「お、絽望さん。今日もお疲れ!」
村人が屋根の雪かきを行いながら声をかけてくれる。
「今日はいつもより良い肉が採れたよ」
俺は手を振って笑顔で返す。
俺がこの村―――ポッケ村に住んでから6年が経過しようとしていた。
~6年前~
「お前は強い。だから、遠くの辺境へ行って人を救ってくれ」
それは早くに父と母を亡くした俺を引き取ってくれた養父の言葉。
その言葉にウソがあることくらいすぐに分かる。
本当はこの人も俺が怖いのだ。
人間は大きすぎる力には畏れを抱く。
それは生存本能として仕方のないことだ。
だから、俺は何も言わずに家を出て行きポッケ村に辿り着いた。
俺がいた場所は島で他のところとの交流はあまりなかった。
故に最初、この村に着いたとき『真名』や『字』の存在には驚かされた。
間違って村人の真名を呼びハンター教官にこってりと絞られたものだ。
俺の弁解もありなんとか真名を呼んだ件は許して貰った。
それからクエストをしていくたびに村人とは仲良くなり今では全員と真名で呼び合う仲だ。
それと俺は村長から新しい『姓』と『名』、『字』を貰っていた。
今は姓は絽、名は望、字は伯進。真名は一刀と名乗っている。
一刀は親父と母さんが名付けたものだから大切にしたかった。
だが、北郷という姓は俺を引き取った養父のものだ。
感謝はしているがあまり好きではない。
なので村長に頼んだのだ。
この村には感謝してもしきれないくらいの恩がある。
だから、俺はこの村のために全力でクエストに取り組んでいた。
「ハンターの案内・・・ですか?」
「そうじゃ、お主の噂を聞いてのぉ。直接に会ってみたいと言っておってな」
村長―――みんなからはオババと呼ばれている―――は俺に対する名指しのクエストを見ながら言った。
「俺の噂って何ですか?」
「ポッケ村には古龍すらも1人で退治してしまう程の実力を持ったハンターがいる、というものじゃ」
「こ、古龍ッスか・・・」
そんな噂は初耳だった。
もちろん、俺には古龍と対峙した記憶などない。
情報伝達が不確かな今、話は勝手にふくらんでいくのである。
「流石に古龍を1人ってのは飛躍しすぎでは?」
「そう思わせるだけの実力を持っていると解釈しておるのだろう」
最近、ポッケ村に立ち寄るハンターが多い気がしたがそのせいか。
俺はどうでもいいことで納得してしまう。
「それでどうする?このクエストを受けるか?」
「んーー」
純粋に評価してもらえるのはうれしいが古龍かぁ~~
あまりにも過度な期待をさせておいて大したことないとか言われてたら立ち直れないなぁ。
「ごめん、オババ。今回は遠慮させてもらうよ」
俺は逃げ―――もとい、戦略的撤退を行う。
「そうか。では、向こうには儂から伝えておくぞい」
「うん、お願い」
さすがに古龍はなぁ・・・
俺は家に向って歩き始めた。
??SIDE
「華琳様、先日のポッケ村の男の件の返答が届いたようです」
右目を青い前髪で隠れている女性。
「それで返答は?」
応えるのは金髪で明らかに歳が先ほどの女性よりも下の少女。
「はっ、断るとのことでした」
「なっ!!華琳様の願いを聞けぬ輩がいるなど、この夏候惇が成敗してやる!!」
青髪の女性の言葉に真っ先に反応したのは黒い前髪を全て後に上げている女性。
言わばオールバックである。
「落ち着きなさい、春蘭」
金髪の少女が黒髪の女性を制す。
「断る、ね」
金髪の少女は少しだけ残念そうに言うとすぐに真剣な表情に変わる。
「この覇王に従えられる程の腕の持ち主か確かめたかったのだけど断るなら仕方ないわ。もし我ら『魏』に刃向かうようならば容赦はしない、ただそれだけよ」
少女は妖艶に微笑んだ。
??SIDE
「ねぇ、冥琳」
「ダメだ、雪蓮」
桃色の長髪の女性の言葉に即座に黒色の長髪で眼鏡をかけている女性は返答する。
「何よ!まだ、何にも言ってないじゃない!」
「大方、ポッケ村の男を仲間に引き入れる、だろ?」
「・・・・・・そうだけど」
桃色の髪の女性はいじけたように言う。
「聞くところによるとその男は常に1人で狩りに出ているそうじゃないか。仲間に引き入れたとしても連携が行えなければ狩り場では使えない」
軽くため息をつきながら眼鏡の女性は桃色の髪の女性に言う。
「大丈夫よ。別に狩り場で使えなくてもその名声が欲しいんだから」
「それは『呉』の独立のためにか?」
「ええ、私の勘がそういってる」
眼鏡の女性は先ほどよりも深いため息をはく。
「お前の勘は当たるから恐ろしい」
??SIDE
「桃香様、お待ち下さい!!」
声を上げているのは黒い長髪の女性。
髪は束ねられている。
いわばポニーテールだ。
「え~、早く行こうよ!」
応えるのは豊満な―――げふんげふん、茶色とも桃色ともとれる中途半端な髪色の女性。
「あはは、愛紗は遅いのだ~」
豊満な女性と一緒に歩いているのは彼女とは正反対の貧相な―――げふんげふん、まだ幼い少女。
彼女たちが歩いてるのはポッケ村までの道のり。
「鈴々!お前も待て!」
黒髪の女性は少女に向けても声を上げる。
「鈴々は早くご飯が食べたいのだ」
「さっき、こんがり肉をたくさん食べていたではないか!」
少女は黒髪の女性を無視してどんどん歩みを進める。
「まぁまぁ、愛紗ちゃんも落ち着いて」
豊満な女性が黒髪の女性に向けて言う。
「そもそもと言えば桃香様が―――!!」
「愛紗~~、お姉ちゃ~~ん、早くしないと置いて行っちゃうぞ~~」
少女は道の先から2人に向けて言う。
「ああ、もう!!」
黒髪の女性は怒りをどこにぶつけて良いのやら行き場に困っていた。
「あ、あはははは」
そんな様子に豊満な女性は笑うしかなかった。
続く?
『懺悔室』
いや、ですね・・・
別に「蒼天已死 黄天當立」を諦めた訳ではないのです!
どうやって展開していくのかを悩んだ挙げ句にこの作品が出来てしまったのです。
反省はしてます!!
ですが、後悔はしてません!!!
調子乗ってすみませんでしたーーーーーーーー!!!!!!!
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話に詰まって勢いで書いてしまいました・・・
凄く反省してます。
ですが、後悔はしてません!!