No.186244

真・恋姫†無双~天より来たりし戦士~ 第5話

マーチさん


思いつき。

片手でやったので、誤字脱字があるかも。

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2010-11-23 22:46:25 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4557   閲覧ユーザー数:3497

 

 

 

 

 

 

とある村にて。

 

 

ここでは、盗賊団が宴を開いていた。

 

 

 

「がはははは!!今日は大収穫だぜ!!」

 

 

「おい、そこの女つれて来い!」

 

 

 

この村は賊に占領されたのだろう。

 

 

村のいたるところに死体が転がり、わずかな生き残りはみんな拘束されている。

 

 

 

「つれて来たぜぇ!!へへへ、イイ体つきじゃねぇか・・・・。」

 

 

「やっ・・・・!!」

 

 

 

盗賊達は女性の服を引き裂く。

 

 

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

「た~っぷり可愛がってやるぜぇ!」

 

 

 

己の欲を満たそうと、盗賊達は女性に群がる。

 

 

 

すると、その時

 

 

 

《タァン!!》

 

 

 

「ガッ!!」

 

 

 

賊の一人が血を噴き出して絶命した。

 

 

 

 

《タタタタタ!!!タタタタタ!!》

 

 

 

何処からともなく響き渡る、『死を招く音』。

 

 

賊たちは、次々と絶命していく。

 

 

 

 

「クソッタレ!!何だってんだ!?」

 

 

 

《タァン!タタタタタァン!!》

 

 

 

「ぐ・・・あ・・・・」

 

 

 

『死の音』が、夕焼け色に染まった広大な荒野に響き渡る。

 

 

そして、噴き出した血が、乾いた大地に吸い取られる。

 

 

 

 

「はぁっ・・・・はぁっ・・・・な、何が起こったの??」

 

 

 

気が付くと、女性の近くにいた盗賊達は、みな絶命していた。

 

 

やがて、一人の男が姿を現した。

 

 

 

「ったく・・・・里緒の時といい、盗賊ってのはみんな発情してんのか??」

 

 

 

 

その男は、右手には黒く輝く『何か』を持ち、辺りを見回している。

 

 

 

 

「はぁっ・・・・はぁっ・・・・・・だ、誰??」

 

 

 

 

女性はガタガタと震えながら問いかける。

 

 

男は盗賊が持っていた一振りの短剣を手に取り、彼女の手足を縛る縄をブチブチと斬っていく。

 

 

 

 

「俺は北郷一刀。ただの通りすがりの・・・・・あー・・・・・『天の御使い』だ。」

 

 

 

「天の・・・・・御使い・・・・?」

 

 

 

 

時を同じく、ここは『水鏡女学院』。

 

 

多くの少女が、ここで学問を学んでいる。

 

 

その生徒の中に、一人の少女がいた。

 

 

 

「―――ちゃ~ん!!」

 

 

「あ、孔明さん。どうかしましたか?」

 

 

 

その少女は、自分を呼ぶ声に振り返る。

 

 

 

「みんながね、『あのお話』を聞きたいって!!」

 

 

「あ、ちょっ・・・・・!」

 

 

 

手を引っ張られ、ある部屋に案内される。

 

 

すると、部屋の中には十数人の生徒が座って待っていた。

 

 

 

「あ、元直さんだ!」

 

 

「元直ちゃん、『あのお話』聞かせて!!」

 

 

「お願い!里緒ちゃん!!」

 

 

 

 

元直、もとい里緒は、女学院で学問に励んでいたのだ。

 

 

ある人との『約束』を果たすとき、少しでも立派に成長した自分を見せるために。

 

 

その『約束』の証である帽子を、里緒は毎日かぶっている。

 

 

が、彼女にはサイズが合わないのか、帽子は常に斜めにズレている。

 

 

今度会うときは、せめてこの帽子がしっかり被れるくらいに成長したい、というのが里緒の目標でもある。

 

 

 

 

「わかりました。」

 

 

里緒はコホン。と咳払いをしてから、ゆっくりと語りだす。

 

 

 

「夜、星を眺めていたときの事でした。私が『天の御使い』と出逢ったのは――――。」

 

 

 

 

 

そして、その話は風に乗り、大陸各地に広がっていくこととなった。

 

 

 

 

 

 

数週間後、とある街。

 

 

 

 

「おい、聞いたか。『天の御使い』の話。」

 

 

「ああ、この国のどこかにいるらしいな。」

 

 

「アレらしいぞ。此間も一人で盗賊団を壊滅させたとか―――。」

 

 

「(・・・・俺のことか?)」

 

 

 

『天の御使い』の話で盛り上がっている人たちの横に、『本人』が立っている。

 

 

なんとも不思議な光景だ。

 

 

 

 

「・・・・・・なんか有名になってきたな。(ボソッ)」

 

 

 

 

街のどこに行っても、必ず誰かが『天の御使い』の話をしている状態になっていた。

 

 

これだけ有名になると、バレた時すごい事になるのでは・・・・と、ふと考えてしまうほどだ。

 

 

 

「う~ん・・・・・まぁ、刃こぼれもあんまりしてねぇし、鍛え直せば売り物になりそうだ。よし、買い取ってやる。」

 

 

「おう、ありがとな。」

 

 

 

 

一刀は武具店で、武器を買い取ってもらっていた。

 

 

盗賊の使っていた武器の中で、保存状態の良いモノだけを回収し、それを売ることで路銀を稼いでいる。

 

 

生活をするには、多少なり金がいるのだ。

 

 

 

 

「・・・・さて、メシでも食いに行くか。」

 

 

 

武具店を出た一刀は、近くの飲食店に入った。

 

 

 

 

 

「へい、ラーメンお待ち!」

 

 

「いただきまーす。」

 

 

 

出されたラーメンをズルズル・・・食べる。

 

 

 

「(・・・・やっぱ日本のラーメンとなんか違うな。)」

 

 

 

祖国のそれと比較しつつ、黙々と麺を啜っていく。

 

 

すると、突然店の扉が勢いよく開き、4人の男がズカズカと入ってくる。

 

 

 

「俺は『天の御使い』である!!」

 

 

 

入店した中で一番の大男が発した言葉に、店員と客が大騒ぎする。

 

 

その大男は、全身真っ赤な服装で、腕や頬に刺青をしていた。

 

 

 

「あれが、『天の御使い』・・・・。」

 

 

「でけぇ・・・・。」

 

 

「なんか風格あるなぁ・・・・」

 

 

 

ザワつく様子を見た大男達ご一行は満足そうに笑みを浮かべる。

 

 

そして、店員がヘコヘコした態度で接客を始める。

 

 

 

「よ、ようこそいらっしゃいました・・・・。あの、こちらへどうぞ。」

 

 

 

 

その様子を、一刀は興味なさ気に、横目で見る。

 

 

 

「あ、あの・・・・ご注文は?」

 

 

「上等な酒を持って来い。」

 

 

「へ、へぇ・・・。」

 

 

 

昼間から酒かよ。と心の中で呟きながらも、一刀はズルズルと食事を続ける。

 

 

やがて厨房から出てきたのは、酒と人数分の杯を持った女の子。

 

 

 

「お待ちどうさまです・・・・。」

 

 

「おいおい、中々イイ女じゃねぇか!!」

 

 

「あ・・・ありがとうございます。」

 

 

 

顔では笑っている少女だが、全身は小刻みに震えている。

 

 

 

「注いでもらおうか。」

 

 

 

大男の言葉に女の子はビクッ。と反応する。

 

 

 

「で、では、失礼します・・・・・」

 

 

大きな杯一杯に、酒を注いだその少女は、厨房へ逃げ込むように去っていった。

 

 

 

大男は、辺りを見回す。

 

 

すると、ある男に気がついた。

 

 

客のほとんどが『天の御使い』である自分に注目しているのに、その男は見向きもせず、ただズルズルと音を立てて食事に没頭していた・・・つまり一刀の態度が気に食わなかったのである。

 

 

やがて、大男の部下の一人もそのことに気づいた。

 

 

 

 

 

「おい、そこのお前!!」

 

 

「んあ?」

 

 

一刀はラーメンの器を持って振り向く。

 

 

 

「『御遣い様』の御前だぞ!!」

 

 

「だからなんだよ。」

 

 

「その無礼な態度を慎め!!!」

 

 

「なにが?」

 

 

 

すると、今度は大男が口を開く。

 

 

 

「おい、オメェ。俺が何者なのか、ちゃ~んと聞いてたか?」

 

 

「あー、『御遣い』とか言ってたな。」

 

 

「そうだ。俺は『天の御使い』だ。この世界を救ってやるために、わざわざ来てやったんだ。」

 

 

「そうか、そりゃご苦労さん。(ズルズル・・・・)」

 

 

 

一向にラーメンを食べることをやめない一刀。

 

 

大男は注がれた酒を一気に飲み干し、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

 

 

「おい、兄ちゃんよぉ。あんまり俺の気分を害すると、ケガするぜ??」

 

 

「ふーん。(モグモグ)」

 

 

「俺はな、一人で盗賊団をぶっ潰せるんだよ。」

 

 

「ほー、スゴイスゴイ。」

 

 

 

一刀はズズー・・・とスープを飲み干し、立ち上がる。

 

 

 

「ごちそうさん。店主、勘定はここに置いとくぜ。」

 

 

 

立ち去ろうとする一刀に、大男は声を荒げる。

 

 

 

「ちょっと待てぇ!!!」

 

 

「・・・・・んだよ。しつけーな。」

 

 

「てんめぇ、ナメやがって・・・・!!」

 

 

 

 

「おい。」

 

 

すると、誰かが一刀に声をかけた。

 

 

「ん?」

 

 

振り向くと、そこには紫の髪をなびかせた一人の少女がいた。

 

 

 

 

 

 

「なんだ??」

 

 

「この店に、『天の御遣い』と名乗る男がいると聞いたのだが。」

 

 

「ああ、いるぜ。おい、お前に客だ。」

 

 

「あぁ!?客だとぉ??」

 

 

「貴様が『天の御遣い』か。」

 

 

 

紫色の髪の少女が店に入ると、中にいた者達がザワつく。

 

 

 

「か、甘寧将軍だ・・・・・。」

 

 

 

誰かの呟きに、大男達も驚愕する。

 

 

 

「質問に答えろ。貴様が『天の御遣い』か。」

 

 

「お・・・・おう。なんか、用か??」

 

 

「表に出ろ。」

 

 

 

言われるがままに店を出た大男達御一行。

 

 

すると、少女はどこからか剣を取り出し、構える。

 

 

 

「な、なんのつもりだ??」

 

 

「『天の御遣い』は一人で盗賊団を潰したと聞く。その武を見せてもらいたい。」

 

 

「ぐっ・・・・・!!」

 

 

 

焦りだす大男。

 

 

すると、一刀はニヤリと不敵な笑みを浮かばせる。

 

 

 

「そういやぁ、そんなこと言ってたなぁ。『俺は一人で盗賊団をぶっ潰せる』とかなんとか・・・・・」

 

 

「こんの野郎・・・・・!!」

 

 

 

大男は決心したのか、部下から剣を受け取り、構えた。

 

 

 

「う、うおおおおおおおおお!!!」

 

 

「・・・・・。」

 

 

 

声を上げて斬りかかった大男。

 

 

少女は彼の斬撃をヒラリと交わすと、カウンター気味に大男のみぞおちに肘で一撃を入れる。

 

 

 

「がっは・・・・!!!」

 

 

 

その一撃で大男は気絶した。

 

 

少女は、はぁ。とため息をつく。

 

 

 

「・・・・・どうやら盗賊団を一人で潰したというのは嘘のようだな。」

 

 

 

一刀はその様子を見て苦笑いする。

 

 

 

「(・・・・・なんてお嬢ちゃんだ。こわいこわい。)」

 

 

 

一刀は、気絶している大男に手を合わせる。

 

 

ちなみに、大男の部下達は、知らない間に姿を消していた。

 

 

 

 

その時、桃色の髪で、剣を携えた少女が誰かを引き連れて走ってきた。

 

 

 

「思春!!」

 

 

「蓮華さま、どうかなさいましたか!?」

 

 

「思春、手がかりを見つけたわ・・・・って、そこで気を失っているのは誰??」

 

 

「『天の御遣い』のようですが・・・・どうやら噂ほどの人物ではないようです。」

 

 

「なんだと・・・・!?せっかく―――」

 

 

「あ、あの、この人ではありません。」

 

 

 

 

桃色の髪の少女の後ろに立つ人物がそう告げた。

 

 

 

「「何!?」」

 

 

 

一刀はその女性を見る。

 

 

すると、そこにいたのは数週間前に、盗賊を殲滅した際に助けた女性だった。

 

 

 

「(やべ・・・・・。)」

 

 

 

 

一刀はその場から立ち去ろうと、後ろを向いたその時、

 

 

 

「あ!あの人です!!!あそこにいる、変な筒を肩に掛けたあの人です!!!」

 

 

 

バレてしまった。

 

 

 


 
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