No.178533

真・恋姫†無双―秘密を秘めし御遣い―第三話

bsrsさん

皆さんお久しぶりです。
長い間投稿できなかったことを深くお詫びいたします。

あらすじ
自分が女であることを隠し天の御使いとして仕える事になった一刀。そして、黄巾党運搬拠点を抑えるために曹操軍が今出陣する。

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2010-10-16 05:46:53 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:5504   閲覧ユーザー数:4502

 

 

 

一刀「うぅ・・・・腕が痛い・・・」

 

華琳「貴方が悪いのでしょ。まぁ、約束通り朝までに終わらせた事は褒めてあげるわ。」

 

一刀「そりゃ、どうも」

 

出陣当日、一刀達は総勢二千の兵士が立ち並ぶ城門の前に集まっていた。

 

兵士達は皆これから殺し合いを始めるという不安にかられ、肩に力が入り顔に余裕が感じられなかった。

 

それは初陣の一刀にとっても例外ではない。彼女もまた皆と同様に緊張している。

 

一刀「・・・なんだか皆強張ってるな」

 

秋蘭「それはそうだろう。今から向かうは戦場、己の死に場所になるかも知れぬし死に場所を与えに行くのかもしれないのだ。誰でも不安になるものだ。北郷も恥じる事は無い。」

 

一刀「・・・・・秋蘭・・・ありがとう。・・・それと」

 

春蘭「うおぉぉぉぉぉぉ!!早く戦いたい!血が騒ぐぞーーー!!」

 

一刀「・・・・あれも不安になっているからなのか?」

 

秋蘭「あぁ♡姉者。今日も燃えていて可愛いなぁ♪」

 

一刀「・・・・・・・」

 

桂花「ジーーーーー・・・・」

 

一刀が夏侯姉妹のちがう馬鹿さに呆れている後ろでは、先日の接触事故で男嫌いがなぜ一刀にはでなかったのか気になる桂花が物陰から一刀を見つめていた。

 

桂花(なんでアイツが触っても私平気なのよ!もしかして、病気かしら?そうよ、これはあの男が現れて病んだ病気!そう、すべてはあの男が・・・・)

 

一刀(ブル)「なんだ?・・・なにか寒気が」

 

そんなこんなしている武将達の前の高台に上がる華琳。

 

高台からは全軍が一望でき一人一人の顔が見て取れる。

 

華琳は緊張している彼らの顔を見るとクスリと笑い兵士に向かい高らかに叫んだ。

 

華琳「皆の者怖いか!死を恐れるか!殺すことに躊躇うか!しかし、それが人だ!恐れは人として当然なのだ!だが、我が兵士たちは違う!我が兵士は恐れを超え恐れを消し恐れを殺す!人にして人であらず!そう、お前達は覇軍、覇王の兵士なのだから!覇王は民を苦しめる者は決して許しはしない!覇王の兵士ならば死を恐れるな!殺す事を躊躇するな!お前達には覇王が共にいる!」

 

兵士「・・・・・・・・・おぉ」

 

兵士「「「「「おおおおおおおおぉぉぉっぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」」

 

華琳の声に兵士達は天に向かい雄たけびを上げる。

 

たった一人の少女の言葉に此処に居る二千の兵士全員の不安が消された。

 

秋蘭「わかるか北郷?これが華琳様なのだ。我らの上に立ち我らを導いてくださる王の姿だ」

 

一刀「す、すごい・・・これが歴史に名を刻んだ曹孟徳の姿」

 

これが上に立つ者の力、これが王としても姿なのだと一刀はこちらを背に高台に立つ華琳の背が大きく見えた。

 

華琳「ふぅ・・・」

 

演説を終えた華琳は舞台からおりこちらに歩いてくる。春蘭と桂花はすかさず華琳の傍に行く。

 

春蘭・桂花「「華琳様お疲れ様でした!」」

 

桂花「見事な演説でした!これで我が軍の士気は最高でしょう!」

 

華琳「ありがとう二人とも。でも、まだ戦は始まってもいないのよ。その言葉はまだ早いわ」

 

春蘭・桂花「す、すみません・・・・・////// //////」

 

華琳に注意され顔を赤らめる二人、そんな二人の頬に手を当てそれでもありがとうと礼を言う華琳。

 

その言葉を聞き、ますます赤くなる二人は余所に一刀の方に向き直る華琳。

 

華琳「それで?どうだったかしら貴方から見た私は?」

 

一刀「正直驚いた。こんな也してるのに大の大人の心をしかもこんな大人数の心を動かすなんて、向こうの世界のお偉いさんでも見たことがないよ」

 

華琳「こんな也ってのは聞き捨てならないけど、まぁいいわ。それよりも、貴方にとってこれは初陣。覚悟はいいわね?」

 

一刀「あぁ、先の華琳の言葉で覚悟を決めた。この目で華琳達が作る国を見るって」

 

華琳「ふふ、いいでしょう。貴方に覇王が作る国を見せてあげるわ!でも、見たいのであれば私の傍にいなさい!そして、私のために貴方の力を貸しなさい!いいわね」

 

一刀「ふぅ、御意に」

 

一刀が軽く臣下の礼をとると華琳は全軍に出陣の号令を掛ける。その号令に従い二千もの兵が黄巾党討伐のため動き始めた。

 

 

 

一刀「うぇ~、気持ち悪い~」

 

秋蘭「やれやれ出陣の時の覚悟とやらはどこへ行ったのやら」

 

春蘭「気合いがたらんのだ!気合いが!」

 

陳留を出てから丸一日がたち華琳率いる曹操軍は目的の黄巾党運搬拠点があると思われる地域に来ていた。

 

しかし、現代では滅多に乗ることのなかった馬での長距離移動は先日まで移動手段が徒歩や自転車だった一刀にとってはまさに地獄。馬の動きに揺られ気分を害していた。

 

桂花「ちょっと!こっち向かないでくれる。あんたの吐く姿なんて見たくないわ!」

 

一刀「そう言ってうっぷ!、この体勢を崩したらもう限界がうぇ~」

 

華琳「もうしょうがないわね。桂花、拠点を発見したという地域は此処で間違いないのね」

 

桂花「はっ!華琳様。この辺りで間違いありません。兵士に何度も確認をさせていますので」

 

華琳「ならこの辺りで陣を張りましょう。それから斥候を出し拠点の正確な場所を探させなさい」

 

桂花「御意!」

 

華琳「他の者は交代で休むように!」

 

兵士「「おぉ」」

 

華琳の命令を聞き陣の準備に取り掛かる兵士達。一刀はやっと馬から降りれると思い安堵の息が漏れる。

 

一刀「や、やっと生きてる心地がした~」

 

華琳「まったく軟弱ねぇ。それじゃいざって時私を守れないわよ!まぁ、貴方に助けられるような事は無いと思うけど」

 

一刀「うぅ、弁解の余地もありません~」

 

華琳「フフ♪そう思うのなら早く馬に慣れなさい」

 

華琳の嫌みに沈んでいた気分が更に沈む一刀。そんな彼の姿を見て楽しむ華琳。

 

秋蘭「しかし、北郷がこの状態では護衛が些か不安になりますが・・・」

 

華琳「そうね・・・どうしましょうか」

 

護衛の事で悩む二人。そんな二人の元に先ほど斥候を出しに出ていた桂花が慌ててこちらに走ってきた。

 

 

桂花「か、華琳様!」

 

華琳「どうしたの桂花?」

 

桂花「はい!先ほど出した斥候からここから南の方で二人の少女が黄巾党の集団に取り囲まれているとの報告が!」

 

華琳「なんですって!?」

 

春蘭「華琳様!」

 

華琳「ええ、春蘭と秋蘭はその少女達を急ぎ助けに行きなさい!」

 

春蘭・秋蘭「御意!」

 

春蘭と秋蘭は華琳の命令を聞くと自分達の馬に乗りすぐさま少女救出のため南に向かい出陣した

 

 

 

 

少女「でえぇぇぇぇぇっぇぇぇい!!!」

 

少女「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!!」

 

ドガァッン!!ドゴッン!!

 

華琳達の陣から南の荒野では桂花の報告通り二人の少女が黄巾党に取り囲まれていた。しかし、二人の少女は唯囲まれて怯えているわけではなかった。少女達は棘の付いた鉄球と大きなヨーヨーで黄巾党達を次々に吹っ飛ばして行く。しかし、敵の数が多くいくら倒しても切がなく体力はどんどん削られていった。

 

少女「はぁはぁ・・・流琉・・・大丈夫?」

 

流琉「うん・・・大丈夫。季衣こそ大丈夫?」

 

季衣「ボクも大丈夫だけど・・・こう人数が多いと」

 

少女達は互いにピンクの髪を二つに編み込んだ少女を季衣と呼び翠色の前髪を大きなリボンで結び額を出した少女を流琉と呼び合い背を合わせお互いを気にかけていた。

 

黄巾党「ほらほらどうした?さっきまでの威勢は?」

 

黄巾党「俺達を倒して村を守るんじゃなかったのか?あぁん?」

 

季衣「くっ・・・・・・」

 

流琉「季衣奴らの挑発に乗ったら駄目」

 

季衣「わかってる、わかってるけどこのままじゃ・・・」

 

二人は手に持っている武器構え牽制するが黄巾党はジリジリと包囲を狭め近づいてくる。そして、自分達の間合いに入ると一斉に襲い掛って来た。

 

黄巾党「へへ、野郎共!殺っちまえ!!」

 

黄巾党「おおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

季衣「流琉!!」

 

流琉「季衣!!」

 

少女達は互いに呼び合い庇おうと抱き合う。二人は死を覚悟し目を閉じようとした。だが・・・

 

シュバ!シュバ!シュバ!シュバ!シュバ!

 

黄巾党「「「ぐはぁぁぁあぁぁぁあぁ!!!」

 

流琉「え?」

 

春蘭「でえぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」

 

ザシュッ!!!

 

黄巾党「「「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

季衣「な、なに?」

 

季衣と流琉は閉じようとしていた目を丸くして目の前の光景をみていた。先ほどまで自分たちを殺そうとしていた黄巾党は空から降り注ぐ矢の雨に貫かれ屍となり。そして、突然現れた黒髪の女性が持つ大剣により肉塊へと変えられていた。

 

春蘭「大丈夫か二人とも?」

 

流琉「え?は、はい」

 

季衣「な、なんとか」

 

春蘭「そうか、よく無事でいた。この数で無事とはたいした奴だお前たちは」

 

季衣「う、うぅ、うえぇぇぇぇぇぇん!!!」

 

そう言って近くに居た季衣の頭を撫でる春蘭。季衣は突然の事で呆然としていたが頭を撫でられた事により一気に緊張の糸が切れその場に座り込み泣きだしてしまった。

 

秋蘭「お主もよく頑張ったな」

 

流琉「あ・・・あり・・・ひっぐ・・・がとう・・・・ございます・・・」

 

流琉も後から来た秋蘭に頭を撫でられ涙を堪えながら礼を言う。

 

秋蘭「後は私たちに」

 

春蘭「任せておけ!!」

 

春蘭と秋蘭は武器を構え生き残った黄巾党に立ち向かう。

 

黄巾党「このぉぉぉ、いきなり現れやがって!テメェら殺せえぇぇっぇえ!!」

 

黄巾党「おぉぉぉぉぉぉx!!!」

 

春蘭「秋蘭援護は任せたぞ!」

 

秋蘭「心得た!」

 

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

 

秋蘭はその場に止まり弓を構え、前方、左右、そして上へとほぼ同時に矢を放った。

 

黄巾党「「「「ぐはぁぁぁぁぁ!!!」

 

放たれた矢は全て敵の急所を射抜き最後に上に放った矢は秋蘭を狙い切り込んでくる敵を真上から背に刺さり心臓を貫いた。

 

秋蘭「一矢一殺!我が弓の前に屍を晒せ!」

 

秋蘭の援護により黄巾党の懐深くまで入れた春蘭。そして、懐に入られた黄巾党に待っているのは猛獣の牙に掛り肉片となるしか道はなかった。

 

春蘭「夏侯元譲参る!!」

 

春蘭「でえぇぇぇぇぇぇいいい!!!」

 

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

 

黄巾党「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」

 

春蘭の一振りにより黄巾党は食われ、秋蘭の矢により串刺しにされていき少女達は気付いた時には黄巾党と言う集団は消えており、残されたのは唯の死体となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

春蘭「はーはっはっはっ!!我が前に敵はなしはーはっはっはっ!!!」

 

秋蘭「・・・・・・・・・・」

 

春蘭「はーはっはっは?どうした秋蘭ジーと私を見て?」

 

秋蘭「はぁ~姉者、私は何人か急所を外して逃げ出そうとしていた者がいたはずだが?」

 

春蘭「あ~、あれか秋蘭が外すなど珍しいな。調子が悪かったのか?安心しろ、そいつ等はちゃんと姉である私が片付けておいた!」

 

秋蘭「姉者・・・あれはわざと逃がそうとしていたのだ」

 

春蘭「へ?わざと?」

 

秋蘭「逃がした者の足取りを辿れば拠点を発見できたものを・・・・姉者はもう少し考えて戦ってほしいものだ!」

 

春蘭「うぅ、すまぬ」

 

妹に怒られ縮こまる春蘭。そして、外見では怒っているが中身では縮こまる姉を見て興奮している秋蘭であった。

 

季衣「あ、あの!」

 

秋蘭「ん?どうした?」

 

季衣「えっと、助けてくれてありがとうございます」

 

流琉「危ない所でした。それで・・・貴方達は一体?」

 

春蘭「あぁ、我等は「春蘭!秋蘭!」華琳様♪」

 

少女達と話していると華琳が数名の兵士達を率いて援軍に駆けつけて来たが、華琳は周りを見渡し戦闘が終わり少女達と無事なのを知り一安心する。

 

華琳「どうやら皆無事なようね」

 

春蘭「はい♪少女達もこのとおり無事で「お姉さんたち官軍なの?」ん?あぁそうだが」

 

季衣「ギリッ・・・」

 

流琉「季衣!!」

 

季衣「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ブオォン!!ブオォン!!

 

季衣は華琳達が官軍だとしると歯を噛み締め持っていた鉄球を振り回す。流琉はどうにか止めようとするも手に負えず、そうしている間に季衣は華琳目掛け鉄球を投げつけた。

 

季衣「宦官なんて!宦官なんて!ボク達のことなんて考えてくれない!宦官なんて大っ嫌いだあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

華琳「!?」

 

春蘭・秋蘭「「華琳様!!」」

 

春蘭と秋蘭が攻撃を止めようとするが数秒遅く手球は華琳の顔目掛け一直線に進む。華琳も少女の突然の暴走と宦官に対する恨みを知りその場から動けなくなってしまう。華琳は迫りくる鉄球の前にこのまま死んでもいいと少なからず思った。・・・・・だが、

 

一刀「でえぇぇぇぇぇぇいいぃぃぃ!!!」

 

ガキィッン!!

 

華琳「か、一刀!?」

 

一刀「くうぅぅぅぅぅ!!ぐはっ!!」

 

突然、現れた一刀は華琳の前に立ち剣を抜き鉄球を受け止める。しかし、鉄球は予想より遥かに強く投げられ一刀の体もろとも吹き飛ばされ華琳に向かう。

 

一刀「このおぉぉぉぉぉぉ舐めんじゃねぇええぇぇぇぇ!!」

 

ガキィッン!!

 

一刀は空中で鉄球に足を掛け思いっきり横に蹴り軌道をずらす。鉄球は軌道をそれ華琳の横を素通りする。一刀は鉄球の勢いを利用して空中で回転し地面に着地する。

 

一刀「はぁはぁどうだ!俺だって護衛ができるうぇぇぇぇぇ」

 

バタンッ!

 

一刀は此処までの道のりと先ほどの衝撃により限界点を突破し口から光る液体を出しながら後ろに倒れ気を失った。

 

華琳「・・・・・・はぁ、まったく・・・締まらない護衛ね。でも、・・・よく守ってくれたわ・・・ありがとう」

 

そう言って華琳はハンカチを取り出し一刀の口を拭いてあげる。拭き終わると華琳は攻撃した季衣に向き直す。季衣は春蘭の大剣を首筋に着き付けられ拘束されていた。流琉もまた、秋蘭に手を掴まれ動きを封じられていた。

 

春蘭「貴様!華琳様に手を上げるとは覚悟はできているのだな!!」

 

季衣「宦官なんてボクたちを苦しめるだけで何もしてくれない!税金ばかり持って行って守ってもくれないじゃないか!だから・・・だからボクたちが・・・・皆を守る・・・・ために・・・・ひっぐ・・・うぅ」

 

流琉「・・・・・・季衣」

 

春蘭「貴様・・・「二人とも拘束を解きなさい」華琳様!?」

 

華琳は少女達に近づきながら拘束を解かせた。季衣は涙を手で拭いながら華琳を殺気の籠った目で睨みつける。華琳は立ち止まりまっすぐ季衣の瞳を見つめる。

 

華琳「・・・・・・・・貴方達名前は?」

 

季衣「・・・・・許緒」

 

流琉「・・・・・・て、典韋です」

 

華琳「・・・・・・そう。・・・・許緒、典韋、ごめんなさい」

 

季衣・流琉「・・・・・・え?」

 

華琳は二人に頭を下げる。二人は宦官が平民である自分たちに頭を下げるなど思ってもいなかったので、目を見開き驚く。

 

秋蘭「・・・・・華琳様」

 

春蘭「何と・・・・・」

 

華琳「私の名は曹操、山向こうの陳留と言う町を治めている者よ。」

 

流琉「山向こう・・・・はっ!季衣!この人」

 

季衣「あわ、えっと、ご、ごめんなさい!」

 

春蘭「な・・・?」

 

流琉「山向こうの曹操様と言えば民に優しくとても立派な方だと聞いています!」

 

季衣「それなのにボク、ボク・・・」

 

華琳「いいのよ。官が腐敗し貴方達を苦しめていたのは事実、それを止められなかったのは私の力が弱かったから。だから、許緒、典韋、貴方達二人の勇気と力を私に貸してくれないかしら?」

 

流琉「力を?」

 

季衣「貸す?」

 

華琳「そう、私はいずれこの大陸の王となる。だけど、私の力はまだまだ小さいわ。だから、皆を守るために振った二人の力を私に貸してほしいの」

 

季衣「曹操様が・・・」

 

季衣「大陸の王に・・・」

 

華琳「私は王になって、皆が安心して暮らせる世を作るわ。だから、もう一度いうわ。許緒、典韋、貴方達に力をこの曹操に貸して頂戴」

 

華琳はもう一度二人に深く頭を下げた。

 

 

 

一刀「うぅ・・・ここは?どうしたんだっけ俺?」

 

一刀が目を覚ますとそこは天幕の中で辺りは暗くどうやら長い間気を失っていたようだ。

 

一刀「えっと確か、昼間に少女を助けに行った春蘭達を華琳と一緒に追いかけて、それで見つけたと思ったらいきなり・・・・「一刀」ん?」

 

一刀が思い出しかけていた時、天幕の入り口から声が開きこえた。声からして華琳だったので起きていると言い天幕の中に招いた。

 

華琳「今日は御苦労さま。まさか、貴方に助けられるとは思ってもみなかったわ」

 

一刀「なんだよ護衛に選んだのは華琳だろ」

 

華琳「それは私の周りの方が貴方にとって安全だからよ。本当は貴方を守るために私の傍に居させたのだけれど」

 

一刀「まぁ、俺も向こうで鍛えてたからな。それよりも、あの子達は?まさか打ち首ってことは・・・」

 

華琳「フフ、その事については本人達に聞いてみたら?…入ってきなさい」

 

華琳が促すと外からあの時の少女が入ってきた。

 

一刀「お前らどうして・・・」

 

季衣・流琉「ごめんなさい!!」

 

一刀「!?」

 

季衣「ボクの所為で兄ちゃんに怪我させて」

 

流琉「季衣を止められなかった私にも責任があります。だから・・・」

 

一刀「・・・・・・ぷはぁ~よかった~、二人とも無事だったのか」

 

季衣・流琉「え?」

 

一刀は二人の無事な姿を見てほっと安心する。季衣達は一刀が自分たちの身を心配していた事に驚く。

 

一刀「いや~華琳に手を出したのだから、打ち首とかもっとひどい目に合っているのかと思った」

 

華琳「まぁ、相手が男だったらそうなっていたのだけれど、こんな可愛い子を手に掛けるほど私は鬼ではないわ」

 

季衣「えっと・・・兄ちゃんは怒ってないの?」

 

季衣が恐る恐る一刀に聞くと一刀は寝台から出て季衣の傍まで来る。季衣は何かされると思い目をつぶり顔を伏せる。すると、頭の上にポンと何か温かい物が置かれクシャクシャと頭を撫でる。

 

季衣「?・・・・兄・・・ちゃん?」

 

一刀「怒ってないよ。あれは何か誤解があってやったことだし、それに倒れたのは季衣達の所為じゃないから気にしなくていい」

 

季衣の頭に置かれたのは一刀の手で一刀は季衣の頭を撫でながら笑顔向ける。その笑顔は太陽の温かさと月の優しさ両方を思わせるとても綺麗な笑顔だった。

 

華琳・流琉・季衣「・・・・・・ポッ///// /////」

 

一刀「ん?どうした、顔が赤いぞ?」

 

流琉「い、いえ・・・////// /////」

 

華琳「な、なんでもないわよ!///// /////」

 

季衣「兄ちゃんの笑顔って綺麗だね♪」

 

一刀「き、綺麗か、ははは、あ、ありがとう」

 

顔を赤くしてそっぽを向く二人に対して季衣は素直な気持ちを言う。綺麗と言われ少し嬉しく思ったが今は女とバレるわけにはいかないので複雑な気持ちになる一刀。

 

一刀「ところでさっきから気になってたんだけど兄ちゃんって?」

 

季衣「ボクたち華琳様に仕えることになったんだ。だから、兄ちゃんの事も兄ちゃんって呼ぶことにしたんだけど・・・ダメ?」

 

一刀「うっ///// ////」

 

一刀は季衣の子犬みたいな目で上目使いされ頬を染め後ずさる。ちなみに彼女は子犬や子猫など小さい物を愛するミニコンである。しかし、女を隠しているのでそう言った趣味も隠している。

 

(あぁ、なに、この可愛い生き物!抱きしめたい!ギュッて抱きしめたて「お姉ちゃん♪」って呼ばれたい!!でも、そんなことできない!今の俺は男!此処は我慢!我慢だ俺!)

 

一刀「べ、べつにか、かまわない」

 

季衣「ヤッター!これからよろしくね兄ちゃん♪。ボクの名前は許緒、兄ちゃんになら真名で呼んでもいいから季衣って読んでね。それからこっちが」

 

流琉「て、 典韋と申します。親友がご迷惑を掛けて本当にすみませんでした。これからよろしくお願いします。私の事は流琉とお呼びください。あと、それと・・・」

 

一刀「ん?どうした」

 

流琉「えっと、私も季衣みたいに呼んでもよろしいですか?」

 

一刀「あぁ、いいよ。べつに好きに呼べば」

 

流琉「は、はい!ありがとうございます。・・・兄さま♪」

 

ズキューン!バコッ!

 

流琉の笑顔と「兄さま」と言う言葉に一刀の脳内変換により「姉さま」に変わり、トキメキの右ストレートが直撃した。一刀はトキメキのあまり気を失った。

 

(あぁ、こんな小さな子達に敬われるなんて俺、萌死にそう)

 

気を失った一刀の顔は幸せそうだったが、華琳は何故か気にくわなかったらしく、気絶している一刀の腹思いっきり踏みつけ別の眠りへと誘った。

 

 

 

一刀「うぅ、お腹がいたい。なんだか最近どこ痛んで朝をむかえるな俺」

 

季衣達と出会った翌日、一刀は寝ている間に踏まれた腹を押さえながら皆が待つ軍議の場にむかっていた。

 

一刀「うぃ~す、おはよう」

 

華琳「遅いわよ一刀」

 

軍議はすでに始まっており軍議が行われている天幕には一刀を覗いた魏の武将がそろっており、その中に季衣と流琉の姿もあった。二人は一刀が入ってきたことに気付くと小さく手を振ってきた。

 

(かぁ~、可愛い~。やっぱり妹っていいなぁ~)

 

ジャキンッ!!

 

一刀がニヤけながら季衣達に手を振ろうとすると首筋にヒヤリと冷たい感じがしたので首筋を見ると首に大きな刃が付き付けられていた。刃わ大きく曲がり根元には髑髏の飾りが付いていた。そのまま柄の方を見るとそこには般若が頬笑んでいた。

 

華琳「どうやら昨夜のでは気がすまなかったようね。そのニヤ付いた顔を削がないと分からないのかしら?」

 

一刀「い、いえ!?わかりました!わかりましたから!俺がわるかったから!絶を引っ込めてくれ!」

 

華琳「・・・・・・ふぅ」

 

泣き叫びながら謝る一刀の姿をみて、華琳は絶を引っ込める。一刀はホッと胸を撫でおろし自分の席に座る。

 

流琉「兄さま大丈夫ですか?」

 

一刀「あぁ、流琉心配してくれてありg!?」

 

一刀は心配してくれた流琉の頭をなどようとして横からくる殺気を感じ手を引っ込め大人しく座った。

 

桂花「あのまま、首を切られればよかったのに。」

 

秋蘭「まぁ、そう言うな。それでは先ほどの続きだが流琉」

 

流琉「はい、黄巾党が集まっているのは確か此処でした」

 

流琉は指さしたのは複数の街道が重なり合う場所の少し離れた場世の森を指していた。

 

流琉「黄巾党は街道を通る商人から食糧などを奪うとすぐに森に逃げ込みます」

 

季衣「昨日ボク達だけでそこを潰そうとしたんだけど向かう途中で奴らに見つかっちゃって」

 

桂花「なるほど普段は森に潜んで街道を通る獲物を待ち敵が来たらすぐに森に身を隠す。獲物は自ら寄ってくるというわけね」

 

華琳「奴らの中にも少しキレる者がいるようね」

 

春蘭「ならば、どうする?」

 

桂花「簡単よ、藪を突けば蛇は自分から出てくるわ。後は、尻尾まで出てくるのを待って切り刻めばいいわ」

 

春蘭「????ん?」

 

秋蘭「簡単に言うとだ姉者。初め一部隊で攻め込みで奴らを森から連れ出す。それから左右から攻撃するということだ」

 

春蘭「おぉ!なるほど」

 

桂花「更に奴らに混乱を与えるために藪には火を付ける。奴らは帰る場所を無くし士気は一気に無くなるわ」

 

一刀「つまり部隊を四つに分けるということか」

 

桂花「ちょっと!!今、私が言うおうとしていたのに!」

 

一刀に先に言われて死ねなど消えろなど言って怒る桂花だが、華琳から軍議を進める用に言われ渋々話しに戻った。

 

桂花「部隊分けは初めに左右から攻撃を仕掛けるのは春蘭と秋蘭に任せるは」

 

秋蘭「うむ、心得た」

 

春蘭「腕が鳴る!」

 

桂花「そして、奴らを引き付ける囮には華琳様になってもらいます」

 

秋蘭「なっ!?」

 

春蘭「ちょっと待て!」

 

桂花の部隊分けに天幕の中に動揺が走る。大将自ら危険な役目を負わせるなど家臣として見過ごすわけにはいかない。

 

華琳「静まりなさい」

 

春蘭・秋蘭「か、華琳様・・・」

 

華琳「時には大将自ら先陣を切る事も必要。それにもしもの時にはこの子達の実力を見るのにちょうど良いわ」

 

華琳は季衣と流琉二人を見て笑う。

 

華琳「貴方達二人には私の護衛を任せるわ。いいわね」

 

流琉「は、はい!」

 

季衣「精一杯がんばります!」

 

二人は自分たちには大きすぎる役目だと思っているが、仲間にしてもらった華琳のため必ず守って見せると心に誓った。

 

一刀「ん?なぁ華琳、二人が護衛なら俺はどうするんだ二人と一緒に護衛か?」

 

華琳「貴方は桂花と話しあった結果、部隊を率いて敵本陣に奇襲してもらうわ」

 

一刀「へ?・・・・・・・・えええぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」

 

一刀は華琳のとんでもない決定事項に驚愕する。なぜ自分が部隊を率いなければならないのか、率いると言うことはつまり隊長になるということだ。

 

一刀「な、なぜ俺が!?」

 

華琳「昨日、私を守った時の身のこなしを見て決めたわ。それに春蘭から聞いたわよ貴方、春蘭と手合わせして数合受け流したそうね。それだけでも十分部隊を率いる資格はあるわ」

 

一刀「で、でも俺初陣だし」

 

華琳「安心なさい。本陣だと言っても桂花の策では見張りに少数残る程度よ」

 

一刀「そ、それでも・・・」

 

春蘭「男ならいいかげ覚悟を決めぬか!」

 

一刀「しゅ、春蘭・・・」

 

春蘭「貴様は私の太刀を受け流せるほどの使い手なのだ胸を張れ、貴様なら必ず落とせる。打ち合った私が保障してやる」

 

一刀「春蘭・・・・ありがとう。なんだか自信が出て来た。」

 

春蘭「うむ、その意気だ!」

 

春蘭の励ましの言葉で自信が付いた一刀は覚悟を決め部隊を率いる事を承諾した。

 

華琳「これで決まりね。では、作戦開始する!全員持ち場につけ!」

 

全員「御意!」

 

華琳の号令により天幕から次々に出て行く武将達、一刀も任された部隊のいる天幕に向かった。

 

 

 

軍議から数刻過ぎいよいよ作戦が実行される。一刀は二百人の兵士を引き連れて黄巾党が潜伏している森が一望できる崖の上に居た。

 

一刀「ここか、確かに季衣の言った通り見晴らしが良くて気持ちいいなぁ」

 

陣を出る前に桂花から待機する場所を聞き季衣から「そこ見晴らしが良くて風がとても気持ちいいんだよ♪」と言われたのを思い出していた。

 

兵士「御遣い様そろそろ作戦の開始時刻です。」

 

一刀「ああ、わかった。後それと御遣い様っていうのやめてくれないか?なんだか気恥ずかしい」

 

兵士「はぁ、でしたら北郷さまと」

 

一刀「う~んまぁ、いいかそれで」

 

そんな事を言っていると森の入り口付近から銅鑼の鳴り響く音が聞こえた。どうやら華琳が囮となって黄巾党を誘き出しているのだろう。

 

一刀「始まったか」

 

一刀は震える右手を左手で抑えながら華琳立ちが退いて行くのを見守る。一刀達が出るのは黄巾党の主力がで終わってからだ、それまでは見守るとこしか出来ない

 

一刀「まだ、まだなのか」

 

焦る気持ちを抑え見守る一刀。そんな中、森からは華琳達を追って続々と森から黄巾党が出てくる

。そして、華琳を追って出て来た黄巾党の数はザッと見て四千を超える数だった。

 

 

一刀は自分たちよりも大きな敵に不安を感じた。敵わないと・・・・しかし、自分には頼もしい仲間がいる。一刀は華琳達を信じ覚悟を決めた。

 

一刀「これより俺たちは敵本陣に奇襲を掛ける!皆行くぞ!」

 

兵士「「「おう!!」」」

 

一刀の号令に力づよく答える兵士達。一刀達は敵本陣を目指し森へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「あれが本陣だな」

 

森に入ってすぐ敵の本陣は思いのほか簡単に見つかった。なぜこんなにも簡単に見つかったかと言うと、崖の上からも見えていたのだが敵の陣から白い煙が上がっていたのだ。その煙を頼りに進むとそこに黄巾党の陣が見えたのである。

 

一刀「奴らは馬鹿なのかそれともこちらを誘うためにわざとしているのか。どちらにしても早く落とすに越してことはない、全軍突撃!」

 

兵士「「「おおぉぉぉぉぉ!!」」」

 

一刀の号令で兵士たちは本陣向けて突撃を掛ける。陣に残っていた黄巾党は突然の奇襲に混乱し敵の襲撃にうまく対応できない。一刀達はその隙に次々に陣の中に入り黄巾党を捕えてく、これは一刀の命令でなるべく生かしたまま捕えたいと兵士に頼んだのである。

 

兵士「北郷様あらかた捕えました。」

 

一刀「あぁ、ありがとう。すまない、俺の我がままを聞いて」

 

兵士「いえ、初めは俺達も反対だったのですが北郷さまの必死に説得するに心打たれ貴方の優しさが皆に伝わったからこそ貴方に答えようと思ったのです。気にしなくていいです」

 

一刀「それでもありg「北郷様あぶない!」!?」

 

兵士が叫ぶ方を見ると捕えられていた黄巾党の一人が縄を抜け出し剣を持って叫びながらこちらに向かってくる。狙いは隊を指揮している一刀を人質に取るつもりである。

 

黄巾党「げりゃぁぁぁぁぁぁぁ」

 

兵士「北郷様お逃げくd!?」

 

傍にいた兵士が逃げるように言おうとした時自分の頭上を越えるモノがあった。それは、一刀を捕まえようとしていた黄巾党だった。

 

黄巾党「ぐげばぁ!!」

 

一刀「悪いけどまだ男に抱かれるわけ気はないんでな」

 

黄巾党はそのまま頭から地面に落ち意識を失った。

 

兵士は一刀の方を向くと一刀は乱れた服を整えていた。一刀は黄巾党に掴まれる前に剣を払いそのままの勢いで後方に頭から落ちるように投げ飛ばしたのである。

 

 

一刀達は残っていた黄巾党を拘束すると陣に火を付ける準備に取り掛かった。その時、まだ上がっている白い煙が気になり煙が出ている場所まで歩く。

 

煙が出ている場所まで来るとそこは小さな小屋だった。小屋からはとても美味しそうな匂いがして来たので恐らくこの小屋は食事を作るために建てられたのだ思った。一刀は確認のため中に入る。

 

ギギギィィィィ

 

一刀「中は・・・・無人か?」

 

中は無人であったが台所の料理は作りかけ暖炉には火が付いている、先ほどまで人が居たかのような状態だった。

 

一刀「もしかして何処かに潜んで・・・・!?」

 

ガサガサガサ

 

一刀が小屋の中の気配を読もうとすると、台所の隅に置かれた大きな籠が小刻みに震えていた。

 

一刀は気付かれないように慎重に籠に近づく。そして、両手が籠に掴むと一刀は籠を一気に上に持ち上げた。すると、中から出て来たのは・・・

 

一刀「イヌ・・・ミミ?」

 

出て来たのは小さな少女。だが、何故か頭には髪の色と同じ焦げ茶色のイヌミミが付いていた。少女は頭を抱えて小刻みに震えていた。

 

イヌミミ少女「プルプル・・・プルプル」

 

一刀「か、か、かかかかか」

 

少女の姿をみて籠を持ちあげたまま動かない一刀、そんな彼女に少女もようやく気付き抱えていた頭を上げ一刀を見上げる。

 

イヌミミ少女「ふ、ふわわ?」

 

プッチン♪

 

涙目で見上げる少女を見て一刀の何かが切れた。

 

一刀「カワイイイイイイイイィィィィィィィィィィィ!!!!!!」

 

イヌミミ少女「ふわわーーーー!!!」

 

一刀「なにこの生き物本当に人なの!!こんな可愛いの見たことがない!!こんな子が生まれてくるなんて奇跡!そうこれは神の奇跡!!あぁ、神様ありがとうございます!!」

 

イヌミミ少女「ふわわ!ふわわ!ふわわ~~~」

 

一刀は少女を抱きあげ回転しながら小屋の中を回る。少女は一刀の腕の中で突然の事に驚きながら目を回していた。

 

 

 

 

 

 

 

それからしばらくして・・・

 

一刀「本当にごめんなさい」

 

一刀は散々少女を抱いて振り回した事で正気を取り戻すと少女に向かい土下座して謝罪した。

 

イヌミミ少女「えっともう大丈夫だよ、だから頭をあげて」

 

一刀「うぅ、本当にごめん。それとこの事は秘密にしてもらいたいんだけど」

 

イヌミミ少女「う、うんいいけど、ところで貴方はだあれ?」

 

一刀「ん?俺か?俺の名は北郷一刀今は陳留の刺士をしている曹操の元にいる者だ」

 

イヌミミ少女「曹操・・・・ということは官軍!?助けに来てくれたの!」

 

一刀「え?助けに」

 

イヌミミ少女「私、商人の人たちと一緒に街道を通ってたんだけどその時、黄巾党に襲われて此処に連れてこられたのそれでどうにか助けを呼ぼうと」

 

一刀「じゃ、あの煙は君が」

 

イヌミミ少女「うん、黄巾党が話しているのを聞いたの曹操が討伐に出たって。あの人たち陣が森の中にあるから見つからなって言ってたから。だから、陣を見つけて貰うためにあの人たちのご飯を作ってあげるって言って此処に」

 

一刀は驚いた。目の前にいる少女は季衣達よりも小さいのに黄巾党を上手く騙し自分たちに助けを知らせたのだ。普通の少女なら怖くて何もできない状態なのに・・・一刀はこの可愛らしくも頭のキレる少女が気になった。

 

一刀「君名前は?」

 

イヌミミ少女「あ!まだ、名乗ってなかったね私の名前は司馬懿いうんだよ」

 

一刀は少女から名乗った名前にまたしても驚く。なんとこの少女が蜀の伏龍と呼ばれし諸葛公明の好敵手と呼ばれた司馬懿なのだ。一刀は少女の名前を聞くとある提案を出した。

 

一刀「なぁ、司馬懿ちゃんよかったら俺と一緒に来ないか?」

 

司馬懿「一緒に?」

 

一刀「あぁ、今の話しで君の力はか、曹操の力になるだから「嫌だ」な、なに!?」

 

司馬懿「私は曹操っていう人がどんな人なのか知らないし、知ろうともおもわない」

 

一刀「おいおい、そう言わz「だけど」ん?」

 

司馬懿「カズ君になら付いて行く」

 

一刀「へ?お、おれに!?」

 

司馬懿「うん♪私決めてたんだ、私を助けに来てくれた人に着いて行こうって」

 

一刀「それが俺ってわけか?」

 

司馬懿「最初はいきなり抱きつかれて驚いたけど、でもカズ君に抱かれて一人で怖くて不安だった気持ちが一気に消えてなくなったのカズ君は私を救ったんだよ」

 

一刀は司馬懿の純粋な眼差しが痛かった。自分にはそんな思いは微塵もなく唯欲望のまま行動しただけなのだから。

 

司馬懿「だから、私の真名「美里(ミリ)」を貴方に預けます。どうか、貴方の傍に置かせてください」

 

司馬懿こと美里は一刀に臣下の礼をとる。一刀は迷っていた。初めは華琳のために仲間に引き入れようと思ったのだが、このままでは美里は自分の家臣になってしまう。それは、歴史的に不味いと思った。しかし、此処で司馬懿を手放すは更に不味い。一刀はいろいろ悩み一つの結論を出した。

 

一刀「わかった。ただし、一つ条件がある」

 

美里「条件?」

 

一刀「俺の主曹操にも忠誠を誓うこと、主の主なのだから別にいいだろ」

 

美里「・・・・・・わかった」

 

美里は一刀の提案に渋々同意した。

 

一刀「よし!これからよろしくな!美里」

 

美里「は、はい//// /////」

 

ピコピコ

 

プッチン♪

 

名前を呼ばれ頭のミミがピコピコと動く美里、その仕草にまたしても何かが切れる一刀。

小屋の中でまた少女の叫び声が響き渡る。

 

 

 

 

 

黄巾党の本陣がある森から離れた荒野、そこでは華琳達が四千もの黄巾党を殲滅していた。だが、やはり数が多く思った以上に手こずっていた。

 

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!

 

黄巾党「「「「グギャーーーー!!!」」」

 

春蘭「まったく、北郷は何をしているのだ!」

 

秋蘭「心配か姉者?」

 

春蘭「まさか、し、心配などしておぬわ!///// /////」

 

春蘭は顔を赤くしながら敵を切っていく明らかに照れ隠しだとわかるのだが、そのために切れれる黄巾党はなんとも悲惨である。

 

季衣「でえぇぇぇぇぇっぇぇぇい!!!」

 

ブオォッン!!

 

流琉「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!!」

 

ブオォッン!!

 

黄巾党「「「「ぐはぁあぁあぁぁぁ!!!」」」

 

流琉「季衣大丈夫?」

 

季衣「うん!なんだろう昨日より体に力がみなぎるみたいだよ」

 

流琉「季衣も?実は私もなんだ。今は全然負ける気がしない!」

 

季衣「ボクもだよ流琉」

 

流琉「行くよ季衣!」

 

季衣「うん!」

 

季衣・流琉「「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

昨日の数よりも遥かに多い数の敵に二人は昨日よりも機敏に動き敵を蹴散らしていく。もうこの二人を止められる者は誰もいない。

 

華琳「まったく何をしているのかしら一刀わ・・・」

 

桂花「あ、あれは!・・・・華琳様あれを御覧ください!」

 

桂花は森の方角を指差すと森から黒い煙が立ち上っていた。

 

華琳「どうやら成功したようね」

 

桂花「華琳様!今が好機です!」

 

華琳「わかったわ。全軍一気に形を付けるわよ!全軍突撃!!」

 

兵士「「「「おおぉぉぉぉぉ!!!!」」」」

 

黄巾党が本陣から立ち上る煙により混乱が生じた瞬間を的確に攻める曹操軍。黄巾党は瞬く間に数を減らし曹操軍は圧倒的勝利を手にしたのである。

 

 

 

 

戦が終わり事後処理と休養のためその場に止まることにした曹操軍。戦いに勝利しささやかな宴の準備をしていると本陣を攻めた部隊が帰還してきた。

 

季衣・流琉「「兄ちゃん(兄さま)お帰り(なさい)♪」

 

一刀「出迎えありがとう二人とも」

 

季衣「えへへ♪」

 

流琉「い、いえ///// ////」

 

出迎えて来た二人の頭を撫でていると陣の奥から華琳がこちらに歩んできた。

 

華琳「本陣奇襲御苦労だったわ一刀」

 

一刀「ありがとう華琳」

 

華琳「ところでさっきから気になっていたのだけれどもその頭に居るのはだれ?」

 

華琳が指さすのは一刀の肩に足を掛けて肩車をしてもらっている美里であった。美里は楽しそうに足をブラブラとさせていた。

 

一刀「この子か?まぁ言うなれば戦利品かな?」

 

美里「はじめまして曹操様。私は司馬懿と言います。これからカズ君に仕えますのでよろしくお願いします。」

 

ペコ

 

華琳「・・・・・・・・・」

 

一刀の頭の上で自己紹介をしてペコっと頭をさげる美里。しかし、華琳は美里の言葉が聞こえていないらしく何やらドス黒い物が溢れだしていた。季衣と流琉は華琳が出す黒い物に怯え涙目になっていた。

 

季衣「る、流琉~華琳様が~」

 

流琉「こ、こわいよ~」

 

美里「ふわわ!こ、これは~」

 

震える二人と先ほどから高まる殺気に気付き美里は自分では対処できないと悟ると一刀に降ろすように頼み一人非難する。

 

一刀「いや~あの子が本陣の場所を教えてくれたからすぐに奇襲をかけることができt・・・あ、あの華琳さんどうしたのですか?そんな怖い顔して?俺なにかしましたか?したのなら謝る!謝るから!少し待っ!」

 

華琳「死ね!幼女趣味の変態がぁぁぁ!!!」

 

ドゴッ!バコッ!ガコッ!バキッ!グキャ!グチャ!

 

一刀「ぐぎょわぁぁぁぁぁぁぁあぁx!!!!!!!」

 

華琳の死の制裁を受け天からの御遣いの断末魔は勝利の余韻に浸ってる陣内に響き渡り酒を飲む兵士達の良い肴になったのでした。

 

美里「ふわわ~ごめんカズ君、役に立たない私を許してね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

左慈は宿敵北郷一刀を探すため水面鏡を使い町々を覗いていた。

 

左慈「どこだ!どこにいる。アイツは!」

 

血眼になって捜す左慈。すると、水面鏡に白い服を着た短髪の後ろ姿が写った。その姿は一刀の似ていた。

 

左慈「見つけた!やっと見つけたぞ!北郷!ふはははははっ・・・・・はぁ?」

 

見つけたことに喜ぶ左慈だったが写っていた人物が振り返るとそれは女性だった。顔も一刀とは違う別人だった。左慈は怒りのあまり水面鏡を蹴飛ばし八つ当たりする。

 

左慈「紛らわしんだよ!それになぜ女を写す!!アイツは男だぞ!女を写してどうするこのくそ鏡が!アイツは女じゃないんだぞ!アイツは女じゃ・・・女じゃ・・・・」

 

回想

 

戦いで火照る体、乱れる息遣い、気崩れた服そして涙目の一刀に多い被さる左慈、絡み合う二人。

 

一刀「うっ・・・うっ・・・・・や、ヤメ・・・」

 

左慈「テメェから仕掛けて来たんだろ?だったら最後まで付き合ってもらうぜ」

 

一刀「そ、そんなところ・・・・ダメ・・・・ダメェーーー!!」

 

回想終了(一部かなり妄想修正しております)

 

左慈「ちがーーーーーう!!!アイツとはそんな桃色な出会いはしていなーーーい!!俺とアイツはお互いの命を掛けて戦う敵!そう断じて禁断の愛なのでは無い!!」

 

左慈「うおぉぉぉぉぉぉぉ、待っていろ!北郷!貴様の息の根を必ず止めてやる!!」

 

北郷妥当に燃える左慈を物陰からこっそり覗く干吉

 

干吉「ふふ、段々とこちら側に染まってきていますね左慈。私は何時でもお待ちしておりますよ♪」

 

終わり

 

 

 

あとがき

 

如何でしたでしょうか?今回出た司馬懿こと美里ですが自分は基本的に猫より犬が好きなのであれ?恋姫にイヌミミキャラっていたかなぁ?と思いい作ってみました。

これからは桂花と一緒にワンニャン軍師として活躍させれればいいなぁと思います。

 

あと美里は後日絵を描きたいと思うので楽しみにしていてください

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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