No.170852

Phantasy Star Universe-L・O・V・E EP01

萌神さん

EP01【Boy Meets Girl ④】
SEGAのネトゲ、ファンタシースター・ユニバースの二次創作小説です(゚∀゚)

キャストの少女を受け入れたヘイゼルではあったが、そこへ突然の闖入者が……。

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2010-09-06 19:58:44 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:557   閲覧ユーザー数:543

ヘイゼルは、おぼつかない足取りで玄関へ向かった。途中、ジュノーが畳んでいた洗濯物を蹴飛ばしてしまい、彼女が小さな悲鳴を上げる。悪いとは思ったが今は構っている余裕は無い!

玄関先には壁に追い詰められて身を縮めている少女と、腰に手を当てて彼女を威嚇している、もう一人の少女の姿が……。

(アリア・イサリビ、何故ここに!?)

胸元に大きなリボンの付いたシフォンチェニック、フジ・フィジボトム、健康的な細身の脚にはオーバーニーソックスを身に付けたヒューマンの少女。

彼女の名は『アリア・イサリビ』

ヘイゼルとよく行動を共にする、ガーディアンズの同僚である。

「ちょっとヘイゼル! 誰なのよ、この子は!?」

アリアは現れたヘイゼルに気付き、今度はこちらに詰め寄って来る。キャストの少女はアリアの剣幕に脅えていた。

一見、恋人の浮気現場に登場した、本命との修羅場に見えなくも無い。だがしかし、ヘイゼルとアリアは交際をしている訳ではなかった。

「そ、そいつはだな……」

ヘイゼルが面倒な事になったと思いつつ、開け放たれた玄関のドアに目を向けると、其処に長身の青年が立っていて部屋の中を他人事のように眺めていた。

オープンネックシャツ、黒白の縦縞ナッソー・ジャケット、濃紺のオールドデニム・ブルージーンズ・レプカ、ド派手な金髪リーゼント、鋭角に突き出たもみ上げ……。

ヘイゼルは部屋の前から立ち去ろうとする、その青年の後を追うと、背後から右腕を首に回し引き寄せた。

「貴様の仕業かっ! ビリー・G・フォーム!」

自称、『俺がロカビリー』、アリアと同じくヘイゼルの同僚『ビリー・G・フォーム』である。

「修羅場はご遠慮なんだぜ……」

ビリーはヘイゼルとの目を合わせず、係わり合いになりたくないと言った表情でそっぽを向いている。

「発端が抜け抜けと言ってくれる! 何でアリアを連れて来た!?」

「お前が風邪で寝込んでるって話しをしたら、見舞いに行くって言い出してな。……女連れ込んでるなら、最初からそう言えよ……俺に嘘なんかつかなくたって良かったんだぜ?」

「連れ込んだんじゃねえっ!」

「ちょっと二人して何してるのよっ! ヘイゼルッ! この子は誰なのか説明してよっ!」

背後でアリアの金切り声がする。

「解った! 説明するから、とにかく話しを聞け!」

ヘイゼルは一喝し、その場を制した。

部屋のリビングに場所を移しテーブルに着くと、ヘイゼルは昨日あった出来事を二人に説明し始めた。

記憶喪失のキャストとの出会い、風邪をこじらせてリニアトレインの中で意識を失った事、気絶したヘイゼルを少女が部屋まで連れ帰り看病してくれた事……。

「キャストが記憶喪失~? そんなの聞いた事ないわよ」

アリアはまだ胡散臭そうな表情で、少女に疑わしげな目を向ける。

それはヘイゼルも思っていた事だ。有機生命でなく、人工的に創造されたキャストが記憶を失う事などあるのだろうか?

「だけど実際に、この子は記憶喪失なんだろ?」

これまで黙って聞いていたビリーが助け舟を出す。

「あんたは、この子の話しを信じるの?」

アリアは横目で隣に座るビリーを睨みつける。

「勿論、何故なら可愛い子は嘘をつかないんだぜ」

「……はぁ?」

アリアの顔が物語っている。

『オマエは何を言っているんだ?』……と。

「そして、この子は可愛い……解る、な?」

「いや全然解んないし。てか何、あんた頭の中湧いてんの?」

「湧く! そう湧いているのは『愛』、つまりこれは恋の予感!」

二人の会話は微妙に成立していない気がするが、ビリーはお構いなしだ。

「大丈夫! 君は、このビリー・G・フォームが必ず助けてやるんだぜ! 記憶を失った可愛い子猫ちゃ……がっ!?」

ビリーがいきなり少女の両手を取り言い寄ると、少女は涙目になって小さな悲鳴を上げる。ヘイゼルは面倒くさそうにビリーの後頭部に拳を叩き込んだ。

「いいからテメエは少し黙れ、話しが進まねえ……どころか脱線して線路入れ違ってるだろ」

「でも、まあそう言う事なら、後は彼女を軍警察にでも預けて任せれば良いでしょ」

気を取り直したアリアの言葉に、ユエルは不安そうな表情を見せる。何故だかヘイゼルはこの顔に弱かった。

「助けられた義理もあるからな……できればコイツの身元を調べるのに力を貸してやりたい」

ヘイゼルの言葉に、ユエルは今度は安堵の顔を覗かせた。「お優しいですなぁ、ヘイゼルさんは……」と小声でアリアがムクれている。

「簡単に言うが、それこそ警察の仕事だろ? どうやって調べるんだぜ?」

後頭部を擦りながらビリーが訊ねると、ヘイゼルは暫し考えを巡らせ口を開いた。

「俺に一つ当てがある」


 
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