No.167750

くろのほし 第0話

高くそびえるお城、二人の少女。
ほんのささやかな、お話の始まり。

連載型童話風厨二病小説、開幕。
黒星紅白さんとはなんら関係がありません。

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2010-08-23 23:53:57 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:711   閲覧ユーザー数:699

 

――どこかをみている。

  だから、どこもみていない。

 

 

 かつん、かつんと石畳を叩く音。

 やがて絨毯を踏みしめると、その女の子はひざまずきました。

 

「あら、今日もきれいな髪ね」

 女の子に声をかけたのは、玉座に座っていたひと。

 どくろに撫ぜられた、光を失った女の子。

――なにもみていない。

  だから、すべてをみている。

 

 

 ひざまずく女の子は自分の黒い髪を少し見て、どくろの女の子に頭を下げました。

「ありがとうございます、主」

「思ったままを言っただけよ。顔を上げなさい」

 黒髪の女の子は、目の前を見据えます。

 玉座から立ち上がった女の子は、真っ白でした。

 服も、肌も、髪も、瞳さえも、眩いほどの白。

 うつろな目は光を映しませんが、それでも彼女はみていました。

「呼んだ理由は、わかっているわね?」

「はい、私も感知いたしました」

「話が早いわ」

 

 優しげな声をしたその女の子――『しろのやみ』は満足げにうなずきました。

「さあ、行ってらっしゃいな。ネズミさんを駆り出しに」

「はい――――仰せのままに」

 ひざまずいていた女の子は、真上に高く飛び上がりました。

 お城の最上階、玉座の間からは満点の星空が見えます。

「……そう。ネズミを駆り出しに行くのよ、月の字……マツヨイ」

 高く遠くへ飛ぶマツヨイを感じながら、『しろのやみ』は玉座へと戻り祈ります。

 

 どうかこれが、ハジマリになりますよう。

 

 マツヨイがもっと強くなれますように。

 

 

 『しろのやみ』はまだみぬ者に思いを馳せながら、浅い眠りにつきます。

 どくろが撫でる、『しろのやみ』。

 

 やがて瞬く星の下に、マツヨイは下り立つでしょう。

◎あとがき

金色の闇とかとも関係ないですよ

 

 
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