No.205408

真・恋姫†無双 ー紅白の天ー 拠点3 ジェネシス編

黒山羊さん

今回はジェネシス編。この人の拠点書くのムズイ。
一輪車で富士山登るぐらいムズイと思う。
読者のみなさん長らくお待たせしました。

やばい。星が電波ってる。

続きを表示

2011-03-06 23:54:53 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:2947   閲覧ユーザー数:2593

   

 

   この物語は真・恋姫†無双という外史に、

   別作品から1人ある人が来たいう設定です。

   作者である私、黒山羊が原作を何度も読み返し、

   登場人物を原作通りにしたつもりです。

   ですが、解釈が幾らでも可能であるように、登場人物が皆様のご期待にそえるかどうかはわかりません。

   また、作者は関西人なので、気をつけているつもりですが、

   セリフが関西弁臭くなってしまうかもしれません。

   あらかじめご了承ください。

   読者の皆様が楽しめたら幸いです

 

 

 

 

ジェネシス×愛紗

 

「嫌いな理由減少傾向」

 

視点:愛紗

 

私はありえない光景を見ている。

この光景がどれぐらいあり得ないかと言うと、ご主人様が「愛紗。ちゃんと仕事しなさい。やる気あるのですか?仕事の効率が悪いですね。」と私に説教するぐらいあり得ない光景だった。

 

その光景を具体的に説明するとこうだ。

ジェネシス殿が筆を持って、書簡に何か書きこんでいる。

ただそれだけ。それだけなのだが、

 

私は剣と本と食器以外を持っているジェネシス殿を見たことが無い。

義勇軍結成前からこの人と行動を共にしているし、最近は暇を見つけてはこの人を観察している。

観察する理由は、私はこの人が嫌いだからだ。嫌いな理由はそう、この人が妖であることだ。

妖術使いや妖はこれまで、様々な形で国を乱し、国を滅ぼしてきたという。私以外は信用して真名を預けたようだが、私は信用できない。しかも、信用できないと言い、敵意をあらわにした私を許すと言ったのだ。幾ら前の世界が過酷だったと言っても、私に対して恨みごとの1つや2つぐらい抱くのが普通だ。

絶対に何か裏がある。そうだ。私達を油断させて何か悪事を働くはずだ。だから、私はこの人を監視しなければならない。

そのため、以前この人を知ろうとした目的と今この人を監視している目的は正反対である。

今日は非番のため午前中はこの人の監視をしようと思ったわけだ。

そしたら、この状況に遭遇したわけだ…

それより、ご主人様と桃香様はどこに行かれたのだろう。

 

愛紗

「ジェネシス殿、ご主人様と桃香様はどちらに行かれたか御存じか?」

 

ジェネシス

「1刻前に厨房に行った。そろそろ帰ってくるはずだ。城の外に出ていないようだしな。」

 

愛紗

「そうですか。」

 

そう言えば、もう昼時。おそらく昼食だろう。ご主人様も桃香様も昼食の時は一声かけて欲しいものだ。

私だってご主人様と昼食食べたかった。

そして、ジェネシス殿が何をしているのか気になったので聞いてみた。

 

愛紗

「ジェネシス殿は何をなさっているのですか?」

 

ジェネシス

「『LOVELESS』をこの国の言葉に翻訳している。これを翻訳して売れば、俺の財布は潤う。」

 

何だ…。政務をしている訳ではないのだな。納得だ。この人が政務をするはずが無い。

いつも、剣を振っているか、寝るか、何処か行っているか、酒を飲んでいるか、『らぶれす』を読んでいるかのどれかだ。

仕事をしているところを見たことが無い。

 

『らぶれす』の本を以前読ませて貰ったことがあるが、文字が読めなかった。

確かに、『らぶれす』の内容は面白い。そのため翻訳して売れば、それなりの金になるだろう。

 

愛紗

「翻訳した本は国庫を潤すために売らせてもらいますので、お金が欲しければ、仕事をしてください。」

 

そうだ。私が桃香様に言って、仕事をしないジェネシス殿の減給をしてもらったのだ。確かご主人様の世界では「働かざる者食うべからず」と言うらしい。

 

ジェネシス

「安心しろ。LOVELESSの翻訳は俺の副業として桃香の了解も得た。雛里が本屋とも交渉してくれた。後は翻訳して売るだけだ。」

 

愛紗

「……。」

 

正直腹が立った!この人に怒りをぶつけても構わないだろうか?

今なら許されるはず、だが、今ここで暴れれば、竹簡や書簡に損害を与えてしまうことは必至だ。それに、この人に怒りをぶつけても、我が青龍偃月刀を簡単に避けてしまう。避けられるとさらに腹が立つし、疲れるだけだ。

仕事はしない。自分の私腹を肥やすためにしか動いていない。そんなこの人がなぜ平和を願っているのだろう?

 

 

 

 

執務室の扉が開いた。

 

桃香

「愛紗ちゃんどうしたの?今日は非番のはずだよね。もしかして、火急の案件でも発生した?」

 

一刀

「マジで?これ以上政務増えないでくれよ。」

 

愛紗

「いえ、ただ、暇だったので、ちょっと桃香様やご主人様の様子を見に……。」

 

一刀

「俺ら信用されていないよ。俺たちだってやるときはやるのに。桃香。」

 

桃香

「そうだね。信用されていないね。ご主人様。この間はご主人様の世界の経済学を勉強して、その知識、需要と供給の知識を活かそうと頑張ってたのにね、ご主人様。」

 

愛紗

「先月の政務からの脱走回数が20回と12回の人が何をおっしゃいますか。」

 

一刀&桃香

「「…………。」」

 

愛紗

「まあ、後でそれについてお話しさせてもらうとして…。

ジェネシス殿に副業を許可したとは何事ですか?桃香様?」

 

桃香

「ジェネシスさんこの間北の賊退治を一人でやってくれたから、お礼に何が欲しいって聞いたら、『本を売りたい』って言ったから。」

 

そういえば、2日前に北に賊が現れたことについて軍議をしたな。その時にジェネシス殿が珍しく発言して『俺が倒せば早い』と言って、軍議直後姿を消した。ここ2日ほど見ていなかったのはそのためか。

 

愛紗

「ですが、仕事しないという罪に対する減給という罰が成り立ちません。」

 

桃香

「あの時の愛紗ちゃんの顔が怖くて言えなかったけど、仕事ならしてるよ。」

 

愛紗

「仕事をしている?」

 

桃香

「愛紗ちゃんは貧困街の警羅に行ったことある?」

 

愛紗

「……数度。」

 

最近流れ着いてこの町に来た人が増えてきたので、その人達を処理しきれずにいた。処理しきれずにいる者や賊上がりの者等が屯っている町、ご主人様は『すらむ』と言っていた。『すらむ』をこの世界の言葉にすれば、貧困街という。

治安もこの町の中では悪い方で、警羅をする者に、桃香様とご主人様の安全の為に2人を連れていかない様に言った。そして、ご主人様は以前拉致された事があるので絶対に行って欲しくなかった。

あの町の住人はいずれ仕事が与えられるため、いつかは無くなる街だ。

 

桃香

「私はこの間初めて行ったよ。」

 

愛紗

「行かれたのですか?」

 

警羅にはきつく言ったはず、何故行った?

 

桃香

「ジェネシスさんとご主人様の3人で行ってきた。その時護衛をして、貧困街を案内してくれた。」

 

愛紗

「なぁ!ジェネシス殿何を考えておられる!」

 

ジェネシス

「清き水しか知らぬ者はそれが本当に清き水なのか分からなくなることがある。

昔読んだ本に書いてあった。桃香や北郷には汚い所も知ってもらわなくてはならない。」

 

愛紗

「だが、ご主人様や桃香様が危険ことに遭遇するかもしれないのだぞ。」

 

ジェネシス

「俺が2人ぐらい守りきれないと思っていたのか?

それに、どうやってこいつらはスラムの現状を知ればいい?」

 

愛紗

「それは……。」

 

言っている事は正論だ。ご主人様や桃香にこの町の現状を正しく知ってもらうには街に行くのが効果的である。ジェネシス殿が守れば、ご主人様や桃香様は安全だろう。

この人の言っている事は正しい。そんなこの人を否定する私は正しいのだろうか?私は何も言い返せなくなった。

私は訳が分からなくなり、執務室を出て、城壁を登った。町が見える。

 

愛紗

「私はあの人を否定する資格はあるのだろうか。」

 

スタッ

 

愛紗

「!!」

 

何か音がしたと思いそちらを向けば、そこにはジェネシス殿が居た。

この城壁に登る階段は近辺に無い。この人は城壁の下から、跳んで私の横に着地したのだろう。私は驚いたが、妖の体の為、そのぐらいこの人には出来るのだろうと納得する。

ジェネシス殿は本を広げる。

 

ジェネシス

「『深淵のなぞ  それは女神の贈り物

  われらは求め  飛びたった

 

 

  彷徨いつづける心の水面に

  かすかなさざなみを立てて』

 

 

何を思い悩んでいる?」

 

愛紗

「私は妖である貴方が嫌いだ。でも先ほどの貴方の言ってた事は正しい。そんな貴方を否定する私は正しいのでしょうか?」

 

ジェネシス

「お前が正しいかだと?そんなことは知らない。」

 

愛紗

「そんな!では、何をすれば私は正しくいられるのですか?」

 

ジェネシス

「絶対的な正しさとはこの世に存在しない。だから、俺も桃香も正しいことをしているかどうかは分からない。だが、俺も桃香も正しくあろうとしている。お前はどうだ?」

 

愛紗

「私は正しくあろうとしている!」

 

ジェネシス

「ならそれでいい。

LOVELESSの翻訳が未だだったな。早くしないと締め切りに遅れる。」

 

そういうとジェネシス殿は城壁から跳び下りる。

私は彼の背中を見て思う。

彼を妖としてではなく、一人の武人として見てみようと。

彼を嫌う理由が減った。もっと彼を見れば、嫌いになる理由が減っていきそうになるような気がした。

 

 

 

 

ジェネシス×朱里&雛里

 

「お礼とお礼返しの約束」

 

視点:朱里

 

私は雛里ちゃんと料理をしています。林檎料理です。

林檎は少し、エグミがあり、酸っぱく、そんなに甘くありません。だから、私と雛里ちゃんは様々な料理を作ってみました。そして、今日作ったのが、肉まんの肉を林檎に代え、林檎を基本とし、様々な香草を入れたあんの林檎まんを作ってみました。

できあがった直後にご主人様と桃香様、鈴々ちゃんが厨房に来ました。

 

一刀

「どうしたの?朱里?雛里?これ肉まん?貰って良い?」

 

鈴々

「肉まんなのだ!」

 

桃香

「蒸したてだね。」

 

朱里

「はわわ!ご主人様それは林檎まんの試作品で成功かどうか分からないでしゅ。」

 

一刀

「林檎まん?試作品?」

 

雛里

「はい。初めてジェネシスさんに会った時、賊から助けてもらいました。これはそのお礼のつもりで作ったモノなのですが…。」

 

朱里

「はい。ジェネシスさんの好きなモノが林檎みたいだったので、林檎料理を考えていたのですが、どのようなものにしようか悩んでいて、それでこれがいいかと……。」

 

一刀

「なるほど。あの人いつも林檎かLOVELESSかどっちかだもんな。」

 

桃香

「うん。朱里ちゃんと雛里ちゃんの作った林檎まん気に入ってくれるよ。」

 

鈴々

「朱里と雛里の料理だったら、おじちゃん喜ぶのだ。」

 

私と雛里ちゃん、桃香様と鈴々ちゃんとご主人様で林檎まんを食べてみました。

ほのかに甘く、林檎の風味がする。これなら、気に入ってくれますよね。ジェネシスさん。

私達は執務室に行くが居なかったので、ジェネシスさんの部屋に行った。

私と雛里ちゃんは扉を『のっく』して、返事を聞いてから、部屋の扉を開ける。

 

朱里&雛里

「「あの、ジェネシスさん」」

 

朱里

「これ、以前賊から助けてもらったお礼でしゅ。」

 

雛里

「一生懸命作りました。食べてください!」

 

私は舌を噛んでしまった。痛い。血が出てる。

雛里ちゃんは噛まなかったみたい。雛里ちゃんはジェネシスさんの前で噛みたくないからって、ジェネシスさんの部屋に来るまでに何度も舌を噛まない様に練習してみたい。廊下でブツブツ言ってたから。

ジェネシスさんは先ほどまで執務室でやっていた『らぶれす』の翻訳が終わったようで、寝台に座って、林檎酒を飲んでいた。

つまみはメンマのようです。未だ星さんから貰ったメンマ残っていたんですか?

 

ジェネシス

「メンマにも飽きてきたところだ。」

 

ジェネシスさんは私の持ってきた林檎まんを受け取ると食べ始めました。

 

 

 

 

ジェネシス

「美味いな。」

 

朱里&雛里

「「良かった。」」

 

ジェネシス

「ああ、また作ってくれるか?」

 

朱里&雛里

「「はい!」」

 

ジェネシス

「俺にとってこの世界の『女神の贈り物』はお前たちなのかもな。」

 

朱里

「はわわ!」

 

雛里

「あわわ……//////」

 

確か、『女神の贈り物』って『らぶれす』で至福へと導くものだったはず。

 

朱里

「私達はそんな凄いものじゃないでしゅ!」

 

また、噛んでしまった。

下向いて、口開けたら、血がボタボタ落ちそう。

 

ジェネシス

「俺にとって『女神の贈り物』かどうか決めるのは俺だ。お前たちが決める事じゃない。

それに、解釈は幾らでも可能だ。」

 

雛里

「ジェネシスさんにとって前の世界の『女神の贈り物』は何だったのですか?」

 

ジェネシス

「俺の劣化を止め、俺を倒し、ソルジャーの誇りを取り戻させてくれたソルジャー、ザックスだと。」

 

ジェネシスさんが負けた!信じられなかった。

矢のように跳躍し、鳥のように飛び、馬のように疾走し、鬼神のように強いこの人が負けた!?

 

雛里

「あわわ。ジェネシスさんが負けたのでしゅか?」

 

ジェネシス

「ああ、あの時は誇りを取り戻すための戦い。だから、誇りを持たない俺と誇りを持っているアイツとでは最初から勝負に成らなかったさ。

だから、今俺がアイツと戦えば俺が勝つ。」

 

朱里

「そうですか。」

 

ジェネシスさんの口元は緩んでいた。

 

ジェネシス

「『LOVELESS』序章の翻訳と解説を書いておいたぞ。そこの机の上にある。」

 

朱里

「ありがとうございます。」

 

ジェネシス

「一度読んでみてくれ。この国の言葉を間違って書いているかもしれない。」

 

朱里&雛里

「「はい。」」

 

私と雛里ちゃんはジェネシスさんの書いた書簡を読んだ。文法は間違っていなかった。

でも、題名は『LOVELESS』のままで、名前がGenesis Rhapsodosだった。

私や雛里ちゃん、桃香様はジェネシスさんから『LOVELESS』の読み方を『らぶれす』と教えてもらい、『愛がない』という訳を教えてもらったので、知っている。

でも、このままでは民が読んだ時に、『LOVELESS』やGenesis Rhapsodosの読み方、訳し方に困ってしまうだろう。

 

雛里

「ジェネシスさん。『らぶれす』や『じぇねしす・らぷそーどす』はどう訳しましょう?」

 

ジェネシス

「『LOVELESS』は『愛が無い』と訳すべきか、『LOVELESS』のままにしておくべきかで悩んでいる。」

 

朱里

「なぜですか?」

 

ジェネシス

「そのままにしておくのは俺の個人的欲求だ。『愛が無い』と言うより、『LOVELESS』の方が、聞こえがいい。」

 

雛里

「確かに、そうです。それに『らぶれす』という方が天の国の物語という感じがします。」

 

朱里

「そうですね。では、横に振り仮名を振っておきますね。そうしないと読めませんから。」

 

私は『LOVELESS』の上に小さく『らぶれす』と書き、Genesis Rhapsodosの上に小さく『じぇねしす・らぷそーどす』と書いた。

 

朱里

「これで完成ですね。」

 

ジェネシス

「いや、未だ序章だけだ。第1章、2章、3章、4章がまだ残っている。」

 

雛里

「あわわ!章別で売るのですか?」

 

ジェネシス

「そうしないと1冊に纏めきれない。それに、最終章をどうするか悩んでいる。」

 

雛里

「最終章ですか?」

 

ジェネシス

「ああ。」

 

朱里

「確か最終章は見つかってないんですね。どうしましょう?」

 

ジェネシス

「最終章は読んだ人に考えてもらおうか。」

 

朱里

「最終章を読んだ人に任せるのですか?

では、最終章は発行しないのですか?」

 

ジェネシス

「そうだ。俺の思う最終章は本当の『LOVELESS』の最終章では無い。俺の思う最終章は所詮学説だ。」

 

朱里

「わかりました。でも、『らぶれす』はジェネシスさんの世界の本。ジェネシスさんの学説を読みたがる人もいるので、それはそれで書いてくれませんか?」

 

ジェネシス

「いいが、俺の学説を読みたい奴なんているのか?」

 

雛里

「………少なくとも、私は…読んで……ジェネシスさんを…もっと知りたいです…………。はう…………。」

 

と雛里ちゃんは私の後ろに隠れて小声で言う。

ジェネシスさんは寝台から降りると

 

ジェネシス

「わかった。少なくとも読みたい奴は1人は居るな。最終章の執筆面白そうだ。

そういえば、朱里と雛里は今度、開墾の視察に行くとか言っていたな。

本の出版を手伝ってくれた礼だ。護衛をしてやる。3人で行こう。視察の時に2人を抱えて空を飛んでやる。その方が、開墾場所全体を把握できるはずだ。

それに空は気持ちが良い。」

 

朱里

「はわわ!空を飛ぶでしゅか!?興味があります!」

 

雛里

「でも、怖くないかな?朱里ちゃん…。空って高いよ。落ちたら死んじゃうよ……」

 

ジェネシス

「そうか。雛里は俺を信用できないか…。少し…………悲しいな。」

 

そう言うと、ジェネシスさんは右腕を壁につき、壁にもたれかかり、右手で顔を隠す。

雛里ちゃんがジェネシスを見て焦り、ジェネシスさんに近づく。ジェネシスさんの服を掴むと

 

雛里

「あわわ!ジェネシスさんのこと信用してりゅきゃりゃ、りゃいりょう夫れしゅ!」

 

雛里ちゃん噛み噛みだよ。

ジェネシスさんはクスッと笑うとしゃがみ込み、雛里ちゃんを抱き上げ、素早く左腕を雛里ちゃんの太ももの下に通す。雛里ちゃんは左手で抱っこされた状態になる。

雛里ちゃんはジェネシスさんの顔を見て、目があったのか固まった。

 

ジェネシス

「朱里もやってやろうか。」

 

朱里

「はわわ!大丈夫です。」

 

ジェネシス

「そうか。まるで娘か幼い妹を抱いているようだ。

俺に兄弟は居なかったうえに、俺はあの世界で人とのかかわりを持っていなかったから新鮮な感覚だ。悪くは無いな。」

 

ジェネシスさんは嬉しそうだった。

はわわ!私達はジェネシスさんの娘か妹ですか…。

雛里ちゃんも嬉しそうだった。雛里ちゃん、ジェネシスさんの娘か妹に成りたいのかな?

 

 

 

ジェネシス×星

 

「親しき仲の結晶、メンマパフェ!」

 

視点:星

 

私はジェネシス殿を連れて東に向かって街を歩いている。

一緒に町に昼飯でもどうだと誘った瞬間、「またメンマか」と言われ一瞬カチーンと来たが、先日貰った林檎酒の礼だと言うとおとなしく付いてきた。

仕方が無いか、ジェネシス殿が好きなモノは馬鹿リンゴ。

 

ジェネシス

「で、メンマの園ってのはメンマまみれなのか?」

 

「おや?ジェネシス殿は行き先を御存知でしたか。」

 

ジェネシス

「ああ、北郷が星に連れられて東に向かったときはメンマ警報だと言っていたからな。」

 

主、後で話をしましょうか。メンマ警報とはいかなるものか。

 

「なら話は早い。先日渡した『甘味メンマ』で新たな料理を開発して下されと頼みましたが、その成果を見せていただきたい。」

 

ジェネシス

「いいだろう…」

 

ジェネシス殿と私はメンマの園に着いた。

 

メンマの園の店主

「らっしゃい!趙雲さん! おや?そちらの方は?武の御遣い様…?」

 

店主は驚いているようだ。ジェネシス殿はこの町では「一人軍隊」や「赤き天災」等と言われている。

この呼び名は白蓮殿の街で義勇軍となりこの町に来た者が言いふらしたかららしい。

確かに、1人で2万人の黄巾党と戦い無傷で帰ってきたら、このような呼び名が出来てもおかしくは無い。

ジェネシス殿呼び名だけを知りよく知らぬ人が本人を見れば、驚き怯えるのは当然だ。

店主も少し驚いている。だが、私が連れてきたという理由から少し落ち着きを取り戻しつつあった。

 

「実はな、店主。武の御遣いジェネシス殿は料理の心得が有りましてな。先日作ったメンマ料理の数々、絶品というしかありませんでしたぞ。

この方はメンマ神の御加護を受けているメンマ聖人に違いない。」

 

メンマの園の店主

「それは誠ですか?趙雲様…」

 

「先日、店主に教えた『メンマシチュー』はこのジェネシス殿がお作りに成られたもの。」

 

店主

「おお!あのメンマシチューを!?寒い時に食べると瞬く間に英気と暖かさを取り戻せる事のできるあの究極至高絶品料理をこの方が!」

 

「うむ。それで、先日『甘味メンマ』を渡して、料理研究を頼んだので、今日何か作ってもらおうと思いまして、」

 

ジェネシス

「お前ら、料理にメンマさえ入ってたら満足なんだろう。今日も適当に作ってメンマ入れとくか。(ボソッ)」

 

ジェネシス殿が何か言われたようだが、気のせいだろう。

 

「何を今日は作ってくださるのですかな?ジェネシス殿?」

 

ジェネシス

「メンマパフェだ。」

 

メンマの園の店主

「めんまぱへ?」

 

「違うぞ。店主『めんまぱふぇ』だ。しかし、『ぱふぇ』とは何ですか?『めんまぱふぇ』というからにはおそらくメンマの乗った『ぱふぇ』という料理なのでしょうが、天の国の料理のようですな。名前からは想像もつきません。」

 

ジェネシス

「パフェとは俺の世界にあった甘い料理だ。基本としては果物にホイップクリームを乗せたものだ。」

 

「『ほいっぷくりーむ』とは如何なるものですか?」

 

ジェネシス

「ホイップクリームは牛の乳や水牛の乳を加熱処理したものを放置したら上の方に層が出来る。それを混ぜると粘り気が出てくる。それがホイップクリームだ。

今この場に無いから、星、取りに行け。」

 

「私ですか?」

 

ジェネシス

「俺が言っても良いが、道に迷う可能性が高い。それに、眠い。今帰ったら寝るぞ。」

 

「……分かりました。行ってきます。

店主、ジェネシス殿と2人仲良く待っていてくだされ。」

 

私はメンマの園を出る。

 

 

 

 

そして、半刻後

朱里から『くりーむ』の入った壺を貰い、メンマの園に帰ってきた。

店主がジェネシス殿の間に会話は無く、沈黙状態だった。

ジェネシス殿はまた『LOVELESS』を読んでいる。

 

メンマの園の店主

「これは趙雲様。おかえりなさいませ。」

 

「うむ。待たせたな。ジェネシス殿お持ちしましたぞ。」

 

ジェネシス

「分かった。メンマパフェだったな。」

 

ジェネシス殿は壺を受け取ると厨房に行った。

 

ジェネシス

「おい、店主と星、お前らは作り方知らなくて良いのか?」

 

「おお、そうでしたな。酒のつまみになるやもしれん。それに愛紗に料理ができると自慢できる。覚えておいて損はないな。」

 

私と店主は店の厨房に行く。

店の厨房でジェネシス殿は様々な食材を広げていた。食材のほとんどは甘いものだった。

ジェネシス殿は果物を輪切りにし、器の底に敷き詰めていく。その間、私は店主と『ほいっぷくりーむ』を作っている。

『ほいっぷくりーむ』を器に盛り、その上にさらに果物を乗せ、最後にメンマを乗せた。

 

ジェネシス

「メンマパフェだ。」

 

メンマの園の店主

「これが…」

 

「めんまぱふぇ!」

 

美しかった。純白の『ほいっぷくりーむ』が雪化粧された山のように器にそびえ立つ。そして、数々の果物とメンマが雪化粧された山を飾る。

料理でここまで美しいものをみたのは初めてだった。

 

メンマの園の店主&星

「「美しい!」」

 

手を着けるのが勿体なかった。

 

ジェネシス

「まあ、予想通りの味だな(メンマがパフェをダメにしているという意味)」

 

「誠ですか?(メンマがパフェを最高の物にしているという意味)」

 

この人がこれまで作ってきたメンマ料理は最高の物だった。だとすると、「予想通りの味」とは最高の味という意味だろう。私は蓮華で『めんまぱふぇ』を掬った。

 

あむ

 

「美味い!」

 

甘い。ただ甘いだけでなく、果物の上品な甘みの上に甘味メンマの甘みがする。

これはメンマ好きの間には流行すること間違いなしと判断した。

 

メンマの園の店主

「趙雲様!武の御遣い様!

この『めんまぱへ』お品書きに入れさせてもらっても構いませんか?」

 

ジェネシス

「好きにしろ。」

 

「メンマ神のために頑張りましょう。店主。」

 

メンマの園の店主

「はい。趙雲様!御遣い様!」

 

『めんまぱふぇ』を完食した後、私とジェネシス殿は城へと帰ろうとしていた。

 

「ジェネシス殿ありがとうございます。何か礼がしたいのですが、何にしましょうか?今度は普通のメンm-」

 

ジェネシス

「林檎酒」

 

「では、また甘味メンm-」

 

ジェネシス

「林檎酒」

 

「メンm-」

 

ジェネシス

「林檎酒」

 

「分かりました。貴方にとっての馬鹿リンゴや林檎酒は私にとってのメンマと同類でしたな。

しかし、何故毎度毎度、律義にメンマ料理をしてくれるのですか?貴方の好きなモノは林檎のはず…」

 

ジェネシス

「俺に真名を預けた星の頼みだ。親しき仲の友の願いを断る理由が無い。」

 

「そうですか。では、またメンマ料理を頼みます。」

 

ジェネシス

「気が向いたらな。だから今まで通りという訳ではないぞ。」

 

「そうですか…。それは残念です。ヨヨヨ。」

 

嘘泣きするが、主や愛紗のようには引っかかってはくれない。そればかりかジェネシス殿は横でフフフと笑う。

 

「笑うとはひどいですぞ。ジェネシス殿。」

 

ジェネシス

「嘘泣きが下手すぎると笑えてくる。泣く真似をする前に、お前に八百一本を見つかってお前に脅迫され泣く朱里を観察しろ。その方が嘘泣きが上達するぞ。」

 

「私が脅迫するとは…ジェネシス殿もひどいですな。」

 

ジェネシス

「お前ほどではない。」

 

「確かにそうですな。」

 

私も口元が緩む。城に着くまで私はジェネシス殿の横で笑っていた。

 

 

 

 

どうも、黒山羊です。

 

ジェネシスの拠点が難しい。

フラグを建て過ぎないようにするって難しい。

建て過ぎると、ジェネシスのイメージが壊れてしまう。ジェネシス=北郷=種馬って公式を作りたくない。

彼はクーデレを演じ切れているのか不安になります。

国語力の無さを痛感します。

 

本篇も少しは進んでいるので、同時桃香します。

では、また後ほど。

 


 
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