朝、雛里はいつも通りに起きていた。
軍師の性なのか、それとも性格のせいなのかは分からないが、雛里は時間にだけはとても几帳面だった。
いつものように鏡でチェックし、そして一刀ルームで着替えをする。
そして、悲劇は起きた。
「あわわ、あれ・・・・あれ・・・・・」
うんしょ、うんしょ、と可愛らしい掛け声を出しながら服を着ようとするが・・・・
ぽーん
ボタンが弾け飛んだ。
もちろん、胸のボタンが取れたわけではない。繰り返す、胸のボタンが取れたわけではない。
雛里はおそるおそる、自分のお腹を触ってみた。
ぷにぷに
「あわわ、おっぱいが大きくなったら、こんな感触なんですねー・・・・・・・」
しかし、触っているのは胸ではない。何度でも繰り返そう、触っているのは胸ではない。
「あわーーーーーーーーー!!」
雛里のダイエット計画が、始動される。
「うぅ・・・・お腹すきました・・・・・」
ぐぅ、となるお腹を押さえ、雛里は中庭をとぼとぼと歩く。
結局、朝食も昼食も食べず、そして政務中のおかしも食べなかった雛里は、空腹でふらふらしていた。
「あわわ、でも、やせないとご主人様に嫌われちゃう・・・・」
「俺がどうしたって?」
「あわ!」
急に後に立っていた一刀に、雛里は驚いて思わず距離を置いてしまう。
「あ、あわわ、どうかなさいましたか、ご主人様」
「あぁ、近所に新しい喫茶店が出来たんだって。だから、一緒に食べにいかないか?」
こんな時に・・・・・・!
雛里は考えた。
お菓子は食べたい。いや、それ以上に一刀とお出かけをしたい。
だがしかし、ここでその誘惑に負けてしまうと、今日の夜、もしくは明日の朝にはまた悲鳴をあげることになりそうだ。
しかし、折角誘ってきてくれた一刀を無碍に断ることなんてできようか?もしかしたら、気を悪くして、そして自分を嫌ってしまうのではないか?そんなことになったら、一刀を殺して自分も死ぬしかない。
お腹はとても空いている。ぐぅ、と音がなる時期すら超えてしまったようだ。お菓子・・・・食べたい・・・・でも、私は軍師、自分でたてた誓いを守れなくてどうする・・・・。
そうだ、私は恋する乙女。ぷにぷにのお腹なんて、一刀に見られたくない・・・!
ここまでで雛里が考えた時間、0.1秒。
「あわ、あわわ、残念ですが、私はまだお仕事があるので・・・・」
「そっか・・・それじゃあ、代わりに朱里でも誘ってみるよ」
「ぎぎぎぃ・・・・・そうしてください。それでは」
「あぁ、仕事頑張ってな」
一刀が遠ざかっていくのを雛里は後からずっと眺め、そしてしばらくして朱里と手をつないで街へと行く二人を、ただ物陰から眺めていた。
「あわわ、ダイエットは協力者がいるとはかどるって聞いたことあります」
雛里はさっそく、自室に戻り、朱里の昔の服をタンスから引っ張りだした。昔、間違えて自分のタンスにしまった物で、いつか返そうと思っていた服だった。
その服は昔の物であるから、サイズは小さいが、デザインは今の服を同じなので、一見すれば見分けがつかない。
雛里はその服を抱えると、朱里の部屋へ侵入し、朱里が明日着る予定の服とすり替えた。
「あわわ、これできっと朱里ちゃんは協力してくれる」
―――その予想は的中し、次の日の朝
「はわーーーーーー!」
と悲鳴が聞こえた。
雛里はその悲鳴を聞いて、小さく微笑んだ。
そしてしばらくすると
「雛里ちゃん!ダイエットを手伝って!」
「あわわ、どうしたの朱里ちゃん。まるで服を着ようとしたらサイズが合わなくて無理やり着ようとしたらボタンが弾け飛んだみたいだよ。でも、ボタンが取れたのは胸じゃないんだよね。あわわ、胸じゃないんだよね。あわわ、胸じゃないんだよね」
「な、何で3回繰り返すの!?」
「大事なことだからだよ」
「そ、それよりそうなの!私、自覚なかったけど、太っちゃったみたいなの!」
「あわわ、昨日、ご主人様とお菓子を食べたからじゃないの?」
「うーん、そうかもしれない。だからお願い雛里ちゃん!一緒にダイエットして!」
「あわわ、あわわ、私はダイエットの心配なんていらない体型だけど、朱里ちゃんのためなら一肌脱ぐよ」
「ありがと雛里ちゃん!雛里ちゃんはやっぱり一番のお友達だよ!」
「あわわ、朱里ちゃんも私の一番のオトモダチだよ!」
次回に続く
実録!?宮中の武将たちの本音
※発言者の希望により、映像と声に修正を加えています。
前回はお見苦しい結果となってしまい、申し訳ございませんでした。
それでは、今回の番組を進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
「はい。よろしくお願いいたしますわ」
ではまず、北郷一刀さまに対しての本音をどうぞ。
「とっても優しい方で、とても愛しております。それに、娘の璃々に本当の父親のように優しく、一層のこと、結婚して家族になりたいと思うほどですわ」
すばらしですね。逆に不満はないのですか?
「娘を「まだ子供だから」という理由で閨に呼ばないことです。璃々も今年で――歳なのですから、もういいと思うんです。むしろ、今しか味わえぬ未成熟なつぼみを味わって頂きたいのに」
あなたは自分の娘を何だと思っているんですか。
それでは、次、武将たちに対しての本音をどうぞ。
「そうですねぇ・・・・あ、そう言えば、璃々から私の年齢を聞き出そうとしているらしいですの。全く、17歳と何度言えばいいのかしら」
・・・・・・そーですね。
それでは、最後に一言、お願いします。
「ご主人様、私個人としては、雛里ちゃんや朱里ちゃん、もしくは風ちゃんや小蓮ちゃんと一緒にご主人様に可愛がって貰いたいです。未成熟の子供と熟成した大人を一度に味わって頂ければ、きっと璃々にも手を出していただけます。あ、ご安心を。璃々には自主練習として先日、お菊ちゃんを渡して―――」
申し訳ございません。ここで放送コードに引っかかってしまいました。
次回をお楽しみに
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さてと、袁家√がシリアスな場面で、あほーでばかーなお話、雛里ちゃんシリーズを更新します。どうぞ、よろしくお願いします。
PS、雛里たちの時代に『ダイエット』て言う言葉はないじゃん、という突っ込みはNGです。心で感じてください。