その少年は、ごく普通の家に生まれた。
少年は普通に笑って、普通に泣いて、そして普通に生活していた。
そうして少年は学生になり、ごく普通に勉強をしていた。
戦争が始まった。
戦争が始まってから、学生の周りから物が消えていった。
ものを書く鉛筆も、好きだったラジオ番組も、そして勉強を教えていた先生も、、、、、、。
学生は青年になった。
青年は、家族を守る為に兵隊になった。家族は泣いて喜んだ。
優秀だった青年は、予科練になった。
訓練は厳しかった。昼も夜も、教官に殴られた。
だが青年は耐えた。家族を守るためだと、ただそれだけを思って。
友達ができた。仲間が増えた。戦友になった。
そして青年はパイロットになった。
戦友は、一人、また一人と減っていった。
夜になるたび、死んだ戦友の顔が、まぶたに浮かんだ。
彼は特攻隊に志願した。もうどうでもよかった。
だが、青年が飛び立つ前に、戦争が終わった。
青年の心は、穴が開いたようになった。ただ呆然と立ち尽くした。
気がつくと、青年は焼け野原に立っていた。
辺りを見渡しても、なにも無かった。
遠くに焼けたビルが見えた。見ているだけで空しくなった。
知った顔の人間が見えた。隣の家のおじさんだった。
おじさんは、眼に涙を浮かべて言った。
「可哀想になぁ、君だけ生き残って、、、、、。」
青年は大声で泣いた。青年は打ちひしがれた。
そして青年は酒に溺れた。そして青年は薬に溺れた。
こんな事ってあるものか。
こんな事って、あっていいのか。
青年の心は壊れた。
そして青年は歌うようになった。小さな声で、うわ言を呟くように。
若い血潮の予科練の 意気の翼は勝利の翼
見事轟沈した敵艦を 母へ写真で送りたい
青年は、焼けビルから飛び降りて死んだ。
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この曲を聞いてて、哀しくなって書いた。
http://www.youtube.com/watch?v=70e0rLdexLc&feature=related
駄文で申し訳ない。
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