「あのさくらを大切に思う気持ちは俺じゃないお前だ!」
全く同じ顔同じ声
しかし違うことがある
そのほほに流れる真っ赤な血と左の瞳が碧いこと
感情が消えているように見える『俺』は無言で空に西洋の文字を刻んだ
文字は空で混ざり合った
「お前がもしただ破壊を招く存在なら俺がお前を破壊する!!」
もう一人の『俺』が両手を合わせると足元に魔法陣が現れた
それは俺が使う魔法陣にとても似ていて両手を開くことで現れた剣は俺とまったく同じだった
「雷帝将来!!」
それは俺が使う魔法と全く同じだか威力が桁外れに高かった
二つの魔法はぶつかり激しい衝撃があたりを包み倒れ込んだ碧い瞳の『俺』に向かってもう一人の『俺』が飛び掛かった
「やめて!!小狼君を殺さないで!!」
泣き叫ぶさくらに『俺』が止まるとその足に刃が深く突き刺さった
「!!」
その場に倒れ込む『俺』と驚き口元を両手で覆うさくら
碧い瞳の『俺』は何事もなかったように強い力を放つ羽を回収しさくらの中に吸収された
そして倒れるさくらから背をむけ次元の裂け目に歩み行く『俺』
「待って…………」
弱々しくその手を掴むさくらに一瞬止まったがその手を振りほどき『俺』はそのまま姿を消した
(そうか………これは違う世界に住む魂が同じ存在たちか)
そう思った瞬間視界が暗くなった
そしてまた光が見えると俺は目を開けた
「………………」
そこは見覚えのある部屋
辺りは薄暗くなりカチカチと時計の音がやたら大きく響いていた
どうやら学校から帰ってそのまま寝てしまったらしい
今だに高校の制服を来たままだった
「あの夢…………」
頭が少しぼーっとするなか鮮明に思い出されるあの夢
「以前クロウリードの書物に書いてあったな」
俺は立ち上がり近くの本棚から一冊の分厚い本を取り出すとページをめくった
すると途中の余白に手書きの文字が書かれていた
[世界は一つではない………同じだけど違う存在がいて違う人生を歩んでいる………目の前の世界だけが全てではないことを忘れ無いでください]
「同じだけど違う存在…………」
本を閉じベランダに出ると山の向こうに太陽が隠れようとしていた
「…………急々如律令」
呪文を唱えると持っていた宝具が刀変わった
「………」
刀の腹を額に当てるとひんやりと冷たくそのまま眼を閉じる色々なイメージが頭の中に生まれた
それはまだ小さい頃剣を使った稽古をする自分であったり
日本にきてさくらとともに戦っている自分
この剣にはとても長い時間共に過ごしてきたことがあらためて実感する
「!!…………」
すると強い魔力を感じるがよく知った魔力に警戒をとき、近づいてるとわかっていても動かなかった
そして鳥の羽ばたく音が近づいてくるとふいに声が聞こえた
「小狼くん?」
聞き慣れた声に微笑んだがあえて無視をしてみた
「あれ?聞こえないのかな?」
声は不思議そうに言うとベランダに降り立った
「小狼くんが気付かないなんて珍しいな~」
声はつまらなそうに言うと不満そうに頬を膨らませる姿が浮かび上がった
「ふっ……………」
思わず小さく笑ってしまった
「小狼くん!気付いてるでしょ!!」
声が怒ったような口調に変わった
「当たり前だろ」
そういってようやく剣から離れ声のほうを見た
「ひっど~~~い」
声の主のさくらは予想通り頬を膨らませていた
「くくっ…………」
「あっまた笑った!!」
あまりにも予想通りすぎてまた笑うと怒ったのか俺の頭をポカポカと叩いてきた
「ゴメンゴメン、さくらがあまりにもわかりやすいから!」
痛くない叩きを手で防ぎながらさくらを見た
「それって私が単純って言いたいの!!」
不満そうに言うと手を止めそっぽを向いてしまった
そのすべてが愛おしく思うところは我ながら呆れてしまう
だけどいつまでも俺の1番好きなさくらが見れないのは辛い、だから俺は魔法を使うことにした
「そんなさくらも大好きなんだけどな」
そういって後ろから抱きしめると顔を真っ赤にするさくらが見える
そしてその後は
「私も小狼くんのこと大好きだよ」
ほら太陽みたいな綺麗な顔で微笑んでくれる
「でもさっきはどうしたの?」
機嫌が治ったさくらは振り返りなが聞いてきた
「ああ………ちょっと夢を見てな」
俺が言うとさくらは不思議そうに首をかしげた
「……………さくらは違う世界で自分と全く同じ存在がいると思うか?」
突拍子も無い俺の質問に目を丸くする
「違う世界の私?」
意味がわからないのか聞き返してきた
「ああ、名前も姿も同じ、でも違う自分」
俺はさくらを離すとベランダの手摺りによりかかった
「クロウリードの本に書いてあった、世界は一つじゃない、目の前だけが全てでは無いって……………なら俺が見た夢はどこか別の世界の『俺』が歩んでいる道なんだと思う」
さくらは何も言わないただ黙って俺の話を聞いてると感じた
「その世界の俺はとてつもない困難に立ち向かっていた、だから少しでも届けばいいなって思ってな」
再び剣を掲げると鋭く輝いた
「届くよ!絶対!!」
顔を向けると太陽のような温かな笑みをうかぶてさくらは言った
「ああ!!」
空を見上げ自分と同じ自分が幸せになってくれることを願った
おまけ
「さて数学をやるぞ」
スッキリとした表情で室内に戻る小狼
「え~~~!!きょ今日はお話がしたいな~~って」
「駄目だ!来週小テストがあるんだ、今のうちからやっておけば大丈夫だ!」
「ほえ~~~今日くらいいいでしょ?ねっお願い」
「うっ………………だ!駄目だ!!ほらやるぞ!」
「……………今日の復習と明日の予習だけだ…………それならすぐ終わる」
「わ~~い!」
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久しぶりにツバサとカードキャプターサクラを見て書きたくなりました!カードキャプターサクラの小狼目線でツバサの東京編を見ている感じです。