この作品は恋姫の二次創作です。
オリキャラ込みです。
初めてなので駄文です。
それを踏まえて読んでいただけると幸いです。
第20話:それぞれの、想い
魏軍との戦が終結して、はや一月が経過した。
片腕を失った雪蓮は王位を退き、その後を蓮華が継いだ。
冥琳や祭さんに王としての心構えを教えてもらいながら、毎日必死に政務をこなしている。
また、孫策が退いた事で揚州は混乱をきたすかと思われたが、蓮華の下には未だ健がおり、それが抑止力となって目立った混乱は起こらなかった。
その光景を見て、誰が詠んだか
「小覇王堕つ、しかして未だ風吹き荒れる」
などと世間では言い伝えられていた。
穏「……以上がここ暫くの諸侯の動きを纏めたもので……蓮華様?」
蓮華「……あ、ああ。すまない」
穏の問いかけに慌てて反応する蓮華。
現在、呉の主だった将を集め、軍議が行われている。
一刀「蓮華、どうかした?」
蓮華の様子に一刀は問いかける。
蓮華が即位してから、一刀は本格的に蓮華の補佐に就くようになった。
冥琳や穏の教授の成果もあってか、今では立派に蓮華の補佐を行っている。
蓮華「いや、何でも……」
一刀「まだ慣れてなくて色々不安なのは分かるけどさ、蓮華なら大丈夫だって」
蓮華「……本当に、大丈夫なのだろうか」
蓮華は不安そうな目で一刀を見る。
蓮華「今の平穏だって、健の力や皆の働きがあってこそ成り立っている。……私は、お姉様のように皆を纏めていけるのだろうか?」
一刀「……別に、雪蓮のようにしなくてもいいんじゃない?」
蓮華「ん?」
一刀「というか、他の人が雪蓮みたいにやるのはまず無理だと思う。だからさ、蓮華は蓮華のやり方で、皆を導いていけばいいんじゃないかな?」
蓮華「私の、やり方……」
一刀「すぐに答えを出そうと思わなくていい。俺達は皆、蓮華を助けるから、その中で自分のやり方を見つけていけばいいよ」
蓮華「……ああ、そうだな」
一刀の言葉で、蓮華の不安は若干和らいだようだった。
一刀「で、とりあえずこれからの方針だけど……」
亞莎「まさか劉備が同盟を破棄するとは……」
現在、軍議では各国の動向を整理し、これからの方針を決めている。
雪蓮退位の報を聞いて、劉備陣営は同盟破棄の使者を送ってきていた。
曹操は、この間の戦での愚策を後悔し、呉の内乱に乗じて戦を仕掛けることはしないと確約した。
劉備の同盟破棄は、事実上の孫呉への侵攻を意味するのか。
曹操の確約は、何処まで信用していいものか。
これから孫呉はどのようにして領土を広げていくか。
議題は山積みであった……。
~軍議終了後~
健「新しい武器?」
冥琳「ああ。この間の戦で折れてしまったのだろう?以前話していた新しい武器が届いたのでな、渡しておこうと思って」
健と冥琳が、廊下を歩きながら話している。
曹操との戦で折れてしまった健の武器についてだ。
健「そういえば、あれとはだいぶ形が違うってゆーてたなぁ。実際、武器の種類は?」
冥琳「双戟、と言って分かるか?」
健「あー、分かる分かる。でも上手い事扱えるかなぁ……」
冥琳「まぁ、試してみればいいさ。ついて来い」
話し終えると、2人は冥琳の部屋に向かった。
健「これが……その双戟?」
冥琳「ああ、そうだ」
冥琳の部屋で渡された双戟は、純白、と言っていいほど全てが白く、見た目も美しいものだった。
健「これ、儀式用とかとちゃうよな?」
冥琳「もちろん実戦を想定されている。だが、それを作った鍛冶屋が変わり者でな。妙な趣向に走ったんだ」
健「それが、この結果か……」
軽く戟を振ってみる。
健「軽さは申し分無し。強度は?」
冥琳「それも保障する。ただ、戦場でそのような武器を使っていれば目立ちすぎるだろうな」
そう言って冥琳は苦笑い。
確かに、儀式用に見まごう程の見た目なら、戦場じゃ悪目立ちするわな……。
健「とりあえず試してみるか。見に来る?」
冥琳「では、拝見させてもらおう」
そう言うと、2人は中庭に場所を移した。
健「まずは軽く……」
双戟を構え、健はゆっくりと動き出した。
そこから先は、まるで舞を見ているようだった。
以前の健の攻撃の型はまるで突如吹き荒れる突風のよう。
それと比較すると今はさわやかに、しかし力強く吹く風、といった所だろうか。
冥琳は、思わず目を奪われてしまっていた。
?「……武器が違うだけで、こんなにも変わるのね」
声のするほうを向くと、雪蓮と七乃さんがいた。
美羽ちゃんと七乃さんには、雪蓮が良くなるまで看ていてもらっている。
今日はたまたま、美羽ちゃんはいないようだ。
冥琳「雪蓮、体はいいの?」
雪蓮「ええ、そろそろ散歩程度はしなさいって」
七乃「でも雪蓮さん、目を離すと手合わせなんかしちゃいそうですし~」
冥琳「だから七乃殿がお目付け役、といった所か」
雪蓮「さすがにまだそこまではできないわよ」
2人の言葉に苦笑する雪蓮。
蓮華に王位を譲ってから、雪蓮は雰囲気が柔らかくなった。
とはいえ、中身はそこまで変わってはいないが。
健「あれ、いつの間に観客が増えてん?」
健も2人に気づいたようだ。
雪蓮「たまたまさっきあなた達を見つけてね。それにしても、舞みたいだったわね」
七乃「はい、綺麗でしたよ~」
健「この武器に最適な動きを考えたらこうなっただけやって」
2人の賛辞に、健は苦笑する。
冥琳「で、そいつの具合はどうだ?」
健「おう、ええ感じ。ありがたく使わせてもらうわ」
冥琳「ふふっ、存分に使ってくれ」
雪蓮「ねぇ冥琳。その戟、銘は何て言うの?」
冥琳「“雪月花”だ」
七乃「“雪月花”……。確かに、その銘に相応しい美しさですね~」
4人は、その戟の名の通りの美しさに見とれていた。
健「とりあえず、ありがとうな。この礼はどっかでするわ」
冥琳「それなら、これからも孫呉のために尽力してくれ」
健「あれ、そんなんでええの?」
雪蓮「何言ってんの。あなたが蓮華を支えてくれなきゃ、あの子すぐに潰れちゃうわよ」
七乃「そうですよ~。健さんが呉で一番強いんですから」
健「……りょーかい、これからも頑張るわ」
こうして、決意を新たに健は新しい武器“雪月花”を手に入れた。
暫くして、建業に本拠地を移した孫呉は、いよいよ動き出す……。
蓮華「……という訳だ。我らは南方を制圧し、来るべき敵に備える」
蓮華の一声で、南方への進軍が決定した。
袁紹との戦いを勝利で終えた曹操への備えのため、兵・金・兵糧を確保しなければならないからだ。
そして南征軍の編成に移るのだが……。
蓮華「出陣する武将は、呂蒙・甘寧・周泰・陸遜・華雄。本隊は私と孫尚香、一刀が率いる」
……あれ?俺は?
祭「権殿……。出陣武将にわしの名が無いのじゃが……」
健「俺も俺も。俺らは要らんってか?」
2人は少し怪訝そうに尋ねる。
蓮華「何を言ってるの。2人だからこそ、建業の留守を任せられるのよ」
祭「むぅ……、前線で働けんとは……。齢とは残酷なものよ」
冥琳「拗ねるな祭殿。私も居残りだ」
祭「お前は良いではないか、健といちゃいちゃ出来るのじゃから」
冥琳「っ!そ、そんな事しません!」
蓮華「ねぇ祭、お願い。私達の家を守って」
祭「むぅ……、了解した」
渋々祭さんが納得した所で、各自それぞれの仕事に戻っていった。
その直後、一刀が健に話しかけてきた。
一刀「……なぁ健」
健「んー?」
一刀「冥琳、最近ちゃんと休んでるのか?」
健「……いや」
一刀は、冥琳の僅かな異変を見逃さなかったようだ。
健「俺も散々言うて、前よりは休むようにはなったけど。それでも『今は寝る間も惜しい』らしいで」
そういう健は心配そうだ。
自分の好いている人が無理をしているのだ。無理も無い。
一刀「……俺にも出来る事があったら言うように伝えておいて」
健「りょーかい。俺もその方が助かる」
一刀「あと、健も」
健「ん?」
一刀「最近ずっと、夜に鍛錬してるだろ?」
健「……見られてたか」
一刀の言うとおり健はここ最近、皆が寝静まった時間に1人鍛錬をしていた。
全く、この男には隠し事が出来ない。
健「新しい武器にはよ慣れたいんやけど、調練やなんやあって時間取れるんが夜中しかないんよね。特に書類仕事、アレは地獄や……」
一刀「気持ちは分かるけど、無理はしないでくれよ。2人とも、今の呉には大事な人間なんだから」
健「わーったわーった。ほれ、お前もはよ準備して来い」
一刀「……分かった」
納得してないようだったが、一刀も出陣準備に向かっていった。
健「……今無理せんでいつ無理するっちゅうねん」
一言呟いて、健もその場を立ち去った。
~とある城~
陳宮「呂布殿ぉー!」
呂布「……?」
陳宮「孫権が南方へ出陣したようで。今が好機ですぞ!」
呂布「……攻める?」
陳宮「はいです!」
呂布「……分かった」
陳宮「ならばすぐに、出陣準備をいたしますぞ!」
陳宮の問いに、無言で頷く呂布。
それを見て、陳宮は駆け足で戻っていった。
呂布「……決着」
城下を見ながら、呂布は呟く。
呂布「……太史慈」
そう言うと、呂布はその場から去っていった。
G「お久しぶりです。ってか、ずいぶんと遅れてしまいすみません」
健「半年ちこう放置やったやんけ。なんしてたん?」
G「……大学院がここまで忙しいとは思わなんだ」
健「そんなに?」
G「時間空いたと思ったら教採の勉強してましたし」
健「……さよけ」
G「とりあえず、これから夏休みなので、時間が多少はできる!はず!」
健「はずってオイ」
G「まぁ、時間を見つつチョコチョコ書き溜められるよう努力します」
健「まぁ、がんばってくれや」
G「では、次回で」
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長らく間を空けてしまいました。
第20話です。
またよろしくお願いします。
……まとまった休みが欲しい今日この頃です(汗