No.198309

茜ちゃん 第二話『逃走』

FALANDIAさん

リレー小説第二話になります!

『キャッキャウフフ』させてって言われたんですけどね・・・。
とりあえず、『ギャッギャオブブ・・・』させてみました。

2011-01-28 17:54:25 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1702   閲覧ユーザー数:1537

 

 

 

 

『逃走』

 

 

 

 

 

 

 

誰か助けてください!

 

荒野(?)の中心で恐怖を叫んでみる。

 

目の前に迫るは鼻息がお馬さんより荒い漢四体。

 

ワタクシ、絶賛貞操の危機です。

 

 

「「「「さぁ。さぁ!さぁあ亞阿ア!!!!」」」」

 

「ひぃいいいいい!!?たっ、助けてぇええええ!!」

 

 

あ、もうだめだ。と思った瞬間…。

 

 

『衛(エイ)さん!』

 

『はいよ、合点ッ!!』

 

 

ボンッ!

 

 

誰かの声が聞こえたかと思った瞬間。

 

何かの破裂音と供に、突然視界に煙が立ち込める。

 

 

(ケホッ、ケホッ。…え、煙幕?)

 

 

周囲の風景は煙で何も見えない。

 

代わりに、何か音が聞こえてくる。

 

 

 

ガシュシュシュシュシュ!!

 

ぶるるるるぅぅあああああ!!

 

うぬ、なんだこの粉は?塩ではないか。

 

成程、塩(煙)幕ですね、わかります。

 

天からお塩ぉぉおおおおおお!!

 

我が世の春が来たぁああああ!!

 

おい、誰だ俺の尻を触ったのは!?

 

明らかに于吉だろう、だから貴様は阿呆なのだぁあああ!!!

 

…于吉、お前を殺す。

 

 

 

…カオス過ぎて現状が把握できない!?

 

「…速く、今の内に!」

 

「ほら、お前さん。さくっと逃げるぞ」

 

「えっ?えっ?」

 

両側から手を引かれ、軽くグレイみたいな状態で煙から脱出する。

 

 

「ぷはっ!い、いったい何が!?」

 

「っぶないなぁ!あーもう、あの人たち暴走しすぎでしょ!?」

 

「今回の外史の規制薄いからって直接突っ込んでいくとは…。それでも観測者かと小一時間(ry」

 

 

まともそうな人が二人、私を両脇から抱えてBダッシュしている。

 

一人はやたら大きいローブを着て、不思議な形の大剣を担いだ人。

 

もう一人は、防御力高そうな鎧を要所につけ、長めの直剣を佩いた人。

 

後ろの煙幕はもう結構彼方に見えている。

 

二人とも走りにくそうな格好なのに、脚速すぎない?

 

 

「何が、何が起こってるんですか?此処どこですかぁ!?」

 

「あー、時間が無いから簡潔に言うよ~。起こっている事は、『蝶★弩級の変態に追われている』」

 

「場所は『2世紀後半の中国』、つまりは三国志の時代だ」

 

「わかった!?」

 

「情報は判ったけど、理解が追い付きません!」

 

「デスヨネ~!…っと、これはまずいですヨ。」

 

 

突然、何かを気取ったローブの人が服の中をごそごそやりはじめた。

 

取り出したのは、三脚のついた上向きの扇風機みたいな機械。

 

 

「っ!?なんだ、もう来るのかよ!?」

 

「みたいだね…、本当に化物みたいな奴らだよ。

 

 衛さん、私が時間を稼ぐから、その人連れて先に行ってて。

 

 ここからだと、漢中のうたまる先生の所が一番近いね。

 

 何が何でも、絶対に逃げ切るように。

 

 今回の彼らは遠慮を知らないから、捕まったら諸共に掘られちゃうよ」

 

「時間稼ぐって…。観測者の中でも特別クセが強い連中だぞ!?大丈夫かよ…」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「お前それ死亡フラグなのわかっててやってる!?」

 

 

どうやら、ローブの人が『蝶★弩級の変態達』を足止めするつもりみたいだ。

 

…え、それって大丈夫なの?

 

 

「…っく。じゃあ泥矢(ディア)、先に行くぞ!」

 

「OK。ところで…」

 

「なんだ?」

 

「…別に倒されてしまっても構わんのだろう?」

 

「どや顔で何言ってんだ!?いやいや!駄目、ゼッタイ!逃げ切れよ!?」

 

「ははは、お任せあれ~」

 

 

緩い笑顔を浮かべて、泥矢さんが逆走していく。

 

私は衛さんに抱えられて、逃走を続行する。

 

でも、お姫様だっこは出来ればどうにかしてください。

 

 

 

「さ~って、と。ほい」

 

 

がしょんと音を立てて、放った装置が地面に設置された。

 

三脚で立った装置は、ファンを高速回転させつつ、姿を地面に同化させた。

 

 

「ジェノサイド・無礼ぶるぁあああああああ!!!!」

 

 

爆音を立てて、煙幕が四散する。

 

相変わらず無茶するなぁ…。

 

 

「貴様か、技術屋。いや、口先屋(フェイカー)。インドアの裏方が、こんな所に何の用だ」

 

「左慈。私もインドア派ですよ?もちろん性的な意味で」

 

「ちょ~っとオイタが過ぎるわよ、泥矢ちゃん」

 

「左様。表に出るはずのないお主が、何故わしらの邪魔をする」

 

 

ぞろぞろと邪神どもが出てきた。

 

あ~、なんて嫌な光景か。

 

今は全員まともな格好してるから、分かる人にしか分からない嫌さだけど。

 

 

「何故って、あんたらがトチ狂った真似するから、裏方の私まで呼ばれたんでしょ。

 

 まぁ、あんたら考えてるようで直情径行だから、口先屋の私が当てられたのかもですけど。」

 

「口先屋の御託は聞かん。邪魔する以上、相応の覚悟をしろ!!」

 

 

左慈がそう叫ぶなり、全員がこちらに向かって突っ込んでくる。

 

 

「人の話は最後まで聞きましょうね~。

 

 そんなだから、……直情径行だって言うんですよ」

 

 

ニィィ、と。 私の口角が吊りあがる。

 

ローブから右手を突き出す。

 

卑弥呼が何か感づいたように眉を跳ね上げる、がもう遅い。

 

全員が、 『先 の 装 置 の 攻 撃 圏 内』 だ。

 

 

 

『神縛(シビレ罠)』

 

 

 

パキンと指をならし、呪を唱える。

 

瞬間、バチバチ音を立てながら、四人は身動きを奪われる。

 

神仙すら動きを縛られる、特製のシビレ罠だ。

 

 

 

「あっはははははははは!忘れたんですか、あなた達は!?

 

 私達裏方の観測者が表に出てこないのは、影響力が強すぎるからだ!

 

 例えば、策と口先で一人で万を越える軍隊を退けた『華嵐泥矢(ファランディア)』のように!

 

 例えば、護ると決めたものを時を超えても護り続けた『護衛(ゴエイ)』のように!

 

 例えば、その芸事でどんな不治の死病であっても癒してみせた『うたまる』のように!!」

 

 

 

身をのけぞらせて、私は哄笑する。

 

こういったオーバーアクションで相手の心理を掴むのも、口先屋の領分だ。

 

 

「しかしまぁ、私の領分はあくまで技術と口先だけ。

 

 軍師であって、あなた達と戦えるような武将ではないんですよね~。

 

 ってなわけで、時間を稼いだうえで、トンズラさせていただきますよ?」

 

 

体を痙攣させながら、左慈がこちらに視線を向ける。

 

 

「っく、は。時間を稼ぐ、だと?

 

 この程度の罠では、長い間は俺たちを縛るなんてできはしないぞ。」

 

「でしょうね~。だ・か・ら☆」

 

 

再び、右手を構える。

 

それを見た四人の顔色が一斉に変わる。

 

今の四人は、シビレ罠によって動けない。

 

だから、これも避けられはしないでしょう…?

 

 

「あんたらみたいなモンスターには、罠って相場が決まってるのさ!!」

 

 

 

『大蝦蟇口(落とし穴)』

 

 

 

突如開いた巨大な穴に、四人は抵抗も出来ずに落ちていく。

 

シビレ罠を中心に開いた大穴は、その半径15m、穴の深さたるや実に50m。

 

しかも上から2mおきに封鎖結界でふたをするオマケ付き。

 

この結界の解除方法が純粋打撃を100発あてることなので、

 

跳んで連打する関係上どうしても時間がかかってしまう。

 

これで、十分に時間は稼げる。 任務完了だ、大佐。

 

 

「さってと、流石に疲れちゃったなぁ~。

 

 衛さんたちは大丈夫かな…。まぁ、大丈夫か。

 

 守備に定評のある衛さんが付いてるし。

 

 ってなわけで、私はしばらくは姿を眩ませよう…。」

 

 

ベルトに取り付けた光学迷彩の仕掛けを起動し、姿を消す。

 

 

 

「しかし、また北郷くんとは関わりも薄そうな人が入ってきたな…。

 

 あの人も、なにか事情があるひとなんだろうけど…。」

 

 

 

茜達は、ちょうど漢中に辿り着いたところだった。

 

 

 

 

 
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