第4話 群雄集結
西園八校尉に任命されて約2週間ほど経ったある日、大陸中に檄文が走った。
魔王董卓の悪政により、都の民は嘆き苦しみ、その怒り恨みは天を焦がす程である。
己の政に反対するものの大粛清が行われ・・・・以下略。
一刀は、袁紹からの檄文を軽く目を通すが、あとの内容は読まずとも分かるのでそのまま桂花に渡す。
華琳の表情を伺うと案の定、檄文の内容に呆れていた。
「それでどうするんだ?檄文に答えるのか?」
「無論、答えるに決まっているだろう。華琳様が虐げられてる民を見捨てるものか!」
一刀の問いに答えたのは、横に控えていた魏武の大剣と評される夏候惇こと春蘭である。
その様子に華琳、桂花、翡翠、そして妹の秋蘭までもがため息を吐く。
「なんだ?何故私をそんな目で見る?」
「姉者は黙っててくれ。」
「う、うむ・・・。」
「そうね・・・。翡翠はどう見る?」
「実際、都では董卓が悪政を行っているとの情報はありません。大粛清の件も悪政を行っていた文官を追放しただけでしょう。」
「桂花はどう思う?」
「先生と同意見です。しかし、この先この大陸の英雄が集う機会など滅多にないと思います。ここで功績を立てられれば、華琳様の名は大陸中に広がると思います。」
「そう。・・・一刀はどう?」
「俺も参加したほうが良いと思う。華琳にも江東の虎“孫堅”、仁徳の“劉備”を見てもらいたい。」
「孫堅は良いとして。劉備?聞いたことの無い子ね?」
この言葉に反応したのは翡翠だった。
「一刀様。劉備ってもしかして、劉玄徳かしら?」
「翡翠、あなた劉備について何か知ってるの?」
「ええ、一時期私塾をしておりまして、そのときの教え子なんです。」
「どんな子なの?」
「仲間思いのとってもやさしい子ですよ。」
「いや、彼女は修羅だ。」
さすがに一刀の言葉に翡翠は怒りをあらわにする。
「一刀様とは言え、教え子を悪く言うのであれば許しませんよ?」
「あー、そう言うつもりで言ったんじゃないんだ。ただ彼女は優しすぎるから。だから修羅になるんだよ。」
このときの翡翠は己の智謀を全力で回転させても一刀の発言の意味が分からなかった。
反董卓連合に参加することが決定し、1週間が経った。
いま、華琳、一刀、桂花は反董卓連合の軍議を行われる天幕に向かっていた。
いよいよ、三国志の英雄達が此処に揃うのだ。
「おーっほっほっほ!あーら、華琳さん。遅かったですのね?みなさんあなたを待っていましたのよ?」
「そう、それはすまなかったわね。」
天幕に入るとやけに派手な鎧を着けた女性が声をかけてきた。華琳にこのような態度を取れると言うことは、おそらく彼女が袁紹だろう。
「さて、ここには初めて会う方もいらっしゃるでしょうから、まずそちらから名乗っていただけますこと?まぁ華琳さんはびりっけつですから一番最後で結構ですわよ。おーっほっほっほ!」
袁紹がそう言い終わると、天幕の一番奥にいた3人が腰を上げた。
「・・・幽州の公孫賛だ。それと、客将の趙雲。劉備だ。」
「趙雲だ。よろしく頼む。」
「劉玄徳です。よろしくお願いします。」
「劉備は義勇軍の長で、私の隊とともに動いてもらう。」
三人が座ると中ほどに座っていた女性が立ち上がる。
「涼州の馬超だ。今日は、馬騰の名代としてここに参加することになった。」
「あら、馬騰さんはいらしゃいませんの?」
「最近、西方の五胡の動きが活発でね。袁紹殿にはくれぐれもよろしくと言付かっているよ。」
「あらあら。あちらの野蛮な連中の相手にしていてはなかなか落ち着く暇もありませんわねぇ・・・。」
「・・・ああ。すまないが、よろしく頼む。」
馬超が座ると、待ってましたと言わんばかりに小さな女の子が立ち上がる。
「袁術じゃ。河南を収めておる。 まあ皆知っておろうがの!ほっほっほ!」
「私は美羽様の補佐をさせていただいてます、張勲と申します。」
二人が座ると、一番近くに座っていた女性が立ち上がる。
「私は、江東の孫堅だ。副将の黄蓋、軍師の周愉だ。よろしく頼む。」
二人は軽く礼をして座った。
「最後は私ね。・・・典軍校尉の曹操よ。こちらは我が軍師の旬イク、そして北郷よ。」
華琳が一刀の名を出したとたん視線が一刀に集まる。反応は様々だ。
「あーら。その貧相なのが、天からの遣いとかいう輩ですの?どこの下男かと思いましたわ。」
「それは申し訳ない。しかし、民草が私が天の御遣いである事を望んだのも事実なのでね。」
一刀は袁紹にカウンターで返す。
「・・・・こほん。さて、それでは・・・最後はこの私、袁本初ですわね!」
「それは皆知っているので良いのではなくて?」
「だな。有名人なんだからみんな知っているだろう。」
「そ、それはそうですけれど。」
「軍議を円滑に進めるための名乗りだろう?なら、いらないんじゃないか?」
「うぅ・・・・しかたありませわね。私は有m・・。」
一刀は、このままでは何か袁紹が言い出しそうなので勝手に進める事にした。
「さて、軍議進めます。今回の連合の総大将は檄文出した袁紹殿でかまいませんね?」
「かまわないわ。」
「私も異議は無いわ。」
「私もです。」
「まつのじゃ、妾が・・・。」
この際、袁術も邪魔になりそうなので、一刀は無視することにした。
「万場一致ですね。袁紹殿、連合軍の総大将の任受けていただけますか?」
「し、しかたありませんわね。では、僭越ながら進行はこのわたk・・・。」
「軍議の進行など私にお任せください。総大将は最後に攻撃開始の号令をお願いしたいのですよ。それまで総大将らしく、どんと構えていればいいのですよ。」
「そ、そうですわね。軍議の進行など総大将のわ・た・く・しがするほどの事ではありませんわ。」
「では、続けさせていただきます。今回、連合軍の目的は都で悪政を行っている董卓の討伐でよろしいですか?
一刀は回りに目配せをしながら諸侯が頷くのを確認し話を進める。
「次に、都まで進軍するまでの経路ですが、兵数を考え汜水関と虎牢関を抜ける街道でよろしいですか?おそらく前後の広い土地で戦闘になると思われます。」
「関所にいる将は?」
一刀に横で話を聞いていた周愉が質問してくる。
「曹仁。」
一刀が言葉を呼ぶと、いつの間にか一刀の横に言葉がいた。
周りが驚いているの無視し、言葉は続ける。
「はい。現状で分かっているのは、汜水関に華雄。虎牢関に呂布、張遼、軍師に陳宮です。」
「ありがとう。」
一刀が声を掛けると言葉は一礼し、直ぐに天幕を出て行った。
「さて、この事を踏まえ布陣を決めるのですが・・・。」
「袁紹殿、我が孫堅軍が先陣を切って汜水関を落として見せよう。」
「そうですか。では、先陣は孫堅軍でよろしいですわね。」
「別にかまわないわ。」
「私もかまわないぞ。」
「では、出陣は明日の日の出とともに行軍開始ですわ。」
「袁紹殿。先陣を勤めるにあたって、兵糧の確保、輸送をして頂けるという事で、よろしいか?」
「ええ、兵糧なんていくらでもありますもの。いくらでも贈って差し上げますわ。」
この軍議で先鋒は孫堅が勤め。その後ろを魏、公孫、劉備、袁家となった。
軍議が終わり、袁紹の天幕では袁紹と袁紹軍の二枚看板、顔良、文醜が先ほどの軍議について話し合っていた。
「しかし、姫ぇ良かったの、先陣譲っちゃって?」
「別に構いませんわ。孫堅さんが敵を疲弊させたあと、この私が一番に汜水関を抜ければ良いんですもの。おーっほっほっほ!」
「でも、麗羽様。孫堅さんも先の黄巾の戦いでも活躍した英雄ですよ?もしかしたらそのまま汜水関落とすかも知れませんよ?」
「それは、駄目ですわよ!汜水関を一番に抜けるのはこの袁・本・初ですわ。文醜さん輸送部隊の隊長に兵糧の輸送を止めてくるように言ってきなさい。」
「ほーい。」
やる気ない返事をして文醜は天幕を出て行く。
麗羽のこの行動にさすが顔良も声を上げる。
「麗羽様、流石にそれはまずいです。兵糧を送ると約束したんですから。」
「そんなのこの私を出し抜こうなど考える孫堅さんが悪いんですの。」
麗羽は勝手な責任転嫁し、顔良をおいてそそくさと寝台に向かった。
この行動が連合の大きな足枷となる事をまだ袁紹はまだ気付いていなかった。
どうもセキトです。最近小説の更新が遅れ気味になっております。
お気に入りに登録してくださった皆様のためにも更新速度を速めて生きたいと思います。
次の話でshirou様からいただいた孫堅の真名”蓮葉”を使わせていただきました。
shirou様ありがとうございました。
今回も作品に感想を下さったユーザーの皆様まとめての返信でごめんなさい。
nameneko様、サイト様、ryu様、FALANDIA様、ヒトヤ犬様、十狼佐様、コメントありがとうございました。これからも~魏志恋姫伝~よろしくお願いします。
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~魏志恋姫伝~完結成就の為に。TINAMIよ、私は帰ってきた。ってこのネタ前にもやったな↓↓
どもSekiTOです。