No.179809

真・恋姫†無双 頑張れ一刀 番外編2

五十人目の適格者

2010-10-23 00:22:14 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:10020   閲覧ユーザー数:7679

 

 

 

「……頭が重い」

 

 

目覚め一発目に一刀が呟いた。

 

 

 

何か頭が重いなと思ったら蜀の幼女王である桃香が頭に乗っかって寝ていた。

 

 

 

「腹には雪蓮、腕には愛紗と鈴々と華琳と蓮華、足にはロリババ……おっと、紫苑と桔梗と祭か。他の子は今日は敗北したようだな」

 

 

毎晩一刀の近くで寝るために、ポジション争いが繰り広げられていた。

一刀専用の寝台は、皆で寝れるようにかなり巨大な作りとなっていた。

 

 

 

「ったくよ。みんないちいち可愛いんだから困るぜ全く」

 

 

なんとなくむかつく言い草である。

 

 

「ほら、桃香起きて」

「みゅ~、おはよ~ご主人様~」

「うん、おはよう。みんなを起こすの手伝ってくれるか?」

「いいよ~」

 

 

 

桃香は一刀の頭を降りて、皆を起こし始める。

 

 

 

「はい、みんなおはよう!」

『おはようございます!』

 

 

 

元気一杯の幼女たち。

こうして一刀の一日は始まる。

 

 

 

 

 

「あー、幼女が足りんな最近」

 

 

彼は幼女に飢えていた。

この上なく。

 

 

 

「ま、まだ必要なのか?」

「当たり前だろ。非幼女は黙って仕事してろ」

「ひ、ひどい……」

 

 

 

白蓮に厳しく言う一刀。

一刀は非幼女に厳しかった。

この上なく。

 

 

 

「華雄は何処行ったんだ?」

「荊州の南で賊が暴れているのを討伐に行った」

「あいつも好きだね~。そういえば幽州にも賊が現れるって報告があったな……。帰ってきたら華雄に行かせろ」

「さすがに休みを与えなきゃダメだろ!」

「あ? 別にお前の意見は聞いてないんだけど? っていうかこれ決定事項」

 

 

 

さすがの白蓮も口を開けたまま唖然とした。

 

 

 

やはり非幼女に厳しい一刀だった。

 

 

「あー、そういえば朱里と雛里が蔵の整理するって言ってたから手伝いに行ってくるわ。だからこの仕事よろしくな」

「え、あ、ちょっと待て!」

 

 

すでに一刀は部屋から姿を消していた。

 

 

 

そこに残ったのは白蓮と大量の竹簡だけだった。

 

 

「幼女になりたい……!」

 

 

 

 

「はわわわわわわわわ、ご主人様!」

「あわわわわわわわわ、ご主人たま!」

 

 

いきなり一刀が蔵にやって来たことに驚く二人。

 

 

「ははは、そんなに慌てなくてもいいよ」

 

 

優しく二人の頭を撫でる一刀。

数々の幼女を陥落させてきた『幼女を愛でる手』だ。

 

 

「はわふぅ~」

「あわふぃ~」

 

 

幸せそうに笑みを浮かべる二人を見て一刀は癒される。

 

 

「大変そうだから手伝いに来たよ」

 

 

その代わり大忙しになった非幼女がいた。

 

 

「あ、あざ~す」

「あわ、朱里ちゃん~」

 

 

フランクな幼女朱里だった。

 

 

「それじゃあ始めよっか」

『はいっ』

 

 

こうして蔵の整理が始まった。

 

 

 

 

「えっと、こっちが幼女関係の本っと」

 

 

蔵の整理をしながら自ら書き記した幼女関連の本も本棚に並べていく一刀。

 

 

「非幼女の扱いは……こっちだな」

 

 

初めてみると結構な量があったので手伝いに来てよかったと思う一刀。

 

 

 

「んでこれは…………なんだこれは?」

 

 

一刀が手に取ったのは『太平要術』かと思いきや『太平幼女』と書かれた本だった。

 

 

「俺こんな本書いたっけかな?」

 

 

数多くの作品を書いてきた一刀は自分の作品か思い出せなかった。

 

 

「えっと、なになに」

 

 

パラパラと本をめくる一刀。

 

 

「ふむふむ。…………こ、これは!」

 

 

あるページを開いた一刀はそこに書かれていることに衝撃を受けた。

 

 

「こ、これで幼女を増やせるぜ!」

 

 

狂喜乱舞した彼は速攻で蔵の整理を終わらせるのだった。

仕事は投げ出さないのが彼のポリシー。

幼女関連に限るが。

 

 

 

 

 

「かじゅとはまだ部屋からでてこにゃいにょ?」

「へぅ~、へ、へぅ」

「一体何をやってるのかちら?」

 

 

メイドの月が食事を部屋まで持っていくのについて行く雪蓮と華琳。

 

 

「もう三日もかじゅとに会ってにゃいにょ~」

「へぅへぅ」

「しょうにぇ~、こんにゃことはじめてだわ」

 

 

舌足らずな三人の会話を見た兵士たちは悶え苦しんでいた。

 

 

あの日から一刀は部屋から一歩も出て来なかった。

 

 

食事は無くっているので生きているのは確かだが、さすがに心配になる幼女たち。

 

 

そして三人は一刀の部屋に辿り着く。

 

 

いつものように食器は部屋の外に出されていた。

 

 

「へぅ~!」

 

 

月が呼びかけるが返事は返ってこない。

 

 

「もぉ~。かじゅとに会いたい~~~~!」

「でてきなちゃいよー!」

 

 

会えなかった寂しさで涙がこぼれる三人。

 

 

「幼女を泣かすのはこの俺が許さん!」

 

 

その瞬間一刀は部屋から飛び出してきた。

 

 

 

『ふぇ~~~~ん!』

「へぅ~~~~~!」

 

 

涙を流して一刀に抱きつく三人。

 

 

「ああ、俺はなんてことを……。ごめんね。これからはずっと一緒だよ」

 

 

三人を強く抱きしめて、もう寂しい思いは二度とさせないと誓った一刀。

 

 

 

この後一刀は全幼女に泣かれた。

そして全員を抱きしめて謝るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、一体何をしていたんだ北郷……」

 

 

三日分の一刀の仕事もやった白蓮はやつれていた。

 

 

とても。

 

 

「ああ、聞いてくれ白蓮! ついに完成したんだ!」

 

 

三日間の研究の成果がついに明らかになる時が来た。

 

 

「な、何がだ?」

 

 

いつもより優しい一刀に嬉しさが込み上げる白蓮。

 

 

「それは――――」

 

 

そこで非幼女が一人部屋に入って来た。

 

 

「け、荊州の賊討伐の報告に来たぞ」

 

 

疲れた顔の華雄だった。

 

 

「まあ百聞は一見に如かずだ。華雄、これを飲め!」

「な、なんだこの薬は?」

「いいから飲まんかコラ」

 

 

一刀の気迫に押された華雄は一刀に手渡された錠剤を飲みこむ。

 

 

 

「ぐっ、なんだ、身体熱い!」

「お、おい何をしたんだ北郷!」

 

 

義妹の心配をする白蓮。

 

 

「ワクワク!」

 

wktkする一刀。

 

 

 

 

 

「うわ~~~~!」

 

 

華雄が叫んだ瞬間。

 

 

「か、華雄が幼女になった」

「実験成功だ!」

 

 

幼女になったことを驚く白蓮。

予定通り幼女になったことを喜ぶ一刀。

 

 

「わ、私は幼女になったのか?」

「そうだよ華雄。こっちにおいで」

 

 

手招きする一刀。

そっちに行くなと涙目の白蓮。

 

 

「お~よしよし」

「ふわぁ~」

 

 

幼女マスターに敵うはずがなかった。

 

 

こうして手持ち幼女が新たに加わるのだった。

 

 

「ほ、北郷! その薬私にもくれ!」

 

 

これさえあれば地獄のような生活から脱することが出来ると考えた白蓮。

 

 

しかし、現実は甘くない。

 

 

「もうないんだよね。作ろうにも三日三晩かないとダメだからまたみんなを悲しませちゃうじゃん? だからあきらめろ」

「そ、そんなーーーー!」

 

 

そして一刀は華雄を抱っこして部屋を出ようとする。

 

 

最後に振り返って一言。

 

 

「幽州の賊討伐はよろしくな」

「ちっくしょーーーーーーーー!」

 

 

 

完。


 
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