「起きんか北郷ォーー!!」
「のわぁぁぁぁぁ!!敵襲かっ!・・・ってなんだ、祭さんか」
「なんだとはなんじゃ。それよりも北郷、今日もいい天気じゃぞ。はよう起きんかい」
「はいはい・・・ふわぁ~~あ」
有無を言わさずに祭さんが、俺が寝ていた敷布団をめくりあげた。
俺がこの世界に再び堕ちてきてから、三日目の朝だ。
「今日もまた町に行くのか、北郷?」
「うん。今日ぐらいからいい感じに打ち解けられそうなんだ」
そう、今回も例に違わず、俺は町の探索からスタートしたのだった。
「そうか・・・。まあ天から堕ちてきたおぬしがこの町の政(まつりごと)に携わるには、この町
を理解するのが手っ取り早いというのは解らんでもないがの」
「そうだね・・・。それに早く仕事をしないと冥琳に起こられそうだしね」
「ははっ!違いないの。それじゃあ、朝食をとってはよう行ってこい。・・・策殿に見つからんう
ちにな」
「あー・・・うん。そうするよ、祭さん」
じゃあの、といって祭さんは部屋から出て行った。・・・手に酒壷を持って。
祭さんは冥琳に見つからないようにね、と心の中で呟いてぐいっ、と体を伸ばす。
祭さんに言われた通りに朝食を摂りに行こう。
聖フランチェスカ学園の制服に着替え、俺は台所までの道のりの中、三日前の夜の事を思い出すの
だった。
今回もなんとか携帯によって命が助かった俺だったが、その後、他の道具を持っていないの?とい
う雪蓮の言葉を皮切りに、本来の目的を思い出した冥琳によって再び尋問が開始された。
といっても既に自分の情報と携帯という天の国の道具を見せ証明していたのだが・・・。
「北郷。お前はさっき政に少々自信があると言っていたな?」
「うん、言ったけど・・・?」
冥琳は何が言いたいんだろうか、と首をかしげながら答える。
「さて、ここで北郷に質問だ」
「うん?」
自慢なのだろう綺麗な黒髪をゆさゆさと揺らし眼鏡の位置を手で調節する冥琳。
「お前はどうするつもりでここに居るんだ?」
「?そりゃあこれからの孫呉の発展に力を貸すために決まっているじゃないか」
うんうん、と頷く雪蓮と祭さん。そしてその横でうむ、と唸る冥琳。
「行く宛はないな?」
「あるはずもなく」
「生きる術は?自分で言っていたが腕にはあまり自信がないのだろう?野党などに襲われたらどう
する?」
「どっかに仕官できたらいいんだけど、野党に襲われたりしたらたまらないね・・・」
これまたうんうん、と頷きながら苦笑する二人。そして冥琳も頷いて言葉を続ける。
「ならば北郷よ、お前をわれらが保護してやろう」
「俺を保護する?」
「そうよ」
と、今度首を突っ込んできたのはじゃじゃ馬姫様こと雪蓮で・・・
「でも、いくつか条件を作らせてもらうわ」
「条件?」
「ええ。まず一つ。あなたの知識を呉の統治、発展に役立てること」
「ああ、それならそのつもりだから大丈夫だよ」
そうよね、と微笑んでそして、これが重要なのよ♪、と楽しそうに言葉を続ける雪蓮。
「もう一つ。私に仕えている武将たちと、あなたから率先して交流を持つこと」
「・・・・・・それは有り体に言ったらみんなと子作りしろ、ってことでいいのかな?」
ほう、と今度唸るのは冥琳と祭さんだった。それに対して雪蓮の顔には笑みが浮かぶ。
「ふぅん・・・これだけ聞いて、子作りしましょ♪なんていやらしい発想、どこから出てきたのかし
ら?」
「えっ、違うのか?・・・俺は一応天の御遣いとして見られているから、何て言えばいいの
か・・・そう、天の御遣いっていう”何だか解らないけど凄そうなモノ”に対して、畏怖を呼び起
こせるだろうから、それを利用するために俺の胤を呉に入れたい、ってことだと思った・・・んだ
け・・・ど・・・?」
俺の言葉を聞いてしーん、となる一同。・・・あれ?俺、何か間違ったかな?
と冷や汗が出てきそうになる中で顔を手で覆い、体を振るわせた雪蓮が断金の仲である冥琳と宿将
である祭さんの方を、その手を広げながら満面の笑みを浮かべて振り返った。
「あははははははははっ♪ねえ聞いた冥琳?これが天の御遣い様よ!すばらしいと思わない!?」
弾けた、という表現がぴったりなほど明るい笑みと声を張り上げる雪蓮。
それに対して冥琳は少し呆然としているようだったが、なんとかして声を絞り出した、と言わんば
かりの声で言葉を投げかける。
「・・・・・・うむ、良く解ったな。もしやすると天の世界でもこのような事が行われているの
か?」
「いや、昔ならまだしも今ではそんな事はなかったよ。でも様々な歴史を知っているから、そうい
う感覚があるし、理解もできる」
1000年以上も前の三国志の世界なのだから、神がかったものに対して畏怖を抱くって言うのは
当然のことだ。それに加えて―――――
「俺を天の御遣いであるとするなら、その神秘と血統の二つが手に入るってことだろう?」
今度はニヤリ、と口を歪めてこちらを見てくる冥琳。
「私が説明するまでもなかったな。話を聞く限りかなり頭も切れるだろうし・・・・・・伯符の判
断、いや、勘もあながち間違っているとは言えんな」
「でしょでしょ♪やっぱり私の勘ってすごいでしょ♪」
と冥琳の首本に絡みつく雪蓮。冥琳もその手に手を置いてそうだな、と言葉を交わしている。
「それに貴様も男なんだから、公認で女とヤレて嬉しいじゃろう?」
正直に言ってみんかい、とニヤニヤといやらしく笑いながら、次に話を振ってくるのは祭さんだ。
「そりゃあ正直に言ったら嬉しいに決まってるさ。こんな美人とそうゆうコトができるなんてね、
夢みたいだ。けど・・・」
「けど?」
「まだ会ってもいないし喋ってもいない。そんな娘の話をされてもね。ちゃんと俺という『人間』
を理解してくれて、そして愛してくれないと、そうゆうコトはできないな」
「ほう・・・。案外骨のあることを言いおるの!この儒子が!」
かっかっかっ!と心底心地よさそうに俺の背中を叩く祭さん。
・・・何とか認めてはもらえたみたいだ。
「それじゃあ保護を受けるってことでいいわね?」
「ああ、お願いします、孫策さん」
「ちがうわよ、一刀」
「?」
「私の名前は、雪蓮、よ?」
「・・・いいのかい?それは真名だろう?」
「あなたという人柄を理解したのよ。だから私の真名を預けてあげるわ」
「・・・解った。ありがたく頂くよ、雪蓮」
「♪ほら、二人とも真名を預けちゃいなさい」
「うむ・・・姓は周、名は喩、字は公謹、真名は冥琳だ。・・・・・・北郷よ。貴様に期待させて
もらおう」
「ははっ。こちらこそ、よろしく、冥琳」
「次はわしじゃな。姓は黄、名は蓋、字は公覆、真名は祭じゃ、よろしくの」
「よろしく、祭さん」
とみんなと名前の交換が終わったところで。
「よし、終わったわね。じゃ、冥琳。通達よろしくね」
「はいはい・・・・・・。はぁ、なんと説明したらいいのか・・・」
「それを考えるのが冥琳の役目でしょ♪」
「簡単にいってくれるものね」
「信じてるからね♪」
冥琳に向かってウインク一つ。それを見た冥琳は微笑んで
「答えになっていないわよ、全く。・・・・・・まぁ何とかやってみましょう」
「ん♪」
冥琳の答えに満足そうに頷いた孫権が、くるりと俺の方を向く。
「それじゃあ、一刀に仕事をあげないとね。そうねぇ・・・政ができるんならそのまま統治方面の
仕事でいいんだけど、冥琳。大丈夫かしら?」
「そうだな。大丈夫だろうが、まだその腕を見せてもらってないからな。なんとも言えん」
「そっか。じゃあお試しということで働いてもらおうかしら。それでいい、一刀?」
「ちょっといいかな?」
と、まとめられていく話の中を割いて入る。
「仕事をくれるのはありがたいけど、その前に十日ぐらい時間が欲しいんだ」
「どうしてじゃ?」
と疑問をぶつけてくるのは祭さんだ。
「うん。俺さ、ここに堕ちてきたばっかりだろ?だからいきなり統治しろ、なんて言われても、何
をすればいいのかなんて解らないじゃないか。だからその前にこの町のことを理解しておきたいん
だ」
「なるほどのぉ・・・」
と、理解した祭さんから目線を外して冥琳に向ける。
「だからいいかな?冥琳」
「私もその方が良いと思う。言っていることに矛盾もないし、その方が良い統治もできるようにな
ろう」
「ありがとう、冥琳」
「じゃあじゃあ、私が案内してあげるー♪」
はいはーい、と手を挙げるのはもちろん雪蓮だ。そしてそれの対しての反応も勿論・・・・・・
「だめだ」
冥琳によって一刀両断されてしまうのだった。
だがそれは予測できることだったのだろう、雪蓮がふふん、と鼻で軽く笑い、余裕を持った顔で答
え返す。
「私はただ、この呉に降りてくださった天の御遣いに対して『王』としてこの町を案内したいだけ
なのになぁ~♪」
「くっ・・・・・・」
なかなか筋の通った意見にたじろぐ冥琳。
彼女の明晰な頭は今、なんとかして行かせない為の理由を考えているのだろう。
救いはないのか、と思われたその時・・・!
「孫策様~。袁術さんが呼んでいるみたいですよー」
ほんわかとした声が特徴で、これまたほんわかオーラを纏っている巨乳の女性が部屋に入ってき
た。
彼女はもちろん――――
「おお、穏。いい時に来てくれた。そうか袁術が呼んでいるのか、それなら仕方ないな。ほら、雪
蓮。ぼさっとしてないで早く言って来い」
「・・・・・・はいはい、解ったわよ行ってくるわよ。(ボソッ)後もうちょっとで仕事を怒られ
ずに抜け出せるところ邪魔にしてくれちゃって、あの蜂蜜頭クルクルパー娘め。ちょっと製作陣か
ら影の人気NO.1だとか一番キャラデザとボイスが合ってるとか言われて調子に乗りやがって。ブ
ツブツブツブツ・・・・・・・・・」
と、なにやら俯いて、ぼそぼそと呪詛めいた言葉を吐き出し続けながら部屋を出ていく雪連。
「・・・・・・行ったな。・・・ふぅ」
「あれ~?もしかして私、空気読めない子でしたかー??」
雪蓮の暗さを見て驚いたのか、一歩後ずさって脇に避けていた穏が何事かと聞いてくる。
「いや、今回はそんなことはなかったぞ。むしろ良い時に来てくれたものだと感謝しているぐらい
だ」
「あら~、そうなんですかー。ありがとうございます~~♪」
体を前に倒してお辞儀をする穏。その真ん中では彼女の腕に挟まれてせり上がってくるふくよかな
胸が―――
「ところで~~~」
と凝視していたことがばれたのだろうか。顔をこっちに向けて今度は向こうが凝視してくる
「この方はどなたですかぁ~?」
「そういえば、まだ紹介しておらぬかったの。姓は北郷、名は一刀、真名と字は無し。で、こいつ
策殿と公謹の風呂に忍びこんだ、しかも今世間で民をにぎわかせている天の御遣いじゃ!」
「ええ~~~!!」
とかなり本気で驚いている穏。
「孫策様と周喩様のお風呂を覗いて無事だなんて!信じられませ~ん!!」
ガクッ、とドリフのようにはいかなかったが床に転びそうになった。
流石は天然ミラクルピーチだぜ・・・・・・。
「いやいや。驚くところはそこじゃないだろう、穏。・・・まあいいわい。そうじゃ、お前も自己
紹介しておけ。わしらは真名まで預けたぞ」
「?まあ、わかりました~・・・えー、姓は陸、名は遜、字は伯言、そして私の真名は穏です~。
お気軽に「穏」と読んで下さいね~~」
「うん、ありがとう穏。大切に呼ばせてもらうよ」
「~~~~♪いいこいいこしてあげますね~~~♪」
「ウッ・・・」
と、なにやら気に入られたのか、豊満な胸をグイグイ押し付けてきながら頭をなでてくる穏。
役得といえば役得なのだが、久しぶりに嗅いだ彼女の女性としてはかなり強めの匂い(フェロモ
ン)に当てられて、息子がお○きしてしまったのだ!
これはまずい・・・と判断した一刀は穏をぐっと押しのけて祭さんに言う。
「そっ、それじゃあ、今日はこの部屋に泊まらせてもらってもいいのかな?」
「おう、好きにするがよい。ほれ穏。本郷はもう寝るようじゃから、わしらは部屋に戻ろうかの」
「わかりました~~。それじゃあ一刀様、ごゆっくり休んでくださいね~~?」
「うん、穏、祭さん、お休み」
ばたん、と部屋のドアが閉まるのを待って、俺は寝具にボスン、と寝転がった。
思い出すのはみんなの顔だ。
雪連、冥琳、祭さん、穏。そしてまだこの世界で合っていないみんなの顔。
部屋から見える満月に手を伸ばす。
絶対に守ってみせる!そして幸せにしてみせる!
そう覚悟を決めて、俺はぎゅッ、と力いっぱいに手を握った。
そして今に続く・・・
さて・・・話をしよう
今までに出てきたキャラは確か・・・そう・・・
雪連、冥琳、祭、穏、美羽の五人
俺は書くスピードが遅いからな・・・
そんなスピードで大丈夫か?
大丈夫じゃない。一番良いキーボードを頼む
・・・あ、やっぱり今回もダメだったよ
これを見ている奴にも何か話題を提供してもらうよ
・・・・・・もうそろそろ旬が過ぎ去ってしまいましたね
話は変わりますが、前に投稿した「一刀君がラジヲ番組を始めるようです」ですが・・・
なんと!お便りが一通届いておりました!!
P,N「それでも俺はやっていない」さん、ありがとうございました!
それに対する返答もこの投稿後すぐに投稿させていただきます。
これからもお便り応募中なので、多くのお便りを待っております。
早く思春出したいな・・・・・・
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お久しぶりです皆さん・・・
OTIKAデス・・・
前の投稿で風邪ひいたっていうことは言ったかもしれませんが
なんと!あれは不治の病、ナニモシタクナイヨナイヨ病だったのです!!
Σ(゚д゚l)<ナンダッテー!
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