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「んっ・・・」
太陽の光が眩しく俺は目を覚ます。
「ふわぁぁ~・・・っと」
大きく伸びをし、座っていた体を起こす。
「さてと・・・俺はなんでこんな所で寝ているんだ?」
寝起きで働かない頭を使い昨日の事を思い出す。 そして、思い出した。抱き抱えるようにして持っていた一振りの銀色の剣を見ることで。
「そっか。思い出した。昨日は仕事が終わって帰るには遅かったからここで寝たんだったな。」
そう言って周りを見回す。そこには何も無かった。 いや、動くものは何も無かった。
「さて・・・帰るかな。」
俺はのんびりと歩きだした。
俺の後ろには昨日までは元気に動いていただろう人の屍が大量に転がっていた・・・。
「爺ちゃ~ん。帰ったよー。」
「おお、御帰り一鞘。 仕事は終わったのか?」
「ああ、終わった。」
「そうか・・・すまんな一鞘、こんな仕事で。」
「いや、爺ちゃんの所為じゃないよ。 この国の影で敵となる者を消すのが、俺達北郷家の運命なんだから・・・。」
「・・・本当にすまんな。」
「いいよ。 それより風呂に入るな。」
「ああ、風呂はもう沸かしてあるよ。」
「有難う。」
俺は湯船に浸かっていた。
「ふぅ・・・。やっぱり風呂はいいなぁ~♪」
仕事の場所に行って帰ってくるまで2日間かかったため2日ぶりの風呂であるから、なおさら気持ちいいのだろう。
「ふー。ホントに気持ち良いや・・・。」
そう思いながら俺は、湯船で眼を閉じた。
俺は小さい時に両親を亡くし、爺ちゃんに育てられた。
爺ちゃんは俺に物心がついたときから刀を教えてきた。刀と言っても、初めは木刀だったが。
中学校に入るときには、もう真剣を握っていた。
そして、中学2年の時に、初めて気づいた事があった。
気付いたのは爺ちゃんの事だった。
俺は、爺ちゃんが一週間に2回ほど、皆が寝静まった深夜に家を抜け出していることに気付いたのである。
それに気付いたのは夏の暑い日だった。
俺は暑すぎて夜に何度も目を覚ました。
そして5回目ぐらいにだっただろう。俺が目を覚ますと丁度玄関が閉まる音が聞こえたのだった。
俺は不審に思い枕元に立てかけていた日本刀~狼牙~を片手に持ち、階段を下りて玄関に向かった。
そして、問題の玄関に着いた。
しかし、玄関には何も無く、しかも途中に誰もいなかった。
そして、思いすごしだと思い自分の部屋に戻ろうとした時に、俺は気付いた。
いつもなら、有るはずの爺ちゃんの靴が無いことに。
そして俺はまず、爺ちゃんの寝間に向かった。
爺ちゃんの部屋を開けると、そこに爺ちゃんはいなかった。
その後、全ての部屋を探したが、爺ちゃんは居なかった。
そして、もう一度爺ちゃんの部屋を見たときに気付いた。
爺ちゃんの愛刀であるはずの、地斬爪牙(ちざんそうが)が、置いていない事に。
それに気付いた直後だった。
俺は首に衝撃を感じた。
そのまま、だんだん視界が暗くなり、俺は意識を手放した。
朝、俺は目を覚ました。
頭がボーッとしている。
しかし俺はすぐに昨日の事を思い出し、爺ちゃんを探した。
しかし、階段を下りると、すぐに爺ちゃんは見つかった。
爺ちゃんは丁度部屋から出てきたところだった。
「どうした一鞘?」
「あれ・・・。 いや何もない。」
「そうか。 まぁいい。早くご飯にしよう。」
俺は昨日の事は夢だったんだと思うことにした。
しかし、俺は気付いてしまった。
昨日の事が夢では無かったと、言うことに。
なぜなら、ご飯を食べ終わり顔を洗いにいった時、鏡に自分の首の所が青くなっていることに気付いたから・・・。
それから一年間、俺はあの時の事を考えていた。
「爺ちゃんは一体何をしに、あんな時間から出て行ったのだろう・・・と」
そして中学卒業の前日俺は聞いてみた。
「爺ちゃんあの時家にいなかったよな?」・・・と。
初めの内、爺ちゃんはうまく誤魔化していた。
しかし、俺の追及にとうとう爺ちゃんは折れてくれた。
そして爺ちゃんは俺に全てを話してくれた。
まず話してくれたのは北郷家の歴史。
北郷家は、日本を影から支えてきた、ということ。
そして、支えるという事の意味。
そして、俺の両親が死んだ理由は、その所為だ、ということ。
そして、あの日爺ちゃんが、仕事を行ったこと。
その全ての事実が俺を今までの、夢のような日本から、現実の日本へと、巻き込んでいった。
そして、爺ちゃんは高校生になった俺に、本郷家の家宝でもある、
天斬狼牙をくれた。
天斬狼牙をもらうこと。それは俺が夢から、現実に生きるということ。
しかし、俺はそれを拒まなかった。
俺は爺ちゃんの話を聞いたときに覚悟をしていたからだ。
そして、その一年後。 俺は初めての仕事を任された。
それは、反対派勢力の人間を全て消すこと。
俺は見事にそれをやってのけた。
そして、俺は人殺しの業を背負うことになった。
「一鞘~~~。飯にするぞ~~」
爺ちゃんの声で俺は目を覚ました。
どうやら眠っていたらしい。
「わかった。すぐ上がるー!」
俺は風呂を出た。
後書き
ここまでみてくださった方々有難うございます。
雪蓮様です^^
さて6作品目投稿しました。
今回は一鞘の昔話です。
一鞘がなぜあんなにも強くなったのか。
そしてなぜ、蓮たちがいる、三国志の世界に行ったのか。
それを書こうかと思っています^^
でも長くなりそうだったので、今回も前後半に分けようと思います(;一_一)
次回も頑張りますので応援お願いします(>_<)
では、また次回にお会いしましょう。
SEE YOU AGAIN!
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6作目投稿しました!!
今回は一鞘の昔話です。
読んでくださると嬉しいです♪