No.197428

~魏志恋姫伝~16

SekiToさん

今回は汜水関攻略前日ってとこらへんです。

2011-01-23 16:34:15 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4110   閲覧ユーザー数:3037

第6話 汜水関の戦い 中編

「さて言い訳を聞きましょうか?袁本初。」

 

そう言いつつ蓮葉こと孫堅は南海覇王を袁紹にむけた。

袁紹は蓮葉から放たれる殺気に完全に萎縮してしまっていた。

 

「な、何の事でしょう?」

「忘れたのかしら?兵糧の件よ。こちらに兵糧を提供してくれるって。」

「わ、私はち、ちゃんと送るように指示しましたわ。そ、そうですわ。輸送隊の隊長が勝手にした事ですわ。そうに決まってますわ。」

 

実際は周愉が既に袁紹が輸送中止を命じていた事を知らべていた。

あからさまな嘘に怒りが込み上げてきた。

ただ自分が名を売りたいが為に自軍は半数の兵を失ったのだ。怒りを覚えないはずが無いのだ。

しかし、蓮葉は上に立つものとして私情で盟友を裏切るわけにはいかない。

感情を殺し南海覇王を収めた。

 

「なるほど、自分の兵もまともに使えない無能なのは良く分かったわ。」

「わ、私が無能ですって?」

「そうよ。自軍の兵も満足に使えないのなら無能よ。この乱世ではね。」

 

袁紹は蓮葉に何か言い返そうとしたが、強さを増した殺気に結局なにも声に出せなかった。

 

「あと最後に、次に無能をさらして我が軍に被害が出たらこの連合軍を抜けるわ。これはおそらく曹操や公孫賛、おそらく馬超も視野に入れてると思ったほうが良いわよ?じゃあ、言いたいことは言ったから。」

 

そう言うと蓮葉は天幕を出て行った。

残された袁紹は重く刺されたと錯覚するほどの殺気から開放され床に崩れ落ちた。

そして、その視線はただ去っていった蓮葉を見る事しかできなかった。なにも反論できなかった。

 

「この私が・・・・袁家の・・・この袁本初が・・・。」

 

袁紹は悔しさに拳を強く握った。

 

天幕から出た蓮葉は、袁家の陣を出ると真っ暗闇に向かって声をかけた。

 

「そろそろ出てきても良いんじゃない?」

「こんばんは。」

 

闇から出てきた影を篝火が照らす。

篝火に照らされポリエステル製の白い服が輝く。

 

「貴方は確か魏の御使い君だったかしら?」

「ええ。改めまして北郷一刀と申します。」

「ふーん。中々いい男じゃない。どう私の夫か娘の婿に来る気はない?」

「嬉しい申し出ではありますが、我が主は寂しがり屋な女の子なのでね。正直、可愛い女の子に泣かれるのは困りますからね。」

 

蓮葉は自分の冗談に飄々と返す一刀の目的が解せなかった。

はっきり言って今の孫堅軍は元々の半分にまで兵を減らしている。

共同戦線を張るにしても相手方にメリットがあるようには思えない。

兵を借りるにしても袁家は無理だろう。孫堅軍の兵と比べ錬度が低く使い物にならない。

公孫賛、馬超は主に騎兵なので却下、曹操は利子が高そうで簡単には借りたくは無い。

 

「私は江東の虎がどのような人物なのかを知りたかった。唯それだけです。」

「そう。じゃあ貴方から見て私はどう映ってるのかしら?」

「とても素敵な女性ですよ。」

 

蓮葉の問いに一刀は軽く受け流す。

その答えに蓮葉はため息をつき両手を挙げた。

 

「もう、降参。腹の探りあいなんて、私には無理だわ。」

「でしょうね。貴方は直ぐに顔に出ますから。それに商談なら真っ先に周愉殿のところに行きますから。」

「笑顔で言われると、お姉さん傷ついちゃうな。」

「では、お詫びのしるしに。」

 

そう言うと一刀は、蓮葉の腰に手を当て一気に抱き寄せた。

さすがの蓮葉もいきなりの行動に慌てる。

しかし、一刀は慌てる蓮葉のあごに手を添えて強制的に目を合わせる。

蓮葉は借りてきた猫のように静かになり、腕の中に納まった。

一刀はあごに添えていた手を離し、制服のうちポケットから龍と鳳凰の刺繍がされたお守りみたいなものを取り出した

手に簡単に収まる程度の大きさのそれを蓮葉の豊満な胸の谷間に押し込んだ。

そして蓮葉を抱きしめそっと耳元でささやく。

 

「中身は必ず人払いをしてから見てください。孫呉の未来が掛かってますから、細心の注意を払ってください。」

 

蓮葉は顔を朱に染めコクコクと頷き自分の陣に帰っていた。

一刀はその様子に思わず笑みをこぼす。

 

「これで、呉がどう動くかな?」

 

と、独り言をこぼし、現れたときと同様掻き消えるように闇に溶け込んだ。

 

蓮葉は呉陣営につくと雪蓮、祭、冥琳、明命、思春を呼び出した。

人払いをして、明命、思春を天幕の外で見張りをさせた。

 

「どうしたのじゃ、蓮葉。こんな時間に?」

「それが、何から話していいのか分かんないのよ。」

「孫堅様、とりあえず落ち着いてください。」

 

冥琳の言葉にゆっくりと深呼吸する蓮葉。

しかし

 

「もしかして、母様。男でも出来たの?」

 

娘の雪蓮の言葉に真っ赤になる。

 

「ち、違う。確かにいい男だったけど。いや、そうじゃなくてこれよ。」

 

そう言うと一刀からもらったお守りみたいなものを机の上においた。

紐を解いて中身を取り出すと、金色の直方体。上に龍を模った立派な装飾。

裏面を見ると四角いふちに、鏡文字。

 

「これ、もしかして玉璽かしら?」

「孫堅様。もしかしなくても玉璽です。」

「「「「・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

天幕の中に沈黙が訪れ、夜更けにもかかわらず騒ぎ立てる。

 

「ねぇ、祭。何でこんなところに玉璽があるの?」

「わしが知る分けなかろう。」

「冥琳これがあれば皇帝?私が皇帝?」

「雪蓮。現実に戻って来い。第一皇帝はまだ生きてらっしゃる。皇帝を名乗るのなら、もう少し呉が力をためてからにしてくれ。今のままじゃ、諸侯に袋叩きにされるのがオチだ。」

「って冥琳が現実を見ているようで、見ていないじゃない。第一それって反逆じゃない。」

 

皆が現実逃避から帰ってくるまで数刻を要した。

袋の中に一刀からの手紙が入っているのを祭が気付き読み上げた。

十常侍が粛清される前に隠したものである事。

それを偶々井戸で発見した事。

これから先、孫呉の未来に必要になるから譲渡するとの事。

などとか記するされていた。

 

「孫呉の未来に必要ってどういう意味かしら?」

「先読みに秀でてると言うことでしょうか?」

「さぁ、あ奴の力量は測りきれん。武にしても、知にしてもじゃ。」

「まぁ、北郷の監視をしたほうが良いんじゃないの?」

「なに雪蓮。またいつもの勘?」

「そ。思春。」

「はっ!」

「北郷の監視お願いね。」

「御意。」

 

呉の方針は北郷を危険人物と判断し、甘寧に監視をさせる事にした。

しかし、蓮葉にはもう一つの感情が芽生えていた。

久しぶりに男に抱きしめられた。夫が死んでから抱きしめられた事など無かったからだ。

女としての身の昂ぶりを感じたのだ。

 

―女を捨てたつもりだったけど、女でいるのも悪くは無いわね。

 

そのときの蓮葉の目はまさしく虎であり、獲物を見つけた狩人の目だった。

皆様。明けましておめでとうございます。

え?いまさら?1月も下旬だって?

・・・・・

・・・・

・・・

・・

申し訳ないです。はい。

ただいまテスト期間で忙しいところではありますが、今年最初の投稿です。

まぁ、完成には程遠いです。だってまだ虎牢関も終わってませんからね。

ただいま第1節群雄割拠から、第2節天下三分、第3節天下統一となる予定ではありますが、

書き終える事ができるかなと心配です。

とりあえず更新速度と文才をどうにかしたい思います。

では今年もどうぞよろしく。

 

次回予告

関羽VS華雄って事で、華雄さんに死亡フラグが立ちました。

ここで

アンケートをとりたいと思います。原作キャラの死亡は有りか無しか。

皆さんの回答によって決めたいと思います。

ちなみにただいま死亡フラグが立っているのが、流琉です。 


 
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