No.175242

真・恋姫†無双~愛雛恋華伝~ 16:【黄巾の乱】 幽州騒乱 其の弐

makimuraさん

まだ戦闘に入っていないんだ。すまない。

槇村です。御機嫌如何。


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2010-09-28 19:15:46 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4990   閲覧ユーザー数:4030

◆真・恋姫†無双~愛雛恋華伝~

 

16:【黄巾の乱】 幽州騒乱 其の弐

 

 

 

 

 

遠征に出ている公孫軍の元にも、現状を報告するための伝令が走っている。

公孫瓉が留守にしている間の権限は、鳳灯たちに委ねられている。だが、ことは遼西郡全域に、それどころか幽州全体にも関わる事態である。ひとまず執り行うべき処置、これからの行動、動かす軍の陣割や規模の決定、周辺地域との折衝などなど。いつまでも太守代理が仕切るには、やや荷が重い状況だ。

いつまでも太守が留守のままではいられまい。一刻も早く陽楽に戻ってきてくれ。伝令にはそんな文面を含ませた。

進軍する道程は大まかに決められているし、変更があれば報告が来ている。後を追うことは難しいことではない。遼西郡の現状が伝わるにも、そう時間はかからないだろう。

とはいえ。戻ってくるのをただ待っていられるほど、ゆっくりはしていられない。やることはたくさんあるし、備えるべきことも山のようにある。武官も文官も大わらわだ。

 

軍議で採られた作戦案の通り、陽楽に残っている兵力の内3000が第一陣、北上組として編成される。

率いる大将は、公孫瓉の妹・公孫範。同じく従姉妹の公孫続が、軍師見習いとして従軍する。彼女らふたりを公孫軍古参の面々が補いつつ、行軍していくことになる。

公孫範は、若輩ながら経験もそれなりに積んでおり、公孫軍の中でも一角の武才を持つ将として認められていた。古参の面々も、彼女に関してはあまり心配することはない。呂扶という修練相手が現れてからというもの、その武の調子は上がりっぱなしだった。公孫瓉に続く急成長株といったところである。

それに対して、公孫続は、大きい規模の遠征は今回が始めてだった。陽楽周辺で起きた小競り合いの鎮圧に同行したことが数回ある程度。おまけにまだ若い。公孫瓉より七歳下、鳳灯より四歳も下になる。更にいえば武よりも知に長け、軍師というよりも内政官向きの人間であった。

鳳灯は彼女を陽楽に残すつもりだったのだが、公孫に仕える古参の将に止められた。彼女に、千単位での遠方従軍という経験を積ませておきたいのだという。

確かに経験は大事だ。今回のような、規模が大きい割りに危険度が小さい遠征はそうないだろう。経験を積むにはうってつけだ。

説得を受け、納得し、鳳灯は反対することなく受け入れた。

だがそれでも、心配は募る。

 

「続ちゃん、くれぐれも無理はしないでくださいね」

「分かっています。範ちゃんの邪魔をしたりしませんから」

 

年相応より少し小さい背丈の公孫続と、それより少し高い程度の鳳灯が手を取り合う。

張飛よりも年下なのに、という連想が、より心配を高めているのかもしれない。そこまでするかというほどに、鳳灯は公孫続の心配をしてみせる。

 

「なんだよ鳳灯、続ばっかり心配してさー。ワタシは心配する価値もないってことかー?」

「あわわ、範しゃん決してしょんなことは」

「鳳灯、噛んでるよー?」

 

からかう言葉に、鳳灯が反応して噛んでみせた。彼女のそんな様子を見ながら、公孫範は声を殺しながら意地悪く笑う。

動く前に考え込む鳳灯と、考える前に身体が動き出す公孫範。中身は正反対だが、それゆえに性が合ったのだろうか。同い年ということもあり、ふたりの仲はとてもいい。

もちろん彼女のことも、鳳灯は心配である。例え弄られていようと。

 

「行軍する範囲は広いですが、やることは普段の討伐行とまったく同じです。範さんなら問題ないありません。さほど気負わずに。無茶はしないでくださいね」

「大丈夫だって、心配性だな鳳灯は。いつもワタシが無茶して突っ込んでるように見えるのか?」

「……皆さん、範さんのことをよろしくお願いします」

 

心得た、とばかりにうなずいてみせる公孫軍古参の将たち。彼女の性格を熟知しているからこその受け答えだろう。

おぉいちょっと待て、と、喚く彼女を流して見せる様も堂に入ったものだった。

そんな態度を見せてはいるが、彼女が勝手に突っ走るのではという心配は誰もしていない。

公孫範が本当に猪突猛進な性格であるなら、誰も大将に据えたりしない。軍と兵を率いる立場、というものをわきまえ自制を働かせるだけの思慮はもちろん持っている。それでも抑えられない気性の部分に関しては、周囲が止めればそれでいいこと。だから問題はない。

むしろ、今回のような討伐という目的を持つ行軍ならば、彼女の気性の熱さはそのまま士気の向上にもつながる。

 

「よーし行くぞー。ワタシに続けー!!」

 

掛け声も勇ましく、公孫範の率いる3000の軍勢は、遼東郡を目指して北へと向かっていった。

 

 

 

第二陣を率いる大将は、公孫三姉妹の末妹・公孫越。姉と同様、公孫軍の一将として頭角を現している。公孫範、公孫続らと同様に、古参の将が脇を固めての行軍だ。そして副将として呂扶が、また義勇兵のまとめ役として一刀が同行する。

第一陣を出征させ休む暇もなく。次は第二陣の出征準備にかかる。

といっても、数は第一陣の三分の一。おまけに平行して準備を進めていたのだから、後回しにしていた糧食や装備などが整うのを待つくらいしかすることが既にない。

状況の割りに手持ち無沙汰という中。焦れる気持ちを誤魔化すように、打ち合わせと称して第二陣の主要な面子が集まる。打ち合わせといっても、その実は井戸端会議でしかないのだが。

 

「考えて見るとさ。義勇兵のまとめ役云々の前に、これだけ規模の大きい遠征に参加すること自体初めてなんだけど」

 

衝撃の事実、とばかりに一刀はいう。

彼は護衛の仕事だけでなく、義勇兵のひとりとして公孫軍に参加し遠征に出たこともある。だが経験した軍勢はせいぜい300程度の規模のものでしかなかった。

それが一足飛びに、数百の義勇兵を取りまとめ、1000の公孫軍に混じり、なおかつその数倍の烏丸族と行動を共にすることになったのだ。感慨に耽るというか呆然とするというか、この現状に彼は自分のことながら俄かには信じきれない。

 

「でも兵隊さん全員が、俺と同じように恋に吹き飛ばされているんだと思うと、妙に仲間意識が沸くなぁ」

「あはは……」

「そのお陰で、皆さん物凄い勢いで実力が上がっているんですよ?」

 

一刀の言葉に、乾いた笑い声を漏らす公孫越。

彼女もまた、呂扶に吹き飛ばされ続けているひとりだ。兵だろうと将だろうと関係がない。彼の気持ちはよく分かる。

だがその圧倒的力量差をもって行われる修練が、公孫軍の実力を底上げしていることも事実。鳳灯はその点を指摘し、無駄にはなっていないのだと主張する。

 

「確かに、恋姉さんと対峙するだけでいろんなものが鍛えられている気がします。

対峙し続ける気力もそうですけど、どうやって手を出そうか、って考えることで、頭が鍛えられるんですよね」

「それはよく分かりますね。頭が鍛えられるというか、相手と対峙したときに繰り出す手数のバリエーションが豊かになるって感じかなぁ」

「ばりえーしょん?」

「んー、選択肢が増える、ってことです」

「なるほど。それは分かる気がします」

「……越は器用。でも使いこなす力が、まだちょっと足りない」

「……そうですか」

 

公孫越は普段から呂扶に懐き、真名も許され"恋姉さん"と慕っている。

一刀との談義の中で、そんな師匠からのダメ出しを受けて彼女は少し落ち込んでみせた。

 

「あわわ、恋しゃんは越しゃんを否定してるんじゃなくて、伸び代があるっていうことを指摘しているんであって」

「雛里のいう通りですよ。ない、っていってるわけじゃない。足りないってことは、これから力をつけていく余地があるってことですから」

 

鳳灯と一刀が、落ち込む彼女に助け舟を出す。

その中の一刀の言葉に、公孫越が反応した。

 

「北郷さん」

「はい?」

「いつのまに、鳳灯さんを真名で呼ぶようになったんですか?」

「え?」

「あわっ!」

 

会話の流れとは違ったところに反応したようだ。

呂扶と同様に、公孫越は一刀も慕っている。しかもちょっと恋愛感情が入っている。

常に呂扶と一緒にいるのだから、接する機会も多くなる。そのせいでいつの間にか、といった感じだ。

優しさだとか料理の腕だとかいろいろ器用なところだとか、理由はいくつも挙げられるが、今の彼女にとってそんなことは些細なことになっていた。

 

「いや、ここ数日の間にちょっとしたきっかけで」

「ふーん」

「いえその、もともとお世話になっていますしいろいろ悩み相談というか助けられたこともたくさんありましたので今更ですがって」

「へー」

 

なんの話だ、とばかりに淡々と返す一刀。

反面、ものすごく焦っているのにまったく噛まずにいいわけを繰り広げる鳳灯。

そんなふたりを見比べながら、生返事を返す公孫越。彼女は嫉妬、というよりも、なにか面白くない、という感情に駆られていた。

 

鳳灯を始め、新しく将として加わった面々。それに将ではないがなにかと世話になっている、呂扶や一刀。彼や彼女らに対し、公孫越は信頼もしているし信用もしている。真名を許すことになんら抵抗を感じないほどに。これは彼女の姉や従兄弟である、公孫瓉、公孫範、公孫続も同じ考えだ。

だがなんとなく、それを伝える時期を逸していた。以来、皆からは名を呼ばれ続けている。

一抹の寂しさを感じていたところに、一刀が鳳灯の真名を呼んだ。正直なところ、ずるい、という気持ちが胸のうちを占めていた。

それじゃああたしのことも真名で呼んで、といえればよかったのだろうが。つい腰が引けてしまう公孫越。少しばかり考え過ぎて、踏ん切りをつけるのを躊躇ってしまう。彼女にはそんなところがあった。

 

結局、一度こじれた公孫越の機嫌は元に戻ることはなく。呂扶の腕を抱きこむようにして縋り付きながら、不機嫌な表情を見せ続けていた。

もっとも、そんな態度を見せられること自体が、彼と彼女たちを信頼して甘えていることの証左だともいえる。そのことに、公孫越は気付いていない。呂扶は片腕を取られたまま彼女の頭を撫で付け、その様を見て、一刀と鳳灯はほんのりと微笑んでいた。

 

 

 

それから数日。出征の準備を整えた第二陣は陽楽を出発。第一陣とは違う道を辿り、北へと向かう。

目指すは、烏丸族と落ち合う地点。

距離もそう遠いというわけではなく、黄巾賊と出くわしつつも、問題なく合流地点に到着した。

烏丸族の面々は既に到着しており、いつでも進軍できる状態になっていた。その数、およそ5000に及ぶ。

 

「おう、よく来たな公孫越」

「丘力居さん、ご無沙汰しております」

 

互いの軍の大将として挨拶を交わすふたり。だが共に顔見知りであり、今回の状況については既に何度も使者を通して意見を交わしている。今更確認すべきことも多くはない。

 

「今回は我々に協力していただけて、感謝しています」

「いやなに、どのみち黄巾の奴らは討伐しなきゃいけなかったんだ。

境界線の上の方はそっちが請け負ってくれるんだろ? こちらとしても今回の申し出は願ったりかなったりさ」

「それでも、黄巾賊が烏丸の皆さんのところまで来てしまったのは、我々が原因のひとつでもありますから」

「まぁ、確かに漢の奴らのせいで黄巾が出てきたのは腹が立つが、公孫瓉やお前たちにまで非があるとは思ってないよ」

 

あまり気に病むな、と、公孫越の頭をぽんぽん叩く。丘力居にされるまま、静かに笑う。

ふたりの性格が読み取れるやり取りだったといえよう。

 

 

 

早速互いの軍勢をまとめて再編成を、ということになり、将扱いの面々が顔合わせをする。中でも、丘力居は呂扶に興味深々だった。

 

「お前さんが呂扶か。噂は聞いてる、公孫軍全員でかかっても倒せない、一騎当千の指南役だってな」

 

なんでそこまで知っているんだ、と、一刀は思ったが。

瓉姉さんが喋ってました、という公孫越の耳打ちに納得する。

それって、いわば身内の恥部に当たるんじゃないの? ひとりに全滅とか。そんな一刀の小さい囁きに、公孫越も笑って誤魔化すしかなかった。

 

「で、お前さんは?」

 

丘力居の視線が一刀に向けられる。この場にいる中で、呂扶を除けば彼だけ面識がないのだ。訝しむのも無理はない。

 

「義勇兵を取りまとめる大役を仰せつかった、北郷といいます。本職は武将でもなんでもない、ただの料理人です」

「ほう。その割にはずいぶん、肝が据わっているように見えるぞ」

「自分の生活がかかっていますからね。黄巾賊をなんとかしないことには、落ち着いて鍋も振れない。肝も据わるってものですよ」

「確かにな。面白いなお前」

 

丘力居は笑いながら、ばんばんと一刀の肩を叩く。

一刀の見たところ、年のころは分からないが、公孫越よりも一回り大人な印象。一刀よりももっと上だろう。

関雨にも負けない、長く綺麗な黒髪が印象的だ。

一見キツそうな雰囲気だが、話してみれば気さくでよく笑う。表情もくるくる変わるが、目つきは常に鋭いままだ。しかし怖さは感じない。

……馬に乗る人は皆とっつきやすい人なのだろうか。そんなことを考える一刀だった。

 

 

 

公孫越たち一行が、丘力居率いる烏丸軍と合流。いくらかのやり取りを終えた後、公孫・烏丸合同軍は進軍を開始する。

互いの領土の境界線に沿って南下していく。互いに細作を方々へ放ちながら、黄巾賊の動向を探る。

黄巾賊がたむろしているところを見つければ、それ行けとばかりに討伐にかかる。一応は降伏を求めるが、すでに村を襲ったことなどが分かると容赦なく討伐、処刑。特に烏丸の面々は容赦がない。止める理由もないので、公孫軍もなにもいわずにいる。

 

小規模の集まりをひたすら数で押し潰す。そんな形で黄巾賊を討伐していく合同軍。大きな被害を出すこともなく、北平郡を通り、間もなく漁陽郡に入ろうとしていた。

そこで、黄巾賊と戦う軍勢の姿を確認する。

 

「戦っているのは、北平と漁陽の軍ですか?」

「そのようです。北平・漁陽の軍がおよそ7000。対して黄巾賊の数が、15000ほど」

 

細作の報告に、公孫越は顔をしかめる。これまでに遭った黄巾賊とは規模が違う。

 

「いきなり数が増えたな。まるでイナゴだ」

「ここまでに討伐した黄巾賊も、これに合流するつもりだったのかもしれませんね」

 

これだけの数、どこから集まって来たのか。感心するやら呆れるやら、といった態度の丘力居。

これだけの数、なんらかの手段で組織として機能し出したら大事になる。可能性のひとつを想像して戦慄する公孫越。

 

「我々の5000と、戦闘中の7000。数ではまだ勝てんが、相手は黄巾だ。策と連携と勢いで、なんとか出来るんじゃないか?」

「楽観的ですね、丘力居さん」

「出来る素地はあるだろう?」

「……無理ではない、と思います」

 

じゃあそれで行こう。

丘力居が頭を撫でる。されるに任せながら、公孫越は苦笑するしかなかった。

 

「幸い、このままヤツらに突っ込んでも黄巾どもの側面を突ける。速さで掻き乱して、慌てた所を囲んで叩き潰すか」

「……そうですね。あと一部は背面の方に回りこんで、逃げ道を限定させましょうか」

「そうしてさらに追い立て殲滅、か。

ふむ、突撃しつつ広がって行き、駆けつつ射やり回り込むとしよう。馬もない黄巾どもでは我々の速さには付いて来れまい」

 

公孫越の案を拾い上げながら、丘力居が道筋を作っていく。

大将同士のやり取りに、他の将たちは口を挟まない。信頼ゆえでもあり、その内容に異がを感じないからでもある。

素早く淡々と、作戦が固められていく。その内容を含ませた細作を北平・漁陽の両軍に飛ばし、合同軍も突撃の準備に入る。

 

「じゃあ恋が、先に行く」

「ふむ。遼西の一騎当千が先駆けで行くか。その武才、とくと見せてもらおう」

 

策の内容を聞いた呂扶が、一番槍を申し出る。他の面々もそれに異はない。

ここまで相手にしてきた黄巾賊は、数も少なくあっけなく討伐されている。いわば呂扶が出るまでもなく片がついていた。それでも被害がほとんどないのだから、公孫軍の実力の高さが窺い知れる。

そんな彼ら彼女らが束になっても勝てないという、呂扶という人物。彼女がどんな戦いぶりを見せるのか、丘力居は楽しみで仕方がなかった。

胸の高鳴りを隠すこともなく、彼女は笑顔を浮かべながら、呂扶に烏丸の騎馬隊が取る動きを伝える。そのいちいちに、呂扶はうなずいていた。

そうしている間に、陣割と再編成は完了する。

先鋒に、呂扶率いる公孫軍の騎馬隊。それに歩兵部隊が後ろに付く。

呂扶たちの背後を囲むようにして、烏丸族の騎馬隊と歩兵。先鋒の突撃を弓で援護しつつ広がって行き、黄巾賊の動きを限定するように包囲していくのが狙い。

その後ろに、一刀率いる義勇兵を中心とした一団。先鋒が蹴散らした黄巾賊に止めを刺すこと、そして大将である公孫越の防備、というのが主だったところだ。

それぞれが、おのおのの為すべきことを為すために、胸の内を高ぶらせながら待機する。

 

そんな中で一刀は、先頭へと進んでいく呂扶に声をかける。

 

「恋、無理はするなよ?」

「ん……。でも、今は無理をしてやるとき」

「……確かにそうだな。すまん」

 

不要な言葉だったかもしれない。それでも、彼の心遣いは確かに届く。

呂扶が戟を握る手に力が篭る。しかし、その身体に要らぬ力みが雑じることはない。

彼女にとっては、久しぶりの戦場。にもかかわらず、その心身に不安なところなどひとつとして感じられなかった。

 

 

 

 

時を少し遡り。

遼西郡・陽楽の政庁。

軍の第二陣を無事に送り出し、ひとまずホッとする内政官たち。

もちろん、大変なのはこれからだということは理解している。変わっていく状況に合わせて、適時適当な対応をしていかなければならないのだ。

それでも、ひとつ区切りがついた、という気持ちは否めない。ひと息ついてから、次の難題に取り掛かろう。

そんな空気に満たされていた玉座の間に、新たな報告が入る。その内容を聞いた鳳灯は愕然とした。

 

伝令が伝えた内容は、幽州刺史からの派兵依頼だった。

曰く。幽州の南部、楽陵郡・渤海郡・章武郡に渡り黄巾賊が集結しているとのこと。

その数は30000にも及び、これの討伐のために兵力を貸して欲しいという内容だった。

遼西郡の兵力は、現在北方に展開する黄巾賊の討伐にかかりきりである。南方にまで兵を回せるほどの余裕がない。

 

「……北方の黄巾賊討伐が終わり次第、そちらに軍勢を回す、と。使者さんにお伝えください」

 

他の内政官たちに目を向ける鳳灯。皆なにもいわずに、ただうなずいた。

 

場合によっては、挟み撃ちにされる可能性がある。黄巾賊の間で連携が取れていないことが、救いといえば救いだ。それでも、いつどのようにして襲い掛かってくるか読めない。そこが懸念点でもある。

本当に、黄巾賊の残党すべてが集まってきたのではないか。そんな想像さえしてしまう。

鳳灯は、歯噛みする。

 

 

 

すべてかどうかは分からないが、残っている黄巾賊の大多数が幽州周辺に集まっていた。

この時点の鳳灯はまだ把握出来ていないが、幽州は北に15000、南に30000の黄巾賊に挟み撃ちにされている状態となっている。

これがいつ、南下し、北上してくるか。

予断を許さない状況となっていた。

 

 

・あとがき

うん、戦場描写にまで至らなかった。すまない。

 

槇村です。御機嫌如何。

 

 

 

 

唐突に、オリジナルキャラが続出。

人を増やさないと、表現しきれないと判断しました。あと公孫瓉陣営に誰がいたっけ。

それにしても、難しいなオリジナルキャラ。

 

 

公孫範(こうそんはん):

公孫瓉の弟もしくは従兄弟。

本作では、公孫瓉より三歳下の妹。恋姫無双のお約束にのっとり、女性にしてみた。

伯珪より力は強いが猪突気味。伯珪よりもちょっと短慮。

 

 

公孫越(こうそんえつ):

同じく公孫瓉の弟もしくは従兄弟。

本作では、公孫瓉より四歳下の妹。恋姫無双のお約束にのっとり以下略。

伯珪より武に劣り、伯珪よりやや思慮深い。だがここぞというとき即決する思い切りにやや欠ける。

瓉、範、越で公孫三姉妹と称する。

……今気付いたけど、黄巾の三姉妹と被るような気がする。

 

 

公孫続(こうそんしょく):

公孫瓉の息子。

本作では、公孫三姉妹の従兄弟。恋姫無双の以下略。

年齢設定は鈴々より下。

原作でいう、張三姉妹における一刀みたいな立ち位置にしたいと思っている。若いのに苦労しているみたいな意味で。

 

 

丘力居(きゅうりききょ):

13話で名前だけ登場した方。晴れて本作に登場。やっぱり女性。

烏丸族の長。史実では、公孫瓉と対立し、幽州を自分の下に治めてしまったりしているらしい。やり手だな。

現在出てくるキャラの中で一番年上。経験を十分に積んだお姉さん的年齢。(訳分からん)

お肌の曲がり角、とかいったらステキに笑いながら剣を振るってくるに違いない。

ちなみに最初は戟を振るっていたらしいが、「髪に絡まるから」という理由で剣に持ち替えたという逸話あり。(槇村の中で)

 

 

もちろん、書いているうちに性格が変わる可能性も大。多分、他にも出て来るだろうなぁ……。

 

 

 

最近になって気付いたことがある。

「黄巾党」と「黄巾賊」って使い分けてないねオレ。

黄巾たちを認めていないんだから、討伐する側が「黄巾"党"」って口にするのは変じゃないかなぁ。

と思って調べて見たら、やっぱり変らしいです。

……直そう。うん、いずれ直す。

 

小さなところが気になって仕方がない槇村でした。

 


 
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