No.166088 真・恋姫†無双 頑張れ一刀くん改 その102010-08-16 15:45:59 投稿 / 全7ページ 総閲覧数:16261 閲覧ユーザー数:11667 |
「なんやて!? もっぺん言ってみぃ!」
霞は報告に来た兵を怒鳴りつける。
霞だけでなく全員がとびかかりそうな勢いだ。
「び、貧乏くじだ……。はっ! 北郷様は孫策と思わしき人物に捕らわれてしまいました!」
小さく愚痴をこぼす兵士。
「アホ! 何が捕らわれてしまいましたや!」
「……お前殺す」
「死ぬがいいのですぞ!」
「一刀くんとのメンマが……」
「孫策の奴許さん!」
「この宝譿を持ってしても一刀くんを助けれなかったのです」
「……血が……足りません」
霞と恋に睨まれた兵士はその場から逃げだした。
「こんな軍、やめてやるーーーー!」
「にしても一刀くんが人質とは迂闊に手ぇ出せんくなってしもたなぁ」
「……関係ない。……みんな恋が殺す」
「そうですぞ! 恋殿が居れば一刀くんの一人や二人簡単に救えるのです!」
恋が飛び出しそうになるのを霞が必死に止める。
「あのな恋」
「…………?」
「自分は目の前で一刀くんに首に剣が突きつけられとっても戦えるんか?」
「…………一刀くんを殺して恋も死ぬ」
ヤンデレな恋だった。
「アホ! 一刀くん殺してどないすんねん! …………だから、ウチらが戦うことによってな一刀くんが危険な目にあうかもっちゅーことや」
「…………」
「だから作戦も考えず突っ込んだらアカンってことや。……分かったな」
「……………………………………………………(コクコク)」
「その長い沈黙は信用出来んけど頼んだで」
ようやく恋を説得するのだった。
「うぉぉぉぉ! 華雄隊出撃準備だ!」
「恋、あいつ寝かしといてくれや」
「……分かった」
恋は華雄気絶させた。
「ほな作戦でも考えようかー」
陽気に振る舞う霞だが、内心は怒りに満ちていた。
それは全員が同じ気持ちだった。
『連合軍、許すまじ』
この後、一刀救出作戦を考えたがなかなかいい案が浮かばなく、ただただ時間が過ぎて行った。
その頃の一刀くん。
「こ、こんにちは。捕虜の北郷一刀です」
「雪蓮! どういうことだ! こんな可愛い子を捕虜にするなんて見損なったぞ!」
「ちょ、ちょっと冥琳落ち着きなさい! 別にそんなつもりで連れて来たわけじゃないわよ! ねえ関羽、張飛」
劉備軍の天幕に集まる劉備軍と孫策軍のメンバー。
「はぁぁぁぁ! 天使だ……!」
「かっわいいのだ~~」
二人とも聞く耳が無かった。
「ねえねえ一刀くん。私の事は桃香お姉ちゃんって呼んでね♪」
「はわわ! しゅ、朱里です!」
「あわわ! 雛里ですぅ!」
「あ、愛紗お姉ちゃんで…………お願い」
「鈴々も鈴々お姉ちゃんがいいのだ!」
真名は軽かった。
それとも一刀くんのなせる業なのか。
「私は雪蓮お姉ちゃんでいいからね♪」
「しぇ、雪蓮が許すのなら私は冥琳…………お姉ちゃんで良い」
「このような者に真名を……………………思春お姉ちゃんだ」
「思春!? ……わ、私は蓮華よ。あなたがよければ蓮華お、お姉ちゃんでいいわよ?」
「み、皆が許すのなら儂も預けようかなー? さ、祭と呼ぶのじゃ。お姉ちゃんでも良いぞ?」
「か、一刀様! 明命とお呼びください!」
「私は穏とお呼びくださいねぇ~。……濡れてきたです~」
真名は軽かった。
「えっと、真名はないから北郷でも一刀でも好きな方で呼んでね?」
『プハッ』
天幕は血に染まった。
その頃、洛陽に急使が辿り着いていた。
「へぅ~、一刀くんが帰ってきたらどこに遊びに行こうかな?」
「月~、ボクを差し置いて一刀くんと出かけるなんて許さないわよ」
「詠ちゃん……やるっていうの?」
「望むところよ、このへぅっ子」
何故か火花を散らす二人。
そこに急使が駆け込んできたため一時休戦となった。
「へぅ~? 一刀くんからお手紙ですか?」
「きっとボク宛よ」
「…………やる?」
「かかってきなさい、このへぅ野郎」
再び勃発した。
「申し上げます! 北郷一刀様が連合軍に捕らわれました」
「…………」
「…………」
一瞬にして凍りつく二人。
「今、なんておっしゃいましたか?」
「北郷一刀様が敵に捕まりぃぃぃぃぃぃぃ!?」
「月、見たこともない恐ろしい顔してるわよ?」
「へっへっへぅ。やだな詠ちゃん。私はいつも通りだよ? それより詠ちゃんこそ悪い顔してるよ?」
「そんなことないわよ。ただ今まで考えたこともない卑劣な策が頭の中を駆け巡っているだけよ」
すでに兵士は逃げ出していた。
「半端ねぇ」
「詠ちゃん」
「準備は出来ているわよ」
月は大きく息を吸い込む。
「董卓軍、全軍出陣!」
『うおおおおおおおおおおおおおお!』
魔王董卓の出陣。
「いつでもいける準備をしといてよかったわ」
「へっへっへぅ。お主も悪よのぉ詠ちゃん」
「あんたほどじゃないわよ」
黒い笑みを張り付けた二人。
「湧水のごとく策が浮かんでくるわ」
「一番苦しめる奴でお願いね詠ちゃん」
「分かってるわよ月」
「さすが私の軍師様だね♪」
軍の先頭で自ら軍を率いる二人。
兵士たちは謎の緊張感に包まれていた。
「洛陽空っぽじゃね?」
「だよな」
「誰か進言しろよ!」
「戦場でもないのに死にたくねえよ!」
『だよな』
飲まず食わずの強行軍の始まりだった。
「結局なんも浮かばんかったなー」
「申し訳ないですー」
「面目ありませんです」
「血が足りなくて頭が回りませんでした」
軍師三人の力を持ってしても一刀くんを奪回する策が浮かばなかった。
「報告です!」
「なんやー?」
「虎牢関より大量の軍勢が迫ってきております」
「回り道されたんか!?」
もしどこかの抜け道から回り込まれれば危機に陥る心配があった。
「いえ、旗は『賈』そして『董』の二つです!」
「月と詠か!? 早過ぎるやろくるのが!?」
その軍勢は洛陽から出陣し、虎牢関で兵を吸収した董卓軍本隊であった。
その数、およそ八万。
『へぅ来々! へぅ来々!』
『へぅ来々! へぅ来々!』
『へぅ来々! へぅ来々!』
これこそが詠の策の一つ。
敵に謎の重圧を与えるための掛け声。
「なんや不気味やけど…………めっちゃ親近感湧くわ!」
霞も何かシンパシーを感じていた。
そして遂に汜水関に董卓軍本隊が到着した。
<おまけ>
「ねえ月」
「どうしたの詠ちゃん?」
「一刀くんに聞いた霞の話があるの」
「霞さんの?」
「うん。まあ一刀くんの世界じゃ男なんだけどね」
「そうなんだ。それでどんなの?」
「なんかね相手をビビらせる策でね、霞の場合だと『遼来々!』って叫びながら敵に突撃したらしいのよ」
「へぅ~。それじゃあ私だと『卓来々!』かな?」
「そうなんだけどそれじゃ効果薄そうだし何より面白くないし」
「詠ちゃんは何を求めてるの?」
「それでボクは考えたの!」
「どんなのを?」
「ふっふっふ。見てなさいよ。さあ声を出してーー!」
『へぅ来々! へぅ来々!』
『へぅ来々! へぅ来々!』
「どう月? それ以外にも振付を考えたのよ」
『へぅ( ゚∀゚)o彡°来々! へぅ( ゚∀゚)o彡°来々!』
『へぅ( ゚∀゚)o彡°来々! へぅ( ゚∀゚)o彡°来々!』
「どや!」
「へっへっへぅ。詠ちゃんちょっと来てくれるかな?」
「どうしたの月? …………アッーーーーーーーーーーーー!」
完。
何も突っ込むんじゃないぞ?
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もしかしたら前回よりシリアスかもしれませんので苦手な方は閲覧をお控えくださいm9(゚д゚)っ