No.174996

『舞い踊る季節の中で』 第84話

うたまるさん

『真・恋姫無双』明命√の二次創作のSSです。

 奴隷墜ちようと、その先が一刀の場所なら、それは決して嘆くべき事ではないかもしれない。
優しく温かな家族を得た美羽に変化の兆しが現れる。 だけど、それは美羽が自らの足で歩み始めた証。
 そんな美羽を見て、雪蓮は立ち止まっている訳には行かないと決断をする。

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2010-09-27 12:56:04 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:14812   閲覧ユーザー数:10086

真・恋姫無双 二次創作小説 明命√

『 舞い踊る季節の中で 』 -群雄割拠編-

   第84話 ~ 舞い積る想いに、惑う魂達は決断をする ~

 

 

(はじめに)

 キャラ崩壊や、セリフ間違いや、設定の違い、誤字脱字があると思いますが、温かい目で読んで下さると助

 かります。

 この話の一刀はチート性能です。 オリキャラがあります。 どうぞよろしくお願いします。

 

北郷一刀:

     姓 :北郷    名 :一刀   字 :なし    真名:なし(敢えて言うなら"一刀")

     武器:鉄扇(二つの鉄扇には、それぞれ"虚空"、"無風"と書かれている) & 普通の扇

       :鋼線(特殊繊維製)と対刃手袋

     得意:家事全般、舞踊(裏舞踊含む)、意匠を凝らした服の制作、天使の微笑み(本人は無自覚)

        気配り(乙女心以外)、超鈍感(乙女心に対してのみ)

        神の手のマッサージ(若い女性は危険です)、メイクアップアーティスト並みの化粧技術、

  (今後順次公開)

  最近の悩み:

         明命に翡翠、俺は二人の事が好きだし、此れからも愛し続けたいと思っている。これ

        からもそれは変わる事は無いだろう。 二人も俺の事を愛してくれているのは分かるし、

        その事自体はとても嬉しい。 まぁぶっちゃけて言えば、二人の身体にも夢中にもなっ

        いる。 やや幼さの残る明命、背徳感が湧く幼さそのものの翡翠。 吸い付くような肌

        も、甘い香りも、そして可愛く艶のある嬌声も、全てが俺を虜にさせる。

         此れは、まぁ問題が無いわけじゃないが俺も男だし、それだけ二人が魅力的なのも事

        実だから仕方ない事。 問題は翡翠の知識だ。 幾らあんな本を愛読していると言って

        も、あれは凄すぎる。 その上素直で一生懸命な明命を巻き込むから、明命まで妙な知

        識を活かし始める。 まぁ元々密偵でそう言う場面も出くわした事もあるらしく。 羞

        恥心さえ克服すればそう言う事に戸惑いが無いらしい。その羞恥心も『一刀さんが気持

        ち良くなってくれるなら問題ありません』と、紅玉のような赤い瞳を揺らしながら、嬉

        しい事を言って来てくれる。

         そのおかげで彼女達が攻勢に出ると、俺は彼女達のなすが儘にされてしまう。 まぁ

        それでも俺が攻勢に出ると立場は逆転し、二人を心行くまで可愛がれるのだが、回数を

        重ねる都度に良くなっていく彼女達の身体に、俺は逆に二人に染められていくような気

        がしてしかたがない。

         その上、何時か二人を怒らせた時等は、後ろ手に縛られ快楽と言う名の苦痛の果てに、

        腰が抜けるほど絞り出された。だと言うのにその次の夜には逆に二人の腰が抜けるまで

        求めてしまった。

         でもそんな二人と言うか、翡翠は何か無理しているような気がする。 いったい何が

        彼女を追い詰めているのだろうか?

        

 

明命視点:

 

 

しゅっ

 

 朝の新鮮な空気を斬り裂きながら、剣が私身体の後着いてくるように、螺旋を描きながら刃は一刀さんに襲い掛かります。

 ですがこの一撃は、一刀さんなら躱せて当然のものです。 ですから私は続く手刀で、更に蹴撃を繋げる事で、……私の方が速く動ける事を活かして、攻撃の数でもって一刀さんの次の行動を限定させます。

 一刀さんに教わった捨力が、力の収束させるための体術が、私を更に速く動かします。 もっとも一撃そのもので言えば以前と大して変わりません。 ですが連続した動きで見れば、その差は歴然です。

 私の速さを活かした多方向からの攻撃の雨。……でもそんな雨すらも。

 

がっ

 

 私の虚実を混ぜた多くの手が伸びきる前に。

 一刀さんの体当たり気味の一打が、私の動き全てが止められてしまいます。

 

「…けほっ」

 

 手加減された一撃に小さく咳き込む私に、

 

「次の一手の事を考え過ぎだよ。 後の事を考え過ぎた一撃なんて、いくら速くてもなんの怖さもない」

 

 そう何でも無い事のように言ってきます。ですがあの速度で、刃を交えたあの手数の中を、何の躊躇もなく踏み込み、一打で相手の動きを止めるなんて、思いきりが良い行動が出来るのは、一刀さんくらいだと思います。 ですが、そんな考えは甘えでしかありません。

 

「でも流石は明命。 さっきの動きが出来るなら、あの課題の第二段階も終わりが近いね。

 正直、あの速さには冷や汗ものだよ。 俺に一撃入れれる様になる日も近いかもしれないね」

 

 一刀さんは私に自信を付けさせようと、笑顔でそう言ってきます。 下手をすれば死んでしまうかも知れないような事を笑顔で言ってきます。

 でも、一刀さんに届く日は近いと言ってくれますが、それは嘘です。 一刀さんが本当に本気で戦ったら、私達では手が届かない。 そんな絶対的な壁が何かあるような気がします。 そして、それを絶対させてはいけない。 そんな気もします。 ……何故かは分かりません。 只そんな気がするだけです。

 

 そんな事を思っていると、今朝の鍛錬はこれで終わりなのでしょうか、一刀さんは鉄扇を収め、屋敷の方に目を向けます。

 そして其処には、先に鍛錬を終えていた美羽と七乃の二人が、自分達の部屋から一組だけ布団を持ち出して外に干し始めます。

 確か先日布団を干したばかりの筈なのに何故?

 ……まさかおね・いいえ、確か袁術はあんな小さな身体でも成人の儀を迎えた女性の筈ですから、きっと何時もの調子で水か何かを零したのでしょう。 そう一瞬浮かんだ考えを否定していると、干し終えた二人が戻ってきたので、一応確認のために尋ねてみたのですが……。

 

「な・何でも無いのじゃっ、ただ今日も天気が良いので干しただけなのじゃ」

 

 袁術の過剰な反応に、私は心の中で汗をかきながら。

 

「…………まさかその齢で、本当におね・」

「ち・違うのじゃっ! そんな事しないのじゃ!」

 

 と、ムキになって否定してきます。その上美羽の顔は羞恥心で真っ赤です。

 ……何か頭が痛くなってきました。 そう心の中で、袁術の今までで最大の失態に嘆息していると、

 

「あっ、本当にそう言うのじゃないですから。

 幾ら美羽様でも、この年でおねしょなんて・・・・・・しませんよぉ」

「そ・そうじゃ、幾らなんでも失礼なのじゃ。 と言うか七乃、何故最期に間を空けるのじゃ!」

 

 七乃が美羽の名誉の危機に、そう言ってきます。

 そうですよね、さすがにそれは無いですよね。 なら、やはり水か何かを零したのでしょう。

 そう私の中で結論づけた時、

 

 

 

 

「美羽様の初めての血が、お布団についてしまいまして、汚れたままにして置く訳には行きませんので干させていただきました」

「な゛っ」

「美羽様がご主人様のおかげで、大人の階段を駆け上がった証と思えば微笑ましいかぎりです」

「まてっ! その言い方は・」

 

 七乃の言葉に一刀さんは、慌てた声を出しますが、今は確認が先です。

 私は一刀さんの声を無視して、二人が干した布団の処に駆け寄り確認をします。

 ……成程、確かに血の跡を洗った後があります。場所的にも七乃の言葉が真実なのは疑いようがありません。

 

「ふっ、……ふふふふふふっ」

 

私がゆらりゆらりと、ゆっくりと一刀さんに歩み寄っていくと、

 

「明命、ご・誤解だからっ。 無実・無実と言うか冤罪・だから落ち着いて話を・」

 

 一刀さんが、みっともなく言い訳を始めます。

 あれだけ確かな物的証拠、そして羞恥心で顔を赤く染めて恥ずかしがる美羽、そして七乃の証言。 これだけ証拠が揃っていて、一刀さんは、みっともなく言い訳するのですか?

 一刀さんの奴隷である二人に手を出すのは、百歩譲って認めない訳ではありません。 ですが、それを誤魔化そうだなんて………一刀さんが、そう言う人だとは知りませんでした。

 それに、私や翡翠様が、あれだけ迫っても気が付かなかったくせに、自分からはあっさり他の女に手を出すとは……私達があれだけ一刀さんに愛情を注いでいるというのに……、これは少し一刀さんを甘やかしすぎたかも知れません。

 

「七乃ぉ~、怖いのじゃ、何とかしてたもれ」

「あらら、少し遣り過ぎちゃいましたか」

「えっ?」

 

 私の中で悔しさと嫉妬と憎悪が渦巻く中、そんな二人の声が聞こえてきました。

 ……やりすぎ? と言う事は、

 私は、少し冷静になって、七乃を睨み付けると、

 

「御主人様の前では何ですので、少し耳を貸して下さいね」

 

 そう一刀さんを見て、七乃は私の耳元まで来て真実を話してくれます。

 

「………と、言う訳です」

「そうですか、あの齢で今まで月のモノが無かった事には驚きですが、そう言う事もあるかもしれません。

 ですが、一刀さんのおかげと言うのは、言い過ぎではありませんか?」

「いえいえ、それも嘘ではありませんよ。

 美羽様の止まっていた時間が動き出したのは、間違いなく御主人様のおかげです。

 御主人様の優しい心と配慮が、美羽様の心の傷を癒やしたのだと思います」

 

 自信気に、そして優しい瞳と顔で、だけど何処か寂しげな顔で言います。

 

 

 

 

 美羽の止まっていた時間が動き出した事。 それは二人が一刀さんに心を許している証なのかもしれません。

 ですが……。

 

「……楽しいですか?」

 

 私は答えが分かっていてそう聞いてしまいます。 そして案の定私の呆れた声の質問に、七乃は何か問題があるのですか? と言わんばかりの楽しげに笑顔を浮かべ。

 

「美羽様の色々な表情や、成長を見られるのは楽しいですよぉ~。

 それに御主人様の慌てる姿も可愛くありませんか?」

 

 とあまりにも呆気らかんに言い切る姿に、私は毒気を抜かれてしまい。 深い溜息を吐きます。

 そして其処へ再び小声で、

 

「大丈夫ですよ。 御主人様に手は出しません。 ま・だ・ですけどね」

 

ぴくっ

 

 私は七乃の突然の突然言葉に、反応するように顔を上げた所に、七乃は更に、

 

「知ってます? 今ご主人様が、この屋敷で一番誰と長くいるか?」

 

 七乃は、私では決して出せない艶のある笑みで、その瑞々しい唇に指を当てながら、均整の取れた女性らしい体を見せつけるように、私に宣戦布告してきます。

 そんな七乃の言葉に、私は『一刀さんは渡しませんっ』そう言い返そうとするより先に、七乃は唇に指を当てたまま。

 

「でも安心して下さい。 盗ったりはしませんから」

 

 そう先程までの妖艶な雰囲気とは一変して、爽やかな笑みで見守るように微笑み。 そして……。

 

「私達みたいな人ばかりとは限りませんから、しっかりと捕まえておいて下さいね。 これ以上増えるのは私達にとっても面白くない事ですから」

 

 その言葉に、七乃は一刀さんの周りに増えている女性達の事を、からかいがてらに私に警告したようです。

 私に忠告するような事を言いつつ、宣戦布告じみた言葉を言う。 ……どっちが七乃の本音なのでしょうか? そう判断をあぐねていると

 

「どっちの私が本当の私でしょうね?」

 

 今度は、今のは冗談ですよと言わんばかりに、くすくす楽しげに悪戯っぽく笑いながら言ってきます。

 そんな七乃の態度に、この人はどんな事でも自分達が楽しむ事を忘れないのだと改めて思いました。 でも彼女が言いたい事は分かりました。 どちらが彼女の本心だろうと構いません。 私達が一刀さんの心をしっかりと掴んでいれば良いだけです。

 

 

 

雪蓮視点:

 

 

「で、美羽の布団に付いた血の意味に察しがついて、赤飯を作って祝おうなんて言ったの?

 馬鹿ねぇ、そんな事本人の前で言えば、美羽だって羞恥心のあまり蹴るぐらいするわよ」

 

 私は一刀の話に呆れながら、一刀の無神経さを叱って上げる。

 美羽だって年頃の女の娘なんだから、そんな事を男の人に、ましてや一刀に言われたら、恥ずかしくて頭の中がごちゃごちゃになって当然よ。

 

「そう言う時はとりあえず黙っておいて、七乃か翡翠辺りに話をして準備してもらうって、普通考えつかない?」

「それ、その後翡翠に言われた。お説教付きで……」

「まぁ、それが原因で朝議に遅れたってのは分かったけど、少しは反省なさいよね」

 

 私の言葉に一刀は素直に頷き、失敗したと呟きながら軽い自己嫌悪に陥る。

 本当、あれだけ色々な事が気が付くくせに、こう言う事だけは不思議なくらい朴念仁なのよね。

 端で見ている分には面白いけど、当事者になってみると、何で分かってくれないのかと怒れてきてしまう。

 しかも其処にあるのは純粋な善意だけに性質が悪いわ。本気で怒れないもの。

 呆れ半分、怒り半分で一刀の事を溜息交じりに考えた後。 今度はあの娘、美羽の事が頭に浮かぶ。

 

 美羽は袁家の老人達から、……いいえ、復讐と言う楔から解き放たれたから、再び成長が始まったのか? それとも……ううん、きっと両方ね。 あんな事があった後、あれだけ一刀の傍にいて想わずにいられ無いわけが無いもの。

 

 あの娘はあの娘で、自分なりに自分の足で歩もうとしている。 相変わらず七乃と一緒だけど、それがあの二人の在り方なら、それはそれで仕方ない事。

 先日の一刀の作った"胸ぱっと"とか言うのもそう、あの娘達は翡翠の力添えがあったとはいえ、用意された道に甘える事無く、自分の手でも道を切り開こうとしているわ。

 あんな胸を重くするだけの物と思いはするけど、それを気にする娘が居るのは事実。 大した効果は無いでしょうけど、それで少しだけ自信を持てる娘達が出るのなら、それは確かに一歩、前に進んだ事には違いないわ。

 なら、私もいつまでも立ち止まっている訳には行かないわね。 だからその為に……。

 

「ねぇ一刀。 これからちょっと付き合いなさい」

「何だよ行きなり・・・…は何時もの事だけど、でも駄目だ。 これから例の製塩所の実験結果の報告と打ち合わせがあるんだから外せないよ。 孫策だって冥琳から出ろと言われてただろ」

 

 一刀の言う事はもっともな事、ましてや天の国の技術を多く使用している上、塩は国の一大事にもなりかねないもの。 だけど、

 

「そんなの気にしないで黙って付き合いなさい。 それよりも大切な事なんだから、言っておくけど、これ王命だから」

「あのなぁ……はぁ~・・・無駄か。 言っとくけど王命じゃなくて、孫策の頼みを聞くんだからなっ」

「うんうん、素直でよろしい」

 

 私の言葉に一刀は顔に手を当てながら、盛大に溜息を吐いてくれる。

 でも、なんやかんやと言って、一刀はこうして私に付き合ってくれるのよね。

 私はそんな一刀にを黙ってついてきなさいと言って足を進める。 母様の眠るあの地に……。

 

 

 

華琳視点:

 

 

 慌ただしく兵士達が駆け回る中、聞きなれた稟の声が私に耳に入る。

 

「華琳様。 兵の出立準備、整いました」

「ご苦労様。 では四半刻後には、この陣を引き払う事にしましょう」

「御意。……」

 

 私の命の後も、稟は私の顔を伺っている。 何も口にせずに私が口にするのを待っている。

 稟の言いたい事は分かるわ。 そしてだからこそ稟の方から言い出す訳には行かない事もね。

 

「……まだ不満があるようね」

「は……今、この時期に孫策に戦いを仕掛ける意義が、私には分からないのです。

 北方には袁紹の勢力がある以上、今は軍備の増強に専念すべきでは?」

 

 私の許しが出た事で、稟はその考えを私にぶつけてくる。

 確かに袁紹は北方で勢力を伸ばし、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長をしている。 ……だけど幾ら勢力を誇った所で、所詮は袁家は袁家よ。 麗羽があの老人どもを完全に黙らせたならば脅威だけど、鎖に繋がれた龍など幾らその存在が巨大であっても、恐怖を覚えはしても本当の脅威にはなりえないわ。

 問題は、

 

「麗羽はまだ動けないから後に回しても大過は無いわ。 でも孫策達はどうかしら? 彼女は独立を果たして以降、瞬く間に揚州を制圧……と言っても殆どが自ら進んで孫策に降ったと言うわ。 まさに天の時を得ているかのようにね」

「成程、今は袁紹より孫策を叩いた方が、後顧の禍根を断つだけでなく、その天の時を華琳様の物にする事が出来るとお考えですか」

「そう受け取って貰っても構わないわ」

 

 麗羽と戦うだけなら今のままでも勝つ自信はあるわ。 でも私の覇道はそんな所で終わりじゃない。 その後に大陸を制覇するために、麗羽程度で力を使い果たす訳には行かない。

 孫策は愚物な権力者じゃない。 野盗に怯え、腐敗した官に泣く民を愁い。 民の平穏を願う本物の英傑。

 なら此方の力を見せてやり、自分にその力がない事を知らしめた上で、私に降らせる事が出来れば、孫策は民の為にその力を貸すはずよ。

 むろん力を得るだけなら、劉備という選択しもあるわ。 だけどあいにく今の情勢で劉備を攻めれば麗羽を刺激する事になりかねない。 涼州の馬騰も別の理由で今攻め入るわけには行かない。

 

「はっ……。華琳様がそう言うお考えであるのならば、その事自体には問題はありません。 しかし……」

「兵の質の事は報告でも読んだわ。 ……でも私達に彼等を鍛えるだけの人手もも時間も無い。 ならば実戦で訓練をするだけの事よ。 相手が英雄孫策であれば、生き残った兵ならば、良き兵になってくれるでしょう」

 

 私の言葉に、稟は被害が大きくなる事を懸念して来るけど、それは覚悟の上の事。 生き残る事も出来ない兵が居ては、それに足を引っ張られ全軍の力が衰えてしまう。

 麗羽との決戦は汜水関の時とは比べ物にならないくらいの兵数差が出るはずよ。 弱兵では、その兵数差の前に戦うまでもなく敗れてしまうわ。 ならば此処で正々堂々とした英雄同士の戦い、聖戦と言うものをその身を持って知る事ができれば、兵を心身ともに鍛える事になるわ。 なにより、そうしなければ魏の将来に未来は無い。

 私のそんな想いが伝わったのか、稟は静かに頭を垂れ。

 

「御意。 華琳様にそのお覚悟もあるのならば、それで良いのです。 ……では本陣は正規の兵で編成。 先鋒は新たに徴兵した者達を軸に配置します」

「……よろしく」

 

 各隊に伝令を送るために動き出す稟を見送りながら、

 

「人はただの駒。生き残った駒こそ覇業を為すための力となる、か。 ……ふふっ、欺瞞ね、華琳」

 

 と、つい私らしくもなく感傷に浸ってしまう。 弱気になっているの華琳? 駄目よ私が弱気を見せては兵全体に影響するわ。 私は曹孟徳、魏の王で、大陸を制覇する覇者よ。 しっかりなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

あとがき みたいなもの

 

 

 こんにちは、うたまるです。

 第84話 ~ 舞い積る想いに、惑う魂達は決断をする ~ を此処にお送りしました。

 

 さて、冒頭のおまけの混沌さはさておき、ついに動き始めた曹操軍。 それをまだ知らない雪蓮達はどうするのでしょうか? と言ってもこの辺りの主な流れと台詞は、原作とそう変わりありません。 私がこの外史に合わせて、どのように表現して行くかになるのでしょうね。

 そして、母、文台の墓の前に一刀を誘う雪蓮。 彼女は何を決意したのか。

 

 そして、皆様の御支援のおかげで、前作74話から83話に掛けて、10連続王冠を習得する事が出来ました。 狙って居た訳ではありませんが、これもひとえに皆様の御声援のおかげと思っております。

それとこれを投稿している時点で、90話まで書きあがっておりますが、連続投稿では無く間を少し開けて投降して行きたいと思います。

 これからも頑張って書いて行きますので、どうか最期までお付き合いの程、お願いいたします。

 

PS:『想いの果ては…』は終わってません。 書く気はあります。 続ける気もあります。 もうしばらくお待ちくださいm(_ _)m 一話分は書きあがって居ますので、近いうちに投稿する予定です。


 
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