「喜び」
一刀SIDE
「記憶喪失?」
「そう。崖に落ちた時にね」
店で正体を明かした俺は、華琳に連れられてそのまま玉座に来ていた。
玉座に付いたとたんに華琳から今まで何していたのか聞かれたので、とりあえず崖から落ちたせいで記憶喪失になったことから話した。
「それで、いつ記憶が戻ったの?」
「え~~~と・・・三、四年前だったかな」
「なら、なんで記憶が戻った時に帰ってこなかったの?」
「その時は、俺は別の名前で仕事していたし。その仕事が終わるまで帰れそうになかったから」
「それだったら、どうして手紙の一つくらい送ってきてくれなかったの?母様は・・母様は・・兄さんを討伐に行かした事を悔やんで、死ぬ直前まで兄さんの鞘にごめんなさいといい続けて・・・」
華琳はそれ以上言わなかった。いや、言えなかった。しかし、あの時の俺は家族にも言えない事をしていていたから、ただ謝るしかなかった。
「ごめん」
「謝るのは私じゃなく母様に謝って」
「それもだけど、今は華琳に謝るよ。ごめん」
「私に謝るのなら、これからずっと私の傍にいて。私の傍から離れないで。私をもう一人にしないで・・・」
「華琳」
俺は華琳をそっと抱きしめた。
「約束して兄さん。もう私の前からいなくならないと」
「あぁ、約束するよ」
「なら、今回だけは許したてあげる」
「ありがとう。華琳」
言い終わると俺は華琳の頭を優しく撫でた。今まで出来なかったぶんの気持ちを込めて。
「・・・一刀。いつまで曹操の頭を撫でているんだ」
「そうですよ。私だってそんなに長く撫でてもらったこの無いのに」
「あのな~~。久しぶりの家族との再会をじゃまする奴がいるか普通」
「それじゃ一刀は、おじさんや奏を散々傷者にしたくせに家族じゃないと?」
「そんな!!私信じていたのに」
「おい!!お前ら何言っているんだ」
「兄さん。それはどうゆうことですか?」
「一刀様?」
「違うんだ・・って、なんで秋蘭まで怒るんだ」
花蘭と奏の事を聞いて華琳となぜか秋蘭の後ろから黒いオーラが出ていた。俺はなんとか二人をなだめた。
「それじゃ、兄さんの帰国祝いの宴をやるわよ。秋蘭、料理をお願い」
「はっ」
「春蘭は今から街に行ってお酒を買って来て頂戴」
「はい」
「花蘭。君も料理を手伝ってきてあげて」
「え~~~。どうしておじさんが、一刀が作ってよ」
「どうして俺の宴に出す料理を俺が作らないといけないんだ?」
「だって、一刀の料理はおいしいから。な!!奏」
「そこでどうして私に振るのか分からないけど。一刀様の料理は私も・・・好きですし、本当の事言うと・・・・・」
奏の声が段々小さくなっていくので、俺が近くまで寄っていくと
「キャァッ!!」
驚かれてしまった。その様子を見ながら花蘭はニアニアと笑っている。
「花~~~蘭~~~~」
「アハハ。ごめん、ごめん。けど、奏も悪いんだからね。『私も一刀様の料理は好きです』だけを言えばいいのに、その先を言おうとするから」
「うぅ~~~~~」
花蘭にからかわれて奏は目に涙を浮かべてきた。俺は奏の肩に手を置き無理やり奏を引き付けた。
「か、一刀様!!」
「そこまで。花蘭もこれ以上奏をからかわない」
「は~~~~い」
「奏も、少しからかわれた位で泣かない。綺麗な顔が台無しだよ」
「は、はい!!」
俺が親指で涙を拭いてやると咲は笑顔になった。
「現金な奴」
「花蘭。うるさい」
「フン」
奏の反応に花蘭をやきもちを焼いたのかそのまま後ろを向いた。
はぁ~~~。仕方が無いな。しかし、どうしてこの二人は俺がする行動一つで、こうまで気持ちが変わるんだ。
俺は奏から離れるとそのまま花蘭の抱き口を耳元までもって行った。
「!?」
「花蘭もやきもち焼かないの。宴の料理は俺も手伝うから」
「か、一刀がそういうのならもういいよ」
「ありがとう。・・・花蘭が『俺の料理を好き」って、言ってくれたことはうれしかったよ』
「~~~~~~~」
「兄さん(一刀様)」
「「!?」」
嫌な予感が・・・
俺が振りむこくと、そこには覇王と臣下が己の武器を持って待機していた。
「会わない間に随分と女たらしになりましたね」
「アッハハハ。ごめんね」
「兄~~~さ~~ん(一刀様~~~)」
「ごめんなさ~~~い」
「「待ちなさ~~い」」
その後、俺は約一刻ほどの間華琳と秋蘭に追い掛け回された。
華琳SIDE
宴に出るために私は新しい服に着替える為に自分の部屋に戻った。
まさか兄さんがあんな女たらしになって帰ってくるなんて予想だにしなかった。そのおかげで彼女達のことを聞きそびれてしまうし、全身汗まみれになるし・・・・そういえば、兄さんは私と秋蘭の攻撃をかわしながら走っていたのに汗一つかいていなかったわね。これは後で追求かしら。フフ、楽しみがまた一つ増えたわ。
私は笑みを出しながら着替え終わると、大広間へ向った。
「扉を開けなさい」
「はい。曹操様」
兵士に扉を掛けさせて中に入ると。そこには、とても豪華な料理が並べられていた。
「あ、あの・・・・・」
「あ!!華琳。・・・うん。服に合っているよ」
「あ、ありがとう、兄さん。それで、この料理は?」
「あ~~~。久しぶりに料理したからつい、張り切っちゃった」
兄さんが少し下を見せて笑った。
「似合って無いわよ。その笑顔」
「俺も、そう思う」
「アッハハハハハ・・・」
兄さんがそう言うと、私は笑ってしまった。兄さんも連れて笑ってくれて、久しぶりに二人揃って笑った。
「それじゃ、兄さんが無事帰ってきたことに感謝して。乾杯」
「「「「乾杯」」」」」
私の言葉の後、皆がいっせいに盃を挙げた。
「ク~~~~~。酒も上手いし。料理も一刀が作ってくれたから、これは太るなおじさんは」
「花蘭。あなたおじさんになっているよ」
「だって、こんなに美味しい料理があったら誰だって食べ過ぎるって」
「・・・おいしい」
兄さんが連れてきた三人は料理とお酒を美味しそうに飲み食いしている。正直言って兄さんの料理がこんなにも美味しいとは思ってもいなかった。
「どうかな、華琳?お口に合う?」
「え!えぇ。とてもおいしいわ」
「それは良かった。華琳が『不味い』て、言ったら俺へこむからな」
「何を言っているの。兄さんの初めての料理を不味いなんて言わないわ」
「ありがとう、華琳」
その時の、兄さんの微笑みは昔と変わらない私の好きな微笑だった。
しかし私はまだ知らなかった。兄さんが十三年間何所で何をしていたのか。それが今後の私達に大きく影響をもたらしたことを
第四話 完
「第四話終了。地震怖かったですね。私のバイト先でも少し揺れてバイトが一時ストップしましたよ」
「災害は何時起こるかわからないからそれなりに準備は必要ね、兄さん」
「そうだな。被害にあった人は頑張って生きてください。亡くなった人にご冥福を申し上げます」
「それでは皆さん、また会う日まで。BY」
「バイ」
「バイ」
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とうとう家に帰って来た一刀。しかし一刀が連れてきた花蘭達に嫉妬する華琳。一刀はこれまで何をしていたのだろうか