ムーンガーディアン。いくとの渾名だった。
彼がこんな渾名で呼ばれている理由ってのは・・・。
「ちくしょー!天使が鼻の先だというのに、近づく事すら出来ないだなんて!」
「うおおお!我々は祝福のような彼女の笑顔がゆるされないのかああああ!!」
そう。こいつらが原因で、皆奏にちょっかい出して失敗した、哀れな連中だった。
「ガーディアン!光月いくとさえ居なければ!」
失敗の原因は全ていくとだったのだ。勿論、彼にも考えはある。彼が防いだ奴らは奏にちょっかい出しすぎたあまりに、彼女を困らせた者たちのみだった。そうやって奏を困らせる奴らを片付けたあげく、いくとは「ムーンガーディアン」、奏は「ムーンプリンセス」という渾名が得たれたのであった。
理由はどうであれ、時間が経つに伴い、奏にからむ男たちはどんどん減って行き、奏は安心して学校に通う事ができるようになった。で、その結果この様な可笑しくもない風景が描かれるようになったのだ。
「何してるの、あの子たち。」
教師席の真ん中、白いガウンを着た若い女性は奏といくとの周りの様子を見ては眉毛がかなり揺れてしまう。
縁説はいつか、理事長に代わっていた。
***
入学式は割と簡単に終った。入学式が終った後の小月高は学生とその親たちのおしゃべりで学内いっぱいだった。
「あ、父ちゃん!!ここだよ~」
相手を先に見つけた奏が手を振って呼び始めた。それを聴いてからになって兄妹を発見した彼は笑顔いっぱいになって手を振った。光月弘人。双子の兄妹の父であり、町内で小さな道場を運営する館長だった。
穏やかな笑顔から感じられる威厳と貫禄は周りを圧倒する程強い。この日以来、奏に対した新たな噂ができると同時に、彼女に接近する男子の数が減ったと言われている。勿論、その噂の原因が父にあったという事は知らない兄妹出会った。
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遅くなりました。
ごめんなさい。
プロローグは三つに分けましたので楽しんでくださいね。