No.177487

真・恋姫†無双~江東の白虎~第弐章 5節~一刀と仮面~

タンデムさん

ちわっす!
タンデムです!
今回ですが、星の拠点物語っぽい物でいきます!
一応、彼女が仮面に興味を持ち始める発端?
みたいな物として書きました。

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2010-10-10 20:47:38 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:13568   閲覧ユーザー数:9838

この小説は、北郷一刀、呉の主要キャラほぼ全てと華陀に

 

いろいろな設定を作っていますので、キャラ崩壊必死です。

 

その点を踏まえて、お読みください。

~呉・江都~

 

 

中庭でよく似た顔つきの二人の女性、雪蓮と美蓮が対峙していた。

 

その二人の間を木の葉がすり抜ける。

 

カサッ

 

「!!」

 

その後起こった風によって、木が揺れその際に起こった音とともに雪蓮が駆け出す。

 

美蓮の前に一歩で詰め寄り、その剣を横薙ぎに振るう。

 

「はぁっ!!!」

 

ブンっ!!

 

しかし、その攻撃は空を切る。

 

美蓮は剣で防ぐ出なく、ただ一歩後ろに下がっただけでその攻撃を紙一重で回避した。

 

「踏み込みが甘いっ! そんなんじゃ、何時まで経っても私に一合も当てられないわ、よっ!!」

 

「くっ!」

 

剣を振り切った雪蓮に向かって、美蓮は剣を容赦無く振り下ろす。

 

雪蓮は類稀な勘で間一髪かわすが、髪の毛が僅かに空を舞っていたのを見て冷や汗がたれる。

 

「あ、あっぶなぁーい! 母様、それ本当に刃引きてあるの?」

 

「当たり前じゃない。 ただ少~し氣を通して、刃引き前と変わらなくして有るけど」

 

「刃引きした意味無いじゃない!!!」

 

もう少し回避するのが遅れていたらとぞっとする雪蓮。

 

そんな雪蓮の様子に、美蓮はからからと笑いながら

 

「大丈夫よ! 貴女はあたしの子だし、血は繋がってないけど、一刀の双子の妹なんだから♪」

 

「……なんでか知れないけど、物凄く自信がつくわ」

 

物凄くイイ笑顔で言う美蓮の言葉と、

 

絶対強者を地で行く江東の白虎こと、義兄の一刀を思い出す。

 

雪蓮は何故だか自分も、本当は摩訶不思議人物なのかも知れないと思ってしまった。

 

「さぁ! まだまだ逝く……じゃ無かった、行くわよ!!」

 

「今、『逝く』って言ったでしょ!?」

 

「ごちゃごちゃ細かい事言わない!」

 

その後、澄み渡る空の下に剣戟の音と、時々雪蓮の悲鳴が響くのだった。

一方、此方の川原でも或る二人が対峙していた。

 

一人は、槍を構え何時でも攻撃できるように、

 

もう一人は自然体のまま隙だらけのように見えて、全く隙を作らず。

 

星と一刀が対峙していた。

 

そして、張り詰めた空気の中、パシャンと川から魚が跳ねる。

 

「っ! はぁぁぁぁっ!!!!」

 

その音を合図に、星は一刀に向かって走る。

 

間合いに入ると、すぐさま槍を一刀に向けて振るう。

 

縦斬り、横薙ぎ、突き、石突きとあらゆる攻撃を流れるように行っていくが、一刀は其れを悉く受け流す。

 

「重さが足りない。 それじゃあ何時までも捌けるぞ」

 

「くっ!」

 

その一刀の言葉に反応したのか、今度は重さに重点に置いて攻撃を仕掛けるが、今度は全てが避けられる。

 

「おいおい、誰が早さを落とせなんて言ったんだ? それじゃあ掠りもしないぞ?」

 

「言ってくれるっ! ならば一刀殿がしてみてはどうなのだ!」

 

一刀の物言いに、少しキレ気味の星に仕方無さそうに溜息をつき、

 

「分かった、よっ!!」

 

「な!? きゃぁぁぁっ!!!」

 

ガンっ!

 

ガララン……。

 

容赦の無い拳を星に向けて放った。

 

星がギリギリ目視できる速度に抑え、吹き飛ぶが怪我をしないギリギリの威力にしてはいるが、

 

当の星は両手が痺れ、得物も満足に構える事が出来そうに無かった。

 

「今回も、俺の勝ちだな」

 

「お強いですな……。 私も、精進せねば」

 

そう、今回だけでは無く星と一刀は、何度も手合わせを行っていた。

 

星自身が己の技術向上の為に、一刀に頼み込んだのだ。

 

一刀としては、腕が鈍らない様にに動く事が出来るので、快く引き受けたのだ。

 

「大丈夫ですか? 星」

 

「凄い音でしたからねぇ~」

 

先ほどの様子を脇で見ていた二人が、勝敗が決したと思ったのか星に近づいた。

 

「ああ。 また負けたが、今回はとても満足している。」

 

だが、物凄く嬉しそうでは有った。

 

「何嬉しそうにしてんだよ? はっ! も、若しかして星は、いぢめられて悦ぶ人になったのか!?」

 

「星……余りに負けまくるから、終に目覚めてしまったのですね」

 

「ありゃま~、星ちゃんってば、いぢめられて悦んじゃうのですか~」

 

全然的外れな一刀の回答とともに、周りの二人がニヤニヤした表情で茶化しに掛かる。

 

「だ、断じて違うっ!! ただ、一刀殿の本気の一撃を見れて、武人として嬉しかっただけだ!」

 

物凄く狼狽した様子を見せる星に、珍しいと思いながら一刀は訂正する。

 

「アレは本気じゃねえぞ? 本気ってのは……」

 

そう言って、木の前に立ち腰を落とした構えをとる。

 

「是だ……はっ!!」

 

そう言った瞬間、風と稟には一刀の上半身が、星には一刀の右肩から先が文字通り消えて見え、

 

気が付いたときには一刀の腕が木にめり込み、木が粉々に弾け飛んでいた。

 

……バキャァンッ!!

 

そして、一瞬遅れて、木の壊れる音が三人の耳に聞こえて来た。

 

三人は驚きすぎて声が出せなかった。

 

音が遅れて聞こえるなど、全くありえない事実に直面してしまったからだ。

 

そして、星は考える。

 

もし、先ほどの一撃が、今目の前で行われた一撃だったらと。

 

星は知らず知らずのうちに、口元が吊り上り笑みを浮かべているのが分かる。

 

本当にワクワクして堪らなかった。

 

「ま、今のが見えるようになったら、超一流の武人だ。 さて、行こうぜ次の街に」

 

固まっている三人の肩をぽんぽんと叩くとさっさと歩いていく。

 

そんな一刀に三人は慌てて、着いて行くのだった。

着いた街は、祭りの最中だった。

 

折角の祭りなので、一刀が宿を探し部屋をとり、四人別行動と言う事になった。

 

一刀は、祭り時なので手ごろな値段になっている宿を発見して部屋を頼み自身も、祭りに参加した。

 

そこで有る一軒の露天で足をとめた。

 

「へ~お面屋か。 お、これいいかも、おっちゃん! これ幾ら?」

 

そこで一刀は、中々カッコイイ虎の面を見つけたので、買う事にした。

 

「おう! それはこんなもんだ。」

 

値段も其処までしないので、安心して懐からお金を出し面を手に入れた。

 

そして歩いていると、酒豪大会なる物が開かれていた。

 

「ほう。 この酒は中々、いい酒ですな。」

 

そして、その中で余裕の表情で酒を飲み干している星の姿があった。

 

他の参加者がベロンベロンに酔っているのにも拘らず。

 

そして彼女以外の参加者が、酔いつぶれてしまい、勝敗が決し彼女が主催者に何やら景品を貰っている。

 

その様子を見て一刀は思った。

 

「(星は、ザルか。 一緒に飲むときは気を付けねえとな。)」

 

幼い時分、美蓮と祭にほいほい誘われて、

 

飲んでしまった時はかなり悲惨な事態になってしまった。

 

出店を見て回りながら、考えに耽っていると景品を貰った星が一刀に気付き、やって来た。

 

夜も大分更けて来たので、恐らく行動をともにしているであろう風と稟を星と共に探した。

 

少し歩いていくと、串焼き屋台で屯している二人を見つけた。

 

「そう言えば、一刀殿が鶏の肝臓が血に良いと言っていましたね。

 

オヤジさん、鶏の肝臓を焼いてもらえませんか?」

 

「か、肝臓ですか? お客さんも通ですねぇ……」

 

鼻血ぶっ掛け事件の後、稟は鶏の肝臓が血に良いと一刀に教えられ、

 

さらには、その次の朝、肉屋に足を運び此方では捨ててしまう部位を、

 

色々と貰ってきて、其れを料理にして出してもらったのだ。

 

是が三人に評判が良く特に、稟は血に良いという肝臓を食べて、号泣していた。

 

 

閑話休題

そして、もう一人の探し人は、是はもうお約束通り寝ていた。

 

「……ぐぅ」

 

串焼きを口に入れたまま。

 

そして、そのまま前に倒れる。

 

「って、おい!?」

 

ヤバいと思い、一瞬で風の後ろに行って、あわてて前に倒れるのを防いだ。

 

「おおぅ? 如何したんですか? お兄さん? 風にムラムラ来ちゃいましたか?」

 

何事も無かったかのように、目覚める彼女を見て途端に言い表せない疲労感が出てきた。

 

幸い、稟には聞こえていなかったようで、屋台の中を血まみれにする事態は防げた。

 

「いや、もういいよ。 さて、世も更けて来た事だしそろそろ宿に「キャァー!!」あん?」

 

行こうと言おうとした時、人ごみの中から悲鳴が聞こえた。

 

外から見ると、男が少女二人に刃物を突きつけて、紫色の髪の少女を脅しているように見える。

 

男の懐から、宝石が出ているのを見ると、

 

強盗をして偶々通りかかった少女達を人質に取っているという所だろう。

 

「下衆め」

 

その様子を見ていた星が、槍を持って其処にも向かおうとする。

 

だが、それを一刀は押し止めた。

 

「待て、今行けば変に目立つ。 そうすれば旅がしにくくなるぞ」

 

「では事の成り行きを黙ってみて居ろと言うのか!?」

 

目の前での悪行を見過ごせない性格の星が、一刀に少しキレる。

 

その言葉に首を振り、こう言う。

 

「良いから、待ってろ」

 

そう言って、一刀は路地に入る。

 

そして、誰も見ていないのを確認した後、先ほどの面を着け、

 

大きな布をマントのように羽織り、服装を分からなくする。

 

「さて、行くか」

 

そう言って、民家の屋根に飛び乗り、さっきの場所を見る。

 

まだ警備隊は到着しておらず、依然として少女達を人質に取ったままだ。

 

傍らを見ると、星が飛び出しそうになっているのを見ると、

 

さっさと行って事を片付けるに限ると一刀は思い、跳躍した。

 

「おら! 早くしねえか!!」

 

「ちぃ、すまん月、詠……」

 

「へぅ……」

 

「痛いわよっ!」

 

そのまま二人の少女を人質に取ったまま逃走を行おうとする男の前に、一刀は降り立つ。

 

「金品を強奪し、少女達を人質に取るとは男の風上にも置けねえな」

 

「!? て、手前何もんだ!」

 

そう言われて、一刀はこう応えた。

 

「通りすがりの仮面闘士だ。 覚えておけ」

 

そう言ってゆっくりと、男の方に近づいていく。

 

「なぁ!?」

 

「へ、へぅ!?」

 

「う、嘘!?」

 

「あ、ありえん……」

 

そして、周りに居た人は驚いた。

 

何故ならどんどん、仮面闘士なる人物の体が消えていくのだから。

 

だが、その周りで見ていた人物の内3人は、仮面闘士なる人物が誰か分かってしまった。

 

「(待っていろとは、この事ですか。)」

 

「(お兄さんも、面倒くさい事をしますねぇ。)」

 

冷静に対処する二人だが、うちもう一人はというと、

 

「な、何と! (この趙子龍、此処まで心躍ったのは、一刀殿の本気の一撃を見たときのみ。 カッコイイ!!)」

 

シチュエーションにのみ反応していた。

 

閑話休題

男は、目の前で行き成り消えた謎の仮面闘士なる人物に、恐怖し動けなかった。

 

そして一瞬の後、

 

「じゃ、オヤスミ」

 

「っ!? ……」

 

男が自分を見つけようと、右往左往しているうちに後ろに回りこみ首筋に、手刀を放つ。

 

声が聞こえたがもう遅い。

 

男は、一刀の手刀によって意識を刈り取られ、少女達の間に倒れた。

 

男が気を失った事で、少女達は解放され紫色の髪の少女も二人の元にやって来た。

 

「月、詠、無事か!?」

 

「え、ええ」

 

「へぅ、怖かったですぅ」

 

二人の少女が、紫の髪の少女に無事を確認しているのを見ると一刀は去ろうとする。

 

「あ、待ってください!」

 

「ん? 何だ?」

 

去ろうとする一刀に、月と呼ばれた少女は声をかける。

 

「助けていただいて、ありがとうございます」

 

そう言って頭を下げる。

 

「まぁ、感謝してるわよ」

 

「ほんま、ありがとう!」

 

彼女に感化されたのか、詠と呼ばれた少女と霞と呼ばれた少女も一刀に礼を言った。

 

「私は、董卓と言います。 あの、お礼がしたいのですが、また会えますか?」

 

身長差がある為、上目遣いになる彼女。

 

一刀は、そんな彼女の方に戻り頭を撫でてこう言う。

 

「縁があったら又会おう、じゃあな」

 

「は、はい」

 

面で顔は分からないが、一刀の優しい声と雰囲気に顔を紅くする少女。

 

そして、一刀は暗い路地の方に消えた。

 

そして直ぐ後に、街の警備隊が現れ気絶していた男を連れて行った。

 

一刀は警備隊に捕まらぬようにさっさと着替えて、宿に戻ると何故か星が色んな面を買って部屋に広げていた。

 

「おい、是は何事だ?」

 

「あ、一刀殿。 実は先ほどの『仮面闘士』騒ぎのせいで少し……」

 

「何か知りませんけど、星ちゃんに火が付いちゃったみたいですねぇ」

 

「うむぅ~。 是もなんか違う」

 

う~う~唸っている星の隣で、ひそひそと話をする三人。

 

「先ほどは、お疲れ様でした」

 

「ああ。 変に目立つ旅はしたくねえだろ?」

 

「はい~。 ですけど~もっと面倒くさくなりましたねぇ」

 

面を見ては唸っている星を見る。

 

「はぁ~。 じゃ俺もう寝るわ。 お休み」

 

「はい。 星は我々にお任せください」

 

「お休みなさい~」

 

そして、一刀は部屋に戻りさっきの事を思い出す。

 

どうも何かが引っ掛かりが有るのだ。

 

物凄く重要な何かが。

 

「男が持ってた宝石か? いや、其れじゃない。」

 

もっと後だと思い、先程の事を思い出し有る所で判明した。

 

 

『私は、董卓と言います。』

 

 

「っ……あぁぁぁっ!!!!!!!!」

 

驚きすぎて、思わず大声を上げてしまった。

 

そのせいで、三人が一刀の部屋に押し掛けて来た。

 

「如何した! 一刀殿!?」

 

「い、いやなんでもない。 祭りで、すっごく重要な忘れ物があって、今思い出したところなんだ」

 

「そうですか」

 

「でも余り大声を出さない方が良いですよ~。 近所に迷惑ですから~」

 

「ああ、気をつけるよ」

 

そう言って、星達は部屋に戻った。

 

だがあの悪逆非道の董卓が、先ほど助けた儚そうな少女だと言われてしまえば、驚くなと言う方が無理だ。

 

「あ、あの子が董卓……」

 

あの儚い少女を思い出し、後に起こるであろう事に一刀は頭を抱えた。

 

だが、今考えても仕方の無い事なので彼女の事を忘れ、眠りに付いた。

 

翌朝、街の子供達の間では『通りすがりの仮面闘士ごっこ』が流行っていたのには、

 

流石に苦笑いしか浮かばなかった。


 
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