No.198052

新・外史伝『希望』編 第13話 『十文字の御旗のもとに』

第13話『十文字の御旗のもとに』を投稿します。諸侯たちの会議中に謎の男が現れた。はたして彼の目的は?今回のお話で、前回登場した謎の白装束の軍団の正体が明かされます。
どうぞ、ごゆっくりお楽しみください

皆さまからのご意見・ご感想をお待ちしております

2011-01-27 01:45:59 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3816   閲覧ユーザー数:3157

 

 

 

 

 

新・外史伝『希望』編 第13話 『十文字の御旗のもとに』

 

 

 

 

 

 

 

黄巾党との戦が終わったその日の夜

 

諸侯たちは何進の大天幕に集められた

 

ここで、劉璋軍は張角三姉妹を処刑したことを何進に報告した

 

「以上が、私からの報告です。何進大将軍。」

 

劉璋の報告が終わった。

 

この報告に何進は大いに喜んだ

 

「劉璋、大義であった!

 

暗愚といえども、侮れぬなぁ?」

 

しかし、彼女は劉璋を小ばかにし、諸侯たちはそれを笑う

 

諸侯A「ははは!まぐれよのぉ?」

 

諸侯B「全くじゃ!運がよいのぉ?」

 

老人たちの言葉はねぎらいというより、暴言に近った

 

「お褒めに預かり光栄にございます…」

 

しかし、劉璋はそれを涼しい顔で受け流す

 

しかし、三人だけこれとは違う反応を見せていた

 

 

 

 

桃香は、この戦の功労者である劉璋に対しての諸侯の反応に怒っていた

 

「(…ひどい。劉璋さんのおかげで勝てたのに!

 

劉璋さんのことをまだ暗愚だって思っている。

 

漢王朝の危機を救ってくれたのに…なんて言い草なの!)」

 

 

 

 

曹操は、劉璋の体から覇気が出ていることに気が付いた

 

それは、自分と同じ覇王の風格であった

 

「(ただの愚君かと思ったのだけど…劉璋、ずいぶんと面白い人物みたいね。

 

これほどの覇気を隠し通している。

 

おそらく、私と同じように…乱世に飛び立つ機会を伺っているはず!

 

これは…面白いことになりそうね。)」

 

 

 

 

孫策は、劉璋に興味を持ち始めていた

 

「(これほど、屈辱的なことを言われても眉一つ動かさないなんて…

 

単に何も考えてないだけか…?それとも…腹に何か抱えているのか?

 

いずれにしても、これは美羽ちゃんと七乃に良い土産話ができたわぁ~

 

うふふふ)」

 

三人の英雄たちは三者三様の感想を劉璋にもち、諸侯たちは何も考えない

 

そんなときであった。

 

「そう言えば、そろそろ曹操の部下を届けるといわれた時間だな。」

 

何進はつぶやくと、曹操を見る

 

「はい。部下達の話では、夏侯惇は大怪我をおい医者の下に連れて行かれたそうです。

 

しかし、軍医に診せていては間に合わぬと判断したあるものが、高名な医師の下に連れて行ったそうです。」

 

彼女は、部下達から聞いたことを何進に報告した

 

「そして、医者の元に連れて行くのを手伝ったのは…あの十字の旗印の軍団であったそうです。」

 

何進は曹操の報告を聞き、頷く

 

 

そんなときだった

 

天幕の中に一陣の風が舞い込んできた

 

諸侯たち「「「「ぬぅ…」」」」

 

曹操「風?」

 

孫策「きゃ!目に入っちゃたぁ~」

 

桃香「わわわ!なになに!?」

 

天幕内は謎の強風に大慌て

 

すると…

 

???「刻限通り、参上いたしました。

 

何進大将軍、曹操殿」

 

聞いたことの無い男の声が天幕内に響く

 

「静まれ!!!」

 

曹操は怒鳴ると、諸侯を落ち着かせた

 

流石は何進のもと、将軍の地位まで上り詰めた女性、覇気自体諸侯とは比べ物にならない

 

「貴様が、あの者達の言っていた…

 

春蘭…、夏侯惇はどこだ?」

 

曹操は男を睨みながら、覇気をぶつける

 

諸侯たちの中にはその覇気に圧倒されて、崩れ落ちつ者までいたが…

 

男は涼しい顔で立っている

 

「はっ!お約束どおりお連れいたしました。」

 

男は、指を弾いて音をたてる

 

すると…

 

 

 

???「どわぁああ!!!!」

 

ドガァアア!

 

劉璋「ん?何だ?

 

人のこぇ、ぐふぉぉ!!」

 

物凄い音とともに劉璋の苦悶する声と…

 

???「痛っ~!!!

 

貴様、もっと丁寧に扱え!

 

こっちは、怪我人だぞ!!」

 

葛玄「申し訳ない。失敗したようです」

 

さっきまでのシリアスな雰囲気を見事にぶち壊すような少女の騒ぎ声が響いた

 

「この声…春蘭?」

 

曹操は、砂煙の中からした声に心当たりを見つける

 

「む!

 

このお声は…華琳様ぁ~!!!!」

 

夏侯惇が起き上がり、曹操のもとにかけてきた

 

「華琳さまぁ~

 

夏侯惇ただいま戻りました!」

 

夏侯惇は曹操に抱きつきながら、帰還を報告した

 

「えぇ。無事なようで何よりだわ。」

 

 

 

「きゃああ!!ご主人様ぁ~死んじゃやなの~!!」

 

一方、劉璋は夏侯惇が頭上に落下してきたらしく目を回して倒れていた

 

「む?いかがした?」

 

何進は劉璋軍のものに騒ぎの原因を聞いた

 

劉璋親衛隊A「ハッ!劉璋様が先ほどの騒動で頭をぶつけて気絶されました!!」

 

何進はため息をつくと、

 

「さっさと、失せよ。

 

もう、疫病神め」

 

「ハッ!!!!」

 

 

「そこのお前~!さっさと手伝うのぉ~!!!」

 

劉璋が連れてきていた于禁という少女は大慌てで彼を親衛隊と共に、自軍の天幕に連れ帰った

 

 

 

 

 

曹操は、彼女の頭を撫でると男を再び睨んだ

 

「部下のことは礼を言おう。

 

しかし、私の貴様らは何者だ?

 

医者には…見えないのだけど?」

 

曹操の人を射殺せそうな視線を涼しそうな顔で見つめる男

 

「これは…申し送れましたな。

 

我が名は、葛玄。字を孝先。

 

我が盟主の命により、今回皆様方をお助けに参りました。」

 

「その、盟主っという人物があの『十』文字の旗印の人物なのかしら?」

 

「はい。我らは、十文字の御旗の元、妖術を用いて各地で救済活動と賊退治をしております。

 

今回も、我らが盟主の命を聞き、あなた方にご協力したまでです。

 

しかし、我らは漢王朝の味方ではございません。

 

あくまでも、我らは人を救うための軍団。

 

もし、漢が人道を見誤るときがくれば…我らは敵として現れましょうぞ。」

 

葛玄はそういい残して、再び風のように消えていった

 

 

 

次の日

 

劉備軍と公孫賛軍は撤退の準備を始めていた

 

そこに…緊急の伝令が駆け込んできた

 

「じゅ、十文字の軍団の使いと名乗る男が劉備様にお目通りを願っております!」

 

彼女らは急いで幹部らを集め、葛玄と名乗る使者を天幕に招いた

 

葛玄は自分たちがとある一人の男の命令で動いている仙人たちによって構成された義勇軍であることを明かした

 

そして…

 

「その盟主と言う者が…自ら桃香様に会いたいと?」

 

愛紗は驚いていた

 

いや、彼女達皆同じ感想だった

 

なぜ、自分達だけに会おうとするのか?

 

なぜ、昨日現れなかったのか?

 

「御意にございます。

 

本当は、昨日の時点でお連れするはずでしたが、少し急用が入られたため私のみでした。

 

本日こそ、盟主様は劉備様にぜひとも、お会いしたいと申しておられます。」

 

桃香は少し考えると、顔を上げた

 

「分かりました。

 

私も、会ってお礼を言いたいです。」

 

「桃香様!

 

危険すぎます!!」

 

愛紗の説得も彼女には届かない

 

「御意。

 

それでは、直ぐにお呼びいたしましょう。」

 

葛玄は札を取り出すと、地面に置く

 

そして、それが光を放ちながら一人の男を召喚した

 

白い服に身を包むその少年は、フードを深く被り顔を隠していた

 

兵士たちは訝しげな顔で彼らを睨む

 

兵士A「嘘をつくな!」

 

兵士B「劉備様!

 

騙されてはなりません!!この者たちも黄巾党の一味に違いありません!!」

 

兵士C「殺しましょう!!」

 

新兵たちが口々に騒ぎ出した

 

そうしていると、兵士の一人の男が少年に斬りかかってきた

 

「化け物め!正体を表せ!!」

 

後ろからの攻撃だった

 

少年は動こうともしない

 

確実にやられるだろう

 

「殺った!」

 

しかし…

 

 

ガキィイイ!

 

 

その剣は葛玄の槍により止められていた

 

 

「無礼者ぉ!!!」

 

葛玄の咆哮がこだました

 

 

斬りかかった男はそのまま剣を叩き折られ、葛玄に胸倉を掴まれて宙吊りにされる

 

「ぐぅうう!!!は、離さぬか無礼者!”

 

俺様は趙雲様の副将であるぞ”!!」

 

「貴様こそ!立場を弁えよ!

 

たかが、副将如きが図に乗るでない!

 

その罪、死を持って償え!」

 

葛玄は槍を握る手に力をいれる

 

 

 

しかし…

 

「よせ。葛玄。」

 

 

少年は彼を止めた

 

「しかし…この者は!」

 

「良い。放っておけ。

 

怪しいのは本当なのだからな。

 

それよりも、俺達の目的は他にある。」

 

少年は星の方を向く

 

すると、星が近づいてきて膝を折り頭を下げる

 

 

「申し訳ありません。

 

我が部隊のものが勝手なことをいたしました…

 

主…」

 

その言葉にその場にいた全員が固まる

 

愛紗「星の主…ということは、あなた様は!?」

 

 

「…息災で何よりだよ。

 

星、そして…桃香。」

 

彼女たちは言葉を失った

 

 

 

「「か、一刀様!?」」

 

 

 

北郷一刀は再び現れてた

 

「俺が、十字義勇軍総大将…北郷一刀だ。」

 

十文字の軍団の長として…

 

つづく

 

 

 


 
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