ちんきゅーですぞ!
ですぞ!
この度、相国の地位に就いた北郷一刀の軍師ですぞ!
ですぞ!
皇子を保護した恩賞なのです。
正直あの男は何もしてないのです。
亜莎のおかげですぞ。
最初は辞退しようとしていたのですが、ねねたち軍師の説得のおかげで何とか了承させることができたのです。
全く、欲が無さ過ぎるのです。
しかし、これでねねたちの目的に大きく近づいたのです。
ですぞ!
これからが忙しくなりそうです。
ですぞ!
「相国なう」
「何を言っているのですか一刀殿」
「いやー、なんか実感がわかなくてね」
相国の地位に就いてしまった一刀。
本人にとってはそれがどのようなものかいまいち分かっていない。
「とりあえず偉いんだよね」
「ええ。帝を除けば最高位と言っても過言ではないでしょう」
「やだ、なにそれ怖い」
口ではそう言っているが、いまいち実感がない一刀だった。
「それより相国就任の宴の準備は進んでいるのですか? 諸侯たちを招待して盛大に行うのですから失敗は許されませんよ」
「あ、うん。天の国っぽいのにしようと思うんだけど大丈夫かな?」
「今のあなたに文句を言えるのは帝くらいのものです」
軍師たちの狙いは、これを機に味方を作っておこうというもの。
何かあった時に味方がいるのといないのでは大きな違いが出るからだ。
「仲良くしてくれるかな?」
「野心家ではない限り一刀殿に嫌悪感を抱くことはないでしょうが、腹に何を隠しているか分かりませんの気をつけてください」
「う、うん。頑張るよ」
やはり弱気な一刀だった。
「えっと、本日は皆さんお集まりいただきまして誠にありがとうございます。この度、相国になりました北郷一刀です。一応天の御遣いなんて呼ばれていますけど普通の人間なんでよろしくお願いします。自分は何もできないちっぽけな存在ですが、この国を平和に出来たらいいなと思っていますので皆さんもご協力お願いします。まあ皆さん遠路遥々お疲れでしょうから今日は休養も兼ねて楽しんでください。天の国の宴をご用意しているので気に入ってもらえると幸いです。それでは立食パーティーをお楽しみください」
一刀が頭を下げるとパチパチと拍手が起こる。
ほとんどの諸侯は一刀の腰の低い態度に驚いているようだった。
「愛紗ちゃ~ん、この街凄い賑っていてみんな笑顔だよね」
「そうですね。洛陽ですから賑っているのは当然として、警備もしっかりしているようでしたし」
劉備――桃香と関羽――愛紗が話しているところに一刀がやって来る。
「こんにちは。劉備さんと関羽さんでしたよね?」
「はい。この度はお招きいただいてありがとうございます北郷様。劉備、字は玄徳と言います」
「私は関羽、字は雲長です北郷様」
いきなりの敬語と様づけに焦る一刀。
「出来れば様は付けないでほしいかな。こういうの苦手だし」
「それじゃあ一刀さんでいいですか?」
「と、桃香様!」
「いいですよ劉備さん。関羽さんもそんな感じでお願いします」
「うっ……。それでは一刀殿と呼ばせていただきます」
「じゃあ俺も玄徳さんと雲長さんって呼ぶね」
まずは劉備軍から仲良くなろうという考えた一刀。
やはり将来の蜀の王には興味があるようだ。
「ではこの街の警備体制は天の知識を利用したものなのですね」
「うん。といっても俺がちょこっと言った事を優秀な軍師たちがやってくれるんだけどね」
「みんな笑顔で素敵な街です。私なんか政務が大変で街に遊びに行くのも出来ないんですよ~」
「桃香様にはもう少ししっかりしていただかなくてはいけません。とはいってもやはり人手不足は深刻な問題です」
「なんかごめんなさい」
居たたまれない気持ちになる一刀だった。
「この立食ぱぁてぃというのはなかなか面白いわね」
「そうですね。姉者などは珍しい料理があるといってはしゃいでいましたから」
「ふふふ。可愛い子ね」
「はい」
曹操――華琳と夏候淵――秋蘭である。
「あら、あの子は確か北郷軍の軍師だったわね」
「はい。確かと荀彧という優秀な軍師です」
「あのような男に才ある者が集まるのは許せないわ。行きましょう」
「御意」
こうして華琳は料理を食べいる桂花に近づく。
「あなた、私のところに来ないかしら?」
「は?」
「北郷軍をやめて私の下で働かないってことよ」
「はぁ? あんたバカなの?」
「貴様! 華琳様になんて事を」
クールな秋蘭もこの言葉には怒りを隠せない。
「やめなさい秋蘭」
「…………はっ」
「理由を聞いても良いかしら?」
「別に理由なんてないわよ。別にあいつのためとかじゃないから。というかあんた誰?」
その言葉にはさすがに華琳も苛立つ。
「そうね。紹介が遅れたわ。我が名は曹孟徳。いずれこの大陸に覇を唱える者よ」
「はぁ?」
「覇!」
聞き間違える桂花。
「もう一度言うわ。荀彧、私のためにその智を役立てなさい」
「無理」
「…………もう一度理由を聞くわ」
「だから理由なんてないっていってるでしょ! あいつのためなんかじゃないから」
そして桂花は去っていった。
「くっ。北郷軍の者は教育がなっていないわね」
「はい」
苛立ちが募る華琳だった。
「かーずと!」
「あ、伯符さんこんにちは」
「こんにちは。義勇軍だった一刀も立派になっちゃったわねー」
「はは。ありがとうございます」
バシバシと背中を叩く雪蓮。
「公覆さんは一緒じゃないの?」
「祭はあそこにいるわよー」
雪蓮が指差した先には冥琳と祭がいた。
「だからはあなたはどうしてそういいかげんなのですか!」
「も、もう許してください……」
何故か冥琳が説教していた。
「袁術ちゃんのお守も大変なのよねー」
「そうなんですか。何かあったらお手伝いしますので言ってくださいね」
「ありがとう。私も一刀たちに何かあったら助けにいくわ。自由に動けるか分からないけど」
袁術の客将という縛りがあるからだ。
「それじゃあ祭を助けてくるわ」
「はい。また後ほど」
雪蓮は祭を助けに行ったのだが、逆に冥琳に捕まり説教をされていた。
「美味しいのだー!」
「………………………………(モッキュッモッキュ)」
「美味しいね流琉ー!」
「もう、季衣ったら。でも本当に美味しいです」
料理を次から次に食べつくしていく大食いたち。
張飛――鈴々、呂布――恋、許緒――季衣とその保護者典韋――流琉。
「凄い食いっぷりだなー」
「そうですね」
一刀の横でクスクスと笑う儚げな少女。
「私、董卓と申します」
「董卓さんね………………ん? もしかしたら仲穎だったりする?」
「はい」
「オーマイガットトゥギャザー!」
魔王とはあまりにかけ離れた姿に驚きを隠せない一刀だった。
<おまけ>
「あなた、私の下で働きなさい」
「はわわ! 私でしゅか!?」
「そうよ。臥竜と言われたあなたの智を私ならもっと上手く使ってあげるわ」
「こ、これはまた雛里ちゃんの策ですね!」
「朱里ちゃんひどい……」
「ひ、雛里ちゃん」
「私なにもしてないのに」
「ご、ごめんなさい雛里ちゃん」
「ただ曹操さんが人材を探していたから朱里ちゃんはどうですかって勧めただけなのに」
「雛里ちゃん!?」
「返事はどうなのかしら?」
「行きません! これ以上遅れをとるわけには行かないのですよぅ。ただでさえ荊州に残されてやっとここまで来たんですから」
「あわわ♪」
完。
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マサラタウンにさよならバイバイ。