横切る。
二人は交差し足を止める。
二人は動かない。
誰もが固唾を呑んで見守る。
次の瞬間―――
両者は地面に崩れ落ちる。
「一刀っ!!」
天和が叫ぶ。
それで全員が動き始める。
天和、地和、人和、蘭花、龍盟が駆け寄る。
反対側からは少女が叫びながら恋の下へやってきていた。
「恋殿~~~~~!!!!」
少女は恋の隣で叫んでいた。
天和達も一刀の横で錯乱していた。
「一刀っ!!ねぇ、一刀っ!!」
天和は一刀を揺すっている。
そこに一人の青年が声を掛けてきた。
「どうした!?怪我でもしたのか!?それなら俺は医者だ!!診せてくれっ!!」
その言葉に天和達は大人しく一刀の側を離れる。
少女が“恋殿も頼みますぞ!!”と声を掛けてきたので青年は一刀と恋の身体を同時に診ていた。
周りは静かに見守る。
二人を見始めてすぐだった。
「こ、これはっ!?」
青年が出した声によって辺りは息を呑む。
「二人とも至って“健康”だ」
「・・・・・・・・・」
全員が黙る。
「何を言っている。一刀は倒れているではないか!」
龍盟が青年の診断に異を唱え始める。
「そうですぞ!!ウソをつくなです!!」
少女は龍盟に続いて批難する。
その時――
ぐ~~~~~~~
盛大に一刀と恋のお腹が鳴った。
「生きてたのはうれしいんだけど・・・・・・なんだろう、この胸のもやもやは・・・・・・」
蘭花が食事をしている一刀を見ながら言う。
一刀の隣では恋が食事をしていた。
「いいじゃないか。生きてる以外に望むことはないだろ」
龍盟が蘭花の方へ歩いて来る。
「そうだけど・・・・・・」
蘭花は納得がいかないのか一刀をジト目で見る。
一刀はそんな蘭花に気づかずに食事を続けている。
「というか、あんた達、食べ過ぎーーー!!!!」
一刀と恋の食べた量は確実に20人前を超えていた。
「気にするな」
「気にするわっ!!」
蘭花は素早くツッコミを入れる。
「大丈夫だって、金のあてはあるから」
一刀は蘭花を見て苦笑しながら応える。
「また、どっかの屑でも襲うの?」
「いや、今回は普通にやる」
一刀は首を振る。
「どうやって?」
「天和達の歌で」
「はぁ?黄巾党の頭が堂々と歌うの?というか、呂奉先は頸を取りに来たんでしょ?」
蘭花は恋を指さす。
向けられた本人は首を傾げて“?”となっている。
「そこは恋の上司さんに頼めばいいっぽい」
「頼むって、どうやって?」
「さぁ?」
そんな一刀の態度に蘭花は文句を言おうとするが一刀の“とにかく”という言葉で遮られる。
「俺は人和と百人ばっかり連れて恋の上司に会ってくる」
それだけ宣言すると一刀はその場を離れて天和達がいる天幕へと向かっていった。
「なんなのよっ!!もぉーーーーー!!!」
蘭花の声は黄巾党の本隊に響き渡った。
「ここか」
一刀は目の前の城を見ながら呟く。
一刀がいるのは天水。
恋の主人である董卓がいるところだ。
入口で一刀が城を見ていると恋は一刀の袖を引っ張り城の中に入ろうとする。
「えっと、許可とか取らなくて大丈夫なの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(コクッ)」
「間が長いんだけど」
一刀が問うが恋は“大丈夫”と意思表示をするだけ。
一刀は諦めて城に入った。
ちなみにあの少女――陳宮は恋の家族のところに行っている。
初めは恋と離れることを嫌がっていたが恋がお願いすると渋々、了承した。
一刀と一緒に来た黄巾党のメンバーと人和は陳宮が指示をして別の場所に待機していた。
一刀は最初、“見知らぬ人間が城内に居ても大丈夫なのか”と思っていたが恋に声を掛ける人物は居なかった。
恋はずんずんと進んでいく。
そして、扉の前で立ち止まった。
恋は扉を開けると中に入っていく。
一刀は取り合えず、後ろから続いた。
そこは玉座の間だった。
しかし、長がいるべき椅子には誰も座っていない。
「・・・・・・少し、待つ」
恋は一刀の方を向いてそれだけ言うとどこかに歩いて行った。
「いや、俺を一人だけ残していったらダメじゃね?」
一人でツッコミを入れる一刀だが誰からの返答もない。
声は玉座の間で虚しく消えた。
賈駆`s 視点
ボクは目の前に山積みにされた竹簡と戦っていた。
なぜだかは分からないが今日は処理すべき案件がとても多かった。
緊急を要するものはほとんどない。
だけど、量が量だけにかなりの速度で行っていた。
失敗が無いように丁寧かつ迅速に行う。
はっきり言って他の文官は役に立たない。
優秀な者もいるがそれはあくまで案件を処理するのに限りだ。
新しい案件を出したり出来る者はいなかった。
ボクの目の前の竹簡はボクとねねで考えた案件だった。
文官達には難しいらしく処理はボクかねねで行わなければいけない。
しかし、ねねは北上してくる黄巾党の退治に行っているためここにはいない。
「あの子の恋への依存は困ったものよね」
ねねは恋が大好きでずっとついて回っている。
ボクも月が大切だがさすがに四六時中一緒にいることはない。
居たくない訳ではない。
むしろ、四六時中一緒にいたい。
じゃなくて!
そろそろ恋から離れてくれないと軍師としては使えないのだが。
あの様子だとどうにも無理のようだ。
いけない、余計なことを考えていた。
仕事に集中しなければ。
と、ボクが作業を始めた途端に狙ったのでは?と思えるほどの瞬間に月の声が聞こえた。
「恋さん、待って下さいぃ~」
ボクはすぐに政務室から廊下に出た。
声のする方へ急いで行くと恋が月を抱っこしていた。
ぞくに言うお姫様抱っこだ。
いいなぁ、ボクも身長が高ければ月を抱っこできたのに。
じゃなくて!
「ちょっと、恋!あんたは何をしてるの!というか黄巾党の討伐は?」
恋は今、ねねと黄巾党の討伐に行っているはずだ。
それがなぜ、自室で仕事中のはずの月をお姫様抱っこして城内にいるのか。
恋はこちらを向いてボクの姿を確認する。
「あ、詠ちゃん」
月がうれしそうにボクの名前を呼ぶ。
正直、かなりうれしい。
じゃなくて!
「・・・・・・詠も付いてきて」
それだけ言うとまたもや歩き始める。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
ボクは仕方なく恋を追った。
『懺悔室』
取りあえず、すみませんでした。
本当は恋を勝たせたかったんですが引き分けに(しかも、最悪の形で)
一刀もまた、三国最強の武の持ち主です。
でも、黄巾党に強いやつがいないからこれくらいしなければ…
さて、今回は恋と引き分け董卓の元へとやってきた一刀。
そこで出会い、運命の歯車が回り始める。
黄巾党崩壊へのカウントダウンは始まった。
↑予告でもなんでもないです(笑)
それではここまで見て下さった皆様に多大なる感謝を!!
※賈駆の一人称が違うことを発見。修正しました。
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まさか、今日、テストがあるなんて・・・
一週間前に知りました。
ふざけんなよ、コンチキショーーーー!!!
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