No.179601

真・恋姫無双 魏end 凪の伝 9

北山秋三さん

真・恋姫無双の魏end後の二次創作SSになります。
凪すきーの凪すきーによる、自分の為のSSです。ご注意ください。

2010-10-21 21:06:53 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:5116   閲覧ユーザー数:4335

 

 

 

※この作品は魏endで一刀が"完全"に消滅した事を前提としているため、

 

記憶が戻るとかは無いので御容赦下さい。

 

後、オリジナル設定もあり、登場人物の行動や言動が原作と一致しない場合も

 

多々ございますので、その点も御容赦下さい。

 

 

 

「それで・・・まず、オレは何をすればいいんだ?『剣』をこの外史の凪に渡さないようにして、

 

『真書』を破壊する・・・という事は分かったけど・・・ここがどこか、これからどうすればいいのか

 

がわからないぞ?」

 

「ここは荊州の江陵近くだからで、少し東に上れば建業の街につくわん。

 

まずはそこで『にゃあ黄巾党』の事を調べればいいと思うのねん」

 

「にゃあ黄巾党の事を?」

 

「にゃあ黄巾党以前の黄巾党は、太平妖術の書によって作られた組織なのねん。

 

何らかの関係があると思うわぁん」

 

「まずは呉の建業・・・か。三国志といえば孫策とか周瑜がいるのか・・・。

 

うわー・・・英傑中の英傑だな・・・って、魏が勝った外史だから"彼ら"はもういないのか」

 

少し残念そうな顔の一刀に翳を感じて、男の色気がすごいわぁと貂蝉の目がハートマークになる。

 

「それは大丈夫よん。魏が勝ったといっても、『天の御遣い』と呼ばれたこの外史のご主人様の尽力で

 

三国が同盟を結ぶ形で平和になったから、いずれ会えるわよぉん」

 

「相当すごいヤツだったんだな。もう一人のオレ」

 

そこで貂蝉が人差し指をピッと立てて腰をくねらせ、

 

「ウフフフ・・・でも、一つ間違いがあるの・・・うふっ♪」

 

その人差し指で投げキッスをしながら近づく貂蝉に、もう一度剣先を突き立てて距離を取る。

「何だ間違いって・・・?お前の存在か?」

 

「"すごいヤツ"は正解だけど・・・この外史の武将は全て"彼ら"じゃなくて、"彼女達"なのよぉん♪」

 

「────さあ、冗談はこのくらいにしてもらおうか・・・」

 

一刀の左手が柄に添えられ、殺気が膨らむ。

 

「本当なのよぅ・・・例えば、この外史の凪ちゃんは楽進なのねん」

 

「・・・は・・・?楽進って・・・魏の楽進・・・文謙・・・か?」

 

頷く貂蝉を見て唖然とする。

 

「凪のご先祖様・・・だった筈・・・あ!だから『閻王』か!」

 

ニセ凪は片手だったが閻王をつけていた。魏の楽進なら確かに身に着けているだろう。

 

「この外史で一つ注意しなければならないのは、うっかり『真名』を呼ばないようにしないとならないのねん。

 

例えばこの外史の凪ちゃんなら、姓は楽進、字は文謙、真名は凪────というふうにねぇ。

 

この外史で『真名』は神聖なもので、その意味はとても重いのよん。認められない者が呼べば命を

 

失ってもおかしくないわん」

 

「それは気をつけなきゃならないな・・・それにしても・・・孫策や周瑜が女の人・・・美髭公の

 

関羽とかはどうなってるんだ?」

 

女の人に長い髭が生えているという安直な思いつきに、思わず頭を抱える。

 

その時貂蝉の体が光に包まれた。

 

「そろそろ戻らなければならないのねん。この外史は今、とても不安定だから修正が必要なのよぅ。

 

それと。こーれ、せ・ん・べ・つよぉん」

 

そういって股間のビキニから小さな革の袋を取り出して、一刀の前に差し出す。

 

「NO THANK YOU」

 

全力で拒否の姿勢を表すが、

 

「この外史で通用するお金が少し入っているわよぉん」

 

と言われては受け取るしか無い。何しろ千円札はあるが、実質無一文だ。

 

左手で触ると指輪に触れそうなので、仕方なく剣を鞘にしまって腰に差し、

 

右手の親指と人差し指でイヤイヤながら受け取る。

それをぐふふ・・・と見ていた貂蝉の体がふわりと浮き上がった時────

 

「あ。そうだったわぁ。もう一つ大事な事を教えておかなければならなかったのねん。

 

この外史のご主人様は魏の武将全員と関係を持ってて、『魏の種馬』と呼ばれてたわよぉん」

 

「・・・は・・・?」

 

「じゃあ、またねぇぇぇん。愛してるわよんご主人様ぁ♪」

 

その言葉を残して貂蝉は遥か遠くに飛んで行った。

 

「今・・・何て言った・・・?魏の・・・武将・・・全員と・・・関係を持った・・・って・・・?」

 

残された一刀は呆然と立ち尽くす。

 

「なにやってんだよもう一人のオレぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

その叫びは荒野に空しく響いた。

 

「みんなー・・・どこいっちゃったんだよぅー・・・」

 

半分泣きべそのような声が白馬の上から聞こえる。

 

影の薄そうな彼女は一人白馬に跨り、荒野を彷徨っている白蓮だった。

 

「はぁー・・・さっき見えた流星も何だったか気になるけど、みんなも探さなけりゃならないよなー。

 

どこに行ったんだろう・・・もう3週間だよ・・・ここまで来たら、建業へ行ってみるかなー・・・」

 

そこへ、少し離れた所から、

 

「なにやってんだよもう一人のオレぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

という叫び声が聞こえ、白蓮がビクッ!とする。

 

「な、な、な、なんだろう・・・?」

 

恐る恐る近づくと、そこには見たことも無い黒い服を着た青年の後姿があった。

 

青年は深く溜息をついて頭を掻くと、「あ」と言って手をポンと打つ。

 

「東・・・って・・・どっちだよ・・・」

 

頭を悩ませる彼に、白蓮は迷子かな?と近づく。

 

「どうされましたか?」

 

え?と一刀が振り向くと、白蓮の動きが止まった。

 

そのまましばらく見つめあい・・・。

「えーと・・・どちら様でしょうか・・・?」

 

じっと見つめられている事にちょっと恥ずかしくなった一刀が頬を掻きながら声を掛けると、

 

「あ!い・・・いや!その、だな!ええっと・・・!」

 

顔を真っ赤にしながら、白蓮がうろたえる。

 

(な・・・なんだこのカッコイイ人は!)

 

白蓮は反董卓連合の時にも少し『この外史の一刀』を見ている筈だが、今の一刀はその時より6年の

 

歳月が経ち、落ち着いた雰囲気と凪と共に修練漬けで過ごした引き締まった体を持ち、

 

少年から青年へと変貌を遂げていたため反董卓連合の時と同一人物だとは気が付かなかった。

 

何しろ白蓮は当時の一刀を"白い人"程度にしか認識しておらず、今の黒いスーツ姿は見たことが無い。

 

「ああ、えっと・・・コホン、わ、私は姓は公孫賛、字を伯珪という者だ・・・です。

 

道にっま、迷われたようだったので、こ、声を掛けさせてもらった・・・もらいました」

 

しどろもどろながら、なんとか白蓮が自己紹介を済ませる。

 

「こ・・・公孫賛・・・って・・・確か幽州の・・・」

 

「それは昔の話で、今は蜀の食客デスヨ・・・」

 

驚く一刀に、白蓮がガックリと肩を落としてトホホ・・・と呟く。

 

「あ・・・、オレは北郷一刀と言います。今は呉の建業に向かおうと思っていたんですが、

 

方角がわからなくなりまして・・・」

 

明るく笑う一刀の笑顔に、白蓮の胸がトキメク。

 

(な、な、な、な、何だ?おかしいぞ!?今初めて会った筈なのに、何だこの気持ちは・・・?!)

 

「ほ、北郷殿、か。呉の建業なら私も行こうとお、思っていた所なんだ!どうだろう、

 

い・・・、一緒にやらないか!じゃなくって!一緒に・・・行きませんか・・・」

 

ぷしゅーと白蓮が萎み、緊張しすぎてヘマばかりをする自分に自己嫌悪する。

 

(これは何という不審者だ・・・断られるに決まっている!)

 

「え!ホントに!?助かります!・・・この馬に乗ってもいいんですか?」

 

「ふぇ!?あ、ああ!」

 

白蓮が頷くのを見て、一刀がサッと馬に跨る。

 

(凪と中国に行った時に散々練習していて助かったな)

 

白蓮の後ろに乗る形になるのだが、白蓮は初めて男の人に後ろから抱きつかれている事に

 

心の中は激しく動揺していた。

 

「よろしくお願いします、公孫賛さん」

 

後ろから掛けられた優しげな声のなんと心地よい事か。

 

声も出せずに何度も頷くしか出来なかった。

 

(あー・・・みんな・・・ごめん・・・探すのは後回しでいいよね・・・。

 

まあ、あの三人だったら何があっても大丈夫な気がするし・・・)

 

白蓮はそう自分に言い聞かせて、馬をややゆっくりと進ませた。

 

少しでも長く会話をする為だ。

 

(ホントにごめん。麗羽、猪々子、斗詩・・・私は幸せになります!)

 

どこかでぬあぁぁぁぁんでぇすってぇぇぇぇぇぇぇ!!!という声が聞こえた気がした・・・。

 

 

さて、お送りしました第9話

 

ハムさんかわいいよハムさん。凪の方がかわいいけどな!!

 

ということで一刀のお供に決まりました。

 

最初は華雄にしようかとも思っていたんですが、ハムさんの動かしやすさは異常。

 

ハムさんのイメージがEZ-8から抜けないのが困り物ですけど・・・。

 

一刀の行き先は呉。さぁ、どういう事になるか。

 

ではちょこっと予告。

 

「裏切り者」

 

では、また。

 

 

 

 

 

 

 


 
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