No.184847

何進伝 ~「伝」~

宇和さん

何進を恋姫風にssです(バッドエンド物)。

※コメント返しませんご理解ください。

2010-11-16 01:13:24 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3555   閲覧ユーザー数:3184

 

何進(キャラ設定)

 

元は一介の肉屋であったが、宮廷に入りした妹が時の皇帝に寵愛されると何進も武官として取り立てられ出世する。

宮仕えもそれなりに慣れ表向き漢の将官としての趣も出てきたが。根は豪快な性格をしている為、陰気くさい宦官に好感をもっておらず袁紹・袁術のような裏がない人間を好んでいる。とはいえ、心底人を嫌える質でもなく宦官の巣窟にすら『大丈夫だろ~』一言で一人で飛び込んでしまう所がある。

 

 

中平6年8月 何進邸中庭

 

 

「北郷! 肉をもっと食え!」

「何進さん~、もう食えませんよー」

「なに~お前、若いくせに軟弱だぞ!」

「軟弱って、もう俺は5皿も食ってるんですよ~」

「5皿しかだ!!俺が若いころは20皿は普通だったぞ」

 

「それは何進さんが異常なんです!!」

「誰が異常だ!丁原とこの小娘なんか50皿以上食ってたぞ!!」

「恋は特殊な事例です!!」

「それに大将軍様が自らが捌いた肉を、無官のお前が食えんと本気でいうつもりか」

「うわ!パワハラだー」

「ぱわはら?」

「権力を傘にした脅迫の事です」

「脅迫だとー!!許さん!20皿食うまで帰さんぞ!!」

「うわ~暴君だ~!!」

 

 

今、俺にパワハラを仕掛けてくる人は何進さん、漢の大将軍。

元は町の肉屋であったがらしいが、妹が帝に娶られたため大将軍まで出世した人だ。

 

 

数ヶ月前……。

俺は、何故かその何進さんの邸宅で倒れていたらしい。

 

 

本来なら大将軍の邸宅に無許可に入った咎によって、俺は即刻処刑されるはずだったが。

なぜか、何進さんが俺を気に入り下男として雇ってくれた。

後で理由を聞いてみたら「庶民まるだしで、話相手として都合がよかった」と答えられた。

 

 

どうやら何進さんは大将軍の「何進」ではなく、元肉屋の……只の庶民「何進」として、気を抜いて話せる相手が欲しかったそうだ。

 

 

何進さんとの会話は最初こそ、俺の世界の政治や軍事等国家に関わる話が中心だった。

だが、時間がたつと共に、愚痴ばかりになっていた。宦官が苛めてくる、曹操や袁紹等の部下の暴走に振り回される、妹達(皇后や何苗)が生意気になってきた等、そんな内容だった。

とはいえ、その愚痴もけして影が無く明るい。この人は誰も心底嫌いにはなれない性格をしている。

そんな何進さんが、数日前強張った顔をして家に戻ってきた。

話を聞いてみると、どうやら部下たちに宦官の粛清を求められ、どうすればいいのか判断がつかないらしい。

 

俺は、単純に暴力はいけないので、まず話し合ってみればといった。何進さんは甘っちょろい話しだと馬鹿にしたが……表情はどことなく嬉しそうだった。

 

数日後、何進さんは宦官と話し合うことに決め。

そして話し合いの日の前日、何進さんは礼だといって自ら捌いて俺に肉を振舞ってくれた。

 

 

「お前のお陰で明日にはあの陰気(宦官)共と、なんとか話し合えるのだ」

「俺は、なにもしてませんよ」

「いやっ、あの時のお前の一言は重要だったんだぞ」

 

 

そういいながら何進さんは新たな肉を捌き始める、さすがの早さだ。

 

 

「正直、私は元から話し合いを考えていた。わたしは元々はあの陰気(宦官)共の引き立てのおかげで今の立場があるし、それになにより漢に仕える者同士無用に血は流したくない」

 

 

淡々と何進さんは言葉を続ける……。

その間も手は止まらず、皿に切り分けられた肉がどんどん増えていく。

 

 

「ただ、周りは物騒な意見ばかりで……つまり、私の考えは孤立していた。所詮、私はただの肉屋だ自分の意見に自信を持てなかった」

 

 

……皿の上の肉が1メートルぐらいになっても、手は止まらない。

 

 

「だが、お前の言葉で私と同じ意見の人間がいると知った。だから、私は自分の意見に自信を持って行動できた」

 

 

何進さんが、俺の目を見つめる。

 

 

「だから、心からお前には感謝している」

「何進さん……」

 

 

なんだかピンクな雰囲気が流れだした。

まあ、俺と何進さんの間には2メートルを越す肉山があり……しかも、肉独特の匂いが漂っているが。

でも、そんなの無視し。俺と何進さんの距離が段々と近く……。

 

 

 

「大将軍、失礼します」

「う、うわ!!な、なんだ!!!」

 

 

がっ……突然、宦官の一人が現れピンクな雰囲気は流れた。

 

 

「皇后様が、お呼びです」

「いもう……。いやっ、皇后様がこんな夜遅くにか」

「明日の話し合いの前に大将軍。いえ、妹として「姉上様」に御相談したい事があるとか……」

「あ、アイツめ私を「姉」と呼ぶなんて皇后になって以来じゃないか……ま、まあ、元々アイツはお姉ちゃん娘だしな、昔はいつも私を「姉貴姉貴」って呼んでじゃれていたし」

 

 

何進さんが、嬉しそうにブツブツと呟く。

 

 

「大将軍」

「あっ、いやっ、うむ、分かった直ぐに皇后様の所へ向かおう」

 

 

何進さんは俺のほうを向く。

 

 

「おう!そういうことだ北郷!俺は今から可愛い妹の所にいくが肉残すなよ!」

「はいはい~わかりました」

「返事は一回!!」

「はい!!」

「おう!それでいい!!・・あとスタミナつけたからって、うちの侍女相手に盛るなよ!」

「いきなり下ネタやめいー!」

「はっははは~!では、行ってくる」

 

 

その後、何進さんは皇后の元に向かう最中に宦官に暗殺された。

結局、後漢の混乱はおさまらず……戦乱の世が始まる事となる。

補足説明 

この外史の北郷は、三国志を殆ど知らないという設定であり。

その為、暗殺は防げません。

 

あとがき

初SS作品なのに地味キャラ(何進)克バッドエンド……我ながら無茶してるssだなと一年以上過ぎてから後悔しきりです。文章も読み返すと、台詞ばっかりで分かりやすさとか全然考えてないですねー。

 

 

とはいえ、初SSなので殆ど手は加えない事にしました。

まあ、要は自己満足作品になりますのでご容赦ください。

 

 

 

<最終更新 2013年4月30日>

 

 
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