No.200501

真・恋姫無双 魏が滅亡した日 Part5 華琳を求めて

見習いAさん

華琳様はどこに?

2011-02-09 01:25:17 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:5067   閲覧ユーザー数:4514

俺達4人は都から遠ざかるため北に移動、新しい拠点を探した

俺達がいるこの山小屋は秋蘭が手配してくれた。さすが秋蘭、いい仕事してくれるよ

 

今ここにいるのは俺と、秋蘭だけ

春蘭は情報収集、季衣はバイト(なんでも食堂のウェイトレスらしい)

 

「自分の無力さを痛感してるよ・・・」

 

「ん?」

 

書類を整理している秋蘭と、床掃除をしている俺

 

「そんなことはないぞ、北郷が帰ってきてくれて本当に助かった」

 

「本当に?」

 

「ああ、本当だ」

 

情報を集めることもできない

戦闘に参加することもできない

俺は役に立ってるのかな

むしろ足手まといになってるような

 

「うむ、北郷は、落ち込みのあまり食事も取らない姉者を見たことがあるか?」

 

「・・・・そこまで落ち込んだ春蘭は見たことないかな」

 

そんな春蘭は想像つかないかも

 

「華琳様とはぐれてから北郷が帰ってくるまで、姉者は酷く憔悴していてな」

 

秋蘭はまぶたを閉じると当時のことを話してくれた

なんと言えばいいのか、その仕草の一つ一つが一段と大人っぽくなってるような

 

「我らが野に下ってから、姉者はしばらく食事も取れなくてな。あんなに落ち込んだ姉者ははじめてみたよ」

 

あの春蘭が食事も取れないほどにショックを受けてたのか

 

「そっか・・・・そうだよな」

 

「そんな姉者を見ていると、このまま姉者も消えてしまうのではないかと、怖かった」

 

春蘭が消える

そんなこと考えたくもない

俺は体がこわばった

 

「だが、姉者は再び立ち上がった。突然、偵察に出ると言い出してな、それからは毎日偵察と情報収集をしてくれた」

 

なるほど、春蘭が出てるのはそういうことか

 

「姉者が有力な情報を掴んだことはない。それでも、姉者が再び立ち上がろうとしたのだ。それでいいではないかと思ったよ」 

「それから姉者は休まず情報収集を続けた。しかし一向に華琳様の行方はわからなかった。

次第に、姉者が弱っていくのが手に取るようにわかった。あの姉者が・・・・弱って行くんだ」

 

秋蘭が拳をぎゅっと握った

 

「私も季衣も必死だった。でも、姉者を元気付けることだけはできなかった。

どうすることもできなかった。だから願った。・・・・北郷に帰ってきて欲しいと」

 

あの秋蘭がこんなに小さく見えるなんて

 

「北郷が帰ってきて、姉者は笑顔を取り戻したんだ。これ以上の助力はないさ」

 

そう言った秋蘭の表情も笑顔だった

大人の魅力を増した笑顔に一瞬ドキっとした俺は、椅子に座る秋蘭を後ろからそっと抱いた

 

「俺、秋蘭も笑顔にできてるかな?」

 

「・・・・ああ」

 

俺は2年間消えていたらしい

しかし、覚えているのは華琳との満月の夜、華琳にお別れを告げたあの時のことだけで

目が覚めて気づいたら秋蘭を抱いていた

だから2年と言う時間の流れがイマイチ実感できなかった

 

2年の間にあった出来事

それは一瞬のことで済ませられることじゃない

そして、その出来事は俺に責任があると思う

華琳以外に何も告げず勝手に消えた俺に

 

体をこちらに向けた秋蘭と至近距離で見つめあった

 

「秋蘭」「・・・一刀」  「帰ったぞー!」

 

「「「あっ!」」」

 

さすが春蘭、持ってるね・・・・ 

それから数日後、待ちに待った情報がついに手に入った

 

「季衣!早く、早く教えてくれ!華琳様は無事なのか?」

 

「姉者落ち着け。季衣、頼む」

 

「はい、えっと、親衛隊の人とやっと連絡が取れました。情報によると、あの後華琳様らしき人物を見たと言うんです」

 

「やったーーーー!!華琳様はご無事なんだな!!そうなんだな!!いやっほーーー!!」

 

「姉者」「お、おう・・・」

 

春蘭に突っ込みを入れる秋蘭もうれしさを隠しきれない

そんな秋蘭に変わって俺が質問する

 

「それで季衣、華琳をいつどこで見たんだ?」

 

「それがね兄ちゃん、一斉蜂起に成功した司馬家が呉と蜀に貢物を送ったらしいんだけど、その中の呉への一隊に華琳様らしき人が同行してたって

でも、華琳様を見たのはごく一部の人だけで、はっきり確認できなかったから絶対じゃないって」

 

「どう言うこと?」

 

「華琳様を見たのは大きな車の中にいるところで、はっきりとは見えなかったみたいなんだ」

 

「うーん、秋蘭どう思う?」

 

「うむ、華琳様を呉へ移送したなら呉からなんらかの情報が流れてくるはず。しかしこれまでそう言ったことは聞いたことがない」

 

「だよな、ここまで情報がないのはおかしい」

 

「それに、呉へ移送する理由がない。手元から離せば反乱分子になる可能性が高まるだけだ。・・・・ただ一つ考えられるとしたら」

 

「考えられるとしたら?」

 

「呉よりさらに南へ移送し、僻地に監禁することで全てから切り離す・・・・」

 

「なんだとぉ!!今すぐ華琳様をお救いせねば!!季衣!!行くぞ!!!」

 

「え?ちょっと春蘭様!」

 

季衣の腕を引っ張り外へでようとする春蘭

 

「姉者落ち着け!」「お、おう・・・・」

 

「華琳様が南方へ移送された確証はないのだぞ。呉へ移送したと見せ、我らを惑わす魂胆かもしれんのだ」

 

「そ、そうか・・・」

 

「季衣、華琳様を見たと言う人物は信用できるか?」

 

「はい、親衛隊はバラバラになっちゃいましたけど、まだ都に残っている人たちがいたんです。親衛隊は自分の命よりも華琳様をお守りしますから」

 

秋蘭は少し考え込む

 

「よし、ならばこうしよう」 

「姉者、私、北郷の3人で呉へ向かう。季衣、すまぬが引き続きこちらで親衛隊と連絡を取ってくれ」

 

「・・・・はい」

 

「ちょ、秋蘭!季衣だけ置いていくなど!」

 

「罠かもしれんのだ。誰かが残って情報を集めねばならん。私も残ることはできるが今回の任務は呉の情報が欠かせない。つまり外交要素が強いのだ」

 

「し、しかし・・・」

 

確かに、外交となると秋蘭は欠かせないか

でも、なんで俺?

 

「俺は?」

 

「兄ちゃん!!」

 

季衣がうれしそうに声をあげた

 

「北郷、我々は流浪の身、地位も何もないのだ。その我々が呉と交渉するには、対等と言わずとも、相手を納得させることのできる地位や名分が必要になる」

 

「それが、天の御遣い?」

 

「うむ、天の御遣いは今や大陸全土に名をとどろかせる伝説、その伝説がここにいるのだ。これ以上の説得力はないさ」

 

季衣の表情がまた暗くなってしまった

 

「しかし秋蘭、呉が我々に華琳様の情報をくれるだろうか?呉と晋は戦闘がないのであろう?双方敵対していないと言うことではないか?」

 

「「「え?」」」

 

あの春蘭がまともな質問をした

 

「そ・・・そうだな姉者、当然、表立って情報提供を求めることはできん。呉とて再び戦乱の世に戻すことを望んでいないだろうからな。交渉は極秘裏に行われるべきだ」

 

「ふむ、ところで、私はどうして選ばれたのだ?」

 

「私1人で敵から北郷を守りきれる保障はない。姉者の武、魏武の大剣が必要なのだ」

 

「お、その呼び名も久しいな!よぉーっし、燃えて来たぞー」

 

俺は小声で秋蘭に聞いてみた

 

「・・・・本当のところは?」

 

「・・・・姉者が留守番できると思うか?」

 

納得


 
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