No.171429

Phantasy Star Universe-L・O・V・E EP02

萌神さん

EP02【ユエル・プロト ②】
SEGAのネトゲ、ファンタシースター・ユニバースの二次創作小説です(゚∀゚)

【前回の粗筋】

続きを表示

2010-09-09 21:04:50 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:575   閲覧ユーザー数:572

登場人物紹介を作りました!

でも此処ではSS(スクリーンショット)の使用はご法度なので、興味がある方は此方をどうぞ!

http://moegami.moe-nifty.com/blog/2010/09/psu-love-4903.html

 

面倒ですがコピペして使ってね!

 

それでは続きをどうぞッスよ~!

『機動警護班所属 ユエル・プロト』

 

「……目立った活躍はしてないみたいだが、炎侵食浄化ミッション、戦闘シミュレーション実験……大規模に行われた作戦に参加した履歴があるな」

ヘイゼルは少女……『ユエル』のライセンスIDから戦闘履歴を調べた結果、彼女が間違いなく、ガーディアンズ隊員として働いているのを確認した。

「職種タイプは……げっ! WT(ウォーテクター)!? 上級職じゃない。と言う事は経験は私より上なの!?」

端末を弄るハイゼルの脇から画面を覗き込み、アリアが驚きの声を上げる。

機動警護班所属のガーディアンズは、基本的に三種類の戦闘タイプに分けられる。

近接戦闘タイプの『ハンター』

射撃戦闘タイプの『レンジャー』

法撃戦闘タイプの『フォース』

これらを経験し、ある程度の実力を持った者が、更に上級の戦闘タイプに職種変更が可能になっている。

データにあるユエルの職種は、ハンターとフォースを経験した者が就く事ができる、近接・法撃タイプの複合職、『ウォーテクター』と呼ばれる職種だった。

「ユエル・プロト……これが私の名前だったッスね」

少女は安堵した表情で、判明した自分の名前を噛み締める。自らの事が少しだけ解ったとは言え、記憶は戻っていない。それでも彼女は満足していた。

「ああ、そうなんだが……」

だが、モリガンは眉をひそめた。納得のいかない点がある。

「なんだこれは? 現住所の欄が未記入だぞ」

ユエルのライセンスIDに記されたデータに、住居を示す表記が抜けていたのだ。

と、言う事は彼女はホームレスだと言う事か? そんな筈は無い。

「宿舎(マイルーム)への登録は?」

ヘイゼルはビリーに目配せすると、彼は無言で頷き、携帯ビジフォンを操作し始めた。

通常、ガーディアンズ隊員が希望すれば、住居となる宿舎が賃貸可能なのだ。

ビジフォン検索が終了し、ビリーは首を振った。

「……駄目だ、彼女名義のマイルームは該当無しだぜ」

「て事は、個人の邸宅を持ってるんじゃないの?」

「だったら、現住所欄に記入されている筈だろう」

アリアの言葉にヘイゼルは溜息をついて答えた。だからこそ不思議なのだ。

「……待て、この子、製造(生まれて)すぐ、身元引受人に引き取られているぞ」

データを注意深く読んでいたモリガンが、彼女の経歴から、その事実に気付いた。

キャストは製造された瞬間から、人で言う成人と同じ扱いをされるのだが、製造されたばかりのキャストは、総じて社会経験が不足している。それを埋める為に、身元引受人の下、社会知識を学ぶケースもあるのだ。

「ハリス・ラブワード……ん? この男……既に鬼籍に入っているな……」

「駄目か……」

ヘイゼルは舌打ちする。ユエルの身元確認は手詰まりとなってしまった。

身元確認が不首尾に終わり、落胆するヘイゼル達。そんな彼等にモリガンはコーヒーを淹れて労うと、自身はユエルを連れ、隣にある診察室へ入って行った。

「……それで、あの子どうするの? やっぱり軍警察に預かって貰う?」

コーヒーを飲み、一息つくとアリアが切り出した。

「警察は記憶喪失者の身元捜索はしてくれるが、身の預かりまではしてくれないぜ? ましてや彼女は身元は既に判明してる……おそらく無駄だぜ」

一般的な記憶喪失者への警察の対応は、ビリーの言葉通りなのだ。

「それじゃあ、此処(病院)で預かって貰うしか……」

「悪いが……」

診察室からユエルを伴って戻って来たモリガンが話しに割り込む。

「此処も忙しくてな。怪我もしてない人間を置いてやる余裕は無いのだよ」

「で、何か解ったのか?」

椅子に座りなおすモリガンに、ヘイゼルが診察の様子を訊ねると、彼女は手短に答えた。

「彼女の頭部には外傷の痕は無かった。外傷性の記憶喪失で無い事は解ったよ」

「じゃあ、どうすれば良いってのよ」

二人の否定的な意見にアリアはむくれて見せる。

「ふむ……乗り掛かった船だ。ヘイゼル、お前が面倒みてやれ」

「はあっ!?」

いきなりモリガンから話しを振られ、ヘイゼルは素っ頓狂な声を上げた。

「パルムで借りてる宿舎は、一人で住むには広いだろ? 住人が一人位増えたって問題無い」

「ちょ……っ!」

反論の声を上げようとしたヘイゼルだったが、それ以上に大きな声でアリアから猛反対の意見が飛ぶ。

「ヘイゼルと一緒の部屋に!? そんなの絶対ダメよ!」

「じゃあ、お前が面倒みるかい?」

「うっ……」

モリガンの矛先が自らに向くと、アリアはさすがに口篭ってしまった。

「自ら、この子を受け入れようとする者が居ないのでは、仕方が無いではないか」

渾身の笑みを浮かべて大きく両腕を広げ、何かを期待しているビリーに、モリガンは一瞬目を向けたが、彼女はそれを見なかった事にした。

「無視かよっ!」

「でも、キャストとは言え、この子は女性なのよ! 男と女が一つの部屋になんて……!」

「ああ、その心配は無い」

アリアの言葉をモリガンが遮る。

「この子には、『そういった』機能は備わってなかった。安心しな……まあ、お前には残念かもしれないけどな」

モリガンは意味有り気な視線をヘイゼルに向けた。

「ぐっ……!」

からかう様なそのの視線に、ヘイゼルが言葉を詰まらせていると、ユエルが不思議そうに目を瞬かせていた。

「『そういった』機能って……何ッスかね?」

「お前は知らなくて言いっ!」

何故か顔を赤くして怒るヘイゼルに、ユエルは怪訝そうな顔を見せる。

「まあ何だ、ここは一つ男の甲斐性見せて世話してあげな!」

『勝手な!』

ヘイゼルとアリアの非難の声をモリガンは受け流し、強引に話しをまとめると、診察を理由に四人を部屋から追い出した。

「さて……と……」

四人が去った部屋の中、モリガンは電話の受話器を取った。

「強引に話しをまとめてしまった手前、大人としての責任は取ってやらないとな」

モリガンは呟きながら、ユエルのデータに有った、彼女の身元引受人、ハリス氏の自宅へ電話を掛けた。

本人は故人となっていても、誰かしら遺族が残っていれば、ユエルの事が解るかも知れない……。

数度の呼び出し音の後、電話が取られ、ハッキリした口調の女性の若い声が応じる。

「ハイ、こちらはGRM本社でございます」

(GRM……だと?)

電話に出たのはGRM本社のオペレーターであった。電話を掛け間違えたのだろうか?

「すまない、どうやら電話を掛け間違ってしまったようだ。悪いが今から番号を読み上げるから、確認してくれないか」

「かしこまりした、宜しいですよ。それではどうぞ……」

丁寧なオペレーターの応対に感謝し、モリガンはデータに表示された番号を読み上げる。

「……どうだろうか?」

「……いえ、当社の番号が、その電話番号で間違いないのですが……」

電話の向こうで戸惑ったオペレーターの声がする。

電話番号は間違っていなかったのだ。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択