No.195476

吹寄さんの……その4

tanakaさん

黒子ネタが書きたくなったので、足早に進みます。
なので、次かその次で吹寄さんの話は終わります。

2011-01-11 21:40:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2878   閲覧ユーザー数:2767

 さて、明日はどんな料理を上条当麻に作ってあげようかしら?

 眠りにつく前にご飯のおかずを考える。

 彼に美味しい料理を食べて欲しい。

 いつからかそんな風に考えるようになっていた。

 作り手としては、美味しく食べてもらうのは嬉しい事だし、励みになる。

 なのに……この気持ちは何なんだろう?

 上条当麻にご飯を作るのが楽しみになっている。

 美味しそうに料理を食べる上条当麻。

 それを見て微笑んでいる私。

 どうして……? 何故、私は微笑んでいるの?

 私と上条当麻はただのクラスメイトで、お金を落とした彼にご飯を作ってあげているだけ。

 それだけの関係なのに――

 

「もしかしたら私は――」

 いやいや、そんなことあるはずがないわ。

 私が上条当麻に恋をするなんて……

「あるはずがないわ」

 そうよ。上条当麻に対して私が、そんな感情を抱くわけがないわ。

 きっと疲れているのよ。

 さっさと寝ましょう。そうすれば、こんな気持ちなんてすぐに忘れるでしょう。

 

 

「いやー、本当に吹寄が作る料理は美味しいな」

「……別に褒められるような物じゃないわ」

 嬉しそうにご飯を頬張る上条当麻。

「ほんと、ずっと食べていたいくらいだ」

「甘えすぎよ」

 ただのクラスメイトにどこまで甘えるつもりなのよ。

 私は貴様の彼女でも親でもないのよ。

「ははっ。でも吹寄の彼氏になるやつが羨ましいよ」

「……え?」

「気立てもよくて、料理も上手い。そして胸も大き――」

「ふんっ!」

「いでっ!?」

「貴様から邪な空気を感じたわ」

 酷く不愉快な空気を感じた。

「じょ、冗談だったのに……」

「あまりふざけたことを言うものじゃないわ」

「わ、悪い……」

 やはり上条当麻は上条当麻ね。

 こんなやつが気になるなんて、どうかしてるわ。

 ただのお調子者のバカ。

 それだけよ。

「でもまぁ、ありがとうな吹寄」

「――きゅ、急にどうしたのよ?」

「いや、上条さんは吹寄のおかげで、飢え死にしなくて済んでるからな。お礼を言ったっていいだろ?」

「そ、そう……」

 急に真面目な顔でお礼なんて言わないでよ。

 そんな顔で真剣に言われたら――

 

「上条当麻。貴様は危険だわ」

「はぁ?」

 数々の女性を毒牙にかける。そして、自分は無自覚のまま。

 ほんと危険過ぎるわ。

 だって、こんなにも私の心を乱すのだから。

 


 
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