一刀「ゴホッゴホッみ、見てたの?」
突然の発言にむせこみながら答えると
秋蘭「まぁ、これでも飲んで落ち着くがいい」
スっとお茶を差し出す。
一刀「あ、ありがとう」
ズズゥーっと啜る
秋蘭「あぁ、そう言えば一昨日は沙和と川でいちゃついていたな」
”ぶっふぉっ”
秋蘭「どういうわけか教えてもらおうか?」
ニッコリと擬音が聞こえてきそうな笑顔が添えられていた。
一刀「えーっと、なんと言いましょうかですね」
しどろもどろになっていると
秋蘭「あぁそうそう、三人からこんなものを預かってるぞ」
と、言いながら胸元から三通の折りたたんだメモを取り出した。
一刀「三人?」
訝しげにメモを受け取るとそれを一つずつ開いてみた。
まおたん(”かぁくん”かんにんしてなぁ、夏候惇将軍人形人質に取られたら)
一刀(うんうん、しょうがないよ”まおたん”)
沙和(”かずくん”沙和は沙和は空気にされるのは嫌なの~許して欲しいの~)
一刀(うんうん、あの時の秋蘭の怖さはよーっくわかってるよ)
なぎ(”かずにーちゃ”ごめんなさいごめんなさい。なぎ頑張ったんだよお願い嫌いにならないでね)
一刀(馬鹿だなぁ、なぎを嫌いになったりするものか)
一通りメモに目を通してから
一刀「三人に酷い事はしてないよね?悪いのは俺なんだから」
少し真剣な表情で問い質すと
秋蘭「安心しろ、同じ男を愛する仲間にそんな酷い事が出来るわけ無いだろう。少々脅かしはしたがな」
飄々と返された。
一刀「敵わないなぁ秋蘭には、んで三人からは俺に聞けって言われたんだね?メモの内容からすると」
ヤレヤレといった表情でこういうのが精一杯だった。
秋蘭「うむ、改めて聞かせてもらおうか?事と次第によっては華琳様に報告せねばならないかもしれないしな」
悪戯っ子がするような笑顔で恐ろしいことを言い放つ。
一刀「それでかくかくしかじかで戻ってきていちゃいちゃしてるわけなんだよね」
ひとしきり話した後に秋蘭の方を見る。
秋蘭「何故・・・・・・黙ってた?」
一刀「それは真桜達に話した後に話す事で俺が消える恐怖を植えつけてしまう事に気づいたから」
秋蘭「・・・・・・るなよ、北郷一刀」
少し震えながら小声で
一刀「え?なんだって」
聞き取りづらかったので聞き直すと
秋蘭「魏の仲間達を、いやお前が愛した女性達を見縊るなっ、北郷一刀!!」
一刀「秋蘭・・・・・・っ」
声をかけようとしてハッとした。
ポロポロと涙を零している。あの秋蘭がだ。
秋蘭「確かにお前が消えるかもしれないと聞かされたら心穏かでは居られないだろう」
一刀「だから、俺は「聞け北郷」ああ」
秋蘭「何も知らされずに消えられるよりは知らされて心積もりできてる方がよっぽどいい」
一刀(あぁ、そうだな)
秋蘭「確かに我らは戦場でいつ命を落とすやもしれない覚悟で生きてきた。だが今はもう戦乱の世ではないのだ。そんな時にいきなり自分の愛する人間が消えてしまったら残された者はどうなる?」
一刀(また、俺は間違ってたんだな)
秋蘭「お前の意思ではどうにも出来ない事かもしれない。でも知っていればこの一瞬一時をもっと大事に実りあるモノとして心に刻むことが出来よう、そしてその思い出を胸に秘めて我らは前を向いて歩くことが出来るんだ」
一刀(俺は皆が傷つくのを見たくないって思ってたけど、本当は伝えて今の生活を失う事を恐れていたんだ)
気づけば秋蘭を抱きしめていた。感謝の気持ちと謝罪の気持ちを込めながら。
一刀「ごめんな、秋蘭こんな馬鹿な俺で」
秋蘭の顔を正面から見据えるとその瞳にはもう涙は無く、強い意志が込められていた。
秋蘭「北郷、今からでも遅くはない。皆にその事実を伝えてくれ頼む」
一刀「わかったよ、秋蘭。食べ終わったら華琳に頼んで皆に説明する機会を作って貰うよ」
秋蘭「あぁそうしてくれ」
そうして改めて秋蘭の手料理を味わう。
一刀「うん、さっきも言ったけどどれもこれも美味いなぁ~」
箸を止めずにパクついてると、
秋蘭「慌てて食べなくてもご飯は逃げないぞ。ほら、こんなとこにご飯粒などつけて」
そう言いながらホッペについたご飯粒をヒョイっと取り口の中へ
秋蘭「パクッ ふむ、北郷の味がするな」
と、言いながら頬を紅く染める。
一刀「しゅ、秋蘭~」
言われた俺の頬も真っ赤に染まる。
秋蘭「フフッ」
一刀「あはははっ」
どちらともなく笑う・・・・・・うん、いい雰囲気だ。
一刀「ふぅ~ご馳走様でしたーっ」
秋蘭「美味しく味わって貰えれば幸いだ」
一刀「さてと、では行ってくるよ」
華琳の元へ行こうと席を立ちながら
秋蘭「あぁ」
立てなかった。
一刀「あの?秋蘭さん。この腕はなんでしょうか?」
制服の裾を掴まれていた。
秋蘭「その、なんだ今日は非番なんだろ?わざわざ非番の日に華琳様に報告する事もあるまい?」
こちらを向きながら耳を真っ赤にしてそれでも裾を掴んだ手を離さない。
一刀「んじゃ・・・・・・秋蘭さん、今日一日私めに付き合って頂いてもかまいませんか?」
恭しく頭を垂れながら少し格好をつけて片手を差し出すと
秋蘭「ふむ、そこまで頭を下げられては断るわけにもいかないだろう喜んで付き合おう」
その手をしっかり握り返してくれた。とびっきりの笑顔付で。
魏ルートパフェ 甘々物語-秋蘭編 中編- 完
-あとがき-
はい、駄文製作者のshirouです。二部作にしようと思ってたんですが三部作になりそうです。
今回は北郷が秋蘭に諭されて皆に消えた事実を告げる決心を固めたってのが甘々物語のターニングポイントになります。
つまりは・・・・・・魏の武将誰もがヒロイン対象になるわけですねハイ。
自分の首を絞めた気がするのは何故でしょうか?
今回は甘め成分少なめだと思いますがまだ昼~夜が残ってます。さぁそこで挽回だ。
更新が遅くなっておりますが、見捨てずに見てやって下さい。
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この作品は誤字脱字遅筆駄文製作者が妄想の元書き上げる魏ルートEND後アフターIFストーリーです。キャラ崩壊口調違和感等は生温かい視線とコメントでお願いします。前作からお読み頂く事を推奨します。