No.170644

それがあなたの望むことならば~雛から凰まで~十七歩

TAPEtさん

外国人として、

「ちゃん」という呼び方って、

歯痒いと思います。

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2010-09-05 19:36:35 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:2232   閲覧ユーザー数:2002

一成「絶対いっやー!」

 

桃香「私だってここは譲らないんだから」

 

一成・桃香「むむむっ!」

 

愛紗「あの、雛里、あの二方は一体何故睨み合っているのだ?」

 

雛里「あの、それが…前回に一成ちゃんが、桃香さんのこと「桃香様」から「桃香さん」に呼び変えたじゃないですか?」

 

鈴々「それがどうしたのだ?」

 

雛里「桃香さん、昔みたいに「お姉ちゃん」と呼ばれたいみたいですけど。一成ちゃんが歯痒いから嫌だって……」

 

愛紗「何くだらないことであんな風に真面目な顔になって……」

 

桃香「くだらなくないもん!これはちょー重要事項だよ!」

 

雛里(小声>一成)「あの、一成ちゃん、何なら「お姉ちゃん」って呼んだら?」

 

一成(小声>雛里)「やだよ。鈴々がお姉ちゃんって呼んでるのに、私もそう呼んだら何か私まで子供っぽいじゃん」

 

雛里「そんなところ気にしていたの?」

 

一成「だって……」

 

桃香「でも、雛里ちゃんにはお姉ちゃんって呼んでるじゃん」

 

一成「雛里お姉ちゃんは特別だもん!」

 

桃香「私は?私もずっと一成ちゃんと一緒に居たよ?雛里ちゃんに負けないもん!」

 

一成「……雛里お姉ちゃんは私じゃないと「お姉ちゃん」と呼んでくれる人なんてないもん!桃香さんは愛紗さんや鈴々にでも呼んでもらえばいいじゃない!」

 

雛里「あわっ!(ぐさっ!)」

 

バタン

 

愛紗「雛里!おい、どうした、しっかりしろ!」

 

雛里「か、一成ちゃ…覚えておきなさいよ……」

 

 

 

 

 

 

結局、その後二人で「お姉さん」で妥協したそうです。

 

ちなみに後で一成ちゃんに初めて私意で怒りました。

 

 

なんだかんだあって、私たちは水鏡先生がいると噂された、陳留にたどり着きました。

 

来る途中で山賊があるという山に愛紗さんと鈴々ちゃんが討伐に行ったり、すでに盗賊にやられて疲弊した村の復旧を手伝ったりして、随分と遅れてしまいましたけど、何とかたどりつけました。

 

一成ちゃんも桃香さんも、困ってる人を見ると無視して透き通れる人たちじゃないから仕方ないですけどね。

 

「ごめんね、雛里ちゃん、私たちのせいで来るのが遅れちゃって…」

 

桃香さんが申し訳なさそうに言いました。

 

「いいえ、大丈夫です。最初から会えると確信していたわけじゃないですし…」

 

「ごめん、雛里お姉ちゃん…後でね、水鏡先生の塾に言ってみようよ。水鏡先生にも、後、朱里お姉ちゃんたちにも会いたいんだよね」

 

朱里ちゃん…

 

そういえば約束してたよね?

 

一緒に天の御使いのところに仕えるって……

 

「まだ先生がもうここにいないって決まったわけじゃないじゃない。先ずは行ってみよう」

 

私は申し訳なさそうにしている一成ちゃんに向かって言いました。

 

「うん、そうだね。でも…」

 

「??」

 

「陳留を治めている人って、確か曹操だったよね」

 

「曹操とは、どんな人物なんだ?」

 

愛紗さんが聞きました。

 

曹操、その完璧超人といわれる人。

 

河北にまでその名声は広まっていました。

 

まだ直に見たことはないですけど、この先乱世を歩む覇者の一人になることは間違いないでしょう。

 

「うん、私や桃香お姉さんよりはずっと偉い人なのは確かだよ」

 

「ぐさっ!…一成ちゃんそれ言って大丈夫?」

 

「ううん、自爆(しゅん)」

 

この子と来たら……

 

 

陳留の近くまで来て、もうそろそろ城が見えるところで、桃香さんが変なものを見つけました。

 

「あれ?ねぇ、愛紗ちゃん、あそこ」

 

「どうしたんですか、桃香様?」

 

「…あれは」

 

桃香さんが指した場所には二つの人の群れがありました。

 

一つは三人の男。

 

頭の黄色の頭巾を見ると、黄巾党の残党みたいです。

 

もう一つはまた三人の女の人たち。

 

男三人と女の人一人は武器を出していました。

 

「桃香姉さん、あれってまずくない?」

 

一成も状況が見えてきたのか

 

「愛紗ちゃん」

 

「解りました。鈴々、お前はここで桃香様を…」

 

「いっくのだー!!」

 

「って鈴々!!」

 

愛紗の話もちゃんと聞かずに、鈴々ちゃんは先走っていきました。

 

「こぉらー!!」

 

それを追いかける愛紗さん。

 

「一成ちゃん、私たちも行こう」

 

「うん、雛里お姉ちゃん」

 

「あわわ…」

 

結局こうなります。

 

 

 

 

でも、私たちの予想は外れていました。

 

鈴々ちゃんと、その後を追った愛紗さんがそこに着く前に、女の人一人が三人がかりの黄巾党の連中を蹴散らしたのです。

 

そして、ダメだと思ったか黄巾党の三人の逃げだしましたが、その先には鈴々ちゃんが居て…

 

「にゃーーー!!!」

 

「「「ぐわああっっ!!」」」

 

「……人はああして星になるんだね」

 

と、冗談げに言う一成ちゃんが居ました。

 

ところで、近づいてみたところ、黄巾党らと戦っていた人は、私たちが知っている顔でした。

 

「おや?そこにいるのは雛里ではないか。それに劉備殿も」

 

「星さん、久しぶりです」

 

「お久しぶりです。覚えていてくれたんですね。昔一度会っただけなのに」

 

「無論、この趙子竜、一度目につけておいた人を忘れることなどしない」

 

…ところで、

 

「………」

 

星さん?もしかして、

 

「ところで、雛里よ」

 

「…はい」

 

「一成はどうしたんだ?一緒じゃないのか?」

 

「ぐさっ!」

 

ああああ、一成ちゃん!!

 

「冗談だ、冗談!そこまで凹むことはないだろ、一成」

 

「…こうでもかなり気にしてますからそんないたずらやめてください。…『趙雲さん』」

 

「ぐさっ!」

 

ああああ、今度は星さんがー!!

 

「ちょっと、星さーん、大丈夫ですかー?」

 

星さんと一緒にいた何か眠そうな顔をして手には飴を持っている女の人が挫けた星さんを見ながら言いました。

 

「だ、大丈夫だ。…これは因果応報なのだから……」

 

あのですね。一成ちゃんは私が見た目はこの七年間すごく成長しましたけど、全体的に見ると星さんや桃香姉さんよりはまだ頭一つぐらい背は低いです。星さんが見た目では、きっと一成ちゃんはまだ子供ですね。

 

「とりあえず、無事でよかったな。私たちが来るまでもなかったようだ」

 

愛紗さんがそういいました。

 

「まぁ、あんな奴らに遅れを取る私ではないからな…それはそうとお主らは初見だな」

 

「あ、この子たちは私の義妹です」

 

「義妹?なるほど…なら、お主らが関羽と張飛か」

 

「なっ!」

 

「どうして鈴々たちを知っているのだ?」

 

 

一成side

 

星お姉ちゃんェ……

 

それ七年前に言ったのに、

 

他の人たちに言っちゃダメだとも言ったはず。

 

しかもこの人たちは私も会ってそんなにたってないから誤魔化すことさえできやしない。

 

「むむむっ?」

 

「星さん、どうしたんですか?」

 

しかも全然関係ない人たちまで聞いた。

 

やだこの展開。

 

「なーに、お主らの事は河北では有名だからな。あっちこっちで困っている人たちを助けてくれる三人の女神とな」

 

「な、なんと、私たちにそんな噂があるのか?」

 

「全然知らなかったのだ。知らない間に女神呼ばわりされてたのだ」

 

あれ?何かうまく誤魔化した?というかそれ本当?

 

「やだなー、女神だなんてそんな大袈裟な…」

 

「まぁ、女神の話は嘘だけどな」

 

「嘘なんだ!」

 

一瞬に天国と地獄を渡る桃香お姉さんでありました。首がかくって落ちた。

 

相変わらず変なすごい人だ。星お姉ちゃん。

 

 

 

あ、間違えた。

 

「すごく変な人」だ。

 

 

 

雛里side

 

桃香さんたちのことはともかく、私は後ろの二人さんの方が気になりました。

 

「あの、星さん、その人たちは?」

 

「うむ?ああ、この二人は旅の途中で会ってな。あの時のように私が護衛役を買って出ている」

 

「そうなんですか」

 

眼鏡の人と飴の人……二人とも文官の方だと思われますね。

 

「よぅ~そこのお譲ちゃん、そんな目で見られると俺興奮するんだけど」

 

「あわわ?」

 

「こら、ホウケイ、初見の人にそんなことを言っては私の立場がないじゃないですか」

 

「あ、あの……」

 

飴を持っている人が何か一人で会話していました。

 

あ、良くみたら頭の上に人形が…

 

「いや、でもよ。あのお譲ちゃんがあまり強烈な目つきで見ちゃうからよ」

 

「だからってそんなこと言ったら、ただの変態オヤジみたいですよ」

 

「あ、あの、すみません」

 

何か、じっと見ちゃって失礼になったような気がして、私はその人(人のほうです)に謝りました。

 

「いえ、いえ、大丈夫ですよー」

 

「風、あなたこそ初めて会う人にそういうのはおやめなさい」

 

「私がしたわけじゃないですよ、稟ちゃん」

 

「言ったの、オレ、オレ」

 

「はぁ……」

 

眼鏡の女の人がしょうがないといいたそうな顔でため息をしました。

 

「久しぶりに会ったのだからな。できればゆっくり話し合いところだが、私たちも先を急いでいるのでな」

 

「いえ、私たちは大丈夫です」

 

「うむ、それでは……」

 

「失礼しまーす」

 

「では…」

 

星さんと他の皆さんはそのまま行く道を行くのかと思ったら

 

「……」

 

星さんがふとこっちを振り向きました。

 

「??」

 

その目先にいるのは…一成ちゃん?

 

「……」

 

「……」

 

あれ?何これ?

 

「…また会いましょう『星お姉ちゃん』」

 

「…ああ!」

 

うっわぁー、星さん、とても喜んでます。

 

そして、星さんはとても爽やかな顔で行く道を歩いていきました。

 

「じーっ」

 

桃香さんが、すごく睨んでます。

 

「じゃあ、皆行こう、陳留」

 

「スルーしないで!?」

 

カピーンとなった桃香さんでした。

 

 

「な~んでぇえ?」

 

「歩きづらいよ、桃香姉さん。ちょっと離れて」

 

「はうぅぅ……」

 

もう許してやってよ、一成ちゃん。

 

桃香さんが泣き寸前だよ。

 

桃香さんは一成ちゃんの首に絡まって泣き顔で垂れ下がって、一成ちゃんはそれをまたスルーする感じでただただ陳留の町に入ってます。

 

いや、本当にもうやめて、一成ちゃん?

 

私が恥ずかしくて同じ並べで歩けないから。

 

「もういい加減にしてください、桃香様!はしたないです!」

 

愛紗さんが怒鳴りましたけど、桃香さんには聞こえないようです。

 

「ねぇー、私もお姉ちゃーん」

 

「ヤですよぅ……」

 

「なーんで趙雲さんは一度しかあってないのにお姉ちゃんで私はダメなのよー」

 

「……この辺りで水鏡先生が居たか町の人たちに聞いてみましょう」

 

「スルーするのやめてー」

 

もう本当にゆるしてあげて……。

 

後、桃香さん。

 

何と言うか……自分より頭一つ半ぐらいは小さい子にぶら下がってるのって…その、こういったらなんですが、すごくみっともないからやめてください。ってか一成ちゃんもいやだったあらもうちょっと強引で離れてもいいんだよ?

 

…………

 

ハナレロ。

 

「ひっ!」

 

「!?どうしたんですか、桃香様?」

 

「な、何か後ろから殺気が走ったような…」

 

「後ろには鈴々たちしかいないのだ…愛紗だったのだ?」

 

「確かに私は怒ってはいたが、だからって殺気を立てたなどと……」

 

まぁ、離れましたからよしとしましょう。

 

 

 

私たちは一成ちゃんと私、桃香さんと愛紗さんと鈴々ちゃんこんな風に分けて水鏡先生のことを探すようになりました。

 

町あっちこっちで話を聞いた私たちでしたが、水鏡先生がここにいるという話どころか、ここにいらっしゃったという話すら聞けませんでした。

 

「私が聞いた話が嘘だったのかな…」

 

「うぅん……」

 

何時間を探しても手に掴めるもの無し、です。

 

一成ちゃんも腕を組んで唸ります。

 

「やっぱ荊州に行ってみようかな。そこに行ったら朱里お姉ちゃんと奏お姉ちゃんもいるだろうし。運が良かったら水鏡先生も戻っているかも知れないし」

 

「でも、今ここでも遠くまで来たのに、荊州まで行ったら桃香さんたちに悪いよ」

 

「私がお願いしてみるよ。何だったらほら、桃香お姉さんにお姉ちゃんと呼んであげる、っていったら何でもいいっていってくれそうじゃん?」

 

「あわわ……」

 

一成ちゃん、もしかしてこんなことまで計算に入れて……

 

 

 

 

「キャハハー!」

 

「あわっ?」

 

「!!」

 

この忘れられない特有の笑い声は……

 

「雛里お姉ちゃん!」

 

「うん!」

 

この声は、間違いなく……

 

 

 

??side

 

「なんだとー!もう一度行ってみろ、おらー!」

 

「キャハハー、馬鹿ですか、おじさん?この陳留でいかさま賭博とか、首を刎ねられますよ、って言ったんですよー」

 

「イカサマ?!」

 

「んだとー?」

 

居酒屋で賭博を広げていたオジさんが立ちましたー。

 

あ、こっちに歩いてきます。

 

ヤだなー。そんなに睨まれちゃうと、奏照れちゃいますよー

 

「いってみろ!これのどこがイカサマってんだ、あぁん?」

 

「オジさんが広げていたのが双六ですね。さいころ二つを見えないように器の中で転がして、奇数か偶数か当てる」

 

「そうだ!それがなんだってんだ?」

 

「キャハハー……仕掛けましたね?」

 

「何を根拠でそんなことを!」

 

「キャハハー、さいころの中に重いものを突っ込んで、特定な一つの面しか出せないようにして、そういうのを1から6まで二組十二個準備したら、幾度転がしても望む数字を出せますねぇ」

 

「だから何を根拠で……」

 

一緒に双六をしていた人たちが皆カナを見ています。

 

その中で…

 

「そこのお兄ちゃん?」

 

「な、何だ?」

 

「そこの人たち皆一組ですよ。やられてるのはお兄ちゃんだけですよー?」

 

「なっ!!」

 

「「!!」」

 

奏の前にいた人も、まだ座っていた人たちの残りもこの話には驚いたそうです。

 

「キャハハー、言い方、仕草……、ありふれた話ですよー。奏の目には見えますよ。この後がどんな風になるかが」

 

「こ、この小娘が、調子にのって!」

 

「キャハー?殴ります?殴るのですか?いいですよ、殴っても。何なら奏が殴りやすくさせてあげましょうか?」

 

「こ、こいつが…!!」

 

キヤハ、もうすぐこの辺りに警備の人たちが通りますよー。

 

そしたらオジさんたちは…

 

「おい、兄貴、やめようぜ。まずいって」

 

「うっせー、このガキがー!!」

 

ぶっ!!

 

殴る音と一緒に飛んでいったのは、カナではなく…

 

「キャハ?」

 

「うっ!」

 

「あ、兄貴!」

 

 

 

 

「何をするんですかー!」

 

「あわわー!一成ちゃん!」

 

「雛里お姉ちゃん!奏お姉ちゃん連れて下がってて!」

 

…一成、ちゃん?

 

「奏ちゃんだよね?早く……!」

 

「…泡ちゃん?」

 

泡ちゃんが奏の腕を捕まえて後ろへと引きずります。

 

…キャハ

 

キャハハ

 

キャハハハ

 

これは奏でも予測できなかったね。

 

 

 

 


 
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