No.197914

真・恋姫†無双‐天遣伝‐ 短編番外3

今回は、本当に短いです。

ただ、中身はかなり濃いと思います。

自分なりの、外史の捉え方の解説回でもあり、です。

2011-01-26 13:48:26 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:7084   閲覧ユーザー数:5464

 

・Caution!!・

 

この作品は、真・恋姫†無双の二次創作小説です。

 

オリジナルキャラにオリジナル設定が大量に出てくる上、ネタやパロディも多分に含む予定です。

 

また、投稿者本人が余り恋姫をやりこんでいない事もあり、原作崩壊や、キャラ崩壊を引き起こしている可能性があります。

 

ですので、そういった事が許容できない方々は、大変申し訳ございませんが、ブラウザのバックボタンを押して戻って下さい。

 

それでは、初めます。

 

 

 

 

 

前書き:今回は相当ダークな内容及び表現が混じっております。

   後、盛大な設定のネタバレです。

 

 

ある良く晴れた日。

鹿児島県薩摩川内市に存在する寺社、泰平寺。

その墓地を、一人の老人と女性が訪れていた。

 

老人は喪服のスーツを着込み、所々に白髪が混じっているものの、今尚少し茶色染みた黒髪を持ち、老人らしからぬ力強い歩を進めていた。

一方女性も老人と同じ様な喪服(此方はスカート)を着、腰程まで届く黒髪を先の方で軽く結わえた程度と、質素な格好である。

しかし、その立派な胸は隠す事等出来ずにスーツをしっかと押し上げており、細長い物を中に入れた包み「二つ」と、水を汲み入れた桶を保持していた。

 

二人は墓所の内を進み、その内の一つの前で立ち止まった。

してその墓には、『北郷家之墓』と記してあった。

 

 

「お父様、持っていて下さい」

 

「・・・あぁ、任せた」

 

「はい、任されました」

 

 

女性は老人に包みを預け、桶から柄杓で少しずつ墓を清めていく。

その様子を、老人はただ見ているのみ。

しかしその眼には、実際にはその光景を映して等おらず、全く別の箇所を見ているかの様であった。

 

そうこうしている内に清めは終わり、老人は線香とライター(一目で高いと分かる程の高級品)を取り出して、線香に火を点けて、墓前に供えた。

二人は、手を合わせて祈った。

 

 

「お父様は・・・」

 

「ん?」

 

 

女性が、ふと口を開いた。

老人は、しゃがみ込んだまま、耳を傾ける。

 

 

「何故一刀を、あれ程までに鍛えたのですか?

ここで問うべきじゃないかと、思いますが。

お母様の墓前にする毎年の報告と共に、教えて下さい」

 

 

その問いに、老人はフッと笑って、煙草を取り出した。

咥えて、火を点けようとした所で、タバコがかき消えた。

 

 

「墓所は、禁煙ですよ。

それで、答えは一体?

私が言えた義理ではありませんが、一刀は異常です。

剣術や体術のみならまだしも、弓術や槍術、挙句戦術や罠まで教える必要が何処にあったのですか!?」

 

 

女性が凄んで言う。

最も、老人はまるで柳に風とでも言わんばかりの態度だが。

 

 

「むぅ・・・まぁ、簡潔に言えば・・・・・・」

 

「簡潔に言えば・・・?」

 

 

言いながら、墓所を後にしようとする老人に、女性が追いすがる。

その語調は、強まるばかりだ。

 

 

「それ位鍛えておかねば、あいつは何時か自身の非力を悔やむ事になる。

それが理由だ、それ以上でもそれ以下でも無い」

 

「ふざけないで下さい! そんな理由で、私の、私達の愛息子に、あの拷問染みた修行を課したのですか!?

あの子は、お父様、貴方の孫でもあるのですよ!?」

 

 

女性が、老人の胸倉を掴み上げ、強く迫った。

その迫力は相当なもので、何かで慣らしておかなければ、気を失ってもおかしくは無い程の気当たりを放っていた。

だが、老人は全く意に介した様子もなく、女性の手を外す。

そして、女性よりも更に強い語調で言い放った。

 

 

「分かるんだ、何故なら俺がそうだったのだから、一刀も必ずそうなる」

 

「・・・っ!?」

 

 

恐ろしい眼光に射竦められ、女性は二の句が告げられなくなる。

老人の眼に宿っていた凄まじい力に、抵抗する事が出来なかった。

 

今度こそ墓所を後にする老人の背中に女性は何を言う事も出来ず、実家に帰るまで終始無言であり続けた。

 

老人―北郷剣菱と、女性―北郷愛香。

たった今、外史で必死に戦っている北郷一刀の実の祖父と実母である。

 

 

 

 

 

真・恋姫†無双

―天遣伝―

短編番外「タネアカシ/絶望を希望に変える為に」

 

 

北郷家の実家。

然程大きくなく、されとて小さいとも言えず、家に直接繋がる剣道場を含めれば豪邸とも言え、それでいて庭も広く、庭木として植えられた見事な桜の大樹が素晴らしいので人気は高い。

毎年の春には、花見をさせてくれと頼みに来る人が続出する。

そんな家が、北郷剣菱の棲家である。

 

夜、剣菱は縁側で胡坐をかきながら、一人晩酌をしていた。

普段は自制して酒を飲まない様に心掛けているのだが、今夜は余りにも見事な満月であったので、つい秘蔵品を引っ張り出してしまった。

 

 

「駄目だなぁ・・・どんどん老いて行くのが分かる」

 

 

自嘲するように一人ごち、杯を傾ける。

その姿はとても様になっており、まるで大河ドラマのワンシーンかと錯覚する程だ。

 

最後の一杯までを飲み切り、今度は煙草を取り出した。

昔は、それ程興味は無かったのだが。

いざ吸い始めてみると、止まらなくなってしまった。

これまた情けないと思ってしまう事だ。

 

 

“チンッ”

 

「スゥ~~~、ホゥ」

 

 

昼間も使ったライターで火を点け、一気に吸い込んでから吐く。

そのまま指で摘み、煙を夜空へと立ち昇らせた。

雲一つない夜空に浮かぶ満月に煙がかかり、これまた幻想的で美しい景色となる。

それを見て、剣菱は満足気に笑みを浮かべた。

 

暫しの間景色と煙草に酔う。

そしてふと気が付いた。

何時の間にやら、自分が泣いている事に。

 

 

「あぁ、そうか。

ハハッ、まるで『あの時』なんだ」

 

 

満月を見上げ、酒を片手に語らう。

ただ違うのは、場所と・・・・・・剣菱はふと傍らを見やった。

 

 

『ふふ。私は惚れた男をみすみす手放すほど、甘い女ではありませんよ?』

 

 

そう、昔、そう言ってくれた愛しい人がいない事。

剣菱の瞳から、遂に大粒の涙が零れ落ちる。

 

 

「ぐっ、うっ、おぉ・・・・・・」

 

 

護りたかった、愛していた、大切にしたかった。

けどそれは、最早遥か那由多の彼方に過ぎ去ってしまった、過去。

 

今でも忘れず、一言一句違わず思い出せる思い出達。

だが、それを真であったと確認できる方法が無い。

 

 

「弱い! ・・・・・・俺は、こんなにも、弱い!!

振り切れない。

どう足掻いても、分かり切っている事なのに」

 

 

家に上がり、仏壇へと行く。

 

 

「此処でも、愛し、愛してくれた者はいる。

だがお前は、認めてくれるのだろうか?

なぁ、春恋・・・・・・」

 

 

仏壇に飾られた写真に、語りかける。

写真の中では、老いて尚美しさを欠片も失わぬ黒髪の美女が微笑んでいた。

 

その時気付いた。

世界が、静か過ぎる事に。

 

剣菱は、涙を振り払い、床の間に飾っておいた鞘入りの日本刀を手に取る。

視線を巡らす。

そして。

 

 

「死ね!!」

 

「・・・・・・っ!!!」

 

“ガキィン!!!”

 

 

明かりの落ちた内から襲い掛かって来た『蹴り』と、抜き放たれた刀が激突した。

 

 

 

 

 

“ガキィン!!!”

 

 

脚足と刀の激突にあるまじき、高い金属音が響き、余波で畳が一気にささくれ立ち、障子や襖が破れる。

その渦中は、愛刀『破戒』を持つ北郷剣菱。

そして、へんちきりんな服を着込み、殺意に血走った目で剣菱を睨む優男。

時分が良ければ色男と言えたであろう。

二人は、数瞬の拮抗の後、互いに後方へと飛び退いた。

 

男の奥歯が強く噛み締められる。

その強さは半端ではない。

実際に、剣菱の所まで“ギリッ”と言う噛み締めた音が聞こえたのだから。

 

 

「・・・やれやれ全く、久し振りの再会かと思えば、物騒だな。

お前の所為で家が傷付いたぞ、どうしてくれる。

賠償請求は、仙界とやらにでもすればいいのか?」

 

「貴ッッッ様ァ!!!」

 

「おいおい、折角再度出会えたんだ。

此処は感動の再会みたいに、ハグでもするか?」

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

剣菱の言葉に激昂し、男は更にキレを増した蹴りの連撃で襲い掛かって来る。

だが、剣菱は流れる舞の様な動きでそれを躱していく。

 

 

「ふざけてなんかいないって・・・・・・俺の過去の記憶を是か否か、分かるのは実際お前等だけなんだ。

それに、あの時分からなかったお前等の気持ちの千分の一程度は分かった気がするから、さっ!!」

 

「ぐぬっ!」

 

 

一瞬で身体を沈め、上半身へと鋭い刺突を放つと同時に、軸足への足払いを仕掛ける。

普通ならば、刺突を躱そうとすれば転ばされ、足払いを躱そうとすれば貫かれる。

が、男は普通では無かった。

 

身体を縮めて跳躍し、右側へと回転しながら飛ぶ事で、剣菱の間合いから飛び退いてみせた。

それに対し、剣菱が送ったもの、それは。

 

 

「お美事、今だからこそ理解出来る。

お前のその武の力強さ、そして巧みさを。

純粋に、尊敬に値する」

 

 

惜しみない称賛であった。

だが、男からしてみれば違う。

挑発、もしくはそれに準ずる侮辱にしか聞こえなかった。

故にもう一度襲い掛かろうとした所で。

 

 

「はいはい、ストップストップ。

左慈、気持ちは分かりますが、今の目的はそれじゃないでしょう?」

 

 

暗闇の中から現れた、男―左慈と似た様な服に身を包んだ黒髪眼鏡の男。

剣菱は左慈がいた時点で、この眼鏡の男がいる事を確信していたので、全く驚いてはいなかった。

だから、破戒を鞘に仕舞った。

 

 

「いやぁ、しかし。

貴方、随分と良い男になりましたねー。

北郷一刀」

 

 

そしてすぐに抜いた。

 

 

 

 

 

「あはは、嫌ですねぇ。

冗談に決まってるじゃないですか。

私、左慈一筋ですよ?」

 

「あぁ、安心した・・・やっぱお前はそうでなくちゃな、于吉」

 

「お褒めに預かり恐悦至極。

おや、このお茶渋くて美味しいですね」

 

「静岡原産の一級の深蒸し茶だ、良ければ茶葉を分けてやるぞ」

 

「それはそれは、是非とも頂きたい」

 

「色々と待て!?」

 

 

眼鏡の男―于吉と一頻り会話してから、剣菱は茶を口に含んだ。

その後、三人揃って居間で茶を飲んでいる(約一命除く)所である。

因みに、ボロボロになった箇所は、于吉が『帰』とか言う術で戻した。

 

 

「それで、一体何の用だ?

俺は正史の存在だから、お前等は手を出せない筈だろ?」

 

「ええ、その通り。

色々と言いたい事はあるんですが、核心を言います。

『北郷一刀』が外史を構築しました」

 

「・・・・・・そいつは大変だ」

 

「何を言う! 貴様が手引きしたんだろうが!」

 

「どうやって?」

 

「貴様、しらばっくれるか!?」

 

 

卓袱台を引っくり返しかねない勢いで、剣菱に詰め寄る左慈。

ドウドウと宥める于吉の御蔭か、左慈は何とか止まった。

 

 

「・・・・・・嘘は止めよう、その通りだ」

 

「でしょうねぇ・・・やっぱりですか。

貴方、外史と正史の違いを完全に理解していますね?」

 

「ああ、俺は今まで、正史とは【極一般的に知られる歴史の流れそのもの】だと信じて疑わなかった。

だが、そいつは誤りだ。

本来の正史とは、【昔、今、そして未来にかけて、『起こることが既に決まっている事象』そのもの】の事。

そしてだからこそ、正史の忠実な配下であるお前達は、外史を起こす存在である『俺』を事前に消す事が出来ない、違うか?」

 

 

剣菱の問い質す言葉に、左慈は言葉に詰まり、于吉は感嘆した様に息を吐いた。

 

 

「ええ、合っていますよ。

【聖フランチェスカ学園二年生の北郷一刀が三国外史を起こす切欠になる】。

これ自体は、既に正史全体の本流によって確実に決定づけられてしまった事です。

最も確定してしまった原因は、貴方が一度目の外史に入り込んでしまったからなのですが。

・・・成程、無限に近しいループは伊達では無かったと言う事ですか」

 

「あぁ、最も気が狂いそうに・・・いや、狂ってしまったんだろうな。

よもや、自分の孫に『昔の俺』をなぞらせるとは、人の親のする所業じゃないよ」

 

「・・・ふん、忌々しい奴め。

そんな事を言いながら、顔は笑っているぞ」

 

 

左慈の指摘通り、剣菱の表情は笑っていた。

思わず左慈も引く程、その笑顔は闇を纏っていた。

 

 

「・・・・・・お前等、お前等は何回死んだ経験がある?」

 

「私は、4回程度ですかね」

 

「・・・7回だ」

 

 

それを聞き、剣菱はククッと籠った笑いを零した。

 

 

「俺は、覚えているだけでも【1339回】だ」

 

 

左慈と于吉が息を飲んだ。

 

 

「しかも、その殆どは終端に至らなかったものだ。

想像出来るか? 地獄の底なんて目じゃないぞ。

一度毎に記憶がリセットされる時もあれば、されない時もある。

自殺こそはしなかったものの、別の記憶では本気で愛し合っていた筈の相手が、別の記憶では憎悪と殺意に目を血走らせて、俺を殺してやるって吼えながら襲って来るんだぞ?

金棒でペシャンコにされて、川に突き落とされて溺れ、馬に轢かれ、全身を生きたまま細切れにされ、男色趣味の賊に凌辱された末に、毒矢で射られその毒で、流行り病で、身体中に火傷を負って、首を掻っ切られて失血して、部下の実験に付き合って実験装置毎爆散して、戦場で全身を槍で貫かれて、配下に裏切られ、茶に毒を入れられ、真名の意味を知らずにそのままだなんて事もあったな、その他諸々・・・・・・想いを通すだけの力が無い、それは罪だった。

俺が本来旅立った筈の時間から外れ、過去へと戻って来たのは、きっと『戻れない』って思ったからなんだろうな、と思うよ。

そして、俺は計画を一つ立てた。

精神は異常を来していたし、この計画を遂行する為には、俺は『北郷一刀』であってはいけない。

だから、偽名として『剣菱』を名乗り、記憶喪失の振りをして北郷の家に入り込んだのさ。

打算で春恋に近付いたし、恋仲になるのも予想済みだった。

唯一の誤算は、俺も春恋を本気で愛するようになってしまった事だけだ。

そして、『一刀』が生まれてからが、俺の計画の本筋の始まり。

俺はその頃には既に『北郷剣菱』として、様々な業を会得していた。

ま、当然と言っちゃ当然さ、千回以上もの戦乱をループし続け、その記憶全てを有していれば、簡単過ぎる。

そして、俺の総てを、俺が望む【天の御遣い】として理想像を、子供の頃から孫に投影したのさ。

後は、高校になったら聖フランチェスカ学園に通わせ、時が来れば外史の突端は開かれる。

これが、俺の計画の全容だ」

 

 

そこまで言い、剣菱はすっかり冷めてしまった茶を啜った。

重苦しい空気が流れる。

 

 

「分かりました・・・それでは、さようならです。

もう二度と、会う事は無いでしょう」

 

「・・・・・・ふん、堕ちたものだ。

貴様は既に、北郷一刀では無い」

 

「だから、俺は北郷剣菱だ。

もう、それ以上でもそれ以下でも無いのさ。

北郷剣菱は、我が孫に修羅の道を歩ませようとする最低野郎。

しかも、その咎を受けようともしない、鬼畜外道さ」

 

「行きましょう、左慈。

それでは北郷剣菱殿、どうか良き余生を・・・・・・」

 

 

そう言って、二人はいなくなった。

剣菱の頬を、涙が伝う。

仏壇に置かれた写真の中の春恋は、変わらず微笑んだままだった・・・・・・

 

 

 

 

 

北郷邸を後にし、即本来の塒に戻った、道士、そして仙人とも言われる二人だが、今はただ座しているのみだ。

左慈は、先程からイライラが止まらなかった。

北郷一刀の事は、多少なりとも認めていただけに、あのように堕落した姿は見るに堪えなかった。

だが、それを怒るよりも先に。

 

 

「おい于吉、『二人目』が作った外史への道は出来たか?」

 

 

自身の役割をはっきりと理解し、それを成す為に行動するのみだ。

 

 

「駄目ですねぇ・・・綺麗サッパリ道筋が断たれています。

こんな事は初めてですよ。

先代・・・いえ、剣菱がループに突入した際も追えず仕舞いでしたが、あの時は乱立する外史の大海に溺れる危険があっただけですし」

 

「今度の奴は、そもそも外史そのものが見当たらんと言う事か?」

 

「えぇ、そうなりますね。

隠している感じは無いのですが、何処にも『北郷一刀』と言うファクターを確認できません」

 

 

左慈は、考え込む。

于吉は絶えず新たな道筋の可能性を探し、それを見付けようとする。

だが、見付からない。

そこで、左慈の脳裏に、ある可能性が過ぎった。

 

 

「于吉、外史が見付からん可能性、一つあるぞ」

 

「何でしょう?」

 

 

于吉が首を傾げつつ聞く。

左慈は、苦々しい表情で答えた。

 

 

「陳寿の仕業だ」

 

「まさか! 絶対的中庸者である陳寿が!?」

 

「だが、他に可能性が思い付かん。

奴の【正史補完】ならば、一時的に外史を正史の一部として隠蔽出来る」

 

「確かに、私達の術は宝貝を利用しない限り、外史でしか使えない・・・盲点でした。

しかも、それが分かった所で、私達には過去へと飛ぶ手段が無い・・・・・・」

 

「くそっ!! それさえ理解して、あの野郎内側から俺達を締め出したんだ!!」

 

「陳寿が己の使命を越えた行動を取り始めるとは。

まさかこれも、北郷剣菱の策略なのでしょうか?」

 

「いいや、恐らく今度の北郷一刀のイレギュラー性だ。

ちぃっ、所や人が変わっても、相変わらず北郷は厄介な奴だ!」

 

 

そう言って、左慈は座り込む。

于吉も、溜息を吐かざるを得ない。

 

 

「全く、歴史の観測者、正史の番人が何と言う事を。

私達は此処で立ち往生するしかないとは・・・」

 

 

首を振って、やれやれと呟く。

愚痴しか言えない自分に、堪らない嫌気が指しながらも、何とかして一刀のいる外史への道を模索し始める。

 

 

「・・・そう言えば、正史の本流に近い場所に外史があると言う事は、過去に対する知識を持っている人間はその力を妨げられる筈。

そう考えると、放っておいても問題無く外史は正史に呑まれて消滅する可能性も・・・と言う、期待感を持たせる気かも知れませんね・・・・・・やれやれ全く」

 

 

溜息をもう一つ吐き、于吉は作業に戻った。

 

 

 

 

短編番外:了

 

 

 

 

 

オリジナルキャラ紹介

 

 

名前:北郷剣菱

真名:一刀

武器:破戒

設定:北郷一刀の実の祖父であり、無印、真・全ルート、萌将伝+etcの世界を廻り廻り、遂に元の世界への帰還を果たした、『過去の北郷一刀』本人。

  文中で語った様に、北郷家の一人娘・春恋と結婚して婿養子となり、後に生まれてくる孫に『一刀』と名付けて、鍛え上げた。

  1339回と言う驚異のループ数を持つが、記憶しているだけなので、実際にはもっと多くのループを経験している可能性あり。

  ループ中で覚えた技術や、現代に帰って来て鍛え直した剣術、槍術、弓術、拳法等の総てを操って戦う。

  現時点で既に60を超える歳だが、まだまだ恐ろしく強い。

  一刀からは慕われているが、剣菱自身はそんな価値は自分には無いと諦め切っている。

  度重なるループの末に、人格と精神に余り目立たないが、倫理観の欠如の異常を来している。

  具体的に言えば、振り返り悔みはするが、直そうと等はしない。

  愛刀の破戒は、剣菱自身が打ち上げた刀。

  剣菱の恋姫達への愛情(本人曰く劣情であり怨念)が籠っているらしい。

 

 

名前:北郷春恋

設定:北郷剣菱の妻であり、一刀の実の祖母。

  実は愛紗そっくりの容姿をした美人。

  剣菱は、彼女を利用する気だったが、気付かぬ内に本気で愛してしまった程、女性として出来た人。

  凄まじい薙刀の腕前を持っていたが、生まれ付いて病弱であった為、後述する愛香を生んだ時に一気に体調を崩し、十年近い闘病生活の末何とか快癒するが、既に命の殆どを使い切っており、最後は剣菱に抱き締められながら眠る様に逝くというドラマのラストシーンが如き死を迎えた。

  スタイル抜群で、良人を立て、家事も抜群に上手い、おっとりとした女性。

  一から百まで事実を言っても、「美化し過ぎだ」と言われる程の完璧超人だった。

 

 

名前:北郷愛香

武器:曙

設定:北郷一刀の実母、パートタイマー。

  夫は婿養子で、単身赴任中で大学の歴史教授をしている。

  一刀と同じく剣術、特に居合の達人。

  愛刀の曙は、一刀の愛刀の暁の姉妹刀。

  最も、一刀は愛香が戦う所を見た事が無い。

  凄まじい電卓の早打ち能力を持っている。

  一刀の事を溺愛しており、一々世話を焼こうとする為、一刀の聖フランチェスカ学園入学を決意させる切欠となっている。

 

 

 

 

 

後書きの様なもの

 

こんにちわー。

今回は壮大なネタバレが色々とある短編番外です。

何故、こんなタイミングで出したかと言うと・・・徐々に明らかになって行くのより、これからの話を膨れ上がらせる方が良いと判断したからです。

 

まぁ、異論はあると思いますが、どうか御容赦下さい(土下座)

 

コメ返し

 

 

・poyy様:伝えられたのならば、幸いです。

 

・scotch様:はい、今回は短いので、あっさり出来ました。 内容は全然あっさりではないですが。

 

・F97様:信頼と愛です、愛。 後、応援ありがとうございます!

 

・2828様:いいえ、「たとい」も「例え」も意味は同じなんですよ。 完結までは続ける気でいます。 鴉羽は、無痛症と言うよりも、「理解出来ない」→「ならば意味無し」と言う風に、肉体を完全に精神の支配下に置いているだけです。

 

・ヒトヤ犬様:えぇ・・・まさか、見破られるとは思わなんだ。 最も、胸はこっちが圧倒的なのですが!

 

・悠なるかな様:連合は組まれます。 何故そうなるかの種明かしは、本編の方で。

 

・ポセン様:両方にそれぞれ味方は現れます。 華蘭は断腸の思いで従ってます。

 

・はりまえ様:鴉羽は、高く積んでから壊す、を実践しようとする性悪です。

 

・nameneko様:無理です、華蘭は曹嵩さんに絶対の忠義を誓ってますんで。

 

・O-kana様:はい、頑張ります!!

 

・下ネタ様:もうしばしお待ちを!!

 

・瓜月様:鴉羽の中身は相当残酷でまっ黒けなんで、絡むとマジでヤバいです。

 

 

それでは、次回は本編でお会いしましょう!

 

 

 


 
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