No.179388

新たなる外史の道 外伝 蓮華樹海追憶編

タナトスさん

錆が落ちないままの投稿……

覚悟は完了だぜ! (作者の……)

2010-10-20 18:34:27 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4043   閲覧ユーザー数:3317

 

 

あ、ありのままを話すわ!

 

ある朝、私と桃香と華琳は4人の師匠達に叩き起こされて断崖絶壁に立たされたわ。

 

そして気が付くと地面が切り落とされて私達は樹海に落っこちた。

 

何言ってるか解んないと思うけど、私も何されたか解らなかったわ……

 

頭がどうにかなりそうだわ……

 

地獄の訓練とか天高く積まれた巻物とかそんなチャッチなものじゃ断じて無い!

 

もっと恐ろしい修行の片鱗を味わったわ……

 

 

 

私こと蓮華はあのバケモノみたいな熊から必死で逃げてきたけどソレが最悪だった。

 

桃香と華琳と別々に逃げてきて気が付くと独りだった……

 

「如何しよう……最悪だ……」

 

私のボヤキは鬱葱と茂る森の木々へと吸い込まれた。

 

昼間なのに暗いこの森は私の恐怖をより一層かき立てた。

 

挫けそうな心を私は奮い立たせ、現状を把握しようとした。

 

(私に欠けている物で一番重要なのは食べ物と飲み物だ……コレが無いと生きていけない……

師匠たちは1日でココを突破しろと言うけど度台無理な話だ……先ずは生き残る事を最優先事項にしないと……)

 

「結果は二の次、最優先事項は生き残る事ね……」

 

私はそう呟くと、食料と飲料水の確保の為移動した。

 

 

 

暫く歩いていると、一匹の猪が横切る。

 

獲物!!

 

私は本能で猪に飛び掛ろうとした時、一瞬、背中に強烈な悪寒が襲う。

 

「ッ!?」

 

私は本能の命じるままに後ろに飛びのくと、無数の蛇が木々から振ってきたのだ。

 

「ッ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」

 

私は叫びを何とか押し込み、気配を消して全力で逃げ、岩場に隠れた。

 

私が岩場から覗き込むと、猪の全身に蛇が集り、猪を食らっていた。

 

「オグ……グエ……」

 

その余りの無残な光景に私は吐いてしまった。

 

そして、悟る……

 

この樹海は弱肉強食……

 

強者は糧を得る事が出来るが、弱者は糧になる……

 

多分、自分は弱者の部類……

 

此の侭じゃ強者の餌になってしまう……

 

その時、頭をある考えが過ぎった。

 

昔の……戦乱の時代の民は今の私の状況と同じなんじゃないか? と……

 

獰猛なる強者に怯え、明日をも知れず逃げ惑う……

 

今まで考えなかった、否、見過ごしていた物が湧き上がる。

 

嗚呼……力はただ力なんだ……

 

その力で何をするか、何を成すかで変わってくる。

 

 

 

何となくだが……

 

“力”の本質とやらが見えてきた気がする……

 

目的が無い力は獣と変わらないのだ……

 

なら私は……蒼で学んで得た力をどう使うべきだろうか……

 

決まってる!

 

孫呉の為に、孫呉に住まう我等が民の為に使うべきだ!!

 

 

でも、それだけじゃあ足りない……

 

こんな弱肉強食の世界を再び地上に下ろさない為にも、他人との距離も必要だ。

 

今の状況では孫呉は生きていけない。

 

孫呉1国では成り立たない時代なのだ。

 

 

私は考えを纏めると立ち上がり、口元を拭い歩き出した。

 

「差し当たり生きないとね!」

 

私は決意を胸に歩き出した。

 

 

そう私が決意を固めた時だった……

 

低いうなり声が辺りを包む。

 

「……ひょっとして……」

 

私が振り向くと虎がいた……

 

ちょ! 小蓮の飼ってる虎よりおおきいじゃない!!

 

しかも五回り位の大きさ。

 

「■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ~~~~~~~~~~~~~~!!」

 

そう唸りながら虎は襲い掛かってきた。

 

「いや~~~~~~~~~~~~~~~!! 死んじゃう~~~~~~~~~~~~~~~!!」

 

そう叫びながら私は死に物狂いで逃げたのです……

 

 

 

おまけ

 

佑とハウゼンは木の上あら双眼鏡で覗いていた。

 

「おうおう、いい感じに叫んで逃げとるわ」

 

佑は双眼鏡越しに現状を眺めながらクククと笑った。

 

「ええ、実に楽しそうですね」

 

ハウゼンも微笑みながら見つめる。

 

「しかし、アレくらいの虎を狩れないようではまだまだ……」

 

ハウゼンはボヤクように言う。

 

「全くや、アレくらい素手で上等や」

 

佑もやれやれといいたそうに愚痴る。

 

「助けに行く必要は無いですね」

 

「ああ、無い、無い。アレくらい自分であしらわんと」

 

ハウゼンの言葉に佑が同意する。

 

「コレも試練や」

 

佑の言葉にハウゼンが同意する。

 

「ええ、コレも試練、乗り越えてもらわないと詰まりませんから」

 

「「フフフフフフフフフ」」

 

二人の微笑みに彼等を獲物と勘違いした獰猛な獣たちは全力全壊で逃げ出した。

 

 

 

 


 
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