No.167603 真・恋姫†無双 頑張れ一刀くん 現代風12010-08-23 04:10:31 投稿 / 全8ページ 総閲覧数:13707 閲覧ユーザー数:9997 |
目覚ましの音で一刀くんの一日は始まる。
「ふぁ~。……今日は雪蓮お姉ちゃんが一緒か……」
隣で気持ちよさそうに寝ているのは彼の姉である雪蓮である。
一刀の台詞から分かるように彼の隣にはいつも誰かが寝ていた。
それは妹だったり幼馴染だったりする。
「雪蓮お姉ちゃん朝だよ」
「う~ん。もうちょっと寝かせて~」
ちなみに彼女は自宅警備員である。
「はぁ。じゃあ先に一階に行ってるからね~」
「ふぁい」
下着姿で寝ている姉の姿は見慣れたものであったが初心な一刀は未だ恥ずかしさが抜けきらなかった。
そんな姉を置いて一刀はリビングに向かう。
リビングでは母親である祭が朝食の準備をしていた。
「おはよう母さん」
「おはよう」
目を擦りながら挨拶をする一刀に胸キュンな祭。
「か、一刀!」
「どうしたの蓮華?」
同じ学年であるが一刀の方が少し誕生日が早いため姉とは呼ばない。
蓮華としては雪蓮のようにお姉ちゃんと呼んでほしいのだが、恥ずかしがり屋の蓮華がそんなことを言えるはずが無かった。
「お、おおおおはよう」
「おはよう。っていうかもう何年も一緒なんだからいいかげん緊張するなよ」
「そ、そうね」
いつまで経っても幼い姿の一刀に蓮華はいつしかイケナイ気持ちを持つようになっていた。
というか一刀の周りの女の子はほとんどがイケナイ気持ちを持っていた。
それは母性愛か。
それともただのショタコンであるのか。
おそらく全員が後者である。
「ドーン! お兄ちゃんおっはよー!」
いきなり一刀の背中に衝撃が走る。
末妹である小蓮が抱きついていた。
「おはようシャオ。危ないから抱きつくのはやめような」
「えっへへー」
全く反省する様子の見られない小蓮に半ば諦めている一刀だった。
しかし蓮華は違った。
「こらシャオ! 一刀は小さいのだから急に抱きついて怪我でもしたらどうするの! ……わ、私だって抱きしめたいのに」
後半はごにょごにょと口籠もる蓮華。
「ふーんだ。そんなこといって蓮華お姉ちゃんも抱きつきたいだけでしょー!」
「なっ! そ、そんなことはない!」
ギャーギャーと言い争いを始める二人。
このやり取りはほとんど毎日行われていた。
「おはよ~」
そこに長女である雪蓮がやってくる。
雪蓮は一刀をヒョイと抱えあげる。
「ん~! やっぱり一刀を抱きしめないと一日が始まらないわね~♪」
「何を言っとるか。始まったところで何もせんくせに」
「え~、だって働きたくないんだも~ん」
祭に悪態を吐かれる雪蓮だが、本人はニートであることに誇りを持っているようだった。
「ね、姉様!」
「雪蓮お姉様ずっるーい!」
「なによ~。私は長女だから偉いのよー!」
今度は三人で言い争いを始めるのだった。
これもいつもの日常。
「それじゃあ母さん、雪蓮お姉ちゃん行ってきます」
「行ってきます」
「いってきま~す♪」
朝食を食べた後三人は学校に向かう。
一刀と蓮華は聖フランチェスカ学園の高等部の二年生。
小蓮は同じく中等部の三年生だった。
「気をつけて行ってくるのじゃぞ」
「一刀~、早く帰ってきてお姉ちゃんと孫策無双Ⅳやりましょうねー♪」
二人に見送られて三人は家を出る。
「おっはよ~みんな♪」
家の前では隣の家に住んでいる、所謂幼馴染である桃香が待っていた。
「おはよう桃香」
「おはようかずくん」
ほぼ毎日この四人で登校していた。
昨年までは雪蓮も一緒にいた。
途中、中等部で小蓮と別れ三人で高等部に向かう。
「それじゃあね~」
「お、お昼は一緒に……」
「お弁当一緒に食べようね~」
三人ともクラスが違うので廊下で別れる。
一刀が教室に入るとみんなから挨拶をされる。
男女問わず人気がある一刀だった。
「おはよ、月ちゃん」
「へぅ~、おはようございます一刀くん」
席に着いた一刀は隣の席の仲の良い女の子である月に挨拶をする。
月も照れくさそうに挨拶を返してくれる。
「詠ちゃんはまだ来てないの?」
「うん。多分今日も寝坊だと思う」
世間話をしながら時間を潰す一刀たち。
「チャイムなったぞー。座らんかそこぉー!」
豪快という言葉が似合うこの女性は、生徒からの人気が高い桔梗であった。
「出席をとるぞー。いない奴は返事しろー」
出来るはずもなかった。
そこで教室の扉が開く。
「はーい! いますいますいますー!」
「なんじゃ詠。お前また欠席になりたいのか?」
「だからいるっていってるじゃなーい!」
「儂はいない奴は返事しろって言ったんじゃぞ?」
「それじゃあ欠席者なんていないじゃない!?」
「儂のクラスは全員皆勤賞じゃ」
「捏造じゃない!」
豪快に笑う桔梗。
この詠とのやりとりもクラスが変わってから毎日のことだった。
「おはよー詠ちゃん」
「詠ちゃんまた寝坊?」
「おっはよ一刀くんとへぅッ子」
「へぅ~、へぅッ子じゃないよ~」
「それがへぅッ子って言ってるのよ」
「まあまあ、月ちゃんのへぅは今始まった事じゃないし」
「そうね。それと今日も寝坊よ」
詠は毎晩深夜アニメを見ているため遅刻常習犯だった。
「ボクなりに『けい○ん!』のキャストを考えてみたんだ」
「どうなったの?」
「桃香が唯、雪蓮先輩が律、愛紗が澪、翠が紬、眉毛的な意味で。それから凪が梓かな」
「おお! なんとなく分かる気がする。ついでに憂は月ちゃんかな」
「それいいわね!」
「へぅ~」
一刀もそれなりに深夜アニメが好きなので詠と話が合うのだ。
一刀たちが話している教室の一角でそれを見つめる少女が一人。
「一刀くんは深夜アニメが好き……っと」
手帳に新たな情報を書き込んでいく少女、思春。
その表紙は極秘と書いてあった。
手帳を開くと一刀くんの身体測定の結果や、定期考査の結果、家族構成、生年月日、その他もろもろが書き込んであった。
「ふふ」
手帳を見て顔がにやける思春。
彼女はストーカーだった。
彼女は極度の恥ずかしがり屋だった。
蓮華など比ではない。
なんど一刀に声をかけようとしたことか。
しかし結局見ていることだけしか出来なく、それなら徹底的に一刀について調べようという歪んだ思想に辿り着いた。
「ふふふ」
いきなりにやけだす思春に周りの生徒は不気味に思った。
「ただいまー」
一刀が家に帰るとドタドタと階段を下りる足音が聞こえる。
「おっかえりー♪」
雪蓮はささっと一刀抱きかかえ自分の部屋に連れていく。
「今、ちょうど良いところだったのよねー」
「おっ、荊州攻めてるところなんだ」
大人気ソフト孫策無双を一日中家でやりこんでいた雪蓮。
雪蓮は一刀を足の上に乗せてゲームを再開する。
「あー! 許貢の残党にやられちゃったわー」
「あー、残念だったねー」
良いところでゲームオーバーになってしまったのである。
「そろそろ晩御飯だし下いこっか」
「そうね。明日こそクリアしてやるんだから」
時間がありあまっているのだった。
リビングではすでに料理が並べられ、あとは二人を呼びに行くだけだった。
『いただきます!』
こうして一日が過ぎていく……
<おまけ>
「今日はシャオがお兄ちゃんと寝るんだから」
「そんなことは勝ってからいいなさい」
「今日は私が勝つんだもん」
「わ、私も!」
『最初はグー、じゃんけん』
『ポン』
「一刀はもう寝たわよね?」
本日の勝者である蓮華は一刀が寝静まったことを確認して部屋に入る。
「きょ、今日こそは……!」
蓮華はゆっくりと一刀が寝ているベッドに向かう。
そして布団に入りこもうとする。
「う~ん」
ビクゥゥゥゥ!
寝返りをうつ一刀に大慌てでベットから離れる蓮華。
「ダメ、やっぱりダメだわ!」
どうしても勇気が出ない蓮華だった。
翌朝。
「ふわぁ~。…………蓮華また床で寝てるよ」
蓮華が一刀と一緒に寝る日は来るのか。
完。
続く気がしない(*/∀\*)
Tweet |
|
|
119
|
6
|
追加するフォルダを選択
最近現代風恋姫が流行ってますね。
それに便乗してみることに。
息抜きです。