No.180324

真・恋姫†無双~江東の白虎~第弐章 13節~キオクの少女、キオクの少年~

タンデムさん

ちわっす!
タンデムです!
今回は、華琳と一刀のお話がメインとなります。
時期は黄巾戦のすぐ後ですが……ねww
やっぱり華琳様は最後にやってくださいましたww

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2010-10-25 13:05:53 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:16974   閲覧ユーザー数:11721

この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

更に、オリキャラが出ます。

 

その点を踏まえて、お読みください。

黄巾党本陣戦闘が終了したその後、一刀達は兵達の怪我や疲れを居さす為、

 

一度此処にとどまり、次の日の明朝に建業に向かって出発するとの事だった。

 

なお、張角たちは一刀が三人そろって油を身体にかけて、火の中に飛び込んだと報告した。

 

火計を用いたため、敵本陣からは、多数の焼死体が上がっており、

 

どれが張角たちなのか分からなかった。

 

一刀と凪、戦場で保護された天和、地和、人和、そして華琳以外は――。

 

保護された彼女達は、そのまま華琳のもとに行く事が決まったようだ。

 

そして、その日の夜。

 

一刀は、雪蓮たちが何時ものようになって襲われる前に、

 

酒とつまみを持って、そそくさと陣から近くの林に逃げた。

 

だがその際、丁度天幕から出て来たある人物に目撃されていた。

~SIDE曹操~

 

 

「……眠れないわね」

 

曹操は、自分の天幕で横になっていたが、一向に眠気がこない。

 

戦の後で、興奮状態なのか分からないが仕方なしに、

 

外の空気でも吸おうと天幕を出ると、白い服を着た人影が見えた。

 

「……」

 

其れは、一刀だった。

 

「? こんな夜に何処に行くのかしら?」

 

なにもせぬまま居ても面白くないので、華琳は退屈しのぎに、一刀の後をつけた。

 

暫く行くと、林が有り、一刀がその中に入っていく。

 

華琳も、見失わぬようについて行く。

 

暫くすると、月が良く見える少し開けた場所に出た。

 

「うん、良い眺めだな」

 

一刀は持っていた酒とつまみを出している。

 

どうやら、月見酒を楽しむことにする様だ。

 

そして、つまみと酒と地面に置くと、"此方"を振り返りこう言った。

「そんな所に居ないで、一緒にどうだ?」

 

ガサガサッ!

 

「……気付いていたの?」

 

華琳は、バレテいるのなら何時まで居ても仕方ないと思い、茂みから出てた。

 

「ああ。 ま、そんな事はいいから、ほい」

 

そう言って、一刀は杯を渡し、酒を注ぐ。

 

この酒は、一刀が江東を出る前に作りかけだった日本酒を、

 

酒屋のオヤジと頭を捻らせて、やっと一刀の中で及第点を出せた日本酒だ。

 

「……ありがとう。 頂くわ、こくっ……あら、美味しい」

 

清んだ喉越しに、老酒等とはまた違った味わいで、己が飲んだ事の無い酒に華琳は目を輝かせた。

 

「お褒めに預かり、光栄だ。 そいつは俺と酒屋のオヤジが試行錯誤を重ね、やっとの事で作ったんだ」

 

「そうなの?」

 

まずは、飲んでいる酒の事から始まった小さな酒宴。

 

しばらく談笑していると、不意に華琳がこう言った。

 

「あ、そう言えば、私ね、小さい頃母の知り合いの人に会いに行った事があったの」

 

「うん」

 

何気なく話し始めた昔話に耳を傾けながら、一刀は酒を口に含む。

 

「それで、その帰りによった"森の中で、賊に襲われた"事があったのよ」

 

「!? ゲッホ! ゲッホ!!」

 

その一言は、一刀を動揺させるのには充分だった。

 

余りにも動揺して、一刀は飲みかけの酒が気管に入って、物凄く噎せ返ってしまった。

 

その様子を見て、してやったりといった感じに、ニヤリと華琳は笑った。

「ふふ……覚えていたんでしょう? "一刀"?」

 

「ゲホッ……ふぅ……不意打ちは、無いと思うぜ、"華琳"?」

 

ニヤリと笑った少女と、噎せて息も切れ切れの一刀は、お互いに相手の真名を躊躇無く口にする。

 

「何時、俺が覚えていると気付いた?」

 

「簡単、最初に会ったときに貴方が私を見て、とても懐かしそうな表情をしていたからよ。

 

それに、貴方が自己紹介をするとき、あの場には私を含め四人居たのに、

 

"お二人は初めてだな"と言ったでしょう?

 

春蘭……夏侯惇には貴方は会ったことがあるから彼女を省くとしても、あと三人。

 

数が合わないわ」

 

ただ一目見ただけで、ただ一度聞いただけで、人の感情を表情から、言葉から読み取る彼女の感性と、

 

些細な事で其処まで考える事の出来るに聡明な頭脳に、一刀は感服した。

 

「全く、感服したぜ。 そういえば御袋さん、華南さんは元気か?」

 

「……正直、元気とは言い難いわ、最近は咳が酷くて血痰や酷い時は血を吐く事もあるから、心配ね」

 

旧友との再会に、華琳はその胸の内をぽろっと零してしまったが、

 

何故か気にならならずどちらかと言うと、相談で来ていくらか心の錘が下せたような気がした。

 

だが一方の一刀は、その症状を聞いてある一つの病を思い浮かべた。

 

「……ちょっと聞くけど、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、

 

微熱がずっと続いていたり、就寝中に大量の汗をかくとか言う症状を訴えていないか?」

 

「な!? なんで、知っているの!?」

 

まるで側でずっと見ていたかの様に、母の症状を言い当てる一刀に、華琳の顔は驚きに染まった。

 

そして一刀は、その華琳の表情を見て確信を得た。

 

肺結核だと――。

 

「そうか……なら俺の親友の医師、華陀をそちらに向かわせよう。

 

あいつは、病人をほっておける様な薄情者じゃ無いし、俺も恩人が病で苦しんでいるなんて、心苦しい」

 

「……他の医師達は、母様の症状を見て手を上げたのよ?」

 

悲痛な表情を浮かべて、華琳は顔を伏せる。

 

そんな華琳の肩を一刀は、安心させるように優しく手を乗せる。

 

「心配するな、あいつは不治の病にかかった人を二人も救っている。

 

治療方法はちとあれだが、俺が十分に信を置けるやつだ。

 

大丈夫、俺を信じてくれ……!」

 

華琳は、一刀の瞳に強い意志を感じた。

 

だから、華琳は一刀が親友を信頼しているその意志を信じようと思った。

 

「……ありがとう、一刀。 わかったわ、貴方の親友を信じる意志を信じる事としましょう」

 

そう言って、華琳は綺麗な笑みを浮かべた。

 

一刀も、華琳の笑顔をみて笑みを浮かべた。

 

「それそれ、可愛い女の子には笑顔が似合うぜ」

 

そう言って、一刀はまだ開けていない徳利を華琳に渡す。

 

「持ってけ、華南さんが治ったら一緒に飲んでやって」

 

「一刀……心遣い感謝するわ。 母様も喜ぶわ」

 

華琳はそう言って、一刀の手からそれを受け取った。

徳利を手に取った華琳は、そう言えばと聞きたい事があったのを思い出した。

 

「気になっていたけど、貴方は戦の時何故、あんな獣の様な雄叫びを上げるの?」

 

「……あれは、ある種の儀式の様なもんだ」

 

華琳の言葉に一刀はそう返す。

 

華琳はどう言う事かと気になり、一刀の言葉を待った。

 

「……俺は弱いからな、"人"のままで、"人"を殺せない。

 

だから命を奪う時は、俺も"獣"になるんだ。

 

そして、戦の終わりと共に"人"に還り、殺した者たちの魂を背負う。

 

出来るだけ"人"が"人"を殺さなくても良い、出来るだけ"戦場"に出なくても良い世界にしたい、と願ってな」

 

「……そう」

 

この言葉を聞いて、華琳は、一刀に覇者の才を見た。

 

覇道を歩むと決めた自身でさえ、人を殺めるのは気分が悪いし、

 

初めて戦場に出た時は、もう二度と行きたくないと思った。

 

それを知っているからこそ、華琳は一刀の言葉に、特に"魂を背負う"という言葉に、共感が持てた。

 

自身の進むと決めた覇道も、人の死無くして語れない。

 

ならばどうするのか、逃げるのも、見て見ぬふりをするのも、

 

部下達に押し付けるのも、それは覇者のすることではない。

 

ならば答えは一つ、人の死を己に背負うしかないのだ。

 

そして、背負った死と共に己の道を突き進むしかないのだ。

「ふぁ……」

 

と、そこで華琳が小さく欠伸をする。

 

空を見ると、月がかなり傾いていた。

 

月の傾きを見ると、だいたい一刻ほどは経っていた。

 

「華琳、夜更かしは、お肌の敵だぜ。 美人なんだから、そろそろ寝な」

 

「あら、口説いているのかしら?」

 

一刀の言葉に、華琳は挑発的な笑みを浮かべてそう返す。

 

「口説く心算なら、もっと雰囲気を作るさ」

 

一刀もそれに、社交的礼儀とばかりにそう返す。

 

その反応が予想外だったのか、少し面食らったような表情をしたあと、華琳は小さく笑ってこう言った。

 

「言うじゃない。 そうね、いい感じに眠気がきたことだし、戻って寝ることにするわ」

 

「なら送ろう。 俺もそろそろ戻ろうと思っていたしな」

 

そう言って、一刀は華琳をつれて陣まで戻る事にした。

「一刀君? こんな夜遅くまで、何処に行ってたのかしら?」

 

「説明してもらおうか?」

 

「あ、あはは……」

 

華琳を彼女の陣まで送った後、一刀は凱の天幕によって事情を反した後、

 

自分の天幕に戻ったのだが、其処は虎穴だった。

 

不機嫌そうな結羽と冥琳が、自身の天幕の寝床に座っていた。

 

話を聞くと、案の定戦のあとで興奮状態に成った美蓮と雪蓮に、

 

一刀の代わりに冥琳たちが襲われそうになったが、

 

凱から貰っていた睡眠薬を酒に入れて飲ませ、二人を眠らせ、今までずっと待っていたのだそうだ。

 

二人とも整った顔立ちで、綺麗な笑み浮かべていたため、尚更恐怖を煽った。

 

「(落ち着け俺、俺は何もやましい事はしてないんだから。)月見酒をしてただけさ」

 

此処でどもっては、怪しく思われてしまうので、一刀は平静を保ってそう言った。

 

だが頭の回るこの二人には、特に注意しなければ成らなかった。

 

「ほう……では何故私達を、誘わなかった?」

 

「其処まで量が無かったし、俺はただ眠気が来るまでの暇つぶしに、酒を飲んだんだぜ?」

 

綺麗な表情のまま冥琳は一刀にそういう。

 

一刀も、不審に思われないように言うが、結羽が決定的な一言を言う。

 

「じゃあ、なんで曹操ちゃんの陣まで行ってたのかしら?」

 

「!」

 

そう言った結羽の表情を見ると、全部知ってるんだぞと言う眼差しをしていた。

 

客観的に見れば、一刀は浮気がばれた亭主のような表情をしていた

 

「……と、とりあえず、俺は酒を飲んでいただけで、何もしてないぞ!?」

 

だが、その一言がいけなかった。

 

「一刀の……」

 

「浮気者ぉ!」

 

笑顔だった二人は、表情を一変させ、鋭い視線を一刀に向けて、襲いかかった。

 

「ちょ、まっ! ああぁーーー!!」

~翌朝~

 

 

「……」

 

「……何が有ったの?」

 

「大丈夫ですか、お兄様?」

 

一刀達は、陣を引き払う前に華琳に別れの挨拶をする為に、一刀、冥琳、蓮華が選ばれた。

 

美蓮と雪蓮は、睡眠薬のせいで眠りっぱなしの為、代わりに蓮華が選ばれた。

 

「き、気にスンナ、何も無いカラ」

 

「ええ、彼は大丈夫ですから、気にしないでください」

 

だが、挨拶に来た一刀はゲッソリとやつれ、隣に居た冥琳は機嫌が良さそうな表情でそう言った。

 

その様子は、華琳と蓮華が心配してしまうほどだ。

 

だが、華琳は冥琳の顔が妙に艶々していたのを見て、何があったのか悟ったようだ。

 

ニヤリと笑みを浮かべ、遊んでやろうと思った。

 

華琳は、スッと彼の前に出て、彼の顔を両手で優しくつかむ。

 

ふらふらな今の一刀では、彼女の行動を阻止する事が出来無かったことを悔やんだ。

 

「ん……」

 

「……へ?」

 

『なぁっ!?』

 

なんと、そのまま華琳は一刀の頬に接吻をした。

 

暫く呆けていたが、彼を取り巻く女性陣達が、みるみるドス黒い雰囲気を醸し出す。

 

一刀は、その空気から醸し出される恐怖に身を震わせ、凱に助けてと視線を送った。

 

「あ~、死んだな……一刀」

 

だが、それも虚しく、凱は、そんな一刀の様子を憐みをこめた視線を送って言葉を零した。

 

「フフ、ではまた会いましょうね、"一刀"」

 

そして、華琳は踵を返して去っていった。

一刀は、後ろから送られる瘴気に怖くて振り向く事が出来ず、

 

華琳の元に向かおうとしている凱に、そっとだが切実な声をかけた。

 

「……凱、出来れば俺が死なないうちに帰ってきて?」

 

「……善処しよう。 死ぬなよ、一刀」

 

一刀の切実な言葉を受け止め、そう言って凱はこの後起こる騒乱を回避するため、

 

早々に華琳達の方に逃げた。

 

ミシミシッ!

 

そして、それと同時に一刀は両肩をあり得ない程の力で掴まれた。

 

ウチでは、比較的大人しい部類の二人な筈なのに、と思いながら、ゆっくりと振り向いた。

 

「……一刀、アレは何だ? そして、いつ曹操殿と真名を交換したのだ?」

 

其処には先ほどとは打って変わって、昨夜よりも凄く美しい表情で鋭い視線をした冥琳が居た。

 

だが、それだけならまだ良かった。

 

「おニイさマ、せツめいしてクレますよネ?」

 

其処にはドス黒いオーラを身に纏い、暗い光をその瞳に宿した蓮華が綺麗に微笑んで居た。

 

その威圧感は、普段の温厚で柔和な蓮華とは比較にならず、本気の美蓮の威圧感に匹敵していた。

 

「あ、あははは……はぁ」

 

そして、この事が原因で暫く一刀は、好意を寄せられている女性陣から責め立てられる事となり、

 

暫くほぼ毎日、蒼麒麟をほぼ毎日摂取しなければいけず、凱が帰って来た時は本当に干からびる寸前だった。


 
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