「お嬢様、この者達の処遇はどうしましょうか?」
「そうじゃの……」
私達が袁術さんの元でお世話になる事が決まり、まずはその処遇を決めるようです。
私達は簡単にですが、姓を名乗りました。
ですが、月さんと詠さんと張三姉妹は真名を名乗ってもらいました。
これはあらかじめ決めていた事なのですが、月さん達も張三姉妹も姓を知られてはまずいためです。
場合によっては要らぬ争いが起きてしまいます。
そんな名乗りが済んでから先ほどのやり取りになるのですが、袁術さんは私達の顔を見ながら唸っています。
一応、袁術さんなりに考えてくれているようです。
ただ、それがどこまで理にかなった配置になるか不安です。
「……そこの二人は妾の蜂蜜を取ってくるのじゃ!!」
そう言って袁術さんが指さしたのは霞さんと華雄さんです。
「蜂蜜を取ってこいやて!!」
「ふん、くだらん」
袁術さんの決定を無視するような態度を、二人はとっています。
袁術さんとしては当然面白くありません。
「くだらんとはなんじゃ!! 妾の蜂蜜を取ってくるのは大事な仕事じゃぞ!!」
玉座の上で袁術さんが怒っています。
ですが、やはり二人はそれを無視するような態度を取っています。
確かに、蜂蜜を取る程度なら霞さんと華雄さん二人でやるようなことではないでしょう。
しかし、この雰囲気は良くありません。
今この場で一番偉いのは袁術さんです。
なので、袁術さんの逆らうのは得策ではありません。
その事を二人に告げようとしたのですが、その前に言う人がいました。
「霞も華雄もここは袁術の言う事を聞いてくれないか?」
そう、お兄さんです。
柔らかい口調ですが、しっかりとした表情で二人に言っています。
そんなお兄さんの言葉で、二人はしぶしぶ重い腰を上げました。
「――わかったわ。蜂蜜を取ってくるさかい、どこに行けばええか教えてくれんか?」
「外に兵士さんがいますからその人達と一緒に行ってきて下さーい」
張勲さんの言葉に従って二人は玉座の間を後にしました。
「他の人達はどうしましょう?」
張勲さんが袁術さんを促します。
「……妾はもう面倒なのじゃ!! あとは七乃が決めるのじゃ!!」
「いいんですかー?」
袁術さんの問いかけに張勲さんが楽しそうに聞きます。
「ふむ。ただし、この者は妾のそばに置くのじゃ!!」
そう言って、袁術さんが指さしたのはお兄さんです。
「えっ、俺?」
「そうじゃ。先ほどの者達を説得させるとは妾に仕えるに相応しい。妾のために一生懸命働くんじゃぞ」
そう言って袁術さんは胸を張ります。
張勲さんはそんな袁術さんに羨望の眼差しを送っています。
お兄さんは、頭をかきながらちょっと戸惑うような仕草を見せています。
月さんは驚きの表情を見せ、詠さんは呆れたような仕草をしています。
天和さんと地和さんは、袁術さんに文句を言いたげにしていますが、地和さんがそれを抑えています。
私も特に文句は言いません。
それが、今の私達の立場にとって最良だからです。
ですが、私個人としては…。
そんな事を考えていると、星ちゃんに言われました。
「風よ。どうせ一時的な事だ。あまり深く考えない方がいい」
「大丈夫ですよ~」
「そこの者!! 何話をしておるのじゃ!!」
星ちゃんと話をしていると、袁術さんに言われてしまいました。
「お嬢様、この者達は元々この人の家来なんですから、色々考えるところがあるんですよ」
「……そういうものかのお」
張勲さんの言葉に首を傾げる袁術さん。
誰かが、家来じゃないと言うかと思いましたが、皆さん思いとどまってくれたようです。
「――では、北郷さんでしたっけ? あなたにはお嬢様の相手をしてもらいますね」
「……わかったよ」
「他の皆さんは……」
そうして、張勲さんによって私達の役割が割り振られました。
月さんと詠さんはそのまま侍女部隊に。
張三姉妹は歌と踊りが出来るという事で、兵士さん達の労をねぎらう役割に。
星ちゃんはその武を見込まれて、一部隊を率いる事になりました。
白蓮さんも騎馬隊を率いる事に。
私は軍師としての役割を任されました。
こうして、北郷軍はその全てを袁術軍に取り込まれました。
ですが、北郷軍はこれで終わりではない。
皆さん口には出していませんが、その想いがある事を私は感じ取っていました。
第16話お届けしました。
もう少し長く書くつもりでいましたが、そうするとまたアップが遅れてしまいそうなので、今回はこれくらいにしておきました。
さて、袁術軍に組み込まれた北郷軍ですけど、袁術軍内での孫策軍の立場がよく分かってないので、一応普通に袁術軍として働く事になります。
その中で、雪蓮達との絡みも書ければいいかなと思っていますが、今のところまだ白紙です(;^_^A アセアセ…)
しばらくはメインストーリーから離れて袁術軍内での話を中心にしていこうと思っています。
次のアップは未定ですが、お待ちいただけると幸いです。
今回もご覧いただきありがとうございました。
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真・恋姫無双の二次小説です。
風の視点で物語は進行していきます。
今回はかなり短いです。
内容が少なくても短いスパンで出していけるように考えていますが、どうなる事やら……。
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