No.175149

真・恋姫呉√アナザー~戦場に響く二つの鈴の音~第十五話

秋華さん

………ん?あーすまん。本来ならここは秋華が話すところだが、どうやら前回の作品で初めて王冠がついたことにより、今言葉が伝わらない言語を叫んでいるため私が代理だ。

あ、私はあとがきでの秋華の相方思春だ。

それではまたあとがきで逢おう…。

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2010-09-28 03:57:46 投稿 / 全17ページ    総閲覧数:10088   閲覧ユーザー数:7616

黄巾党を討伐し、後に黄巾の乱と呼ばれる大陸全土を巻き込んだ戦いは終りをつげた。

集まっていた諸侯もそれぞれの国へと帰り、それと同じように雪蓮たち孫呉も自分たちの城へと帰ったのだった。

 

~雪蓮居城・中庭~

 

冥琳「……以上が先の戦いで得た情報だ。他に聞きたいことはあるか?」

 

城に帰り、一息ついた後雪蓮を始めとする主だった将たちはいつも軍儀をしている中庭に集まりあの戦いで集めた情報を皆に伝えた。

黄巾の乱が終わり、束の間だが平和を手に入れたがその平和はいつ崩れるか分からない。そのため有力な諸侯の情報は、可能な限り手に入れてその情報を皆と共有する。そうすることで自分たちの周りがどうなっているかちゃんと分かり、すぐに行動に移せるようになる…というのが冥琳の持論だった。

 

雪蓮「あのさ~。今の話を聞いていると袁紹・曹操・劉備あとは名が売れてきている諸侯たちの情報は分かったんだけど…董卓は?まぁ…董卓自身はあの場に居なかったらしいから分からないとしても、その周りに居る将たちの情報はないの?」

 

穏「はぁ~それがですね~。私達も董卓について少しでも多くの情報を手に入れようと、我軍の中でもかなり優秀な人達を派遣したんですけど…なんというか表面的なことしか分からないんですよ~。」

 

一刀「表面的って?」

 

穏の言い方に疑問を持った一刀はすかさず疑問をぶつける。

他の皆も同じようなことを思っていたらしく、穏の答えを聞き逃さないように見守っていた。

 

穏「それはですね~。噂にもなっている張遼、そして呂布の強さはあの場で確認されました。まさに噂にたがわぬ戦いぶりだったそうですよ?だけど今回董卓軍を率いていた人…たしか賈駆って言われているらしいんですが、その姿は確認できなかったみたいなんです~。前線に出てこなかったことを考えると多分文官…もしくは軍師といったところだと思うのですが…」

 

蓮華「文官、もしくは軍師か…一体どんな人物なのかしら?」

 

穏「これまで集めた情報をまとめると…私はその賈駆って人物かなりの逸材だとは思うのですよ。…たぶん実質董卓軍を動かしているのはこの人物かと…」

 

祭「ほう…。穏が逸材というほどの人物か…」

 

そう言って祭が目を細める。

冥琳にしろ、穏にしろ逸材と言う人物はほとんどいない。

つまり…穏が逸材というのであれば、その人物は少なくとも穏と同じかそれ以上の力を持っているということになるのだ。

そして穏の言葉に賛同するように冥琳が話を引き継ぐ。

冥琳「私も穏と同じ考えなのです。多分董卓の姿や人柄などが分からないのはすべてこの人物の仕業だと私は考えています。これには正直賞賛を送りたいぐらいです。そんなこと並みの者には出来ることではありませんから…」

 

冥琳までそう言わせるのだからかなりのものなのだろう。

そう思ったほかの将たちは思わず息を呑んだ。

そんな中…胸の辺りで腕を組んで何か考えことをしていた晴歌が絢音に自分が思っていた疑問をぶつける。

 

晴歌「なー絢音?普通なら部下の手柄を董卓にしてでもその名を売るもんじゃないのか?そうしたほうが民の信頼もあがるし、兵の士気や忠誠も違ってくると思うんだけど?」

 

絢音「そうだね…晴歌が言っていることは正しいと私も思うよ?たしかに普通ならそうなんでしょうけど…多分この賈駆って人はそれを無視してでも董卓を公に出したくないんじゃないかな?もしくは出来ないとか…」

 

冥琳「多分公に出したくないが正解だな。ここまで徹底するには何か訳があるのだろう…。それに董卓自身は帝に謁見したという話も聞いているし、出来ないわけではない。そこから考えられるのは、董卓は賈駆の人形か…それとも董卓を守っているか…だな。」

 

雪蓮「私は守っているんだと思うな~」

 

冥琳「その根拠は?大方勘とでもいうのか?」

 

雪蓮「まぁ…勘なんだけどさ~それだけじゃないのよ。もしその賈駆ってやつが董卓のことを人形にしているのであれば、なおのこと黄巾党の本隊を叩く時に一緒に出陣してたでしょ。いくら人形でもあの場に居ないと地位とか名誉とかは手に入らないと思うし…。それに賈駆自身が総大将になって戦うことなかったと思うわ。それこそ張遼とかに任せてね…。それとさっき董卓が治めている町の様子言ってたけど、うちと同じ…いえもしかしたらうちよりも栄えているかもしれない。そんな町を作っているやつがそんなまねするかしら?」

 

一刀「……俺も雪蓮に賛成だな。たしかに謎が多くて絶対そうとはいえないと思うけど…少なくとも町の評判を聞いている限りそんなことする人物には思えない。そしてそんな人物を従えている董卓って人も良い人格者じゃないのか?…まぁ人については実際にあってみないと分からないけどね。」

 

冥琳「ふむ。たしかにそうかも知れんが…今董卓は洛陽にいるのだったな。明命、思春!!」

 

思春・明命『はっ!!』

 

冥琳「お前たちの隊の中でも特に隠密行動に長けているやつを選び出し、洛陽を探ってくれ。出来れば董卓の人となりや人物像が分かればいいが、無理に調べる必要は無い。あそこはかなりすさんでいる所のはずだ、それを見た董卓達が今何をやっているかだけでも掴んできてくれ。出来るだけ早く頼む。」

 

思春「わかりました。今日中に選抜し、明日にでも出発させます。」

 

冥琳「よろしく頼む。」

雪蓮「さて、これで一通り終わったかな?」

 

穏「はい~。また情報が入りしだい連絡します。それと今回の情報は後でまとめてお渡しします。」

 

雪蓮「う゛っ書類嫌いなんだけどな~…まぁ仕方が無いか。では軍儀を終わる。各々受け持った仕事に戻って頂戴。」

 

雪蓮の一言で皆一度礼を取るとその場を後にしだす。

当然一刀や思春たちも同じようにしたのだが…雪蓮によって呼び止められる。

 

雪蓮「ちょっと待って。一刀、思春、蓮華、冥琳、穏、祭、明命、それと絢音に晴歌は残って頂戴。」

 

言われた人達は首を捻りながらもその場にとどまり、呼ばれなかった人はその場から立ち去る。

そして呼ばれたもの以外いなくなった所で雪蓮が話し出す。

 

雪蓮「さてと…皆だけに残ってもらったのは他でもないの。本当なら他の人も知っておくべきなのかもしれないけど、私の勘を信じるならこの場に居る私達だけの話にしたいわ。」

 

冥琳「ん?いつになく真剣だが…いったいどうしたというのだ?」

 

雪蓮「私がどうこう…ってわけじゃないの。…一刀正直に話して?貴方私達に隠し事しているでしょ?」

 

一刀「!!!」

 

雪蓮の言葉に思わずドキッとなる。

一体何のことを言っているか分からなかったが、少なくとも前の戦場で言っているようなふざけた感じではなかった。

 

雪蓮「その感じだと当たりって所かしら?どうもおかしいと思っていたのよ。少し前…そう黄巾党の本隊と戦う前からかしら?その辺から時折表情が曇っていたのよ。最初は気のせいだと思ったんだけど、ここに戻っていたときにはそんなそぶりは一度も見せなかった。それで確信したわ。一刀は何かを隠している…そして思春にそれを話して楽になったんだってね…。」

 

思春「………」

 

雪蓮がそう言い終わるとジッと思春見つめる。

その視線に少しうろたえながらも、思春は視線を逸らすことはしなかった。

それを見て雪蓮の表情は少し和らいだ。

たぶん何か感じるものがあったのだろう…そしてすぐさま視線を一刀に向け直すと話を続ける。

 

雪蓮「あの時に聞き出そうとしたのは、もちろん悪ふざけって所もあったんだけど。本当の狙いはそれなの。正直人が必死になって隠していることを聞き出すなんて私はしたくないんだけど、それでも私の勘が言うのよ。聞かなくちゃいけないって…。だからお願い一刀。思春に話したこと私にも…いえ私達にも話してくれないかしら?」

 

申し訳なさそうな顔をしながらも視線は一刀の目を外さず見つめてくる。

近くにいた冥琳たちも最初は何を言っているのか分からなかったが、あまりにも真剣に雪蓮が話しているのを見て、ただ事ではないと感じたのか…一刀を見つめてきた。

それを見た一刀は少し息を吐くと少し困った顔をしながら話し出した。

 

一刀「はぁ…。なんていうか雪蓮の勘は凄いんだな。これでも頑張って隠していたはずなんだけど…わかった。思春に言ったことを雪蓮達にも話すよ。…だけど驚くのは無理もないとしても、最後までちゃんと聞いて欲しい。正直あまり話したくないことだから…」

 

一刀がそう前置きをすると、雪蓮たちも黙って頷く。

それを確認した後一刀は静かに話し出した……自分が見た夢のことを…そして今自分に起こっていることを……

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

一刀が話した後、皆の反応は様々だった。

静かに考え込んでいる者、信じられないといった顔をする者、何処か納得したような顔をする者…

そして皆そろって同じなのは、あまりに突拍子もなく信じられない話のせいで誰も言葉を発することが出来ないことだった。

 

そうやってしばらく沈黙が流れた後…一番驚いていた蓮華がぽつりと言葉を漏らす。

 

蓮華「どうして…」

 

その言葉は小さく震えていた。

 

蓮華「どうしてそうなった時、すぐに言わなかったの!!そんなに私たちのことが信じられないの!?…思春も思春よ!貴方もどうして黙っていたのよ!」

 

小さかった声はいきなり大きくなり、最後には声を荒げていた。そしてその目には涙が浮かんでいた。

 

一刀「まってくれ!たしかに黙っていたのは俺が悪いけど…思春を責めないでくれ!思春は俺のことを思って言わなかったんだ。思春は悪くないよ!」

 

思春「……一刀」

 

一刀がそう言うとまたその場に沈黙が訪れた。

周りを見ていると、蓮華だけではない…何人か同じように目に涙を浮かべていた。

すると、先ほどまで黙っていた雪蓮が話し出す。

 

雪蓮「…一刀。貴方がこのことを黙っていた気持ちも分かるわ。でも…それでもせめて私達には話して欲しかったって言うのが正直な私の気持ちよ。言ったでしょ?私は貴方になら背中を預けてもいいとさえ思っているの。そして一刀のことが好きなのよ?好きな人に隠し事をされているなんて良い気分じゃないし、その悩みのせいで貴方が苦しんでいるならなおさらよ。少なくとも私はそんなことで貴方のこと避けたりはしないし、気持ち悪がったりはしない。一刀は一刀…それは変わらないんだから…」

そう言い終わると雪蓮は一刀に近づいてきてやさしく頬を撫ぜる。

そしてその撫ぜた手をそのまま一刀の手に重ねてしっかりと握る。

 

雪蓮「いい?もう二度とこんなことしないで。そして二度と一人で抱え込んで悩まないで…。貴方には私達がついている。…私の真名に誓って言うわ。私はたとえ貴方にどんなことがあろうとも絶対の信頼を寄せる。貴方の心が変わらない限り…ね♪」

 

その言葉で一刀は気持ちが軽くなっていくのがわかった。

思春の時もそうだったが、人に心から信頼されるというのはなんて気持ちの良いものなのだろう。

自分のすべてを分かった上で…それでも俺を信頼してくれる…。そんな人たちが自分の傍にいることがとても嬉しかった。

 

雪蓮に握られた手をじっと見ながらそんなことを考えていると、後ろからバシィと背中を叩かれた。

 

祭「かっかっかっ…。まったくお主というやつはどれだけワシを楽しませてくれるのだ?この馬鹿弟子が!たしかにワシも驚きはしたがの…でもこれであの時のことに納得が出来たわ。いいではないかその夢とやらはお主の力よ!ちょっと人とは違うかもしれんが…なに気にすることはない。どうしても気になるというのなら、酒でも飲んでればそんなこと気になくなるじゃろうて…酒飲む時はワシもつきやってやるしの♪」

 

大笑いしながら背中を叩いてくる祭さんにありがとうと声をかけようとしたところでまた声がかかる。

 

冥琳「ふっ…まぁそういうことだ。人とはちょっと違うところがあるといってそれがなんだというのだ?そんなことを言ったら、ここにいる雪蓮や穏なんかはその筆頭だぞ?私としてはその夢はうらやましいな…。ぜひその夢であったこと話してくれ。無論その時酒も付き合うぞ?」

 

穏「そうですよ~。って冥琳様?それはいくらなんでもあんまりですよ~。…まま、とにかくですね~もしこれからその夢とやらで悩むならぜひぜひ私に話してください~。あ!悩んでなくても話してくださいね~。そんな興奮…いえいえ…貴重な体験な話是非聞きたいです~。」

 

その後蓮華、明命、晴歌、絢音と次々と声を掛けられ、その言葉は”気にしなくていい”とか”うらやましい”といった言葉ばっかりだった。

特に蓮華なんかは、”一刀のばかぁ~”といいながら空いていたもう片方の手を握ってくるし…

 

とにかく嬉しかった。

 

一刀「皆…ありがとう。…皆と一緒にいられてうれしいよ!」

 

そう言うと皆顔を真っ赤にして笑う。

雪蓮なんかは”馬鹿ね…”って言って抱きついてきた。

 

うむ…体に当たる桃饅が気持ちい…じゃなくて雪蓮から香る匂いとか押し付けられている桃饅(もいい…間違っていない)の気持ちよさに顔を真っ赤にしていると、”あーーーー!!”って声を上げて引き剥がそうとしている蓮華と思春。

そして何故かちゃっかりと蓮華が離した手を抱きしめてきた穏を見て”けっしてやらしい気持ち”でなく嬉しくなった。

雪蓮「よし♪これから宴会よ!!」

 

一刀「へ?」

 

雪蓮「へ?…じゃないわよ一刀。これは多分貴方が天の御使いって証拠よ?これを祝ってなにがいけないっていうの?」

 

一刀「でも仕事…」

 

雪蓮「も~~一刀!私とお酒が飲めないって言うの?冥琳もきっと許してくれるわよ!」

 

冥琳「いや…せめて最低限仕事はして欲しいのだが…まぁいいだろう。今日は特別だ。帰ってきたばっかりで仕事というのも兵たちにかわいそうだ。今日は許そう。」

 

雪蓮・祭・穏『おおぉ~~~』

 

祭「あの冥琳が許すとは…これは明日やりでもふるのかのう…」

 

冥琳「#……それでしたら祭殿は参加しなくて結構です。」

 

祭「うそじゃ、うそじゃ。…冥琳様最高ですな!」

 

冥琳「まったくしらじらしい…」

 

雪蓮「と・に・か・く冥琳の承諾も得たことだし、飲むわよ~!!」

 

皆『わあぁぁぁ………』

 

皆から歓声が上がると準備をするためいそいそとその場から離れて行く。

一刀はというと……雪蓮に引っ張られていった。

引っ張られながらも一刀が思春の方を見るとそこには少し笑った顔で思春がこっちを見ていた。

そして口をパクパクして何かを伝えようとしていた。

 

思春(ヨカッタナ)

 

そう言っているように見えて一刀も口をパクパクして伝える。

 

一刀(アリガトウ)

 

その言葉が通じたのか…思春はコクンと頷く。

そしてうっすらと笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

その後の宴は…皆想像できるだろ?

そう最初は雪蓮の独壇場だったが、その後酔った蓮華によって前と同じような事になった。

やっぱり蓮華に酒を飲ませる時は加減をする…もしくはその場から逃げる必要があるみたいだ…。

~拠点・祭【師の教え】~

 

 

黄巾の乱が終わったあと、束の間だが平和な時間が訪れた。

だがそれは次の戦いのための準備期間であり、そのことを良く分かっていた一刀は少しでも自己を高めるために武の鍛錬に勤しむのだった。

 

一刀「フッ…ハァ…でりゃぁぁぁ…」

 

祭「ほっ…なかなかやるようになったの…。じゃがまだ甘い!!」

 

今日は珍しく祭さんと一緒に鍛錬をしていた。

今思い出せば祭さんは自分の武の師でもあったのだが、こうして一緒に鍛錬することが最近少なくなり正直…………忘れていた。

 

祭「むっ!?……フン!!」

 

先ほどまでと違い威力も速さも格段に増した剣が俺を吹き飛ばした。

自分も鍛錬用に刃引きした自分と同じ武器で防いだのだが、威力が半端なくあっけなく飛ばされてしまった。

 

一刀「ぐふぅ……いたたたた。ちょっと、なんか今の一撃さっきまでと全然違うんだけど!?」

 

祭「ん?いやすまんすまん。…なぜかワシをないがしろにしたような気がしての。」

 

どうやら、もう心の中でも失礼なことは言ってはいけなくなってしまったらしい。

 

祭「それにしても…ふむ。最初の頃に比べると格段に腕が上がったのう。」

 

一刀「そう?それは良かった。いつも皆に負けてるから、いまいち自分が強くなったなんて分からなかったから…。でももうすぐ祭さんたちにいい勝負が出来るってことだよね?」

 

祭「………それはむりじゃな。」

 

一刀「え!!…なんで?それは俺には祭さんたちみたいに武の才がないかもしれないけど、それでも鍛錬をし続ければきっと…」

 

自分だってたとえどんなに強い人と分かっていても負けるということになにも感じないわけではない。

だからこそこうして何回でも立ち向かっていき自分を鍛えてきた。すべては自分が守りたいものを守るために…

でも祭さんは言った。”…むりじゃな”…と

いくらそれが事実でも認めない…いや認めたくなかった。

だからこそ必死になってそれを否定した。

 

しかし、俺が余りに強く反発してビックリしたのだろうか…

祭さんが目を見開いて驚く。

そして何か分かったのか、声を出して笑い出した。

祭「クククッ…そうか。何をそんなに怒っていると思ったら…。違う違う、ワシはお前が思っているようなことを言っとるわけではない。それに…もしお主に武の才がないなどといえば、そこら辺におる武官達はほとんど才がないことになってしまうわ。」

 

一刀「???…ちがうの?」

 

祭「おう。ワシが言いたかったのはこのまま同じような鍛錬をし続けていてもワシらには敵わんという意味で言ったのじゃ。」

 

一刀「どういうこと?」

 

祭「ふむ、一刀よ。今までの鍛錬とはワシが教えたことをただ黙々とこなしてきた。そうじゃろ?」

 

一刀「そうだね。必ず毎日…少しの時間しか取れなくてもいいから正確にやれって言ったからやってたんだけど?」

 

祭「うむ。そのおかげでお主は基本的な剣扱い方…お主の場合はちょっと槍も入っておるかの。とにかくそういったものが意識せずともできるようになった。だが…それはあくまで基本に過ぎん。まぁ…中にはその基本が出来てないものもおるじゃろうが、少なくともワシ・策殿・思春・明命ぐらいになると基本では到底太刀打ちできんのじゃ。それに基本ということは他の者もそれを修練しとる場合が多く、相手からしたら次にどう来るか大体予測が出来る。事実お主はワシに傷ひとつつけられんかったし、他のものと仕合をしても同じじゃろ?」

 

一刀「………」

 

祭さんにそういわれ少し考えてみると、たしかにそうだった。

むしろ最初の方が相手は戸惑っていたように感じる。

鍛錬をやるにつれてそれがなくなっていくのは、自分より相手がどんどん強くなっていったからだと思っていたのだが…どうやらそれは違うらしい。

 

祭「初めて仕合した時なんかは、予測などできるわけでもないし狙いも正確ではないから相手も戸惑ったりしただろうが、今はそんなことはなく正確にその場所を狙ってくるから逆に防ぎやすいということじゃな。」

 

一刀「じゃあ…今までやった鍛錬は意味なかったって事?」

 

祭「それは違う。よいか?武にしろ智にしろ基本ができてこそ初めて次の段階に進めるというもの。逆に言えば基本がしっかり出来てないものがそれ以上いこうとするならほとんどモノにはならん。…まぁ武の才が天に愛されておるほどの者なら基本がなくても大丈夫かもしれんが、大体は無理じゃ。だからお主には最初にきっちりと基本を学んでもらったということじゃ。…たぶんお主に勉強を教えておる冥琳も同じこと言うと思うぞ?」

 

そう言われ、いつも勉強を教えてもらっている穏や冥琳のことを思い出してみる。

 

穏〈いいですか~?…あふん。兵法にし…ろぉん、制法にし…ろ…〉

 

ダメだ。穏は考えちゃいけない。どう考えてもあのクネクネした動きと、いやらしい目つき…あとたわわに育った胸しか思い出せない。

そうだ…思い出すなら冥琳だ。

冥琳〈いいか一刀?今教えているのは私達文官、軍師にとって基本だ。すべてはここから始まる。ここを疎かにしては絶対に何処かで歪みが出る。見たこともなかったり聞いたこともなかったりするものでも大体が基本を大前提としてやっているものだ。なのでここはしっかりと勉強してまず基本と言う名の決まりごとを覚えるのだ。それこそが才を生かすための近道と心得よ。〉

 

なんてことを言ってた様な気がする。

 

一刀「……たしかにそう言われるとそんなこと言ってた。」

 

祭「そうじゃろう?そして一刀よ。お主は武においては次の段階…技を覚える所まで来たということじゃ。無論これからも最低限基本的なことをし続けなくてはいけないが、これからはその上に技を覚えてもらう。」

 

一刀「技……それは祭さんが教えてくれるの?」

 

祭「それなんじゃが……」

 

そう一刀が聞くと祭さんが困ったような顔をする。

なにやらとても悩んでいるようなのだが、一刀には何を悩んでいるか分からなかった。

 

一刀「どうしたの?」

 

祭「うむ…。ワシが身につけておる技を教えるのは別にいい。もちろん氣についても教えよう。じゃが…果たしてそれが今のお主に合うかと言われると…難しいのう。」

 

一刀「へ?だって俺の武は祭さんから教えてもらったのがほとんどだよ?…それは夢の中で身につけたであろう武も入っているけど…」

 

祭「そうかもしれん。じゃがワシの武具とお主の武具は違う。つまりじゃな、ワシが出来ることでもお主には出来なかったり、逆にワシには無理でもお主ならできることもあるわけじゃな。…特にお主の武具はこの大陸では初めて見るもの。刃のついた弓などワシはしらん。だからワシの技が一刀にとって良いものかどうか判断できんのだ。」

 

一刀「じゃあ…いったいどうすればいいんだろう。」

 

祭「…簡単に言うなら自分で自分の技を編み出すと言った所なのじゃが、これはそう簡単なことではない。それに…助言も出来ないだろう。」

 

一刀「………そっか」

 

祭「そりゃ、これは使えるとか使えないとか、そういったことなら仕合いなどをして言ってはやれるがな?それ以外となると難しいのじゃよ。」

 

そう言う祭さんはとても悔しそうな顔をしていた。

多分それは弟子が困っている時に助けてやることが出来ないという思いからなのだろう。

前聞いたことがある。

祭さんは俺以外弟子をつくらないのは何故かって。そしたら笑いながらこう答えてくれた。

祭〈そうじゃな…。我武のすべてはこの国に捧げておる。言ってみれば、ここにいる武官すべてがワシの弟子になるのかも知れん。じゃがそれはあくまで武を鍛えるためであってワシの武を後世に残したいということではない。そういう意味では弟子じゃないかもしれんな。

じゃがお主は違う。初めてお主を弟子に取った時は興味本位だけじゃったが、今はワシのすべてをお主に伝えたいと思っておるよ。きっとお主は未来の呉を支える良い将になるじゃろう…じゃがその時ワシはおらんかもしれん。だからこそお主だけにはワシのすべてを教え込む。ワシの教えが少しでもお主の助けになれば良いと思っての。……まぁ子ができたらわからんが、それまではお主が最初で最後のワシの弟子で、ワシが愛するだた一人の男よ。…いや馬鹿息子かのう?かっかっかっ……〉

 

それを聞いた時正直泣きそうだった。

だけどそれを見られたくなくて必死になって泣くのを我慢して笑ってた。

きっとその時からなんだろう…俺が必死になって武を鍛錬し始めたのは…。

 

一刀「…祭さん。今祭さんが身につけている技。全部教えてよ。」

 

祭「む?それは別にかまわんが…無駄になるかも知れんぞ?」

 

一刀「無駄なんかじゃないよ。…というか絶対無駄にしない。俺の武は祭さんの武。そのすべてを自分の血肉にして、そこから新しい俺だけの技をつくってやる!!」

 

そう言うと祭さんは、最初驚いた顔をしたがすぐにニッコリと笑いそして一刀の背中を叩くと豪快に笑い出した。

 

祭「わっはっはっはっ…。ようぬかしたわこの馬鹿弟子が!!よかろう…その心意気買った!ワシの技すべてを教え込んでやる。もう泣き言は言わせんぞ?今の言葉しっかりと覚えたからのう。ついて来い。技を覚えるための鍛錬は厳しいぞ?」

 

そう言って背を向けて歩き出す。一刀もそれに続いて歩き出す。

 

祭「まったく…。泣かせること言うではないか。お主を好きになって本当に良かった。…一刀に逢えた事天に感謝するぞ。」

 

途中祭さんがぼそっと何かを言っていた様な気がするが、残念ながらそれは聞こえなかった。

しかもちょっと泣いているような気がしたし…

 

一刀「ん?祭さん何か言った?」

 

祭「!!//////なんでもないわい!それよりもこの後何か用事なんかはあるか?」

 

一刀「今日はもう特にはないよ。やるべきことはすべてやった後だから…」

 

祭「そうか♪なら寝るまで時間があるのう…みっちりしごいてやる!!」

 

一刀「ははは…お手柔らかに…。」

 

祭「無理じゃ♪」

 

すごく楽しそうな顔をしてそう返されると、はっきり言って逃げたしたくなった。

これまで祭さんの弟子としていろんな鍛錬を受けてきたが、こんな嬉しそうな顔をする時は決まってキツイのだ。

一刀「あ!そういえば冥琳に呼ばれてた様な…」

 

祭「そんなの無視すればよい。…というかそれは嘘じゃろ?逃がさんぞ!」

 

その場から逃げ出そうとすると、襟をつかまれそのまま引きずられる。

どうやらもう回避することは出来ないみたいだ。

 

一刀「ちょ…お願いだから手加減というものを…」

 

祭「ん~~?聞こえんなぁ~♪」

 

一刀(まずい…。ついさっき覚悟を決めたはずなのにもうやめたくなってきた…)

 

そう心の中で呟いても祭さんには伝わらない。

…というか知らないフリでもしているのだろう。

その顔は本当に楽しそうに…そしてその喜びを体で表すかのごとく一刀を掴んでない腕の方をブンブンとまわしていた。

なにやら鼻歌まで聞こえる…

 

祭「楽しみだのう♪まず何から教え込むか…」

 

こうして俺の技の鍛錬は始まった。

その鍛錬は………正直今までは準備運動でしたといわないばかりの厳しさで、一日にして一刀はぼろぼろになった。

それでも俺は歯を食いしばって鍛錬を続ける。

ただ一人の弟子と言われた祭さんの期待に応えるためにも…

そして自分を慕ってくれている人達を守るためにも…

 

今日も一刀は技の鍛錬という名の地獄へ身を投じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

祭「ほう…。まだまだ余裕があるみたいじゃな。どれ…もう少し鍛錬の量を増やしてみるか…」

 

一刀「ちょ!!無理だって…・。」

 

祭「嫌じゃ♪ワシの弟子ならそれぐらい耐えてみせい!!」

 

一刀「た……たすけてぇぇぇぇぇぇ………」

~拠点・冥琳【予感】~

 

冥琳「ふむ…。この案件もそろそろ一刀に任せても良い頃だろう。まぁ…少なくとも雪蓮よりは全然ましだしな。」

 

そう言って机の上にある書間をわけて行く。

一刀が天の御使い…少なくとも私が知りえない知識を得ることが出来る貴重な人と分かってから数日がたった。

あの後宴会があり詳しく聞けなかったが、次の日から暇な時を見つけては一刀にその話を詳しく聞きその知識を呉のために…そして一刀の本当の智として活用できるように導いてきた。

 

冥琳「それにしても…ふふっまさかあの時の予感が当たるとはな…。私の勘とやらもあてになるのかもしれんな…」

 

そう言って普段なら絶対に思わないことを口にする。

それほど、私は歓喜に満ちていた。

 

それは私の知りえない知識を持った人が傍にいて、しかもその知識を惜しげもなく教えてくれるということ。

 

これは軍師として…いや一人の文官としての探究心を満たして、それでもなお私を楽しませてくれるすばらしい人物。軍師や文官という人種からしたらこれはとても嬉しかった。

 

そして…

 

その人物が私が弟子として取った二人目の人物。

傍にいるだけで心が休まり、いつまでも一緒にいたいと思わせてくれる人

初めてこの私が、この人の子供をつくりたいと思った人

 

一刀という事に先ほど以上の幸せを感じるのだった。

 

冥琳「しかし…私ばかり喜んでいても仕方がない。問題は一刀の心だな…」

 

そう私…いや私達は嬉しいかもしれないが、実際にそんな夢を見ている一刀のことを考えると先ほどまで浮かれていた心が一気に静まる。

 

一刀は…たぶんだれよりも強き心をもっている。

 

そんなこと分かってはいるのだが…それでも心配してしまうのは当然だろう。

急に変な夢を見るようになって、それがただの夢ならばよかったがその知識や体験を知らない間にもっているという事は、実際に経験してないので正直わからないが、想像するにとても怖いことだと思う。

少なくとも私は他の人のことを考えることができなくなってしまうだろう…

 

だが、そんな状況でも一刀はその気持ちを隠し私達のことを考えてくれた。

きっと事情を話せなかったのも、自分から皆が離れて行くかもしれないという怖さもあったと思うが、私達に心配かけたくないというのと、もしかしたらそれが原因で迷惑を掛けてしまうかもしれないという気持ちがあったのかもしれない。

だとしたら………一刀は馬鹿だ。

 

そんなことをすればするほど、私達はお前に気を掛けてしまうということが分からないのだろうか?

 

そして一刀は……鈍感だ。

 

女心に対して凄い鈍感だと思う。

だからこそ…女としての私は一刀を支えてあげたいという気持ちになっているのだが…。

 

冥琳「って何を考えているのだ私は…//////。それは事実だが、今はそんなことを考えている場合ではないだろ?しっかりしろ周公謹よ。」

 

思わず心の言葉に突っ込みを入れてみたものの…その気持ちは治まらず。ついには顔が真っ赤に染まり熱を持った。

その熱を冷ますようにお茶を飲んで、気持ちを落ち着かせる。

 

冥琳「ふう…。多分部屋に篭りきりだからこんなこと考えてしまうのだな。…よし。丁度今北郷隊が調練をやっている頃だから、それを見に行くとするか。前から言っていたように一度見てみたいと思っていたことだしな。」

 

誰に言っているのか分からないが、そう呟くと部屋を出て北郷隊が調練しているだろう調練場へと足を運ぶのだった。

 

 

 

晴歌「おら虎砲隊!!ちゃんと陣形を組め!!前の戦いではそれでよかったかもしれないけど、それじゃあ他の国…曹操達の連中と戦った時簡単に突破されるぞ!!」

 

絢音「そうです!それと虎爪隊・虎牙隊も同じです。そんなんで一刀様を守れると思っているんですか!?あの曹操は一刀様を欲しているんですよ?もし力ずくとなったら守るのは私達なんですからね!!」

 

オオオオオオォォォォォ………

 

調練場についてまず一番に驚いたのは兵たちの士気の高さだった。

普通なら戦いも終わり、兵たちも気が抜けたりして士気などは落ちるのだが…どうやら北郷隊だけは違うらしい。

 

むしろ戦っていた時よりも士気が高いのではないだろうか?

 

そんなことを思ってしまう。

つまりそれほど一刀のことを信頼し、守りたいと思ってくれているのだろう。

私は自分のことではないのにその事実が嬉しかった。

 

一刀「……よし!皆ちょっと聞いてくれ!」

 

一人黙ってその光景を見ていた一刀が皆に声を掛けると、先ほどまで騒がしかった調練場が一気に静まり、皆一斉に一刀の声が届くように近くに寄ってくる。

そしてその目は真剣そのもの。

一字一句でも聞き逃さないように一刀を見ていた。

これだけでも北郷隊の連携と絆の凄まじさが分かるというものだ。

一刀「まず皆ご苦労様。前調練した時よりも格段に動きが良くなってる。うぬぼれかも知れないけど、俺のためにやってくれているのであれば、とても嬉しい。ありがとう」

 

そう一刀が言って頭を下げると、皆ニヤニヤして嬉しそうな顔をする。

 

兵士「なに言っているんですかい!北郷様を守ることが俺達の仕事!あたりまえのことをしているだけですよ。」

 

兵士「そうですよ。皆北郷様を守るためなら、どんなこともしますよ!」

 

兵士の誰かがそう言うと皆そろって”そうだ、そうだ”と肯定の声を上げる。

それを見て嬉しくなったのか顔をちょっと赤くしながら一刀が話す。

 

一刀「お前ら…。だけど一つ守って欲しい。たしかに俺のことを守ってくれるのはうれしいが、俺もそこまで弱いわけじゃないから無理をするな。ここにいるお前たち誰が欠けても俺は悲しい。だからなにより自分のために頑張ってくれ。簡単に命を捨てるな!!生きて…どんな形でも生き延びてこそ初めて俺達の…北郷隊の勝利になるんだからな!!」

 

兵士『おう!!』

 

軍師の私としてはいろいろ言いたいこともあるが、これこそが北郷隊の強さなのだろうと思う。

互いに身を案じて信頼しているからこそ、初戦でもあそこまでの戦果を出すことが出来たのだ。

本当に将として一刀は有能だ…

 

一刀「んで。話は替わるけど、これより新しい戦い方を訓練しようと思う。今までとは違うからいろいろやりにくいところがあったり、不満もでてくるだろう。だから一通り終わったらそれを俺達に教えてくれ。変えた方がいいと思うところは変えていくから。それじゃあ…各々自分の隊で集まり説明を受けてくれ。そのまま少し休憩を挟んだ後、訓練を始める。それまでに傷の手当てとか、相談したいことをしておくように。……それでは解散!!」

 

一刀がそう言うと皆自分たちの隊で集まり、そこに晴歌と絢音が行き説明をしていく。

説明を受けていない隊は言われた通り傷の手当てとか、相談…あと注意をしているみたいだ。

 

冥琳(なるほど…。他の隊では見られない光景だな。本来兵などの不満などはほとんど考えず、自分が思っている通り動くように調練するのが普通だが、一刀たちは兵たちの視点からでた意見を聞き、兵たちが動きやすく…そして目標に近づけていくというやり方か…。これなら短期間でも上場の成果が期待できるな。隊の中でもさらに部隊を分けているからどんな調練をしているかと思ったら……これはおもしろい。)

 

そんなことを思っていると、指示し終わった一刀がこっちに気付き近づいてきた。

一刀「あれ?冥琳、来てたのか。どうせなら声掛けてくれればいいのに…」

 

冥琳「いや。お前たちの邪魔をするわけにもいかんからな。それよりもなかなか面白い調練の仕方をしているな」

 

一刀「そう?まぁ…そうかもしれないね。いくら俺達が考えたって実際に行動するのは兵たちだからやっぱりその場で起こる問題点ってのはあるだろ?それは無視できないよ。まぁもちろんそんなことないように指示するのが将としての役割だろうけど、まだそこまでできていないからね。だったら皆からそれを教えてもらった方がいいと思ったんだ。」

 

冥琳「その考え方はいいと思うぞ?それにいくら私や祭殿みたいに兵を指揮するのを慣れているものだとしてもすべてを完璧にこなせるわけではない。兵たちの思ったことを聞くのはいい考えだと思う。だが…あまりそれを聞きすぎてもいけないけどな」

 

一刀「それはちゃんと分かってるよ。あくまで目指すのは自分たちが考えたものであってそれにそぐわないようならそれは聞けない。ちょっと無理をしてもらってでもやってもらっているよ。」

 

冥琳「そうか…。それなら良いのだがな。」

 

そう言って私は少し考え込む。

実は先ほど一刀が言っていたことも正解なのだが、もう一つ心配することがある。

それは規律だ。

兵を思い通りに動かすために私達は命令をする。しかし、一刀のように部下から意見を聞きすぎてしまうと、とっさの時に私達の命令を無視してしまうことも考えられる。”自分が考えていることの方が正しい”と思ってしまったらもう駄目だろう。

まぁ…この隊を見ている限り一刀に絶対の信頼を寄せているからそういったことは起こらないだろうが、多分他の隊では無理だ。

まさに一刀の存在があってこそ出来る調練法と言える。

 

そんなことを考えていると、一刀が話しかけてきた。

 

一刀「それで?今日は何しに来たの?」

 

冥琳「…ん?あぁ…今日は前も言っていた通り北郷隊の調練を見せてもらいにな。そうだ…先ほど言っていた新しい戦い方とは一体どういうものなのだ?」

 

一刀「あぁ…。それはね……」

 

先ほどから気になっていたことを言うと、一刀は自分たちが考えた戦い方を説明してくれた。

それを聞いて私は驚く。

そしてすぐさま、もしその戦いが出来たならどう使うか頭の中で考える。

 

冥琳「ふむ。なるほど…。たしかに今までとは違った戦い方だがそれはうまくいくのか?」

 

一刀「そうだね…。その時次第だと思うよ?この方法は普段の戦いじゃ使わないかもしれないけど、絶対この後役に立つと思う。相手が攻めて来たりした時は特に…ね♪」

 

冥琳「たしかにな…。よし!私もその調練見ていていいか?」

 

一刀「もちろんいいけど…。仕事は?」

冥琳「なに…大体は終わらせてある。それにこれを使うとしたら私のウデしだいだろ?」

 

一刀「ははっ…たしかに。…では軍師様のお眼鏡に叶う様に頑張りますか。…皆ーーそろそろ始めるぞーー!!!」

 

そう言うと先ほどまで気を抜いていた兵たちが一斉に立ち上がり指定された場所へ駆け足で移動する。

その姿を見て私はまた新たな予感がした。

 

冥琳(やはりな…。先ほどの戦い方といい、兵たちの統制といい。これがまだ将になって少ししかたってないものとは到底考えられん。まさに逸材か…。たとえ夢の中の知識が無かったとしても一刀は呉にとってとても必要な存在だと改めて分かるな。もしこのまま教え続けていればきっと……)

 

 

そう…きっと私の後を継ぎ、私をも超えるような存在になるだろう。

 

 

そう考えたとたん、私は顔がにやけるのが分かった。

多分うれしいのだろう…私の後を継ぐものが一刀だということが…

穏にはすまないが、私はそうなって欲しいと思う…いやそうしたい!!

 

冥琳「母上…貴方が私に大都督を譲るだろうと分かった時もこんな気持ちだったのでしょうか…」

 

そう空を見上げて呟く。

返事は返ってこないのは分かっているが、なぜか母親が微笑んでくれたような気がした。

 

冥琳「さて…これから忙しくなるな。」

 

そう言いながら一刀たちが調練している姿を見守る。

一刀が声を張り上げて指示する姿が、未来に大都督としてもっと大勢の前で指示する一刀の姿とだぶって見えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兵士「あれ?北郷様!?先ほど教えてもらった指示と違うんですけど……」

 

一刀「え!!……あ…あははは…ごめん。間違えた…」

 

冥琳「はぁ~…先は永そうだな……」

 

作品紹介の所では挨拶できなくてすみません。秋華です。

 

思春「さっきも挨拶したがあらためて…思春だ。」

 

え~まずは皆様にお礼を…

 

このたびなんと王冠を貰うことが出来ました。

これも皆様が私の作品を面白いと思って支援してくれたおかげです。

ありがとうございます!!

これからも皆様からの応援に答えるべく日々精進していきますのでよろしくお願いします。

 

ほら…思春も何か言いなさい!!

 

思春「……あ、ありがとう。私が主役の作品でこうして王冠が貰えた事はとてもうれしい/////こ…これからもよろしくたのむ。/////」

 

顔真っ赤にして…カ~ワ~イ~イ~♪

 

思春「///////いいからさっさと次に行け!!」

 

はいはい。

 

それでは今回の話に行きたいと思いますが、いかがだったでしょう?

 

思春「後半の拠点はいいとしても…前半の話はかなり急じゃないか?」

 

あ~たしかにそうかもしれません。

 

思春「だったらなぜその説明みたいなことを入れなかったんだ?」

 

あ!それはですね。いろいろ考えたんですがどうせ雪蓮の拠点でもそれに深くかかわってくるのでその時に一緒に書こうと思っています。

 

思春「ふむ。…しかしそれならばまず雪蓮様の拠点を書くべきではないのか?」

 

それがですね…結構いい話…と言うか、じっくり書きたいと思ったので今回はやめにしました。

じっくり書くとどうしても文字数が増えてしまうので…

 

思春「なるほど。…つまりは最後に書くと言うことになるのか?」

 

そうですね。

この拠点編の最後に書きたいと思っていますので、詳しくはその時までお待ちください。

 

思春「だ…そうなので、すまないがそれまで待っていてくれ。」

 

それでは次回なのですが…

 

またまた拠点となります。

次は誰でしょうか?

それは………秘密です。

 

思春「この次回予告は意味あるのか?」

 

あ…あははは………無いですね。

 

思春「はぁ……もうすこし考えろ!!」

 

すみません。

では気を取り直しまして…今日の思春ちゃんいってみようー!!!

今回は……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだまだ続くぜ!!ニヤニヤ思春(貴方が欲しい…ばーじょん!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思春「まだあんな恥かしい真似をやれと言うのか!?」

 

当たり前です。私の煩悩が続く限りやりましょう!!

 

思春「……もう何を言っても無駄のようだ…どうせ後から殺るのだから従おう」

 

なにやら恐ろしいことを言われましたが、気にしない方向で…

それではまた次回お会いしましょう!!あでゅーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思春「……ま、前お前子供いいな…って言ってただろ?//////じ…実はあれから私も考えたんだが…そ…その…////////わ…私も子供が欲しくなったんだ。だから……だから……ん~~~~/////わ…私と……い…言わなくてもここまで言えば…わ…分かるだろ?…え?言って欲しいって…//////ば…ばかぁ…恥かしい/////……そ…その…今夜は一緒に抱きしめあって寝よ?」

 

ふう…危ない。マイPCが真っ赤になりそうだったZE☆

 

思春「………何を言っている。そんな心配しなくてもすぐに赤くなるさ……お前の血でな!!」

 

な!!…殺気。しまっ…………なんてね♪。

 

ふう…危なかった身代わりを用意しておいてよかった。

 

思春(チィ……次こそは真っ赤な華を咲かせてやる!!)

 

 


 
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