整っていて、体は同世代の少女と比べると小柄なほう……だと思う。

 んで、まぁ、名前は凌統。真名を愛梨。

 俺のお付きというか、従者というか。そんな立ち位置の娘だ。

 

「おはよう、愛梨」

「え、あ、はいおはようございます」

 

 朝食を手早く済ませ、身支度を整えて、兵舎へ向かう途中。

 

「……なに?」

「お兄様、行っちゃやなのぉ!」

 

 やなのぉって、言われてもな。

 

「何でやなのぉ、なんだよ?」

「うぅぅぅ、だってだってやなのぉ!」

 

 要領を得ない。だから、子供は好きじゃないんだ。

 妹だから許すけど。

 

「いいかげん、服を離してくれないか、小蓮?」

「やだやだやだ!」

「小蓮。蓮音が困っているでしょう?」

 

 蓮華登場。

 

「蓮華」

「やだぁ!!」

 

 はぁ。

 

 と、思わず溜息を吐く。

 子供をあやした事なんてないから、扱い方が分からない。

 

「もう一回聞くけど、なんで嫌なんだ」

「だって、だって! やなんだもん!」

「あのなぁ、小蓮。怒るぞ?」

「やだやだ!!!」

「蓮音も。そんな顔しないの。お兄ちゃんでしょう」

 

 と、蓮華が言う。

 お前は俺の母親か。ガキを宥めるような言い方をするな。

 

「あ、あの蓮音様。小蓮様は私が宥めておきますから」

 

 ……いたんだね、愛梨。

 

「ん、まかせる」

 

 と、だけ答え、歩き出す。

 

「蓮音。気をつけて」「お気をつけて」

 

 二人の声に、軽く片手を上げて返した。

 

 江夏。黄祖。逃走。追撃。違和感。

 要約するとこんなところだろうか。

 まぁ、つまり、江夏に陣を張っていた、黄祖を襲撃。黄祖は応戦してきたが、俺と母さんの軍の挟み撃ちで、あえなく逃走。そして俺と母さんはさらに追撃をかけた。

 というわけ。

 

 ここまでは良かった。

 だけど。深く深く追撃するにつれて違和感は深まっていく。

 何度も伏兵の可能性を考えたが、斥候の情報ではいないとの事。

 ならば斥候が裏切っている可能性も考えたが、黄祖と孫堅。どちらに使えたほうが後々得なのかは猿でもわかる……と思う。

 

 なら、なんだ?

 

 爆弾?

 そんなわけあるか。

 

 自分の考えを自分で否定する。

 

 横目でチラリと母さんを見るが、違和感を感じている様子は無い。

 

 でも。

 その姿はまるで。

 死神に誘われているかのような――。

 

 ふと、俺の視線に気づいたのか、母さんがコチラを見る。

 

「どうしたの? 蓮音」

「別に……」

 

 ぞんな短い言葉を交わした瞬間だった。

 

 

 ドドドドドドド!!!!

 

 

 突然、土砂が俺たちを飲み込んだ。

「うわぁ!!」

 

 自分が出した大声で眼が覚めた。

 

 視界に入ってくる、俺の知らない天井。壁。風景。匂い。

 

 「ああ、夢じゃなかった……」

 

 そう呟く。

 

 「この世界」に来てから何度夢であることを願っただろう。今日寝て、明日起きたら夢だと、何度信じただろう。目が覚めたら、最愛の妹が俺の顔をのぞきこんでいる、そんな状況を何度思い描いただろう。

 夢であれと思いながら。

 この世界で生きることを認めていた。

 前世を恋しく思いながら、今を愛しく思っていた。

 それが。

 それがいけなかった。

 どちらかを捨て切れなかった……。

 だから母さんは……。

 

「クソったれ……。ああ、畜生。何だってんだよッ!」

 

 自分が吐きだした声は、驚くほど掠れていて。

 流されたときに怪我をしたのか、左の脇腹が僅かに痛んだ。

 

「なんや元気そうやん」「よく見たら結構イケメンなのぉ~」

「こらお前たち。見世物じゃないぞ」

 

 ッ!?

 

 気がつくと、扉の外に三人の女の子がいた。

 

 この距離で気付かなかったとは……ね。

 

「ウチは李典。んでこっちが于禁と楽進や」

「……俺は孫翊。字は叔弼」

 

「孫翊……聞いたことあるような……」

 

 聞いたことあるようなって……俺の名前は結構通ってるぞ?

 まぁいいけど。

 

「なんでもええやん! 村長さんとこ案内するからついてきぃ」

 

 そう言って、ビキニっぽい服に身を包んだ関西弁少女が俺の手をひっぱる。

 

「痛い痛い!」

 

 傷口が!

 ってアレ?

 今更ながら、手当されている。包帯巻かれてるし。

 

「あ~ごめんごめん。……動けへんとなると……凪が担ぐしかないなぁ」

「いや、動けるから」

 

 君の引っ張り方が悪かっただけで。

 

「案内してくれればいい」

 

 そう言って、そっと立ち上がり、体を確認。

 

 

 そしてゆっくりと一歩目を踏み出した――。

 

~あとがき~

 

えっと……ここまで読んでくださってありがとうございます。

 

何となくで書いた作品なので、伝わりにくかったり、自己満足になってたりするところがあったと思います。

 

すいません<m(__)m>

 

 

続くかどうかわかりませんが、これからもよろしくお願いします(@_@;)

 

 
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