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真・恋姫†無双~赤龍伝~第8話「覚悟」

さん

真・恋姫†無双~赤龍伝~第8話「覚悟」は、二次創作の小説です。基本的に呉√にそっては行きますが、主人公は北郷一刀ではなく、オリジナルキャラクターです。他にもオリジナルキャラクターは登場しますので、本来の作品イメージを大切にしている方はご覧にならないでください。また、未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長い目で見てくださると助かります。

2010-10-21 05:38:46 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:9881   閲覧ユーザー数:8662

真・恋姫†無双~赤龍伝~第8話「覚悟」

 

 

 

祭「お主は人を殺す覚悟があるか?」

 

その夜、祭の言葉が頭から離れなかった。

 

眠れなかった為、中庭で一人夜空を見上げていた。

 

赤斗「殺す覚悟か……」

 

つい先日まで普通の学生として暮らしていた。

 

古武術を学んでいても、人を殺したことなどもちろんない。

 

これからも人を殺すなんて思ってもみなかった。

 

たった一つの例外を除いては……。

 

赤斗「…………」

 

たった一つの例外。

 

赤斗は人を殺める寸前で師によって止められた過去がある。

 

それは皆にも言わなかった残り一つの奥義である“狂神”を使った時。

 

赤斗「狂神だけは……絶対に使わない」

 

“狂神”を使わないと心に決めていた。

 

どんな状況に陥ろうとも“狂神”だけは使わない。

 

どんな時も人間であろうと心に決めたのだから。

 

 

赤斗が夜空を見上げながら、考えごとをしていると

 

蓮華「そこにいるのは誰だ!」

 

赤斗「んっ……孫権か」

 

いつの間にやら蓮華が後ろに立っていた。

 

蓮華「お前か。こんな時間に何をしている?」

 

赤斗「別に何も……ただ考え事をね。孫権こそ、どうした?」

 

蓮華「わっ、私は……怪しい人影を見かけたから来てみただけだ」

 

赤斗「ははっ、怪しい人影とは失礼だな」

 

蓮華「それで何を考えている?」

 

赤斗「んーー。孫権は人を……」

 

人を殺したことがあるか?と聞こうとしたが止めた。

 

おそらく彼女は人を殺めたことも戦に出たこともないだろう。なんとなくだがそう思った。

 

蓮華「私がどうした?」

 

赤斗「いや何でもない」

 

蓮華「何でもないとは何だ! 言いたいことがあるなら、はっきり言え!」

 

赤斗「………」

 

蓮華「何で黙る!」

 

赤斗「ごめんごめん。本当に何でもないんだ」

 

蓮華「おかしな奴だ。そんなことでは明日からのことが思いやられるぞ」

 

赤斗「明日?」

 

蓮華「何だ母様たちから聞いていなかったのか? 明日からお前も黄巾党討伐に行くんだぞ」

 

赤斗「黄巾党討伐に……僕も?」

 

黄巾党討伐へ急に自分も行くことを聞いて、赤斗は身体が震えだしてしまった。

 

蓮華「……怖いの?」

 

赤斗が震えているのを見て蓮華が尋ねる。

 

赤斗「怖いな。僕の国は平和だったから戦争なんて60年近くなかったからね。だから凄く怖い」

 

蓮華「……ふっ、軟弱な奴ね」

 

赤斗「孫権は怖くない、緊張したりしないの?」

 

蓮華「わ、私は、……今回が私の初陣なんだ。緊張して何が悪い」

 

赤斗「そうか、それを聞いて安心したよ」

 

蓮華「安心?」

 

赤斗「黄巾党討伐と聞いて怖かったけど、孫権も緊張していることが分かって安心した。お互い初陣仲間として生き残れるように頑張ろう」

 

蓮華「ふんっ……盗賊ごとき下郎に遅れを取るつもりはない。お前も安心しておけ。私がお前を守ってやるから」

 

赤斗「ありがとう。だけど……僕が孫権は守るよ」

 

蓮華「なに?」

 

赤斗「孫権が孫呉の悲願の為に闘っているように、僕にも闘う理由が欲しいんだ。実を言うとね、火蓮さんに孫呉の為に力を貸せとは言われたけど、今だ実感が湧かないんだよね」

 

蓮華「…………」

 

赤斗「だけど、誰かを守るという理由があれば闘える。いや、僕は孫権を守りたい。自分勝手なことを言って申し訳ないと思うけどね」

 

蓮華「期待はせん。でも……好きにすれば良い」

 

赤斗「OK。好きにさせてもらうよ♪」

 

蓮華「桶?」

 

赤斗「天の国の言葉で承認したとか、了解したって意味」

 

蓮華「変な言葉だ」

 

その後二人は、しばらく天の国についての話をした後、部屋に戻っていったのである。

 

 

蓮華が赤斗と遭遇する少し前。

 

藍里「本当に黄巾党討伐に赤斗様を連れて行かれるのですか?」

 

不安そうに藍里が尋ねた。

 

火蓮「あぁ、連れて行くぞ」

 

藍里「でも、そのことを赤斗様には伝えてもいませんが?」

 

火蓮「それなら大丈夫だと思うぞ。さっき赤斗も一緒に、黄巾党討伐に行くことを蓮華に教えたからな」

 

藍里「蓮華様に?」

 

火蓮「あぁ、蓮華も今回が初陣だからな。眠れない様子みたいだったよ。何やら赤斗も中庭に居たから、あのままなら二人は中庭でばったりと会う。きっと蓮華が赤斗に伝えてくれるさ」

 

藍里「そんなに都合良くいくでしょうか?」

 

火蓮「大丈夫、大丈夫♪ きっと上手くいくさ」

 

藍里「それも火蓮様の勘ですか?」

 

火蓮「そうさ、私の勘だ。それより、私たちが留守の間は頼んだぞ。藍里」

 

藍里「はっ、はい。お任せください!」

 

 

翌日、赤斗は雪蓮と一緒の馬に乗って行軍を進めていた。

 

雪蓮「まさか、馬に乗れないなんてね」

 

赤斗「しょうがないよ。あっちの世界では一般的には乗らないからね」

 

雪蓮「ねえ赤斗、蓮華と何かあったの?」

 

小声で孫策が尋ねてきた。

 

赤斗「えっ!……何で?」

 

雪蓮「だって、さっきから蓮華がこっちを見ているもの」

 

赤斗は蓮華の方に振り返り、蓮華と目が合うもすぐにお互い目を逸らしてしまった。

 

雪蓮「やっぱり何かあったみたいね」

 

赤斗「まぁ……ちょっとね」

 

雪蓮「ふーん♪」

 

赤斗「それより、まだ目的地には着かないの?」

 

誤魔化すように、話を変えた。

 

雪蓮「もうすぐよ。獣たちの根城はね」

 

赤斗「獣?」

 

雪蓮「そう獣よ。あいつら人間をやめた獣よ。だから容赦なく殺すの」

 

雪蓮の言葉が胸に刺さる。

 

雪蓮「んっ……どうしたの? まさか震えてる?」

 

赤斗「これから人が死ぬと思うと、ちょっとね」

 

雪蓮「怖い?」

 

赤斗「凄く怖い」

 

雪蓮「正直ね」

 

赤斗「嘘言っても仕方がないしね」

 

雪蓮「安心して赤斗は私が守ってあげる」

 

赤斗「ありがとう雪蓮。だけど孫権との約束があるから、守られてばかりじゃいられないよ」

 

雪蓮「いつの間にそんな仲良くなったのかは知らないけど、無理はしないでよね」

 

赤斗「……分かった」

 

火蓮「おい、いつまで話している。もうすぐ着くぞ」

 

赤斗(ドキッ)

 

雪蓮「ほら、あそこが獣たちの根城よ」

 

とうとう着いてしまったと赤斗は内心そう思ってしまった。

 

 

黄巾党の根城の近くには孫呉以外にも多くの諸侯がやって来ていた。

 

火蓮「おー、いるな。獣退治で名を馳せ様とする輩たちが」

 

冥琳「袁紹、曹操、公孫賛、それに義勇軍の劉備。やはり、戦略眼がある人間ならば、この好機は逃がさないか」

 

火蓮「数にしてどれくらいだ?」

 

冥琳「数にして、およそ十五万ほどでしょう」

 

火蓮「それに対する黄巾党は二十万だったか?」

 

冥琳「はい」

 

赤斗「……十五万対二十万か。差は五万。なんとか互角に闘えそうですね」

 

冥琳「互角どころか。圧勝できるだろう。相手は所詮、食い詰め農民やどこぞから流れてきた浮浪だ。正規の訓練を受けた兵に抗するだけの力はない」

 

赤斗「量より質ということか」

 

冥琳「しかし、勝てる、というほど甘くもないのだよ。初対面の軍が連携を取るということは、それほど難しいのだ。それに…」

 

赤斗「それに?」

 

冥琳「諸侯が何を求めているのかを考えれば分かることだろう」

 

赤斗「そうか。名声か。だからお互い連携が取るのは難しいのか。だけど、連携が取れないと自分たちだけでは戦うのは辛いんじゃないか?」

 

冥琳「その通りだ。なら諸侯が選ぶ道は何だと思う?」

 

赤斗「……自分たちだけで戦うのは辛いってことは、他の諸侯も分かっているはずだから、他の諸侯と一緒に参戦する。けど、自分だけが敵の総大将を打ち取って、名声をあげるってことかな」

 

冥琳「うむ、そういうことだ」

 

火蓮「ほう、意外と赤斗には軍師としての才能もあるのかもな。それで冥琳、陣形はどうする?」

 

冥琳「文台様は孫策と黄蓋殿と共に正面へ行っていただきます」

 

火蓮「分かった!」

 

祭「任せておけ!」

 

雪蓮「了解」

 

冥琳「興覇は左翼前列。幼平は右翼前列を担当。」

 

思春・明命「「はっ!」」

 

冥琳「伯言は蓮華様と風見と共に後ろに下がれ」

 

赤斗「えっ!」

 

穏「はーい!」

 

火蓮「では、蓮華、赤斗行ってくるぞ」

 

蓮華「はい。お気をつけて」

 

赤斗「…………」

 

 

火蓮が兵士たちの前にでる。

 

火蓮「勇敢なる孫呉の兵たちよ。いよいよ我ら孫呉の力を見せつける時が来た!」

 

火蓮の声が気持ちよく響いた。

 

兵士「うおおおおおおお~~~~~~~~っ!!!」

 

火蓮「我らの悲願の為に、天に向かって高らかに歌い上げようではないか!黄巾党の獣どもに、我らの力を見せつけようぞ!!」

 

雪蓮「全軍抜刀!!」

 

火蓮「全軍突撃だーー!!」

 

兵士「うおおおおおおおおおおおおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」

 

火蓮の合図と共に孫呉の兵士たちは、雄叫びを上げて黄巾党の根城に向かって突撃していった。

 

 

 

つづく

 

 

~あとがき~

 

 

呂です。次回から、いよいよ黄巾党との闘いが始まりました。

 

 

真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介

 

オリジナルキャラクター①『風見赤斗』

 

姓 :風見(かざみ)

名 :赤斗(せきと)

字 :なし

真名:なし

武器:武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。

 

本編主人公の少年。

この外史では“北郷一刀”が主人公ではありません。

火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。

古武術を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。

学んでいる流派には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。

奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。

赤斗本人は“狂神”を使うどころか、語ろうとすらしない。  

 

能力値:統率?・武力4・知力4・政治?・魅力?

 

 

 

オリジナルキャラクター②『孫堅』

 

姓 :孫

名 :堅

字 :文台

真名:火蓮(かれん)

武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。

 

孫策(雪蓮)たちの母親。

身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。

血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。

この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。

 

能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5

 

 

 

オリジナルキャラクター③『諸葛瑾』

 

姓 :諸葛

名 :瑾

字 :子瑜

真名:藍里(あいり)

武器:不明

 

諸葛亮(朱里)の姉。

諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。

温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。

一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。

政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、朱里には僅かに及ばない。

 

能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4


 
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