No.163964

真恋姫無双 萌将伝 『官渡のムダな戦い』

Thyleさん

恋姫†夏祭り第3弾 魏の国編です。
字数制限や独特の書き方をしておりますので読みづらいかもしれません。
本編は、恋姫†夏祭り用ですので限定作品ではありません。多くの方が楽しんで頂けたら何よりです。

官渡の戦いってナニー?と言う方のために……

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2010-08-07 14:34:01 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:5366   閲覧ユーザー数:4821

<官渡のムダな戦い>

 

 

曹操こと華琳は、宿敵袁本初 麗羽と官渡で雌雄を決する戦いをしていた。

しかし、圧倒的な兵数や物資による人海戦力を前に、華琳率いる魏軍は

とても太刀打ちできるものではなかった。

 

そこで華琳は軍師 桂花と協議し苦肉の策として敵の補給経路である

拠点地 白馬に一刀と真桜を派遣し遊軍として拠点攻略が命じられた。

 

 

 

一刀と真桜は補給地 白馬の攻略に成功した。

だが僅か数刻で顔良将軍率いる一軍が出現し一刀と真桜の部隊は

ここ白馬で拠点防衛をせざるをえなくなった。

 

そして刻一刻と顔良将軍による半包囲網が形成されつつあった。

 

 

 

「隊長、蒸し暑い上に、敵さん えらくまた仰山きますで~」

真桜はもはや下着と言ってもよい格好で肌をあらわにしていた。

「ああ。真桜 一軍の将としてだらしがない格好では兵どもに示しがつかんぞ」

「そないゆうたって隊長。この蒸し暑さでは敵も味方も戦どころでないやんけ」

一刀は真桜の抗議にため息をつき敵の状況を説明した。

 

「間者の情報では敵は圧倒的な資金を使い、

 都市中の氷室の雪をかき集めたカチワリを一兵士に至るまで配給しているそうだ」

「豪気やね~ これだから金持ちは~」

「まったくだ。真桜、敵の第2波が来たそ。総員戦闘体勢!」

 

 

 

 

 

 

 

そうこうして、白馬の拠点防衛 三日目をしのいだ。

一刀と真桜はその夜、軍議をすべく天幕に集まっていた。

 

真桜は華琳から与えられた兵の士気が刻一刻と低下し逃亡兵が発生するのではないかと危惧した。

一刀はこの拠点を放棄し後方に撤退すべきと考え、何時にすべきか真桜の意見を聞いた。

 

軍議が白熱するなかで、一刀は現在の兵糧はどうなっているのか真桜に質問をした。

短期決戦を前提とした装備の為、軍事物資は少なく長期戦になれば軍は崩壊する。

 

 

昼間でさえ灼熱とした暑さのうえ、夜は一吹きの風も吹かないことから夜間になると

地熱で更に天幕の中は蒸し風呂のようになっていた。

真桜はだらしなく団扇を扇ぎ一刀に言った。

 

 

「ウチらの補給担当は沙和やで~ 連絡では明日追加物資が届くそうや」

 

 

これを聞いた一刀は拠点地白馬攻略の前夜に沙和が言っていた言葉を思い出した。

 

 

 

            『補給は沙和のお得意なの! まじかる沙和にお任せなの!』

 

 

 

ただでさえ、兵の士気が低下している上に補給が滞ったら それこそ目が当てられない結果となる。

一刀は直ちに伝令兵を呼び、後方に控えている沙和の部隊に補給輸送の厳命を伝えた。

 

 

 

 

 

 

                   翌日 指定された時刻、

 

 

沙和を先頭とした補給部隊が白馬に無事到着した。

白馬の兵達は歓声を上げ、補給部隊の到着に歓喜した。

 

沙和は一刀に定刻に到着したことから一刀に褒めてもらいたく

到着の報告をすべく隊長の元へと駆け寄った。

 

「隊長ー!ただいま到着したの。補給物資の確認をお願いなの」

「おおっ、沙和よくやった。これで兵士達の士気も上がるというものだ」

 

「うっふふ、隊長もっと褒めて、褒めてなの♡」

一刀は沙和の労をねぎらい頭をポンポンと叩いた。

「あーんこんののじゃダメなの!こんど阿蘇阿蘇の夏の新作を買ってくれなきゃダメなの」

一刀は沙和のわがままにため息をつき、この戦で生き延びたら買ってやると約束した。

 

 

その後、沙和は隊長ともっとゆっくりおしゃべりがしたかったが、

白馬から南西の部隊にも補給輸送をしなければならず泣く泣く白馬を出発していった。

 

 

そして、沙和が出発してから数刻たった頃、一刀は真桜から不吉な連絡を受けた。

 

 

                   「なんじゃ―! こりゃ――!!」

 

 

軍事物資では消耗品である矢や燃料等、医療品等はいいとして、送られてきた食糧は……

 

 

 

 

 

 

 

 

「湯麺(ラーメン)や しょう油、みそ、塩等色々あるで、それも三食全てや」

 

「そんなことは解っている! 

  何故このクソ暑いのに汗の出るラーメンなど喰わなければならないんだ!?」

 

真桜は一刀に同封された補給物資の目録の他に添付されていた沙和直筆の文を手渡した。

一刀がその木簡を読むと沙和の丸っこい字で

 

 

 

 

                『隊長ー 聞いて 聞いて! 

                  沙和ネー 

                   夏に熱いラーメンを食べると、

                 意外と美味しいのことを発見したの♡』

 

 

 

 

「沙和は我々が夏の岸辺でエンジョイしていると思っているのか?!」

 

余りの暑さもあり激高した一刀は真桜から沙和の書いた木簡を奪い地面に叩きつけた。

その横では真桜が汗を流しながらみそラーメンを美味しそうに食べていた。

 

「隊長、案外暑い中で食べるのも美味いで」

 

 

 

 

 

 

 

即座に一刀は、華琳の元に伝令を走らせ補給担当の更迭を具申した。

そして、隊長!ヒドイのー 鬼なのー 鬼畜なのー と泣く沙和

から真面目な凪に補給担当が変更になった。

 

 

「よし、凪ならちゃんとした補給輸送がされるだろう」

一刀は早速凪から送られてきた必要物資は何かを尋ねた書簡を読んだ。

 

文章の終わりには、

 

        『隊長、私は沙和のように気がきかないことはしませんからご安心ください』

 

これを読んだ一刀は目から涙をこぼし、やはり凪にして正解であったと感激したのであった。

 

 

 

 

                   白馬 拠点防衛 10日目、

 

 

顔良将軍は執拗にも小出しに兵を出し、一刀達に休息を取らせない戦法に出てきていた。

一方で、一刀は敵は本気ではなく威力偵察であることを見抜き、

徹底した籠城戦を決め兵達に十分な休息を取らせていた。

それとは対照的に一刀や真桜のような指揮官たちは戦火により顔は薄汚れ精神的にも疲れ果てていた。

 

外に対しては万全の体制を構築できた。しかし内については目も当てられない状態が原因であった。

 

「大将、我々は何時まで三食も湯麺(ラーメン)を食べ続けなければならないのでしょうか?」

 

「将軍もはや汗の出るラーメンに我々のココロが砕けます。どうか対策を考ください」

 

            ある無名の兵士達の嘆願は一刀の心に大きく刺さった。

 

 

「皆、あと1日……あと、1日の辛抱だ……

  明日には凪…… 楽進将軍がまっとうな兵糧をもってくるぞ」

 

「大将、オレもう麺にお酢をかけて『冷やし中華!』とかいう訳の解らないモンを食わなくってすむのですね」

 

「ああ、そうだ明日には粟の飯や焼餅(シャンピン)が食えるぞ」

 

 

 

一刀達の兵は湯麺を出来るだけ暑くても食べられるように天の国の知識を総動員して

湯麺を冷やし中華やヤキソバ等に改造して人類の味覚に挑戦し続けていたが

所詮はメンは麺であり、誰もがもう一生ゴメンであった……

 

 

         そして、一刀の牙門旗には誰が書いたのか  

                 

                 『冷やし中華始めました』  

 

                          の布が虚しくヒラヒラと舞っていた。

 

 

 

 

 

 

 

                        翌日、

 

                    「補給部隊か着たぞー!」

 

 

 

城壁で見張りをしていた兵士の掛け声で城門は開かれ

凪を先頭に補給物資が続々と場内に運びこまれていった。

 

 

「ううっ兄者もう灼熱ラーメン地獄から開放されるのですね」

「そうじゃ! 楽進将軍のおかげでこれからはちゃんとしたメシが喰えるようになるんだ」

「兄者!」

「弟よ!!」

 

 

     兵士の中には凪の到着で戦にも勝っていないのに何故か鬨(とき)の声を上げていた。

 

 

「凪、補給物資の輸送ご苦労さま。そして兵糧なんだけど……」

「隊長 安心してください。沙和のように

 湯麺の材料しか持ってこないなど馬鹿なことはしていません。

 粟・小麦等色々持ってきました」

                

                   「おおっ流石 凪だエライぞ」

 

感極まった一刀は凪を強く抱きしめた。

「!?隊長、嬉しい、じゃない周りが見ています。 今は止めて下さいー」

 

そんな一刀を誰かがすそを引っ張っていた。

すそを引っ張っていたのは真桜であった。

「どうしたんだ。真桜」

「……たいちょー 主食の粟や小麦はいいとしてあの壺の山は……ナニ?」

 

 

 

 

 

 

人の背丈ほどある大壺を運ぶ兵士達は何故か涙目になりながら大壺を食糧庫に運んでいった。

そのとき、ある兵士が足を滑らせ壺を倒してしまった。

壺からは真っ赤な色をした液体が流れ出ていた。

 

 

               一目見て誰もが 

                      ラー油……?

                            と思った。

 

 

一刀は凪に何故食糧にラー油の大壺を食糧庫に入れたのか尋ねた。

「凪なぜ、ラー油の大壺があんなにあるんだ」

 

凪は自信満々に応えた。

「隊長あれはただのラー油ではありません。

  今洛陽で流行している高級品『食べるラー油』というものです。

   都では品不足になるほどの人気なのです。

  

 兵達に慰労をこめて奮発し、許の厨師に暑さ負けしないように唐辛子地獄盛で

  作ってもらいました。ご飯にもよし、焼餅(シャンピン)につけても美味しい

   という素晴らしい食べ物です」

 

 

凪のキラキラした眼差しに耐え切れなくなった一刀は

真桜を小突きどのような味なのか試食するように言った。

 

(ウゲッ!そな殺生な、隊長……)

(上意だ!逝け真桜 骨は拾ってやる。)

 

真桜はおそるおそる大甕近づき甕の蓋を開けた。

 

「ウゲッ~辛さが目に沁みるで、……ほならチョビット」

            

                        パク

 

「………---?! ほぎゃ―――!!」

 

 

真桜は口を押えながら水桶のある厨房に駆け込んでいった。

 

 

 

 

 

 

それを見ていた一刀は凪に質問をした。

 

「……凪、この『食べるラー油』の味見をしたのは……」

 

「ハイ、私が試食して配合を致しました(キラキラ)」

 

「……凪、他のオカズは?」

「そのようなものありません(キッパリ)」

 

           

 

 

 

               一刀は周囲の兵士達に高々と宣言した。

 

             「此度の戦、ラーメン・ライスで乗り切るぞ!」

 

 

 

 

                     「ムリッす!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、一刀達は拠点地 白馬の放棄を決意したのであった……

 

 

 


 
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