No.201987

真・恋姫†無双 魏アフター ~四方を守護せし御遣い達~ 第一話

mebiusさん

第一話、投稿です。
……あれ? オリヒロインが登場する筈だったのにな~…ヒロインのヒの字も見えないやw
おかしいなぁ……。

次話でやっとオリヒロインが出てきます。

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2011-02-16 23:14:17 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:3947   閲覧ユーザー数:3392

 

 一刀がこの世界に戻ってきて一週間が経ち、検査の為に入院していた一刀もすでに退院した。

 そして、退院した一刀が最初に向かったのは北郷家。

 一刀の実家である。

 

「何じゃ、一刀? 退院して帰宅したと思ったらすぐに道場に呼んだりして」

 

 北郷家にある剣道場。

 そこで一刀は祖父である北郷一斎を前に正座していた。

 

「……じいちゃん、俺に北郷流刀術『光翔』を教えて下さい」

 

「ほう……」

 

 頭を下げる一刀に一斎は目を丸くする。

 しかし、それはすぐに鋭いものに変わった。

 

「……何故、今更そんなことを頼む? お前は以前修行から逃げ出しただろう?」

 

「……強くなりたいから。大切な人達を守れるぐらい強く。……お願いします。『光翔』を教えて下さい……」

 

 後ろで見ているだけの自分が嫌だから。

 みんなを守れるようになりたいから。

 更に深く、一刀は頭を下げる。

 

「……一刀、顔を上げろ」

 

「…………」

 

 一斎の言葉に一刀は黙って頭を上げる。 同時に、その眼前に木刀が転がった。

 見ると、一斎が木刀を正眼に構えている。

 

「木刀を取れ、一刀。お前の覚悟を見てやろう」

 

「……わかった」

 

 頷き、一刀も木刀を正眼に構える。

 

「どこからでも来い」

 

「ふっ!」

 

 一斎がそう言うのと同時に、一刀は駆け出す。

 一気に一斎との距離を詰め、木刀を振り下ろす。

 あの世界で過ごしたが故に、以前よりも格段に鋭さを増したその一撃を。

 

「甘い」

 

 しかし、その一撃は一斎に軽く受け流された。

 あの世界で一刀が春蘭の攻撃を受け流した時とは違う。

 手応えが全く感じられない、完璧な受け流し。

 

「力に任せ過ぎだ、馬鹿もの」

 

「ぐ……っ!」

 

 攻撃を受け流された一刀の背中に一斎の一撃が叩きつけられる。

 一刀は吹き飛びながらも、なんとか受け身を取って立ち上がる。

 背中が痛む。

 だが、そんな事に気を取られては一斎に認めてはもらえない。

 だから、一刀は再び駆け出す。

 

「はぁっ!」

 

 先程とは違う、フェイントを混ぜた連撃。

 だがそれも、一斎には通用しない。

 

「かは……っ!」

 

 足を払われ、背中から地面に叩きつけられた。

 今度は受け身も取れず、息ができなくなる。

 

「お前の覚悟はそんなものなのか?」

 

 違う。

 そう答えたいが、息ができなくては言葉も出ない。

 なので、言葉の代わりに木刀を突き出す。

 だが、そんな不安定な体制で放たれたそれが、一斎に当たる訳がない。 

 

「がぁっ!」

 

 突きを流し、一斎は一刀の胸を思いっきり踏みつける。

 その衝撃に一刀は意識が飛びそうになる。

 

「まだ……ま……だ……!」

 

 なんとか足を払いのけようと腕に力を込めるが、足は動かない。

 そんな一刀に、一斎は嘲笑を浮かべ。

 

「その程度では、お前の守りたい大切な人達とやらも、たかが知れてるな」

 

 そう、言い放った。

 その言葉に、一刀の中で何かが切れた。

 

「…………に……な……!」

 

 声を絞り出す。

 しかし、その声は一斎には届かない。

 

「何だ? 聞こえんぞ」

 

「彼女達を……馬鹿にするなっ!!」

 

 叫び、一刀は一斎を払いのける。

 その勢いのまま起き上がり、一刀は一斎に斬りかかる。

 

「彼女達は! こんなに! 弱くない! 何も知らない癖に! 知ったような事を言うな!」

 

 叫びながら、一刀は何度も斬りかかり。

 しかし、その全てを一斎に受け流された。

 ……それが数十分は続いただろう。

 既に一刀の攻撃から勢いは消え、立っているのもやっとという状態だ。

 

「彼女達は……俺なんかより……ずっと強いんだ……」

 

 木刀は既に床に転がり、少しでも衝撃を加えれば倒れてしまうだろう。

 それでも、一刀は涙を流しながらも倒れない。

 

「…………」

 

 一斎は黙って木刀の柄で一刀の頭を軽く突く。

 たったそれだけで、一刀は床に倒れた。

 

「はぁっ……はぁっ……!」

 

 道場に一刀の激しい息遣いのみが響く。

 そんな一刀を一斎は見下ろす。

 

「……お前の覚悟はわかった。お前がその人達をどれだけ大切に思っているかも」

 

「じゃあ……?」

 

「……ああ、お前に北郷流刀術『光翔』を教えよう」

 

 その言葉に、一刀の顔に喜びが浮かぶ。

 そんな一刀に、一斎は言葉を続ける。

 

「だが、その前にお前に話す事がある」

 

「話す事……?」

 

「ああ……北郷流刀術は一子相伝。これは知っているな?」

 

 一斎の言葉に一刀は頷く。

 

「そして、既に北郷流はお前の義妹に教えている」

 

「え……!? それじゃあ、教えられないんじゃ……!」

 

 思わず立ち上がる一刀。

 一斎はそんな一刀に落ち着けと促し、座らせる。

 

「話を最後まで聞け。確かに本来ならお前に北郷流を教えることはできない……が、お前に教えることができる方法もある」

 

「その方法って……?」

 

 再度尋ねる一刀の頭に木刀が叩きつけられる。

 

「いって~……!」

 

「最後まで聞けと言ってるだろうが。……一刀よ。南条家、東方院家、西園寺家は知っているな?」

 

「あ、ああ。どこも幼馴染だし……」

 

 そう答えながら、一刀は昔を思い出す。

 ことあるごとに顔を真っ赤にしては殴ってくる同い年の少女。

 よく活発な子が悪戯してはそれを真面目な子が怒り、それを無口な子が眺めていた年下の三つ子の少女達。

 幼馴染達の中では一番年上で、少々過保護な所があってたまに暴走するが、面倒見の良い頼れるお姉さんといった感じの少女。

 思い出してみると、あの世界の彼女達に負けず劣らず濃い連中だったなぁ。

 確か彼女達も聖フランチェスカ学園に通っているのだったか……小学校以来一度も会っていないので定かではないが。

 そう思いながら、一刀は苦笑いを浮かべる。

 そんな一刀を気にせず、一斎は話を続ける。

 

「これに北郷を加えた四家の先祖は、同じ人物に師事していた。そして、そこで習ったことを発展させ、それぞれの家は独立した。そうして生まれたのが北郷流刀術『光翔』、南条流拳術『神無』、東方院流弓術『幻零』、西園寺流槍術『聖華』だ。そして、これらの流派も一子相伝だ。……だが、それぞれの後継者以外にも受け継ぐ事ができる者がいる」

 

 一斎の言葉に一刀は知らず知らず唾を飲み込む。

 

「その四家に武術を教えた人物の家系……皇家の者になら、教えることができる」

 

「え……? でも、それじゃあ俺が教わるのは無理なんじゃ……?」

 

 一刀の言葉に一斎は呆れたようにため息を吐く。

 

「……お前の母親の旧姓を言ってみろ」

 

「え? 母さんの旧姓って……皇でしょ? ……ああ、そういうことね」

 

「ようやく気付いたか、この馬鹿が。お前の母親……一恵さんは元々皇家の者だ。そして皇流総合武術の後継者でもある。……何の因果か、馬鹿息子に惚れて家に嫁入りしてきたがな。つまりだ。お前が皇流総合武術の後継者となれば、北郷流刀術を習うことができる。……まあ、それだけでなく南条流、東方院流、西園寺流、そして皇流も習わなくてはいけないがな。お前にその覚悟があるか、一刀?」

 

 その問いに一刀は即答しようとする。

 しかし、一斎の真剣な目を見て、言葉が出なくなる。

 

「…………」

 

 自然と、一刀は目を閉じる。

 同時に瞼に浮かんだのは一刀にとっての武の象徴。魏武の大剣、夏侯惇元譲――春蘭。

 いつも後ろから見るしかなかったその姿の、隣に立ちたい。

 

「……ああ、ある。今度は逃げない」

 

「……そうか」

 

 一刀の真剣な目を見て、一斎は笑みを浮かべる。

 

「わかった、他の三家や一恵さんには儂から話を通しておこう。ただし、修行は明日から行う。……ああ、それと皇流以外は四年で物にしろ」

 

「四年!? それはいくら何でも無茶じゃ……!」

 

「そうでないと、皇流の修行には耐えられん。……わかったな」

 

 一斎の有無を言わさぬ口調に、一刀は頷く。

 それを見てから、一斎は道場の出口へと向かう。

 

「そろそろ飯じゃ。お前も汗を流してから来い」

 

「あ、うん」

 

「……ああ、それと」

 

 外に出た一斎が、出口から顔をのぞかせる。

 それに一刀は首を傾げ。

 

「お前の大切な人達……彼女達、か。なかなかに色男じゃのお、一刀」

 

「なっ!?」

 

 次の瞬間には、その顔を真っ赤に染めた。

 ~後書き~

 いや、今回も短くてすいませんです、はい。

 もっと長く書けるようになりたいなぁ……。

 

 まだまだ序盤ですが、後書きついでにアンケートを取ろうと思います。

 一刀が外史に戻った後、桂花をデレさせようか思案中なのですが……以下の選択肢から選んで下さい。

 

1.比率逆転、100%デレ。ツン?何それ美味しいの?状態

 

2.普段はツン。たまにデレ。正統派ツンデレ?状態

 

3.原作通り、100%ツン。デレなんて知りません。状態

 

たくさんの方に投票して頂けると嬉しいです。

それでは、また次回~。

 

 
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