月明かりが夜の街を照らし、人々の笑顔を照らす。
そこには今まで敵対していた者たちが笑いあっている。
三国が自らの目指すべく理想のために身を削り、戦い、そして………
覇王、曹操が率いる「魏」が勝利した。
そして声高々に宣言されたのは「天下三分の計」、三国が手をとり、支えあって平和を維持していくというものだった。
呉王「孫策」、蜀王「劉備」はこれに同意、それと共に長きに渡った戦は終わった。
…………そして、この平和への始まりは一つの終わりを示していた...。
真恋姫無双 魏伝 ~君の名を呼ぶ~
笑い声が聞こえる。絶えず笑顔が続いている。
これが誰もが望んでいた景色なんだと思い、手に持つ杯を斜めにし酒を飲み干す。
俺こと北郷一刀は笑い声を聞きながら一人この景色を眺めることの出来る場所にいる。
別に華琳が酔った劉備さんや孫策さんに絡まれているのを見て楽しんでいるとか、酔っぱらって猫化した春蘭を見て「姉者は可愛いなぁ」とか言ってる秋蘭を肴にして酒を飲んでいるわけでは無い。
きっとあの場所にいれば、やっと固めた決心が揺らいでしまいそうだから。
彼女たちと言葉を交わしてしまえば弱い俺は、きっと溢れる気持ちを抑えらないだろうから。
予兆は何度もあったのだし、警告もされていた。
あの時は何の事なのか分からなかったけれど、全てが終わった今、理解した。
けれど後悔なんかしていない。俺の存在一つを賭ける事で秋蘭と流琉の命を救うことが出来て、
魏を勝利に導けたのなら後悔なんかするはずが無い。
結論から言えば俺はこの大陸から消える。
大局....そうなるべき歴史を俺が変えたことで華琳の夢が叶ったのならば
俺という存在はそこで終端を迎えなくちゃならない。
なら何故俺をこの大陸に、華琳のもとに遣わしたのだろうか。
俺に愛する人たちを見殺しにさせる、なんて事をさせたかったのだろうか?
そんなことは絶対にお断りだし、今更それを知ったところで意味は無い。
答えの出ない思案に終わりを告げ、瓢箪から杯へと酒を注ぎ、それを飲み干すと、
「一刀~~~~っ!!」
と、俺の名を呼ぶ愛しい人の声が聞こえた。
「こないなとこで一人酒なんて、つれへんなぁ。」
「あそこで飲んでたらなんか危険な感じがしたんだよ。」
と、そう言ってうちの隣で苦笑を浮かべる少年。
名を北郷一刀。
うちに恋っちゅうのを教えてくれたやつで、うちが大好きな男。
「霞こそどうして此処に来たんだよ?」
……一刀はほんまに鈍いとゆうか、乙女心を理解してへん。
そんなん好きな男と一緒に居たいんにきまっとるやん。
…なんてクサい台詞をうちが言える訳ない。
一刀の隣に居るだけでもドキドキしとるのに、そんな恥ずかしい言葉を口にすることなんてできる筈がない。
けれど一刀は、
「まぁ俺は霞が来てくれて嬉しかったりするんだけどな。」
なんて、うちが喜ぶような事を平気な顔で言うてしまうんやからズルい。
そんな一刀やからうちは惹かれた。
そんな一刀やからうちは大好きになった。
やから、うちは…
「なぁ、一刀…。ちょっとふたりで飲み直さへん?」
あとがき
真恋姫では秋蘭と霞が大好きな作者です。
そんな感じで始まりました~君の名を呼ぶ~
呼んで頂いた皆さんはお分かりでしょうがこの作品のメインヒロインは神速の張遼こと霞さんです
作者の文才が有るとは言えないので読んで貰えればとても嬉しかったりします。
ではまた次回...
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真恋姫無双の魏√のラストを自分流にアレンジしてみました
また作者は初投稿ですので誤字脱字が多くみられると思いますが暖かく見守ってやって下さい